花札は、12か月それぞれに植物や生き物を割り当てた札ですが、
その描かれ方は、新暦の四季分けとは少し違います。
花札が描いているのは、
春・夏・秋・冬そのものではなく、季節が切り替わっていく途中の空気。
この記事では、花札を
「春札・夏札・秋札・冬札」という4つの視点から整理し、
12か月の札がどうやって一年を描いているのかを見ていきます。
目次
花札の四季
花札は、季節そのものではなく、
季節が動く
「途中の空気」を札にしているよ
丹鶯 梅雨
🌸 春札
春札は「季節が立ち上がる瞬間を描く札」。
- 梅に鶯:まだ寒い中で、春が混ざりはじめる
- 桜に幕:花が行事になり、人が集まる
- 藤に不如帰:春がほどけ、次の季節へ渡される
春札は、季節が「始まる/動き出す」気配を描いている。
🌿 夏札
夏札は「湿度と重さで季節を感じさせる札」。
- 菖蒲に八橋:水辺と梅雨の気配
- 牡丹に蝶:梅雨の蝶、花の重み
- 萩に猪:秋草と秋の獣が、夏の月に先取りで現れる
夏札は、光よりも空気・水・重さで季節を伝える。
🍁 秋札
秋札は「季節の輪郭がはっきり見える札」。
- 芒に月:秋の中心(仲秋の名月)
- 菊に盃:節句という行事
- 紅葉に鹿:晩秋の感情
秋札は、「いまが秋だ」と分かる情景が揃っている。
❄️ 冬札
冬札は「季節を区切り、次へ渡す札」。
- 柳に小野道風/柳に男:時雨、季節が崩れていく
- 柳に燕:雨の気配が冬を連れてくる
- 桐に鳳凰:年が改まったあと、世界を静かに整え直す
- 松に鶴:年の改まりをまとめる
冬札は、終わり・切り替え・整え直しをまとめて抱えた季節。
花札の月ごとの季節
| 月 | 絵柄 | 季節 | 季節/“季節の読み” |
|---|---|---|---|
| 1月 | 松に鶴 | 冬 | お正月の札。冬の終盤+年の切り替わりを、松と鶴でまとめる。 |
| 2月 | 梅に鶯 | 春(初春) | 冬の終わりと春の始まり。寒さの中に春が混ざりはじめる。 |
| 3月 | 桜に幕 | 春 | 花見と人の営みの活気。桜が「行事」になる春。 |
| 4月 | 藤に不如帰 | 春→夏 | 春の終わりと夏の始まり。季節の境目を描く札。 |
| 5月 | 菖蒲に八橋/杜若に八橋 | 夏(初夏) | 梅雨の気配を纏いながら夏本番へ寄っていく合図。 |
| 6月 | 牡丹に蝶 | 夏(初夏〜小夏) | 梅雨の蝶/牡丹落ちる。重さと鮮やかさが混ざる季節。 |
| 7月 | 萩に猪 | 夏→秋 | 秋の入口。季節が動き始める。 |
| 8月(主) | 芒に月 | 秋(仲秋) | 旧暦8月15日・仲秋の名月。秋の中心を決める札。 |
| 8月(副) | 芒に雁 | 秋(深まり) | 渡り鳥と北風。秋がさらに深くなる側の8月。 |
| 9月 | 菊に盃 | 秋 | 重陽の節句。行事として完成する秋。 |
| 10月 | 紅葉に鹿 | 秋(晩秋) | 人恋しい晩秋の寂しさ。感情まで沈んでいく季節。 |
| 11月(主・旧) | 柳に小野道風/柳に男 | 秋→冬 | 時雨の月。秋が崩れて冬へ動き出す札。 |
| 11月(副) | 柳に燕 | 冬 | 柳×燕=雨の気配。時雨としての11月。 |
| 12月 | 桐に鳳凰 | 冬 | 年の終わりと改まり。祈りと区切りの札 |
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