花札は、12か月それぞれに花や草木が割り当てられ、
各月4枚ずつで季節を表す遊び札です。
1月札はそのスタートにあたるぶん、
いちばん“正月らしさ”が濃く出ます。
この記事は、任天堂の公式解説/博物館・美術館の解説/文様資料などを参照しながら、1月札「松に鶴(旭日)」が“なぜ正月の札なのか”を、根拠に沿って整理したものです。
※図柄の「直接の起源(これが元ネタ!)」は断定できない部分があるため、本記事では “資料で確認できる意味(象徴)”を土台に、自然な読みを提示します。最後に出典リンクをまとめています。
1月の札は「縁起の要素」を一枚に圧縮している

任天堂の花札紹介でも、1月は「松に鶴」として整理されています。
また、説明によっては「松に鶴に旭(=日の出)」まで含めて語られます。
つまり1月札の核は、だいたい次の3点です。
- 松(正月/長寿)
- 鶴(長寿/吉祥)
- 旭日(年のはじまり)
花札の絵柄は“写実の自然”というより、季節と祝意を伝える記号(シンボル)として組まれている、と考えると読み解きやすくなります。
松が「正月の象徴」になる理由は門松にある!?
正月飾りの代表が門松(かどまつ)です。
門松は、新年に神様(年神様)が訪れてくれるよう願いを込めて門口に立てる飾りで、地域差はあるものの「神様を迎える」意図が核にある、と説明されます。

ここで大事なのが、門松の“形”。
門松(松飾り)は基本として、門の両側に左右一対で飾るものです。
「ここが入口です」と示す目印になり、家の“門口のめでたさ”を作ります。
さらに「なぜ松なのか」については、博物館のQ&Aでも説明がしやすいです。
松を「千歳(せんざい)の松」と呼び、長寿を象徴する“めでたい木”としての知識が広まったことが、門松に松が使われる理由のひとつだと整理されています。
だから花札の松は、「冬でも緑で縁起がいい」だけじゃなく、年神様を迎える正月の入口(門口)を象徴している、と読むことができます。
※補足:花札の松が「門松そのものを直接簡略化した」と断定できる一次資料は見当たらないため、本記事では 門の両側に左右一対で飾る松飾りを連想させる構図”として扱います。
鶴が「長寿・吉祥」の象徴になる理由(典拠あり)
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鶴の長寿イメージは日本の古典でも祝意の定型として定着しています。
たとえば『古今和歌集』(巻七・賀)には「鶴亀もちとせののちは…」と詠まれ、鶴亀が“千年級の長寿”を象徴する前提で祝賀が語られます。
つまり「松(長寿)×鶴(長寿)」は、正月に置く縁起の組み合わせとして強い。
1月の顔として採用されるのも自然です。
旭日(太陽・日の出)が入ると「正月らしさ」が完成する
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1月札は「松に鶴」だけで語られることもありますが、「松に鶴に日の出」と、
日の出まで含めて説明されることがあります。
実際に、「日の出に松に鶴」という主題そのものが作品として存在しています。
だから花札の赤い丸(旭日)は、単なる背景ではなく、年明けの瑞々しさ=正月の空気を一瞬で伝える記号、とまとめると伝わりやすいです。
花札の六百間では、「日の出」という
追加ルールもあります。
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まとめ:1月「松に鶴」は“正月の祝意”を圧縮した札
1月の「松に鶴」は、
- 門松に代表される「年神様を迎える正月文化」(松/門の両側に左右一対の飾り)
- 長寿と祝意(松・鶴)
- 年明けの瑞兆(日の出)
を、一枚の絵にまとめた“正月の札”です。
よくある質問(Q&A)
- 花札の1月の松は「門松の松」なんですか?
-
“門松そのもの”と断定はできませんが、意味の方向性はかなり近いです。
門松(松飾り)は、年神様を迎える正月飾りとして説明され、基本は門の両側に左右一対で飾ります。
花札の松が左右から構図を作る描かれ方をする場合、「門口を飾る松」を象徴的にまとめたデザインとして読むのは自然です(※直接の由来とは断定できません) - 札の赤い丸は何ですか?太陽(旭日)ですか?
-
一般には、赤い丸は旭日(きょくじつ)=日の出の記号として説明されることが多いです。
また「日の出に松に鶴」という主題の作例もあるため、松・鶴・日の出が“年明けのめでたさ”として結びつくのは不自然ではありません。 - 鶴がいるのはなぜ?
-
鶴は昔から長寿・吉祥の象徴として扱われ、典拠に触れた解説もあります。
松も長寿の象徴なので、松(長寿)+鶴(長寿)で祝意が強くなります。
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