【花札の由来】6月「牡丹に蝶」は初夏から小夏?牡丹と夏の蝶で読む季節の切り替わり

花札は、12か月それぞれに草花が割り当てられ、各月4枚ずつで季節を表す遊び札です。

6月札の「牡丹に蝶」は、
牡丹の上を夏の蝶が通り過ぎる図柄。
初夏を越えて小暑へ進む、
季節の切り替わりを示すかのような札です。

目次

6月の札は「初夏→仲夏へ切り替わる瞬間」を一枚に圧縮している

牡丹(ぼたん)
牡丹は旧暦四月下旬〜五月口頃ぐらい※1に
終わりかける花。
初夏側の季節感を札に残す要素。

(=夏の蝶/梅雨の蝶)
蝶は春の季語、夏の蝶は夏の季語。
子季語として「梅雨の蝶」がある。
仲夏の終盤から小暑への切り替えの要素

牡丹が“地面に残る初夏”を受け止めているところへ、蝶が“小暑の始まり”として入り込む。
6月札「牡丹に蝶」は、この二段構えで、季節が切り替わる瞬間を完成させた札として読めます。

※図柄の「直接の起源(これが元ネタ!)」は断定できない部分があるため、本記事では“資料で確認できる季節語・意匠の流れ(定着していった型)”を土台に、自然な読みを提示します。
参考:国立国会図書館「二十四節季」

※1

旧暦は太陰太陽暦で年によりズレるが、新暦5月が旧暦4月に重なる年もあるため)旧暦で見ると“四月後半〜五月口”あたりにかかる年がある

6月=「仲夏(芒種〜小暑の前日)から小暑へ寄っていく」帯

季節語の区切りでは、夏は立夏から立秋の前日まで。
さらに初夏・仲夏・晩夏に分け、初夏は立夏〜芒種の前日ごろ、仲夏は芒種〜小暑の前日ごろと説明されます。
参考:一番星のなる木「

6月はちょうど
「仲夏の中ほど(夏至前後)」から「仲夏の終盤」を通って、
暦の上では小暑側へ寄っていく位置になりやすい。

芒種を越えて夏至へ向かう、熱と湿り気が同居しはじめる帯として扱うほうが、6月札の絵柄と噛み合います。

牡丹が散ると、夏が立つ──「牡丹散りて」から読む季節感

牡丹は、辞書の語釈でも 《季 夏》 に置かれている花です。
歳時記では「牡丹」だけでなく 「牡丹散る」 も季語として立項され、散りざま・散るのを惜しむ気持ちまで含めて詠まれる、と説明されています。

牡丹の散り際「牡丹散る」という季語

牡丹は「牡丹散る」まで季節感に入っています。
参考:清川俳句歳時記

牡丹散りて うちかさなりぬ 二三片
与謝蕪村 参考:俳句データベースドットコム

この句は「咲き誇っていた牡丹が、いつのまにか散り、地面に二、三枚の花びらが重なっている」と解説されています。 参考:nippon.com
“咲く牡丹”だけでなく、”散り際の牡丹”まで含めて《夏》の季語として使われてきたことが、こうした例からも押さえやすくなります。

余談

ここで効いてくるのが、「散る」ではなく 「打ちかさなりぬ」 という捉え方です。
桜のように風へほどける散り方ではなく、花びらが重く落ち、重なって残る散り方。
この“残り方”があるぶん、句の季節感は「春が消える」よりも、初夏が次の帯へ切り替わっていくほうへ寄っていきます。


散り際の牡丹が“初夏の終わり”を示し、そこへ蝶の動きが入ることで“次の季節”へ視線が送られるように作られているようです。

6月の蝶は「夏の蝶/梅雨の蝶」として読む入口がある

単に「蝶」は春の季語、と整理されます。そのため、初夏の札としてはふさわしくありません。……が、

季語の世界には
「夏の蝶」

子季語として
「梅雨の蝶」
もあります。
参考:きごさい歳時記

「梅雨の蝶」は、「梅雨の晴れ間をとぶ蝶」と説明されています。
参考:夏井いつきのおウチde俳句くらぶ

どうして牡丹に「蝶」を添えたのか

「牡丹+蝶」という取り合わせ自体が有名でもあります。
この組み合わせは、長い歴史の流れの中で育っていきます。

コトバンク「牡丹文」には、
平安時代後期に牡丹文が特徴を示し始め、
蝶・鳥・唐草と結びついて工芸意匠に現れ、
鎌倉時代以降には
「牡丹に蝶」などの組み合わせが現れる、
と記載があります。

たとえば江戸時代だけでも、
葛飾北斎・渓斎英泉・歌川広重・岸駒などが、
それぞれ「牡丹に蝶(牡丹に蝶図)」を作品として残しています。
参考:文化遺産オンライン

つまり「牡丹+蝶」は、言葉や文様だけでなく、
実作の中でも繰り返し選ばれてきた“型”として扱えます。

よくある質問(Q&A)

花札で蝶とともに描かれている花は?

牡丹です。 花札では、蝶が描かれた札は一般に**6月札「牡丹に蝶」**を指します。

「牡丹に蝶」の読み方は?

「ぼたんにちょう」です。

花札の蝶は何月の札?

6月(牡丹に蝶)です。

花札の「牡丹に蝶」の意味は?

記事の読みとしては、牡丹=初夏側の名残(地面に残る季節)/蝶=次の帯へ寄せる気配(空気の動き)と役割分担させると整合しやすいです。
「同じ月=同じ季節」だけでなく、切り替わりを一枚に押し込める札として読む方向です。

牡丹に蝶の季節は?

「牡丹が終わり際に寄る初夏」と「夏の蝶(梅雨の蝶を含む)」を重ねて、初夏→仲夏(小暑側)へ寄っていく季節感として説明できます。

水無月と牡丹に蝶って、どうつながる?

水無月(旧暦6月)を「月名どおり一直線に当てる」より、暦の節目(夏至→小暑)に寄っていく帯として置くと、「牡丹(名残)+蝶(次の気配)」の読みと繋げやすくなります。

夏の蝶 梅雨の蝶ってなに?

季語の整理では、単に「蝶」だと春側に寄りやすい一方で、夏の蝶が立項され、さらに子季語として梅雨の蝶が扱われることがあります。

梅雨の蝶が季語って本当?

はい、歳時記で「梅雨の蝶」を立てている資料があります。記事では「梅雨の晴れ間をとぶ蝶」といった説明と繋げると、6月札の蝶を“夏側”へ寄せやすいです。

牡丹散るって季語ってある?

あります。歳時記では「牡丹」だけでなく、「牡丹散る」として立項されることがあり、散りざままで含めて季節感を扱います。

花札の「牡丹に蝶」って、花札以外でも有名な組み合わせ?

有名です。
江戸期にも「牡丹に蝶」は人気題材で、北斎のほか、英泉・広重・岸駒など。
「牡丹に蝶」は絵画・工芸で繰り返し描かれている題材の一つです。

牡丹に蝶 絵(作品)ってどんなのがある?

たとえば作品例として

葛飾北斎「牡丹に蝶」 文化遺産オンライン

渓斎英泉「牡丹に蝶」 文化遺産オンライン

岸駒「牡丹に蝶」 文化遺産オンライン
のように実作が確認できます。

「蝶」は春の季語なのに、6月札にいて大丈夫?

「蝶」単体が春の季語として整理される一方で、季語の体系には 「夏の蝶」があり、さらに子季語として 「梅雨の蝶」も扱われます。
「梅雨の蝶」は
“梅雨の晴れ間をとぶ蝶”の説明が見られます。

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この記事を書いた人

今はゲームシナリオを書いている者です。最近社内DXアプリ開発も楽しい。
花札がとても好き。アナログゲームを嗜む脚本家、小説家、人狼もマダミスも好き。

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