※なぜ11月が雨・時雨なのは、「柳に男」の記事で説明しています

花札は、12か月それぞれに草花や生き物が割り当てられ、各月4枚ずつで季節を表す遊び札です。
11月札の「柳に燕」は、
柳(やなぎ)の前を、燕(つばめ)が飛んでいく図柄。
この2つは、どちらも昔から
“雨・湿り気”の景色と
相性が良いモチーフとして扱われてきました。
ここから先は、柳と燕がそれぞれ
どうして“雨の景色”に結びつくのかを、用語の説明も含めてやさしく整理します。
11月の札は「時雨の気配」を動きで見せる

11月札の核は、だいたい次の2つ(+景色)です。
柳が湿り気の背景を作り、燕がそこをさっと横切ることで、時雨の空気が立ち上がります。
柳(やなぎ)
水辺に多い木。枝が“しだれる”ことで、湿った空気や雨の気配が絵になりやすい。
燕(つばめ)
雨とセットで語られることがあり、「濡れ燕」という言い方もある。国立劇場の解説にも出てきます。
(+景色)
柳が「濡れ」を作り、燕が「動き」を入れる。
だから2つが揃うと、雨を直接描いていなくても 雨の空気が立ち上がる。
※図柄の「直接の起源(これが元ネタ!)」は断定できない部分があるため、
本記事では “資料で確認できる意味(象徴)” を土台に、自然な読みを提示します。
なぜ雨・時雨が「11月」なの?
この記事では 「柳」と「燕」の意味に集中します。
「なぜ11月が雨(時雨)なの?」は、札の変遷まで含めて整理しているのでこちらへ。

この歌が11月札の“説明書”みたいに刺さる
11月の感覚を、いちばん綺麗に言葉にしてくれているのが――
後撰和歌集のこの一首です。

この歌が言っているのは、
時雨は「ただ濡らす雨」じゃなくて、季節のスイッチを押す雨だということ。
花札の11月札もこの感覚――
“湿り気が来た瞬間、季節が切り替わる”
を絵に落とした札だと読んでいこうと思います。
柳(やなぎ)って、どんな木?
って、どんな木?-1024x538.webp)
柳は、川辺や水の近くにあるイメージが強い木です。
だから絵の中に柳が出るだけで、背景が「水気のある場所」になりやすい。
さらに柳の大事な特徴が 「しだれる(枝垂れる)」。
「しだれる」ってどういう意味?
枝が上に伸びるのではなく、
細い枝が下に向かって長く垂れている状態のこと。
柳はこれが目立つので、
空気が湿っている感じ
風に揺れている感じ
雨上がりの“ぬれた気配”
が、説明なしでも伝わりやすい。
一行で言うと:
柳=「湿り気のある場所」を一瞬で作る木。
燕(つばめ)って、どうして雨と相性がいいの?
燕は「季節を運ぶ鳥」として有名だけど、雨との相性も強い。
その分かりやすい例が 「濡れ燕(ぬれつばめ)」です。

国立劇場(文化デジタルライブラリー)の解説では、
歌舞伎の衣裳文様「濡れ燕」が、
から来た、と説明されています。
つまり日本側の文化でも、
雨(傘・雨宿り)
燕(濡れる・雨の中の気配)
が、セットで“読まれてきた”。
「柳に燕」=雨っぽい、の決定打(中国の柳燕図)
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「柳+燕」が雨の景色になるのは、花札だけの発想じゃなくて、
中国の花鳥画題としても成立しています。
たとえば 文化遺産オンライン の「柳燕図」(伝牧谿筆)の解説は、
というように、
風雨の中の柳と燕として説明されています。
ここが強いポイントで、
柳は「濡れ」を作り、燕は「動き」を入れる。
だから2つが揃うと、雨を直接描いていなくても 雨の空気が立ち上がる。
札全体の一行説明:
柳に燕=湿った風の中を、燕がさっと切っていく景。
玄鳥去(つばめさる)とは
燕は「春に来る鳥」のイメージが強いけれど、
暦の世界では、去っていく燕もちゃんと季節の合図になっています。
とは-1024x538.webp)
七十二候の「玄鳥去(つばめさる)」は、燕が南へ渡っていく頃。
秋分の末候で、燕が去りはじめる時期を指す言葉です。
霜月(旧暦11月)は、その直後にあたる季節で、燕がいなくなったことが確定する時期とも言えます。
だから霜月に燕を描くことは、「まだ飛んでいる燕」ではなく、
「去ったはずの燕の記憶や余韻」を描いている、と読むことも出来ます。
去る燕(玄鳥去)→時雨へ
ツムラの解説では、燕が大きな群れで渡る一方で、その飛び去る瞬間を目にしにくいことがある、と触れたうえで、理由の一つとして 曇天や小雨の中を選んで旅立つためという見方が紹介されています。
つまりここで、
柳(湿りの背景)+ 燕(去る気配)
がそろうと、雨粒を描かなくても
雨(湿り)→ 去る燕 → 境目の雨(時雨)
が、すっと一本につながります。
参考:玄鳥去(つばめさる):七十二候 – 暦と暮らそう ―四季と生きる― – 日本の自然と伝統文化 – 株式会社ツムラ
まとめ:11月「柳に燕」は、雨の気配が動き出す札
- 柳は、しだれる枝で「湿り気の背景」を作る
- 燕は、「濡れ燕」や「去る燕」で雨の空気に似合う動きを入れる
- そして時雨は、季節の境目を知らせる雨として、古典から強い
だから「柳に燕」は、
雨粒を描かなくても、雨の空気が立ち上がる札です。
Q&A(よくある質問)
- 柳に燕(やなぎにつばめ)とは何ですか?
-
花札の11月札に描かれる図柄で、
柳の前を燕が飛んでいく様子を表しています。雨や湿り気のある空気を感じさせる組み合わせとして、
11月(霜月)の札に使われています。 - 柳に燕は何月の花札ですか?
-
11月の花札です。
旧暦では霜月にあたり、
時雨が降りはじめる「季節の境目」を表す月とされています。 - 柳に燕の読み方は?
-
「やなぎにつばめ」と読みます。
- なぜ11月に燕が描かれているのですか?
-
燕は春に来る鳥として有名ですが、
暦や古典の世界では 「去っていく燕」も季節の合図になります。七十二候の「玄鳥去(つばめさる)」は、
燕が南へ渡りはじめる時期を表す言葉です。11月は、その 去ったあとが確定する季節なので、
燕は「まだ飛んでいる鳥」ではなく、
去ったはずの燕の記憶や余韻として描かれていると読むことも出来ます。 - 柳に燕の由来は中国ですか?
-
「柳と燕の組み合わせ」自体は、
中国の花鳥画題 「柳燕図」としても成立しています。中国絵画では、
濡れた柳
風雨の中を飛ぶ燕
という形で、
柳+燕=風雨の景色として説明される例があります。ただし、花札の直接の元ネタが
特定の一枚の絵だと断定できるわけではありません。 - 燕が雨や時雨と結びつくのはなぜですか?
-
日本文化では「濡れ燕」という言い方があり、
雨の中の燕が意匠や俳句で語られてきました。また、燕が南へ渡る際に
曇天や小雨の中を選んで旅立つ
と考えられていたこともあり、燕
雨
時雨
は、自然につながるモチーフとして受け取られていました。
- 柳はなぜ雨と相性がいいのですか?
-
柳は水辺に多く、
枝が細く しだれる(枝垂れる)木です。そのため、
- 湿った空気
- 風に揺れる感じ
- 雨上がりの気配
を、説明なしでも伝えやすい植物として、
絵や意匠に多く使われてきました。 - 柳に燕を一言で説明すると?
-
「時雨の気配の中を、燕がさっと横切っていく景色」
と読むのが、いちばん自然です。
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