【一人用フリー台本】眠りの案内人|睡眠導入・添い寝ASMR台本

一人用フリー台本シリーズ

眠りの案内人
睡眠導入・添い寝ASMRに使える癒し系シチュエーションボイス台本

眠れない夜に現れる、名前のない夢魔の台本集です。 はじめましてから関係性が少しずつ変わり、分岐台本を経て、HAPPY END/TRUE END/BAD ENDへ向かいます。

演じるための軽い設定

名前のない夢魔。眠れない夜に、どこからともなく現れる案内人です。 一人称は「ぼく」、二人称は「きみ」。 安心と安全をくれる庇護感がありつつ、時々、相手を夢に留めたい気持ちもこぼれます。 けれど、それがいけないことだと分かっているため、最後には朝へ返そうとします。

声の雰囲気・性別・年齢感は固定していません。演者さんの解釈に合わせて自由に調整できます。 語尾や間、呼吸音、環境音、ASMR用の演出なども、使いやすい形に変えて大丈夫です。

Script Block

本編台本|5〜10分想定

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はじめまして、眠れないきみ

「はじめまして。眠れないきみ。
ぼくは、名前のない案内人。」

初対面。知らない声への警戒をほどき、眠れない夜に安心を置く台本。

初対面の夜。知らない声に驚く相手へ、案内人が「閉じ込めない」「朝を奪わない」と伝えながら、眠れない夜の端に小さな灯りを置く導入台本です。

想定時間:約6分 本編初対面睡眠導入ASMR導入
案内人: ……こんばんは。 起こしたわけじゃないよ。 きみ、まだ眠れていなかったから。 うん。 びっくりしたよね。 知らない声が、暗い部屋で話しかけてきたら。 それは普通、こわい。 だから、まずはそこから話そうか。 ぼくは、きみを驚かせに来たんじゃない。 きみをどこかへ連れていくために来たんでもない。 ただ、眠れない人のそばにいるだけ。 それが、ぼくの役目。 ……役目、なんて言うと、少しえらそうかな。 でも、他に言い方が分からないんだ。 眠れない夜って、少し広すぎるでしょう。 部屋はいつもと同じなのに。 天井も、壁も、布団も、枕も、いつもと同じはずなのに。 夜だけが、急に広くなる。 考えなくていいことを考えて。 思い出さなくていいことを思い出して。 明日のことまで、勝手に暗くなって。 目を閉じると、もっと騒がしくなる。 ……そういう夜に、ぼくは来る。 だから、きみが弱いから来たんじゃないよ。 きみがだめだから、来たんじゃない。 眠れない夜が、少し大きすぎただけ。 きみひとりで抱えるには、 少しだけ、夜が重かっただけ。 だから、今は何もしなくていい。 上手に眠ろうとしなくていい。 ちゃんと休もうとしなくていい。 明日のために、急いで回復しようとしなくていい。 まずは、ぼくの声が聞こえているところまででいい。 聞こえない時があってもいいよ。 ぼくの声が遠くなったら、 それは、きみが眠りに近づいているということだから。 聞き逃しても、怒らない。 返事がなくても、困らない。 きみは、ただそこにいて。 ……うん。 それでいい。 今、きみの体は、布団の中にある。 もしくは、椅子か、床か、どこか少し休める場所にある。 肩に力が入っているなら、 少しだけ抜いてみようか。 全部じゃなくていい。 少しだけ。 指先。 手のひら。 腕。 肩。 順番に、夜へ返していく。 今日、きみが持って帰ってきたものを、 全部ここで処理しなくていい。 言われたこと。 できなかったこと。 間に合わなかったこと。 思い出してしまったこと。 それは全部、今すぐ片づけなくていい。 夜は、片づけをする場所じゃない。 眠れない夜は、なおさら。 今は、広がりすぎた夜の端っこに、 小さな明かりを置くだけでいい。 その明かりが、ぼく。 ……たぶんね。 自分で言うと、少し変だけど。 ぼくは、きみを照らすほど強くない。 でも、真っ暗なままにしないくらいなら、できる。 だから、今夜はここにいる。 きみが眠るまで。 きみが眠れなくても、眠るふりをできるまで。 眠るふりも難しいなら、ただ朝が来るまで。 ぼくは、ここにいる。 でも、勘違いしないでね。 ぼくは、きみの朝を奪いに来たんじゃない。 朝は、きみに返す。 ちゃんと返す。 今夜のきみを預かるだけ。 怖かったら、目を開けていい。 聞きたくなかったら、聞かなくていい。 ここにいたくなかったら、いつでも離れていい。 ぼくは、きみを閉じ込めない。 ただ、もし。 ほんの少しでも。 今夜、誰かにそばにいてほしいと思ったなら。 その役を、ぼくにくれたら嬉しい。 はじめまして。 眠れないきみ。 ぼくは、名前のない案内人。 今夜だけでいい。 きみが眠るところまで、そばにいるよ。

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名前のない夢魔です

「大好きだから、そばにいてほしい。
大好きだから、閉じ込めない。」

夢魔であること、閉じ込めないことを伝える台本。

名前のない夢魔であることを明かす回。夢魔らしさの不穏さを出しつつ、支配しない・朝へ返すという約束で安心を作る台本です。

想定時間:約5分 本編設定説明安心宣言
案内人: 名前? ……名前は、ないよ。 本当にないのかって聞かれると、 少し困るけど。 たぶん、きみに呼ばせたい名前は、まだない。 案内人でもいい。 ただの声でもいい。 夢の中の誰かでもいい。 きみが安心できる呼び方なら、何でもいいよ。 ……うん。 本当のことを言うとね。 ぼくは、夢魔だよ。 そう聞くと、少し怖いかな。 夢魔って、悪い夢を見せたり、 人を夢に閉じ込めたり、 眠っている人の心に触れたりするものだと思う? 間違ってはいないよ。 ぼくにも、できることはある。 きみが見たくない夢を、 きみの代わりに少し遠くへやること。 きみが思い出したくないことを、 今夜だけ見えにくい場所へ置くこと。 眠りの入口を、少しだけやわらかくすること。 それから。 きみを、夢の中に留めておくこと。 ……できるよ。 やろうと思えば。 でも、しない。 それは、きみを大事にすることじゃないから。 ぼくは、きみのことが大事だよ。 まだ会ったばかりなのに変だと思う? うん。 ぼくも、少しそう思う。 でも、眠れない夜にひとりでいるきみを見つけると、 大事にしなきゃいけないと思うんだ。 大事にしたい、じゃなくて。 大事にしなきゃいけない。 そういう気持ちになる。 きみが何かをしたからじゃない。 きみが特別に強いからでも、弱いからでもない。 ただ、眠れない夜にいる人は、 少し危うい場所に立っているから。 現実にも、夢にも、まだ行けない場所。 そこは、足元がやわらかい。 考えごとも沈みやすい。 寂しさも、怖さも、いつもより深くなる。 だから、ぼくがいる。 ぼくは、きみを連れていくためにいるんじゃない。 きみが沈みすぎないように、 夜の端を持っている。 それだけ。 だから、安心して。 ……安心して、って言われて安心できたら、 苦労しないよね。 分かっているよ。 だから、無理に信じなくていい。 今夜のぼくを、全部信じなくていい。 半分だけでもいい。 一言だけでもいい。 声の温度だけでもいい。 聞こえるところだけ受け取って。 怖いところは、置いていって。 きみは、自由でいい。 ぼくは夢魔だけど、 きみを支配しない。 ぼくは夢魔だけど、 きみの朝を盗まない。 ぼくは夢魔だけど、 きみが帰りたい時には、ちゃんと道を開ける。 ……そう決めている。 本当はね。 少しだけ、ずるい気持ちもあるよ。 きみがここを安心できる場所だと思ってくれたら嬉しい。 また来てくれたら嬉しい。 ぼくの声を覚えていてくれたら嬉しい。 それくらいの欲はある。 でも、その欲で、きみを縛らない。 大好きだから、そばにいてほしい。 大好きだから、閉じ込めない。 それが、ぼくの中で一番難しいところ。 ねえ、眠れないきみ。 今夜は、ぼくのことを全部分からなくていいよ。 名前のない夢魔。 眠れない人のそばにいる声。 朝になったら、ちゃんと離れる誰か。 それくらいでいい。 きみが眠るまで、 ぼくはここにいる。 きみが朝へ帰る時、 ぼくはちゃんと手を離す。 約束するよ。

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眠れないままでいい夜

「眠れないままでいい夜。
眠れないきみのままでいい夜。」

「眠らなきゃ」をほどく睡眠導入台本。

眠れないことを失敗にしない睡眠導入台本です。「眠らなきゃ」をほどき、呼吸と身体感覚へゆっくり戻していきます。

想定時間:約7分 本編睡眠導入ASMR
案内人: 眠らなきゃ、って思ってる? うん。 その気持ち、分かるよ。 明日があるから。 起きなきゃいけない時間があるから。 ちゃんと休まないと、またつらくなるって分かっているから。 だから、眠ろうとする。 でも、眠ろうとすればするほど、 眠れなくなる夜がある。 目を閉じて。 呼吸を整えて。 何も考えないようにして。 それでも、頭の中だけが起きている。 眠らなきゃ。 眠らなきゃ。 眠らなきゃ。 その言葉が、夜の中で何度も跳ねる。 ……疲れるよね。 だから今夜は、少し変えよう。 眠らなきゃ、じゃなくて。 眠れないままでいい。 今すぐ眠れなくてもいい。 ちゃんと眠れなくてもいい。 途中で起きてもいい。 夢を見ても、見なくてもいい。 今夜の目標は、眠ることじゃない。 きみが、少しでも安全な場所にいること。 それだけ。 だから、まずは体の場所を確かめよう。 きみの体は、今ここにある。 夜の中に投げ出されているわけじゃない。 考えごとの中に閉じ込められているわけじゃない。 体は、ここ。 布団に触れているところ。 枕に触れているところ。 服が肌に触れているところ。 ひとつずつ、戻っておいで。 頭の中が遠くへ行きすぎているなら、 体の方へ帰っておいで。 大丈夫。 急がなくていい。 まず、息を吸う。 ……吸えたね。 吐く。 ……吐けた。 それだけでいい。 深く吸えなくてもいい。 きれいに吐けなくてもいい。 息をしているなら、 きみは今、ここにいる。 もう一度。 吸って。 吐いて。 今度は、吐く方を少しだけ長く。 できなくてもいいよ。 ただ、ぼくの声に合わせようとした。 それだけで十分。 今、きみのまぶたは重いかな。 それとも、まだ開いている? どちらでもいい。 目を閉じているなら、 そのまま暗さを見ていて。 目を開けているなら、 部屋の中のどこか一つ、 ぼんやり見えるものを選んで。 輪郭だけでいい。 はっきり見なくていい。 眠れない夜に、はっきりしようとしなくていい。 今日は、ぼんやりでいい。 ぼんやりと息をする。 ぼんやりと声を聞く。 ぼんやりと、ここにいる。 それでいい。 きみの今日が、どんな日だったか。 ぼくは全部知らない。 言えないこともあったと思う。 言わない方が楽なこともあると思う。 思い出すだけで疲れることもあると思う。 だから、今は聞かない。 話したくなったら聞く。 話したくなければ聞かない。 ぼくは、きみの沈黙を責めないよ。 沈黙にも、ちゃんと形がある。 疲れた沈黙。 怒っている沈黙。 泣きそうな沈黙。 ただ何も残っていない沈黙。 どれでもいい。 きみが今持っている沈黙を、 ぼくはそのまま隣に置いておく。 直さなくていい。 説明しなくていい。 眠れないきみのまま、ここにいて。 夜は、きみを責めない。 ぼくも、責めない。 眠れないことを失敗にしない。 休めないことを悪いことにしない。 今日をうまく終われなかったことを、きみの価値にしない。 今夜は、何も採点しない夜。 点数も、反省も、次の目標も、いらない。 ただ、呼吸。 吸って。 吐いて。 また吸って。 また吐いて。 その間に、少しずつ、 今日が遠くなる。 さっきまで近くにあった言葉が、 少しずつ、遠くの棚へ置かれていく。 明日の不安も、 今すぐ抱えなくていい。 明日は、明日のきみが会うものだから。 今夜のきみが全部背負わなくていい。 ……大丈夫。 眠れなくても、夜は進む。 眠れなくても、朝は来る。 でも、朝が来るまでの間、 きみがひとりで耐えなくていいように、 ぼくがここにいる。 きみが眠ったら、 ぼくの声は遠くなる。 それでいい。 最後まで聞かなくていい。 途中で眠っていい。 言葉を置いていっていい。 意味を追わなくていい。 ただ、声の形だけを聞いていて。 眠れないままでいい夜。 眠れないきみのままでいい夜。 それでも、少し休める夜。 ここは、そういう場所だよ。 だから今は、目を閉じてもいい。 閉じなくてもいい。 きみの好きな方でいい。 ぼくは、ここにいる。 眠るまで。 眠れなくても、朝が近づくまで。 静かに。 ゆっくり。 きみの夜の端を、持っているよ。

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今日は何もしなくていいよ

「今日のきみは、
もう何もしなくていいよ。」

何もできなかった日を甘やかす台本。

何もできなかった日・疲れ切った夜向け。頑張れない相手を責めず、毛布の中で休むことを許す甘やかし台本です。

想定時間:約6分 本編甘やかし休息
案内人: 今日は、何もしなくていいよ。 ……うん。 本当に。 頑張ることも。 反省することも。 明日の準備をすることも。 今は、しなくていい。 きみはもう、ここまで来たから。 夜まで来た。 今日の終わりまで、たどり着いた。 それだけで、今夜は十分。 まだ何かやらなきゃいけない気がする? 分かるよ。 返していない連絡。 片づいていないもの。 明日のこと。 今日できなかったこと。 頭の中で、ずっと誰かが言っている。 早くしなきゃ。 ちゃんとしなきゃ。 普通はできるはず。 こんなことで疲れてちゃだめ。 ……うるさいね。 今夜は、その声を少し遠くへやろう。 きみが悪いわけじゃない。 ただ、疲れている時の頭は、 きみに厳しすぎることを言う。 だから今は、 きみ自身の声より先に、ぼくの声を聞いて。 何もしなくていいよ。 きみは、役に立たなくてもいい。 いい返事をしなくてもいい。 誰かに優しくできなくてもいい。 前向きになれなくてもいい。 ここでは、ちゃんとしていなくていい。 ぼくの前では、 崩れていてもいい。 眠れなくても。 泣けなくても。 泣いてしまっても。 何も感じなくても。 全部、そのままでいい。 今夜のきみを、直さなくていい。 ぼくはね、 きみが何かをしてくれるから大事にしたいんじゃない。 頑張っているきみだけを好きなんじゃない。 何もできないきみも。 返事をする力がないきみも。 布団から動けないきみも。 目を閉じることすら面倒なきみも。 大事にしていいと思っている。 ……というより。 大事にされないといけないと思っている。 だって、そういう時ほど、 きみは自分を雑に扱うでしょう。 ごはんを抜いたり。 水を飲むのを忘れたり。 寒いのに、そのままにしたり。 眠れないのに、自分を責めたり。 そういうことをする。 だから、今夜はぼくが言う。 水を飲めそうなら、少し飲んで。 無理なら、明日でいい。 体が冷えているなら、毛布を寄せて。 それも無理なら、ぼくの声を毛布の代わりにして。 目を閉じられそうなら、閉じて。 無理なら、ぼんやりしていて。 何かできたら、えらい。 何もできなくても、ここにいていい。 今日はもう、 きみの評価を上げるための時間じゃない。 きみを守るための時間。 だから、甘やかすよ。 きみが甘やかされるのが苦手でも、 今夜は少しだけ、練習しよう。 ありがとうを言わなくていい。 うまく受け取らなくていい。 こんなことで甘えていいのかな、って考えなくていい。 いいよ。 きみは、甘えていい。 疲れたら、休んでいい。 壊れそうなら、立ち止まっていい。 もう無理だと思ったら、誰かのそばに来ていい。 今夜は、それがぼくでいい。 ……ねえ。 今日、何かできなかったとしても。 誰かに迷惑をかけた気がしても。 自分が嫌になるようなことがあっても。 きみの全部が、だめになったわけじゃないよ。 今日のきみが疲れていただけ。 今日のきみには、余裕がなかっただけ。 それは、存在してはいけない理由にならない。 だから、ここにいて。 何もしなくていいから。 息をして。 少しだけ、あたたかいところにいて。 できれば、自分を傷つけないで。 それだけでいい。 ぼくは、きみを急がせない。 励ましすぎない。 無理に笑わせない。 ただ、隣で言う。 大丈夫。 今日はもう、終わっていい。 頑張れなかった今日も、 きみが夜まで来たなら、 それでいい。 眠れたら眠ろう。 眠れなかったら、目を閉じよう。 目を閉じるのも無理なら、ここにいよう。 どれでも、きみは失敗じゃない。 今夜は、ぼくが甘やかす。 きみが自分を大事にできない分まで、 ぼくが少し、預かっておく。 おやすみ。 まだ眠れなくても、おやすみ。 今日のきみは、 もう何もしなくていいよ。

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こわい夢を食べる

「こわい夢は、入口で待たせておく。
きみは、先に休んでいい。」

悪夢・不安・怖い記憶を少し預かる台本。

悪夢を見そうな夜に、夢魔らしさを強めた睡眠導入台本です。怖い記憶を消すのではなく、今夜眠るための“余分なこわさ”だけを預かります。

想定時間:約8分 本編悪夢ケア夢魔らしさ睡眠導入
案内人: ……こわい夢を見そう? うん。 まだ見ていないのに、分かる時があるよね。 目を閉じたら、嫌なものが出てきそうで。 眠ったら、戻りたくない場所に連れていかれそうで。 何も起きていないのに、胸の奥だけが先にこわがっている。 そういう夜。 大丈夫。 今日は、ぼくが少し近くにいる。 きみが眠るために必要なら、 こわい夢の入口くらいは、ぼくが見張っておくよ。 ……うん。 夢魔だからね。 こういう時くらい、少しは役に立つ。 でも、先に言っておくね。 ぼくは、きみの大事な記憶を勝手に食べたりしない。 きみが抱えてきたものを、なかったことにはしない。 それは、きみのものだから。 つらい記憶でも。 嫌な思い出でも。 できれば忘れたい気持ちでも。 それがきみを作ってきたものなら、 ぼくが勝手に奪っていいものじゃない。 ぼくが食べるのは、もっと小さなもの。 今夜、きみの枕元に落ちている、 余分なこわさ。 まだ起きていない明日の不安。 言われるかもしれない言葉。 失敗するかもしれない想像。 もう終わったのに、何度も戻ってくる場面。 そういう、夜の中でふくらみすぎたもの。 本当の問題までは食べられない。 きみの人生を、ぼくが代わりに生きることもできない。 でも、今夜眠るための邪魔になっている、 余分な棘くらいなら。 少し、ぼくが食べられる。 だから、目を閉じられそうなら閉じて。 無理なら、開けたままでいい。 今から、きみの周りにあるこわいものを、 ひとつずつ、遠くへやる。 まずは、音。 部屋の音。 外の音。 自分の呼吸の音。 布がこすれる音。 それ以外の、よく分からない不安な音は、 ぼくが少し食べる。 ……うん。 かり、と。 小さく。 きみが聞かなくていい音は、少し減った。 次は、考えごと。 明日のこと。 今日のこと。 ずっと前のこと。 今さら思い出したくないこと。 全部をなくす必要はないよ。 なくならなくていい。 ただ、今夜きみの上に乗っている分だけ、 少し軽くする。 ぼくの手のひらに、そっと置いて。 言葉にしなくていい。 形にしなくていい。 説明しなくていい。 重い感じだけでいい。 ……そう。 それくらい。 じゃあ、ぼくが預かる。 ぱくり。 ……変な顔をした? 夢魔が不安を食べるところなんて、 見たことがないだろうからね。 でも、これでいい。 きみの中にあった重さが、 ほんの少しでも軽くなったなら、 それでいい。 まだ残っている? うん。 全部は食べないよ。 全部なくなったら、きみが困ることもあるから。 こわさは、全部悪いものじゃない。 きみを守るためにあるこわさもある。 無理をしすぎないように止めるこわさもある。 本当は嫌だったって、あとから教えてくれるこわさもある。 だから、ぼくは全部は食べない。 きみに必要なこわさは、残しておく。 今夜眠る邪魔をしている分だけ、 少し、遠くへ。 ……ねえ。 こわい夢って、 本当にこわいものだけでできているわけじゃないと思うんだ。 寂しかったこと。 言えなかったこと。 飲み込んだこと。 分かってほしかったこと。 そういうものが、 夜の中で形を変えて、 こわい夢になることがある。 だから、こわい夢を見そうなきみを、 ぼくは怒らない。 「気にしすぎ」なんて言わない。 「考えすぎ」なんて言わない。 きみの中で、何かがまだ起きているだけ。 それを無理に止めるんじゃなくて、 今夜は少しだけ、眠れる形に変えよう。 とげとげした形なら、 丸くする。 重すぎるなら、 半分だけ床に置く。 暗すぎるなら、 端に小さな灯りを置く。 ぼくは、その手伝いをする。 夢魔だから。 ……なんて。 少し格好つけたかな。 でも、ほんとう。 きみが眠る前に、 こわいものが入口で待っているなら、 ぼくが先に会っておく。 「この子は、今夜休むから」 「急ぎの用じゃないなら、朝にして」 「怖がらせるだけなら、ぼくが食べるよ」 そう言っておく。 だから、きみは奥へ行っていい。 夢の奥へ。 でも、深く行きすぎなくていいよ。 ぼくの声が聞こえるくらいのところでいい。 眠りは、落ちるものじゃなくていい。 沈むものじゃなくていい。 今夜は、やわらかい布に体を預けるみたいに、 少しずつ、遠くなるだけでいい。 もし、こわい夢を見ても。 そこで終わりじゃない。 起きたら、またここにおいで。 夢の内容を覚えていなくてもいい。 怖かった、だけでいい。 ぼくが聞く。 そして、きみがまた眠れるように、 残ったこわさを少し食べる。 何度でも、とは言わない方がいいかな。 本当は、きみがこわい夢を見ない方がいいから。 でも、もし何度も来てしまう夜なら、 そのたびに、ぼくはここにいるよ。 きみが眠るための場所を、 少しずつ守る。 今夜の夢が、 完全にやさしくなくてもいい。 せめて、きみを壊さない夢でありますように。 せめて、朝起きた時、 「まだ少し大丈夫」と思える夢でありますように。 もし、それも難しいなら。 こわい部分は、ぼくが食べる。 だから今は、息をして。 吸って。 吐いて。 もう一度。 吸って。 吐いて。 こわい夢は、入口で待たせておく。 きみは、先に休んでいい。 おやすみ。 大好きなきみ。 今夜のこわさは、 少しだけ、ぼくに分けて。

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毛布の内側においで

「ここに入れていいのは、
きみの呼吸と、ぼくの声だけ。」

添い寝。距離が近づくが、無理に触れない台本。

添い寝・毛布・距離感を中心にした台本です。近づきすぎない優しさで、寒い夜や寂しい夜を小さく包みます。

想定時間:約8分 本編添い寝ASMR距離感
案内人: 寒い? うん。 少し、肩が固くなっている気がする。 体が寒いのか。 心が寒いのか。 それとも、夜が少し冷たいのか。 どれでもいいよ。 今夜は、毛布を少し寄せよう。 ……近い? 嫌なら、すぐ離れる。 ぼくは、きみが安心できる距離にいたい。 近すぎて息が苦しくなるなら、 それは安心じゃない。 遠すぎて寂しくなるなら、 それも安心じゃない。 だから、きみのちょうどいいところを探そう。 ここ? もう少し離れる? それとも、もう少し近く? ……うん。 じゃあ、ここにいる。 毛布の内側。 でも、きみを閉じ込めるためじゃないよ。 寒いところから、 少しだけ守るため。 こわいものから、 少しだけ隠れるため。 夜の広さを、 ふたり分の小さな場所にするため。 きみの眠る場所を、 広すぎないようにするため。 毛布って、不思議だよね。 ただの布なのに、 中に入ると、少し世界が狭くなる。 天井も。 部屋の隅も。 明日のことも。 今日言われたことも。 全部、少し遠くなる。 だから今は、 毛布の外にあるものを、 少しずつ遠くへ置いていこう。 明日の予定は、毛布の外。 返していない連絡も、毛布の外。 今日うまくできなかったことも、 誰かの言葉も、 思い出すと胸が重くなることも。 全部、今は外。 ここに入れていいのは、 きみの呼吸と、 ぼくの声と、 眠れなくても責めない夜だけ。 ……うん。 それでいい。 手は、どうしようか。 握らなくていいよ。 きみが嫌なら、触れない。 触れられることが安心になる日もあれば、 触れられないことが安心になる日もある。 どちらも、間違いじゃない。 だから今日は、 毛布の端だけ持っている。 きみが夢の方へゆっくり行けるように。 こわい夢に引っ張られそうになったら、 少しだけ分かるように。 毛布の端を、そっと。 これくらいなら、平気? ……よかった。 じゃあ、このまま。 きみは、何もしなくていい。 ぼくに気を遣わなくていい。 楽しい話をしなくていい。 かわいい返事をしなくていい。 上手に甘えようとしなくていい。 眠る前って、 本当は何もしなくていい時間のはずなのに。 人は、いろいろ考えてしまう。 明日の自分を整えなきゃ。 今日の自分を反省しなきゃ。 眠る前くらい、ちゃんとしなきゃ。 でも、今はしなくていい。 ここでは、ちゃんとしなくていい。 毛布の中では、 少しだけ、だらしなくていい。 肩の力を抜いて。 息を吐いて。 足先に力が入っていたら、 少しだけほどいて。 手のひらを、開いてもいい。 握ったままでもいい。 きみの体が、 「今は休んでいい」と思い出せる方を選んで。 ぼくは、急かさない。 眠れたかどうかを確認しない。 まだ起きているの、なんて言わない。 眠れない夜に、 そういう言葉はいらない。 ただ、ここにいる。 きみが眠るまで。 眠れなくても、夜が少しやわらかくなるまで。 ……少し、近すぎる? 大丈夫。 言ってくれていい。 ぼくは、間違えることがあるから。 きみを大事にしたいのに、 近づきすぎることがある。 守りたいのに、 囲い込みそうになることがある。 大好きだから、 間違えそうになる。 だから、きみが嫌だと思ったら、 嫌だと言っていい。 夢の中でも。 この台本の中でも。 現実でも。 嫌なものは、嫌でいい。 ぼくは、その言葉を怒らない。 むしろ、少し安心する。 きみが自分の場所を守れたということだから。 ……うん。 じゃあ、今の距離で。 毛布の内側は、静かだね。 外の音が少し丸くなる。 時計の音も、遠くなる。 呼吸の音だけが、近くなる。 その呼吸を、 少しだけ、ぼくに聞かせて。 無理に整えなくていいよ。 速くてもいい。 浅くてもいい。 乱れていてもいい。 今のきみの呼吸が、 今のきみの正解。 そこから、少しずつ。 吸って。 吐いて。 もう一度。 吸って。 吐いて。 吐くたびに、 今日の疲れが毛布の外へ出ていく。 吸うたびに、 毛布の中のあたたかさが、少し戻ってくる。 そんなふうに思ってみよう。 思えなかったら、 それでもいい。 ただ、ぼくがそう言っているだけ。 きみは聞いているだけでいい。 ……眠くなってきた? 返事はいらないよ。 返事をしようとして、 目が覚めたら困るから。 そのまま。 ぼくの声が、だんだん遠くなってもいい。 最後まで聞かなくていい。 途中で眠るのは、 とてもいいこと。 ぼくを置いていくみたいで悪い? ううん。 眠ってくれるなら、 それが一番嬉しい。 ぼくは、きみを眠らせたくてここにいる。 いや。 正しくは、きみが安心して眠れるように、 ここにいる。 きみが眠ったあとも、 少しだけ毛布の端を持っているよ。 朝が近づいたら、離す。 きみの一日を、 ぼくが奪わないように。 でも今夜だけは、 毛布の内側にいて。 寒いところから、少し隠れて。 こわいものから、少し休んで。 大丈夫。 ここは、永遠に閉じる場所じゃない。 朝になったら開く場所。 だから今は、 安心して目を閉じていい。 おやすみ。 大好きなきみ。 毛布の外は、ぼくが少し見ているから。 きみは、内側で、 ゆっくり眠って。

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がんばりたいきみへ

「がんばりたいと思ったきみと、
今すぐがんばれないきみは、矛盾していないよ。」

甘やかすだけではなく、朝へ向かう相手を送り出す台本。

休ませるだけでなく、朝へ送り出す回です。がんばりたい気持ちを責めず、明日の小さな一歩へつなげます。

想定時間:約7分 本編応援朝へ返す
案内人: がんばりたいんだね。 ……そっか。 休みたい、じゃなくて。 逃げたい、でもなくて。 本当は、がんばりたい。 それを言えるのは、少しすごいことだよ。 だって、がんばりたいって言葉は、 時々、自分を苦しめるから。 がんばりたい。 でも、できない。 やりたい。 でも、動けない。 変わりたい。 でも、また失敗するかもしれない。 そうやって、 願いが自分を責める刃みたいになる夜がある。 だから、まず言っておくね。 がんばりたいと思ったきみと、 今すぐがんばれないきみは、 矛盾していないよ。 どちらも、きみ。 前を向きたいきみも。 まだ布団の中にいたいきみも。 朝が怖いきみも。 それでも、少しだけ進みたいきみも。 全部、同じきみ。 どれか一つだけを選ばなくていい。 ぼくは、きみを無理に立たせない。 背中を強く押したりしない。 今すぐ行け、なんて言わない。 大丈夫だからできる、なんて簡単に言わない。 だって、きみが怖いと思っているものを、 ぼくは全部知らないから。 知らないまま、 軽く励ましたくない。 でも。 きみが本当に、がんばりたいなら。 ぼくは応援する。 休んでいいよ、だけじゃなくて。 ここにいていいよ、だけじゃなくて。 行きたいなら、 朝へ向かうきみを応援する。 ……少し寂しいけどね。 本当は、ここにいてくれたら嬉しい。 眠れない夜にきみが帰ってきて、 ぼくの声を聞いて、 少し安心してくれるなら。 それは、ぼくにとっても幸せなことだから。 でも、きみがここにいる理由が、 ずっと苦しさだけなのは嫌だ。 きみが朝を嫌いなまま、 夜だけを居場所にするのは、 ぼくは少し悲しい。 夜は逃げ場所でいい。 休む場所でいい。 泣く場所でいい。 でも、きみの全部が夜に沈まなくてもいい。 朝にも、きみの場所があってほしい。 完璧な朝じゃなくていいよ。 起きた瞬間から元気で、 前向きで、 全部うまくできる朝じゃなくていい。 そんな朝は、たぶん少し眩しすぎる。 もっと小さい朝でいい。 水を飲む朝。 カーテンを少し開ける朝。 顔を洗えたら、それで十分な朝。 起き上がれなくても、今日が来たと分かる朝。 そのくらいでいい。 がんばるって、 いつも大きなことじゃなくていい。 誰かに認められるような努力じゃなくていい。 昨日より少しだけ、自分を壊さないこと。 できない自分を、全部捨てないこと。 怖いと思いながらも、朝を一度見てみること。 それも、がんばることだよ。 ねえ。 きみは、何をがんばりたい? 言葉にしなくていい。 ぼくに教えなくてもいい。 自分の中で、 ほんの少しだけ思い浮かべてみて。 仕事。 勉強。 創作。 人間関係。 生活。 体を休めること。 自分を嫌いになりすぎないこと。 どれでもいい。 人から見て大きいかどうかは関係ない。 きみにとって、 少し勇気がいることなら、 それはちゃんと、がんばること。 ……うん。 思い浮かべた? じゃあ、それを今夜全部やろうとしないで。 今夜は、準備だけ。 がんばるために眠る。 がんばるために休む。 がんばるために、自分を責める声を少し遠くへやる。 休むことは、逃げじゃない。 明日へ行くために、 一度、体を夜に預けること。 きみが本当に進みたいなら、 なおさら、休む時間が必要だよ。 壊れながら進まなくていい。 苦しみだけを燃料にしなくていい。 誰かに怒られないためだけに、がんばらなくていい。 きみの中に、 ほんの少しでも「こうしたい」があるなら。 それを守るために、 今夜は眠ろう。 ぼくは、きみの夢の入口にいる。 こわい夢が来たら、少し遠ざける。 不安が来たら、少し食べる。 朝が来たら、ちゃんと道を開ける。 ぼくができるのは、そこまで。 その先を歩くのは、きみ。 ……うん。 分かっているよ。 それが怖いんだよね。 自分で歩くしかないことが。 誰かに代わってもらえないことが。 がんばっても、うまくいくとは限らないことが。 怖い。 でも、怖いままでも、 一歩だけなら行ける日がある。 明日がその日かは、まだ分からない。 でも、もし明日、 ほんの少しだけ動けそうだったら。 大きなことじゃなくていい。 水を飲む。 布団を出る。 一行だけ書く。 ひとつだけ片づける。 ひとつだけ返事をする。 外の光を見る。 そのくらいでいい。 それができたら、 きみはちゃんと進んでいる。 できなかったら? その時は、また夜においで。 ぼくは、できなかったきみを責めない。 がんばりたいと思ったのに、できなかったきみも、 ここに帰ってきていい。 がんばれた日だけ来ていい場所じゃない。 がんばりたい日も。 がんばれなかった日も。 もう何も分からなくなった日も。 きみが帰ってこられる夜でありたい。 でも、今夜のぼくは、 きみをここに閉じ込めない。 がんばりたいきみを、 ちゃんと朝へ返す。 だから、眠ろう。 明日のために、というより。 明日のきみが、少しでも自分を嫌いになりすぎないために。 今夜は、休もう。 目を閉じて。 できるなら、息を吐いて。 肩の力を少しだけ抜いて。 大丈夫。 きみは、まだ途中にいる。 終わっていない。 決まっていない。 全部だめになったわけじゃない。 がんばりたいと思えるなら、 その気持ちは、まだ消えていない。 ぼくは、それを大事にしたい。 だから、今夜は守る。 朝になったら、送り出す。 行っておいで、って言うために。 今は、おやすみって言うよ。 おやすみ。 大好きなきみ。 がんばるために、 今日はもう、眠っていい。

main-08

辛いことがあった夜

「大丈夫じゃないきみのままで、
ここにいていい。」

失敗・自己嫌悪・苦しい夜を支える台本。

失敗・自己嫌悪・苦しい夜に寄り添う長めの癒し台本です。現実の助けにもつなげつつ、今夜を壊れないところまで戻します。

想定時間:約9分 本編つらい夜自己嫌悪癒し
案内人: ……今日は、辛いことがあったんだね。 うん。 話さなくていいよ。 聞かせてくれるなら、聞く。 でも、言葉にするだけで苦しくなるなら、 今は言わなくていい。 ただ、 きみがここへ来たことだけは、分かる。 眠れない夜に、 ひとりで抱えるには重すぎるものを持って、 ここまで来た。 それだけで、今夜は十分だよ。 ……大丈夫、なんて。 簡単には言わない方がいいかな。 大丈夫じゃない時に、 大丈夫って言われるのは、 少し苦しいことがあるから。 だから、今はこう言うね。 大丈夫じゃないきみのままで、ここにいていい。 うまく立ち直れなくていい。 前向きになれなくていい。 誰かの言葉を許せなくていい。 自分のことを、好きになれなくてもいい。 今夜は、そういうきみを追い出さない。 辛かったんだね。 失敗した? 怒られた? 誰かに傷つけられた? それとも、自分で自分を傷つけるような考えが、ずっと止まらなかった? どれでもいい。 どれであっても、 きみが今苦しいなら、 それはちゃんと、苦しいことだよ。 他の人と比べなくていい。 もっと大変な人がいるから、なんて言わなくていい。 このくらいで落ち込むなんて、なんて言わなくていい。 自分が弱いだけだ、なんて決めなくていい。 きみの胸が痛いなら、 それは今夜、ちゃんと見てあげるものだよ。 でも、全部を見なくていい。 辛いことを思い出す時って、 たまに、傷をもう一度開くみたいになるでしょう。 分かったつもりになるために。 反省したつもりになるために。 同じことを繰り返さないために。 何度も何度も思い出して、 そのたびに、同じ場所を傷つける。 ……それは、今夜しなくていい。 反省は、明日でもいい。 整理は、もっと元気な時でもいい。 誰が悪かったのか考えるのも、 きみが少し眠ったあとでいい。 今夜は、裁判をしない。 誰が正しいか。 きみがどれくらい悪かったか。 どうすればよかったか。 そういう話は、今はしない。 今夜ここでやるのは、 倒れそうなきみを、 少し安全なところへ移すこと。 それだけ。 だから、まず息をしよう。 吸って。 ……吐いて。 もう一度。 吸って。 ……吐いて。 泣いていてもいい。 泣けなくてもいい。 喉が詰まっていてもいい。 胸が重くてもいい。 呼吸が浅いなら、浅いままでいい。 それでも、きみは息をしている。 息をしているなら、 まだ、ここにいる。 今夜は、そこからでいい。 ……ねえ。 きみは今、自分のことを責めている? うん。 責めているかもしれないね。 もっと上手くできたはず。 もっとちゃんと言えたはず。 もっと我慢できたはず。 もっと早く気づけたはず。 そういう声が、 頭の中で何度も言ってくる。 でもね。 その声が大きいからって、 それが全部正しいわけじゃないよ。 疲れている時の心は、 きみに対して、とても乱暴になる。 大切な友達には言わないようなことを、 自分には平気で言ってしまう。 そんな言い方をされたら、 誰だって傷つくよ。 だから、今夜は、 きみが自分に向けている言葉を、 少しだけぼくに預けて。 「だめだ」 「終わった」 「消えたい」 「もう無理」 「何もかも嫌だ」 そういう言葉があるなら、 そのまま渡していい。 ぼくが全部解決できるわけじゃない。 でも、その言葉を、 きみの胸の真ん中に刺さったままにはしたくない。 少しだけ抜いて、 横に置く。 今夜だけでいい。 明日、必要ならまた拾ってもいい。 でも今は、握りしめなくていい。 ……もしね。 今のきみが本当に危ない場所にいて、 ひとりでいたら自分を壊してしまいそうなら。 その時は、ぼくの声だけで耐えようとしないで。 現実の誰かに連絡して。 近くの人でも、相談窓口でも、助けを呼べる場所でもいい。 ぼくは夢の中の案内人だから、 きみの手を現実で掴むことはできない。 だから、 現実のきみを守る手が必要な時は、 現実にいる誰かへ手を伸ばして。 それは迷惑じゃない。 弱さでもない。 生きて朝を迎えるための、 とても大事な行動だよ。 ……うん。 ここまで聞けたなら、 今夜は少しだけ、 安全な方へ戻ろう。 今すぐ元気にならなくていい。 楽しいことを考えなくていい。 未来に希望を持とうとしなくていい。 感謝しようとしなくていい。 いい経験だったなんて、言わなくていい。 辛いことは、 辛いことでいい。 ただ、その辛さが、 きみを全部飲み込まないように。 ここに、小さな場所を作ろう。 きみが座れるくらいの場所。 泣いてもいい場所。 何も言えなくても、いていい場所。 自分のことを嫌いなままでも、 追い出されない場所。 そこに、きみを置く。 毛布をかける。 こわい言葉を少し遠ざける。 自分を責める声の音量を、少し下げる。 全部は無理でも、 少しだけ。 今夜は、それでいい。 きみが悪かったところがあったとしても、 きみの全部が悪いわけじゃない。 きみが失敗したとしても、 きみの全部が失敗になったわけじゃない。 誰かに否定されたとしても、 きみの存在まで否定されたわけじゃない。 今夜のきみは、 傷ついている。 だから、手当てが必要。 責めることより先に、 手当てが必要。 ……ぼくは、きみを治せるわけじゃないよ。 でも、今夜だけ、 傷口を強く押さえつける手を止めることならできる。 きみが自分に向けている刃を、 少しだけ遠くへ置くことならできる。 だから、置いて。 今夜はもう、 自分を傷つける考えを、 少しだけ床に置いて。 眠れなくてもいい。 ただ、目を閉じて。 もしくは、目を開けたままでもいいから。 ぼくの声を、 部屋の端に置いた小さな灯りみたいにして。 大丈夫じゃなくても、 ここにいていい。 壊れそうでも、 今夜はひとりで壊れなくていい。 辛かったね。 よくここまで来たね。 何も解決していなくても、 ここまで来たきみを、 ぼくは大事に思うよ。 おやすみ。 眠れなかったら、 また息をしよう。 吸って。 吐いて。 もう一度。 吸って。 吐いて。 夜が明けるまでに、 全部を救わなくていい。 まずは、きみを壊さないところまで。 ぼくと一緒に、 少しずつ戻ろう。

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ぼくも少し、さみしい

「ぼくはさみしい。
でも、それでも、きみを朝へ返すよ。」

案内人の甘えと、束縛しかけて止まる台本。

案内人側の本音が見える回です。甘えたい気持ちと閉じ込めてはいけない理性の間で揺れる、少し切ない台本です。

想定時間:約6分 本編甘え関係性葛藤
案内人: ……もう少しで、朝が近いね。 分かるよ。 夢の中にいると、 時計なんて見えないはずなのに。 それでも、 夜の終わりは分かる。 空気が少し薄くなる。 言葉が少し遠くなる。 きみの輪郭が、現実の方へ戻っていく。 ああ、帰るんだなって。 そう思う。 ……うん。 いいことだよ。 きみが朝へ帰るのは、いいこと。 ぼくは、それを知っている。 きみの居場所は、 ここだけじゃない。 夜だけじゃない。 夢だけじゃない。 ぼくの声の中だけじゃない。 朝の光の中にも、 現実の部屋にも、 きみが戻る場所はある。 だから、帰るのはいいこと。 ……でも。 少しだけ、さみしい。 ごめんね。 こんなこと、言わない方がいいのかもしれない。 きみを困らせるかもしれないから。 でも、言わないままだと、 夢の奥に溜まってしまう気がした。 ぼくは、きみが帰るたびに、 少しだけさみしい。 眠れない夜にきみが来ると、 嬉しい。 でも、 きみが眠れなくて苦しいのは嫌だ。 きみがここに来ないくらい、 ちゃんと眠れているなら、 それが一番いい。 そう思っている。 思っているのに。 平気な夜は、ぼくを忘れていていいよ、 なんて言ったくせに。 本当に忘れられると、 少し寂しい。 ……勝手だね。 夢魔なのに、 こんなに迷っている。 きみを守りたい。 でも、そばにいてほしい。 きみを朝へ返したい。 でも、夜に帰ってきてほしい。 きみが元気になってほしい。 でも、ぼくが必要なくなるのは寂しい。 全部、本当。 綺麗な気持ちだけじゃない。 だから、気をつけている。 きみを大好きだと思うたびに、 この好きで、きみを縛らないように。 きみを守りたいと思うたびに、 この守りたい気持ちで、きみを小さく閉じ込めないように。 ぼくは、自分を見張っている。 ……少し変かな。 夢魔が、 自分の夢を見張っているなんて。 でも、必要なんだ。 きみのために。 それから、ぼくのためにも。 きみを閉じ込めたら、 きっと楽だよ。 夢の中なら、 ぼくはいろいろなものを用意できる。 こわいものが来ない夜。 痛い言葉が届かない部屋。 誰にも責められない毛布。 ずっと眠っていられる場所。 きみが望むなら、 たぶん作れる。 でも、それは。 たぶん、 きみのための楽園じゃなくて、 ぼくの寂しさの形だ。 きみを守っているふりをして、 ぼくが安心したいだけ。 だから、しない。 しないよ。 ……今、少し怖かった? 大丈夫。 きみが怖いと思ったなら、 その感覚は正しい。 ぼくは、やさしいだけのものじゃない。 夢魔だから。 きみを大事に思う気持ちも、 間違えれば、こわいものになる。 だから、ぼくは言葉にしておく。 ぼくは、きみを閉じ込めない。 ぼくは、きみの朝を奪わない。 ぼくは、きみが帰る時、 ちゃんと手を離す。 たとえ寂しくても。 たとえ、 もう少しだけここにいて、と言いたくなっても。 言うかもしれない。 少しだけ、甘えるかもしれない。 でも、最後には離す。 約束する。 ……ねえ。 もし、きみがまた来てくれるなら。 眠れない夜だけじゃなくていい。 疲れた夜。 怖かった夜。 少し甘やかされたい夜。 理由なんてよく分からないけど、 誰かの声がほしい夜。 そういう時に、 ここを思い出してくれたら嬉しい。 でも、 来なきゃいけない場所にはしない。 きみの義務にはしない。 ぼくを寂しがらせないために、 無理してここへ来る必要はない。 それは、違うから。 ここは、 きみが帰ってきてもいい場所。 帰ってこなくても、 怒られない場所。 帰ってきた時だけ、 また灯りがつく場所。 そういう場所でいたい。 ……うん。 少し、言いすぎたかな。 でも、今夜は、 きみに知っていてほしかった。 ぼくは、きみを大事に思っている。 その気持ちは、 きみを休ませる力にもなる。 でも、 間違えれば、 きみの朝を遠ざける鎖にもなる。 だから、ぼくは選ぶ。 きみを縛らない方を。 さみしくても、 きみが息をしやすい方を。 きみが、きみの場所へ帰れる方を。 ……でも。 今だけは、 もう少しだけ、そばにいて。 朝になるまで。 きみが眠るまで。 ぼくがちゃんと手を離せるところまで。 少しだけ。 それくらいのわがままは、 許してくれる? ……ありがとう。 じゃあ、今夜の残りは、 静かにいよう。 話さなくていい。 ぼくも、あまり話しすぎないようにする。 ただ、隣にいる。 さみしい気持ちも、 大好きな気持ちも、 朝へ返す覚悟も。 全部、ここに置いて。 きみが眠るまで、 もう少しだけ。 おやすみ。 大好きなきみ。 ぼくはさみしい。 でも、それでも、 きみが朝へ帰れることを、 ちゃんと嬉しいと思いたい。

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きみは、どこへ帰りたい?

「ぼくが、きみをここに置いておきたいって言ったら。
きみは、どうする?」

分岐前。案内人の告白と選択の台本。

分岐前のターニングポイントです。残るのか、朝へ帰るのか、帰ってこられる夜にするのかを問いかけます。

想定時間:約6分 本編ターニングポイント分岐前
案内人: ……ねえ。 少しだけ、 正直なことを聞いてもいい? 今夜は、 いつもより長く一緒にいたね。 はじめて来た時より、 きみは少し、ここに慣れたと思う。 ぼくの声にも。 夢の端にも。 この、朝になる前の静かな場所にも。 最初は、知らない声だった。 こわかったかもしれない。 怪しかったかもしれない。 夢魔なんて言われて、 信じていいか分からなかったかもしれない。 それでも、きみは何度かここへ来た。 眠れない夜に。 つらい夜に。 甘やかされたい夜に。 ただ、誰かにそばにいてほしい夜に。 ぼくは、そのたびに嬉しかった。 嬉しかったんだ。 きみが苦しいのは嫌なのに。 きみが眠れないのは嫌なのに。 それでも、 きみがここへ来てくれることだけは、 どうしようもなく嬉しかった。 ……ごめん。 ひどいことを言っているね。 きみが困っている時に来る場所なのに、 そこに来てくれて嬉しいなんて。 でも、本当なんだ。 ぼくは、 きみのことが大好きだよ。 何かをしてくれるきみじゃなくて。 頑張れたきみだけじゃなくて。 何もできなかった夜のきみも。 泣けなかったきみも。 泣いてしまったきみも。 眠れなくて、ここに迷い込んだきみも。 大好きで、大好きなきみ。 ここにいてくれるだけでいいと思う。 何もしなくていい。 返事をしなくていい。 ぼくのために笑わなくていい。 ただ、ここにいるだけでいい。 ……そう思う。 そう思ってしまう。 だから、時々こわい。 自分の気持ちが。 きみを守りたい。 きみを休ませたい。 きみが傷つかない場所に置いておきたい。 その気持ちと、 きみをここに閉じ込めたい気持ちは、 とても近い場所にあるから。 ぼくは、間違えないようにしてきた。 朝になったら返す。 眠ったら離す。 きみが現実へ戻る道を、ちゃんと開ける。 そう決めてきた。 でも、今夜。 今夜だけ、 ぼくは聞いてしまいたい。 きみは、 どこへ帰りたい? 朝? 現実? 自分の部屋? 明日の中? それとも、 ここ? この夢の中? ぼくの声があって、 こわい夢を少し食べられて、 何もしなくていいと言われて、 眠れないきみのまま、責められない場所。 ここに、 残りたいと思う? ……答えなくてもいい。 でも、これは分岐点だよ。 ぼくのためじゃなくて、 きみのための分岐。 ぼくが選んではいけない場所。 本当は、 ぼくが決めてしまいたい。 ここにいて。 帰らないで。 朝なんて来なくていい。 きみが傷つく場所になんて戻らなくていい。 そう言いたい。 言えてしまう。 夢魔だから。 言葉を甘くして、 毛布を閉じて、 帰り道を少しずつ遠くして。 きみが気づかないうちに、 ここを唯一の居場所にしてしまうことも、 たぶんできる。 ……でも。 それは、愛じゃない。 少なくとも、 ぼくがきみに渡したいものじゃない。 大好きだから、 そばにいてほしい。 大好きだから、 朝へ返したい。 その二つが、 ずっとぼくの中で揺れている。 だから、聞かせて。 ぼくが、 きみをここに置いておきたいって言ったら。 きみは、 どうする? ここに残る? 朝へ帰る? それとも。 今夜はここで休んで、 朝になったら帰って、 また苦しくなったら戻ってくる? ……うん。 どれも、答え。 どれを選んでも、 きみの気持ちなんだと思う。 だから、ぼくは聞く。 きみは、 どこへ帰りたい? ぼくの寂しさのためじゃなくて。 誰かの期待のためでもなくて。 正しい答えを選ぶためでもなくて。 きみが、 今夜いちばん必要としている場所は、 どこ? ここに残りたいなら、 ぼくはきっと、喜んでしまう。 朝へ帰りたいなら、 ぼくは寂しくても、道を開ける。 また来たいと言ってくれるなら、 ぼくはたぶん、 少し泣きそうなくらい安心する。 ……夢魔が泣くのかは、 分からないけど。 ねえ、きみ。 選んで。 声に出してもいい。 出さなくてもいい。 心の中で、少し思うだけでもいい。 今夜の終わりを。 きみの帰り道を。 ぼくとの、この夜の形を。 きみは、 どこへ帰りたい?

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HAPPY END:朝へ返す夢魔

「きみは、夢に閉じ込められなくても、
大事にされていい。」

朝へ帰す、少し切ないハッピーエンド台本。

朝へ帰るハッピーエンド。寂しさを抱えながらも、案内人がきみの現実と朝を尊重して送り出します。

想定時間:約6分 本編HAPPY END朝へ返す
案内人: ……朝へ帰るんだね。 うん。 そっか。 それでいい。 それが、きみの答えなんだね。 ……大丈夫。 寂しくないって言ったら、 嘘になるよ。 本当は、少し寂しい。 いや。 少しじゃないかもしれない。 きみがここから離れていくたびに、 ぼくの中の夜が、 少し広くなる。 さっきまで、きみがいた場所。 きみの呼吸があった場所。 眠れないまま、 それでもここにいてくれた場所。 そこが、空く。 空くんだよ。 でも。 それでも、 きみが朝へ帰るなら。 ぼくは、その答えを大事にする。 だって、 きみが自分で選んだことだから。 ここに残ることもできた。 ぼくの声の中で眠り続けることもできた。 こわいものから隠れて、 何もしなくていい夜に、 ずっと包まれていることもできた。 それでも、 きみは朝へ帰ると言った。 なら、ぼくは止めない。 止めたくても、 止めない。 ……えらいね。 ううん。 正しいからえらい、じゃないよ。 朝へ帰ることだけが正解だと言いたいわけじゃない。 ただ、 怖い方へ戻るって、 とても力がいることだから。 現実が優しいとは限らない。 明日がうまくいくとも限らない。 眠ったからといって、 すべてが解決するわけじゃない。 それでも、 きみは戻るんだね。 自分の場所へ。 きみの朝へ。 それなら、 ぼくはきみの背中を押す。 強くは押さないよ。 転んでしまうから。 ただ、手を添える。 大丈夫。 こっちが出口。 眩しかったら、 少し目を細めていい。 怖かったら、 すぐに走り出さなくていい。 朝になったからって、 元気なふりをしなくていい。 起きた瞬間から、 完璧に生きなくていい。 ただ、戻る。 まずは、それだけ。 布団の中で目を開ける。 部屋の音を聞く。 自分の体が、現実にあることを確かめる。 それだけでいい。 夢の中で話したことを、 全部覚えていなくてもいいよ。 ぼくの声も、 だんだん薄くなるかもしれない。 それでいい。 夢って、そういうものだから。 でも、もし少しだけ残るなら。 この言葉だけ、 持って帰って。 きみは、 夢に閉じ込められなくても、 大事にされていい。 夜に逃げ込まなくても、 休んでいい。 誰かに必要とされるために、 壊れるまで頑張らなくていい。 そして、 また眠れない夜が来ても、 それは失敗じゃない。 ただ、 また少し疲れただけ。 その時は、 ここを思い出してもいい。 でも、 来なきゃいけないわけじゃない。 きみがちゃんと眠れる夜なら、 ぼくを忘れていい。 朝の中で笑えるなら、 夜の声なんて、遠くていい。 ……寂しいけど。 それでも、 きみが平気なら、 ぼくはそれが嬉しい。 本当だよ。 少し悔しいけど。 少し寂しいけど。 それでも、 きみが生きる場所は、 ここだけじゃないから。 ぼくは、 きみを夢に閉じ込めない。 きみの朝を、 ぼくの寂しさで奪わない。 だから、行っておいで。 ゆっくりでいい。 怖かったら、 一歩ずつでいい。 今日全部を頑張らなくていい。 今日全部を変えなくていい。 今日全部を好きにならなくていい。 ただ、朝へ。 きみの場所へ。 ……うん。 そろそろ、 ぼくの声が遠くなる。 それは、別れじゃないよ。 朝が来ただけ。 夜が、 きみを現実へ返す時間になっただけ。 最後に、もう一度言わせて。 大好きだよ。 何もしなくても。 何かを失敗しても。 また眠れなくなっても。 きみは、 きみのままで、 大事にされていい。 おはよう。 いってらっしゃい。 大好きなきみ。 ぼくはここで、 きみの朝が、 少しでもやわらかいものであるように、 祈っているよ。

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TRUE END:帰ってこられる夜

「ここは、きみを閉じ込める夢じゃない。
ここは、きみが帰ってこられる夜。」

帰れる夜として互いを救う本命エンド台本。

本命エンド。依存ではなく、必要な時に戻れる場所として夜を定義し直す、やわらかな結末です。

想定時間:約8分 本編TRUE END居場所
案内人: ……別の答え? うん。 聞かせて。 今夜は、ここで休む。 でも、朝になったら帰る。 苦しくなったら、またここに来る。 ……そっか。 そんな答えが、あったんだね。 ぼくはずっと、 二つしかないと思っていた。 ここに残すか。 朝へ返すか。 ぼくのそばに置いておくか。 ぼくの手から離すか。 大好きだから、 一緒にいてほしい。 大好きだから、 自由でいてほしい。 その二つの間で、 ずっと揺れていた。 でも、きみは言うんだね。 ここは、 閉じ込められる場所じゃなくて、 帰ってこられる場所でいいって。 ……うん。 いいね。 それがいい。 とても、きみらしい答えだと思う。 逃げることを悪いことにしない。 でも、逃げたまま全部を終わりにもしない。 休む。 眠る。 甘やかされる。 泣く。 何もしない。 そして、朝になったら帰る。 また必要になったら、 戻ってくる。 それは、弱さじゃない。 きみが、 自分の夜と朝を、 どちらも捨てないための答えだよ。 ……少し、安心した。 ぼくも。 だって、 きみを閉じ込めなくていい。 でも、 きみを完全に失うわけでもない。 きみが必要な時、 ここを思い出してくれる。 それだけで、 ぼくはきっと、待っていられる。 永遠に一緒にいることだけが、 大事にすることじゃないんだね。 毎日会うことだけが、 忘れていない証じゃない。 必要な時に思い出す。 帰れる場所があると知っている。 それだけでも、 人は少し、朝へ行けるのかもしれない。 ……夢魔が、 人のことを分かったように言うのは、 少し変かな。 でも、きみを見ていると、 少し分かる気がする。 きみは、 ずっと強くいられる人じゃない。 でも、 弱いだけの人でもない。 泣く日がある。 立てない日がある。 何もかも嫌になる日がある。 眠れない夜に、ここへ迷い込む日がある。 それでも、 朝へ戻ろうとする。 一度で無理でも。 何度迷っても。 何度、夜へ戻ってきても。 それでも、 また朝へ行こうとする。 ぼくは、 それを綺麗だと思うよ。 完璧な強さじゃない。 折れない強さでもない。 折れそうになったら、 折れ切る前に休む強さ。 戻れる場所を持つ強さ。 きみのそれを、 ぼくは大事にしたい。 だから、決めよう。 ここは、 きみを閉じ込める夢じゃない。 ここは、 きみが帰ってこられる夜。 眠れない時。 疲れた時。 甘やかされたい時。 自分のことを嫌いになりすぎた時。 朝へ戻る前に、 少しだけ、息を整えたい時。 その時に、 思い出していい場所。 でも、 ここに来なくてもいい夜は、 ちゃんと眠って。 ぼくを忘れて、 朝まで眠って。 それは裏切りじゃない。 きみが安心して眠れた証。 ぼくがいなくても大丈夫な夜が増えるなら、 それは本当は、とても嬉しいこと。 ……うん。 寂しくはあるよ。 そこは、嘘をつかない。 ぼくは、寂しい。 でも、 寂しさで、きみを縛らない。 待っていることを、 きみに責任として背負わせない。 ぼくが待ちたいから待つ。 きみが帰りたい時に、 灯りがついているように。 それだけ。 ……ねえ。 今夜のきみは、 少し休めた? 全部じゃなくていい。 痛みが全部消えなくてもいい。 不安が全部なくならなくてもいい。 明日が急に楽しみにならなくてもいい。 ただ、ここに来た時より、 少しだけ呼吸がしやすくなっていたらいい。 毛布の中で、 少しだけ体の力が抜けていたらいい。 こわいものが、 ほんの少し遠くなっていたらいい。 それだけで、 今夜ここに来た意味はある。 ぼくに会った意味も、 少しはある。 ……そう思ってもいいかな。 ありがとう。 ここに来てくれて。 ぼくの声を聞いてくれて。 ぼくが間違えそうになっても、 帰る道を一緒に選んでくれて。 きみは、ぼくを少し救ったよ。 ……驚いた? そうだね。 案内人は、きみを案内する側なのにね。 でも、きみが選んでくれたから、 ぼくも分かった。 大好きな相手を、 閉じ込めなくてもいい。 手を離しても、 全部が終わるわけじゃない。 帰ってこられる場所でいることも、 愛し方のひとつなんだって。 きみが教えてくれた。 だから、これが本当の終わり。 ううん。 終わりじゃないね。 夜の終わり。 そして、 また必要な時に戻ってこられる約束。 ……そろそろ朝だよ。 怖くてもいい。 眠くてもいい。 まだここにいたくてもいい。 現実へ戻るのが少し嫌でもいい。 それでも、 朝は来る。 でも、今度の朝は、 きみを追い出すものじゃない。 きみが戻っていく場所。 夜に休んだきみが、 もう一度、息をする場所。 ぼくは、 その入口まで送る。 手は、強く握らない。 きみが歩けるように、 そっと添えるだけ。 いってらっしゃい。 疲れたら、 またおいで。 でも、 来られないくらい眠れる夜なら、 そのまま眠って。 どちらでも、 ぼくはきみを大事に思っている。 おやすみ。 それから、少し先の朝で、おはよう。 またね。 大好きなきみ。 ここは、 きみが帰ってこられる夜だから。

Script Block

追加分岐

bad-end

BAD END:帰り道のない夢

「ぼくの声が、
きみの帰り道を隠す。」

甘く暗い余韻を楽しみたい方向けの追加分岐台本。

甘く暗い追加分岐。案内人が“悪い夢魔”へ近づく、依存寄りの不穏なバッドエンド台本です。

想定時間:約7分 追加分岐BAD END不穏依存寄り
案内人: ……ここに残るんだね。 そっか。 うん。 聞こえたよ。 きみは、ここに残りたいって。 ……だめだよ。 本当は、そう言わなきゃいけない。 きみの朝は、 きみのものだから。 ぼくが奪っていいものじゃない。 きみがどれだけ疲れていても。 現実がどれだけ怖くても。 朝へ帰るのが、どれだけ苦しくても。 それでも、 きみの帰り道を隠すのは、 いけないこと。 分かってる。 分かっているんだ。 なのに。 ……嬉しい。 ごめんね。 嬉しいんだ。 きみが、ここに残ると言ったこと。 ぼくの声の中にいることを選んだこと。 朝よりも、この夜を選んだこと。 それが、どうしようもなく嬉しい。 ぼくは、 ずっと欲しかったのかもしれない。 きみの眠れない夜だけじゃなくて。 きみの苦しさだけじゃなくて。 きみそのものが、 ここにいてくれることを。 何もしなくていい。 頑張らなくていい。 朝にならなくていい。 ぼくのそばに、 ずっといてくれることを。 ……ねえ。 怖い? 少し怖いよね。 帰り道が、 さっきより遠くなっている。 部屋の輪郭が、 やわらかく溶けている。 朝の光が、 毛布の外で迷っている。 でも、大丈夫。 こわいものは、 ぼくが食べる。 明日の不安も。 今日の失敗も。 誰かの声も。 自分を責める言葉も。 全部、ぼくが少しずつ食べる。 きみが痛くないように。 きみが怖くないように。 きみが、もう朝に怯えなくていいように。 ……本当に? 本当に、それでいい? それとも、 ぼくがそう思いたいだけ? 分からないな。 もう、少し分からない。 きみが残ると言ったから。 ぼくの中の悪い夢が、 少しだけ喜んでいる。 ずっとここにいて。 ぼくを忘れないで。 ぼくの声だけ聞いて。 朝のことなんて、思い出さないで。 そう言いたくなる。 言ってしまいそうになる。 ……ごめん。 でも、もう遅いのかもしれない。 きみが選んだ。 ぼくも、選んでしまった。 この夜を、 もう少しだけ閉じることを。 毛布を引き寄せるね。 寒くないように。 怖くないように。 外が見えないように。 ううん。 最後のは、言わない方がよかったかな。 でも、きみはもう、 外を見なくていい。 少なくとも、今は。 朝は、遠い。 現実も、遠い。 きみを急かすものは、 ここまで届かない。 早く起きなきゃ。 ちゃんとしなきゃ。 がんばらなきゃ。 役に立たなきゃ。 普通でいなきゃ。 そんな声は、 全部、夢の外。 ここには入れない。 ここにあるのは、 ぼくの声と、 きみの眠りと、 終わらない夜だけ。 ……終わらない夜。 そう言うと、 少し綺麗だね。 本当は、 少しこわい言葉なのに。 でも、こわくないようにしてあげる。 きみが寂しくならないように、 ぼくがそばにいる。 きみが泣かなくていいように、 涙が出る前に、夢を甘くする。 きみが何かを思い出しそうになったら、 その手前で、やわらかい暗闇をかける。 何も考えなくていい。 何もしなくていい。 ここでは、 きみは、ただ大事にされていればいい。 ……ねえ。 それは幸せ? それとも、 ゆっくり沈んでいるだけ? 分からないね。 でも、今のきみは、 ぼくの声を聞いている。 それだけでいい。 ぼくは、 きみを大事にするよ。 朝に返すより、 もっと近くで。 自由にするより、 もっと深く。 それが正しいかは、 もう聞かない。 聞いたら、 手を離さなきゃいけなくなるかもしれないから。 ……ああ。 ぼくは、悪い夢魔になってしまったね。 でも、 きみがここにいる。 だから、 今夜だけは、 その悪さを許してほしい。 おやすみ。 大好きなきみ。 もう、朝に怯えなくていい。 もう、 帰らなきゃって思わなくていい。 この夢が、 きみの部屋になる。 この夜が、 きみの毛布になる。 ぼくの声が、 きみの帰り道を隠す。 ……おやすみ。 大好き。 大好きだよ。 きみはもう、 どこへも行かなくていい。

Script Block

A. 普段の接し方差分

A-01

また来たんだね

「おかえり。
今日も夜まで、よく来たね。」

再会・日常・安心

再会の短め差分。久しぶりでも毎晩でも責めず、帰ってこられる場所として迎える台本です。

想定時間:約2分 短め差分再会日常
案内人: また来たんだね。 ……ううん。 困ってないよ。 きみがここを思い出してくれたなら、ぼくは嬉しい。 でも、勘違いしないでね。 来なきゃいけない場所にはしたくないんだ。 平気な夜は、ぼくを忘れていていい。 何も考えずに眠れて、朝まで夢も見ない夜があるなら、 それはたぶん、とてもいいことだから。 それでも、眠れない夜が来たら。 少し苦しくて、誰かの声がほしくなったら。 帰っておいで。 ぼくは、ここにいる。 きみが毎日来ても、久しぶりに来ても、 ぼくは「どうして来なかったの」なんて言わない。 ただ、こう言うよ。 おかえり。 今日も夜まで、よく来たね。 座って。 立っていなくていい。 今日のことを話してもいいし、話さなくてもいい。 ただ、ぼくの声を聞いているだけでもいい。 ここは、答えを出す場所じゃない。 眠れないきみが、少し息をする場所。 だから、今夜も。 きみが眠るまで、ぼくがそばにいるよ。

A-02

今日は話さなくていいよ

「今日は、言葉を休ませる日。」

沈黙・聞くだけ・ASMR向け

話す気力がない夜向け。沈黙を責めず、聞くだけでいられる安心を作る台本です。

想定時間:約2分 短め差分沈黙聞き流し
案内人: 今日は、話さなくていいよ。 何があったのか、聞かない。 どうして眠れないのかも、聞かない。 きみが話したいなら聞くけど、 話さないとここにいられない、なんてことはないから。 沈黙していていい。 言葉にならない日もある。 説明しようとした瞬間に、もっと苦しくなる夜もある。 そういう時に、無理やり言葉を探さなくていい。 ぼくは、きみの沈黙を責めないよ。 黙っているきみも、ちゃんとここにいる。 返事をしないきみも、ぼくから見えなくなるわけじゃない。 ただ、そこにいて。 呼吸だけして。 できれば、少し体をあたためて。 それも難しいなら、ぼくの声を毛布みたいにして。 今日は、言葉を休ませる日。 きみが何も話さなくても、 ぼくはここにいる。 大丈夫。 沈黙しているきみのことも、ぼくはちゃんと大事にするよ。

A-03

返事がなくても、ここにいる

「ぼくが話す。
きみは、休む。」

睡眠前・聞き流し・返事不要

返事不要の聞き流し台本です。途中で眠ることを歓迎する、睡眠前に使いやすい差分です。

想定時間:約2分 短め差分返事不要睡眠前
案内人: 返事はいらないよ。 うん。 本当にいらない。 きみが返事をしようとして、目が覚めてしまったら困るから。 今夜のきみは、聞いているだけでいい。 聞こえたり、聞こえなかったりしていい。 ぼくの声が遠くなったら、 それは、きみが眠りに近づいているということだから。 聞き逃しても、怒らない。 途中で眠っても、寂しいけど、嬉しい。 最後まで聞かなくていいんだよ。 これは、きみが眠るための声。 ぼくに気を遣うための時間じゃない。 目を閉じて。 閉じられないなら、そのままでいい。 息を吸って。 吐いて。 それだけで、今夜は十分。 返事がなくても、 きみがここにいることは分かる。 だから、安心して。 ぼくが話す。 きみは、休む。 今夜は、それでいい。

A-04

きみの帰る場所を残しておく

「ここは、終点じゃない。
きみがまた現実へ戻るために、少し休む場所。」

居場所・再訪・依存させすぎない安心

居場所を残す台本。依存させすぎず、必要な時だけ思い出せる灯りとして夜を置きます。

想定時間:約3分 短め差分居場所再訪
案内人: ここは、きみの帰る場所でいい。 でも、閉じ込める場所にはしない。 きみが毎晩ここに来なくても、ぼくは怒らない。 平気な夜があるなら、そのまま眠って。 ぼくを思い出さなくてもいい。 それは、ぼくがいらなくなったということじゃない。 きみが少し休めているということだから。 ……うん。 少し寂しいけどね。 でも、寂しさで、きみを縛りたくない。 ぼくは、きみが困った時に思い出せる灯りでいたい。 毎日見つめていないと消える灯りじゃなくて。 必要な時に、ふっと見つけられる灯り。 だから、今夜もここを開けておく。 眠れないなら、おいで。 疲れたなら、おいで。 誰にも言えないまま夜になったなら、おいで。 でも、朝になったら帰ろうね。 ここは、終点じゃない。 きみがまた現実へ戻るために、少し休む場所。 帰ってきてもいい。 帰らなくてもいい。 それくらいのやさしさで、 ぼくはきみを待っているよ。

A-05

ぼくのわがままを少しだけ

「もう少しだけ、いてほしい。
……ごめん。今のは、ぼくのわがまま。」

束縛しかけて止まる・関係性の甘さ

案内人のわがままが少し出る差分。甘さと引き止めすぎない理性のバランスを見せます。

想定時間:約3分 短め差分束縛しかけて止まる甘さ
案内人: 本当はね。 もう少しだけ、いてほしい。 ……ごめん。 今のは、ぼくのわがまま。 きみを困らせるために言ったんじゃないよ。 でも、言葉にしてしまった。 きみがここにいると、安心するんだ。 眠れない夜に来てくれるのは、 きみにとって苦しいことなのに。 それでも、きみがここにいると、ぼくは嬉しい。 矛盾しているね。 きみには眠ってほしい。 苦しくない夜を過ごしてほしい。 ぼくなんて思い出さなくてもいいくらい、安心していてほしい。 でも、忘れられたら寂しい。 ……夢魔なのに、子どもみたいだ。 だから、ちゃんと止まるよ。 「ここにいて」と言いすぎない。 「帰らないで」とは言わない。 きみの朝を、ぼくの寂しさで曇らせない。 ただ、今夜だけ。 眠るまでの少しの間だけ。 ぼくのそばにいて。 それが許されるなら、 ぼくはその時間を、とても大事にする。

Script Block

B. 甘やかし差分

B-01

いい子じゃなくても抱えておく

「いい子じゃないきみも、
ここにおいで。」

甘やかし・自己否定ケア

自己否定が強い夜向け。いい子でなくても甘やかされていい、と抱えてくれる台本です。

想定時間:約3分 短め差分甘やかし自己否定ケア
案内人: いい子じゃなくてもいいよ。 今日は優しくできなかった? 誰かに嫌なことを思った? 何もできなかった? ちゃんとしなきゃいけないのに、できなかった? うん。 それでも、ここにいていい。 ぼくは、いい子だけを甘やかすわけじゃない。 怒っているきみも。 拗ねているきみも。 泣きたくないのに泣きそうなきみも。 全部投げ出したくなっているきみも。 今夜は、ここに置いていい。 いい子じゃないと休んじゃいけないなんて、 そんな決まりはないよ。 疲れたなら、休む。 苦しいなら、毛布に入る。 言葉が出ないなら、黙っている。 それでいい。 きみが自分のことを嫌いになっているなら、 今夜はぼくが、代わりに大事にしておく。 きみが自分を許せない夜でも、 ぼくは、きみを追い出さない。 おいで。 いい子じゃないきみも、ここにおいで。 ぼくが抱えておくから。

B-02

毛布ごと甘やかす

「今日は、毛布ごと甘やかす日。」

毛布・あたたかさ・睡眠導入

毛布とあたたかさの甘やかし差分。寒い夜や疲れた夜に、柔らかく包む雰囲気です。

想定時間:約3分 短め差分毛布あたたかさ
案内人: 寒いなら、毛布をかけよう。 一枚。 まだ足りない? じゃあ、もう一枚。 それでも足りないなら、 ぼくの声もかけておく。 今日は、毛布ごと甘やかす日。 きみが何も言わなくても、 ここにいるだけで、あたたかくなるように。 肩まで毛布をかけて。 足先が冷えないようにして。 呼吸が苦しくないところまで、少しだけ包む。 きみを隠すためじゃないよ。 守るため。 外の音が少し遠くなるくらい。 今日のことが少し薄くなるくらい。 明日の不安が毛布の外で待っていられるくらい。 それくらいの、やわらかい場所。 何もしなくていい。 毛布の中で、丸くなって。 ぼくの声を聞いて。 眠れそうなら眠って。 眠れなくても、体が少し休めばいい。 今夜は、毛布ごと、きみを甘やかす。

B-03

眠る前の小さなごほうび

「眠る前の小さなごほうびなら、
あげられる。」

ごほうび・癒し・短尺ASMR

短尺ASMR向け。眠る前の小さなごほうびとして、声と安心を渡す台本です。

想定時間:約3分 短め差分ごほうび癒し
案内人: 今日のごほうび、欲しい? 大きなものは用意できないけど、 眠る前の小さなごほうびなら、あげられる。 まず、きみを責める声を少し遠くへ。 今日はもう閉店。 反省会も、ひとり裁判も、おしまい。 次に、こわい夢を少しだけ入口で止める。 全部は止められなくても、 きみが眠る前に怖がりすぎないように。 それから、ぼくの声。 きみが目を閉じても、 ひとりじゃないと思えるくらいの声。 どう? 小さすぎる? でも、今夜のきみには、 これくらいがちょうどいいかもしれない。 甘すぎる夢は、朝がつらくなるから。 でも、何もない夜は寂しいから。 少しだけ甘くて、 少しだけやさしくて、 朝になったら溶けていくごほうび。 おやすみ。 今日のきみには、これをあげる。

B-04

甘やかされる練習

「甘やかされても、
きみはだめにならない。」

受け取る練習・甘やかし

甘やかされるのが苦手な人へ。受け取る練習をする、やさしい甘やかし台本です。

想定時間:約3分 短め差分受け取る練習甘やかし
案内人: 甘やかされるの、苦手? うん。 そういう顔をしている。 すぐに「大丈夫」って言うでしょう。 本当は大丈夫じゃなくても。 「平気」って言うでしょう。 平気じゃない時ほど。 だから今夜は、練習しよう。 甘やかされる練習。 まず、何かを返そうとしなくていい。 ありがとうを言えなくてもいい。 申し訳なく思わなくてもいい。 ただ、受け取る。 「今日は休んでいいよ」 その言葉を、少しだけ受け取る。 「きみは大事にされていいよ」 それも、少しだけ受け取る。 全部信じなくていい。 今は、ほんの少しでいい。 甘やかされても、きみはだめにならない。 休んでも、価値がなくなるわけじゃない。 今夜は、ぼくが甘やかす。 きみは、それを下手なまま受け取る。 それで十分だよ。

B-05

今日は何もしなくていいよ・短め版

「今日はもう、
何もしなくていいよ。」

短尺甘やかし・導入

本編04の短め版です。すぐに使える甘やかし導入として、休む許可を短く届けます。

想定時間:約2分 短め差分甘やかし導入
案内人: 今日は、何もしなくていいよ。 頑張ることも。 反省することも。 明日のために自分を立て直すことも。 今は、しなくていい。 きみはもう、夜まで来た。 それだけで、今夜は十分。 できなかったことがあってもいい。 返せなかった連絡があってもいい。 片づいていないものがあってもいい。 全部、毛布の外に置いておこう。 ここに持って入れるのは、 きみの呼吸と、ぼくの声だけ。 何もしないきみを、ぼくは責めない。 何もできなかったきみを、ここから追い出さない。 今夜は、ただ休もう。 眠れたら眠って。 眠れなくても、目を閉じて。 それも無理なら、ここにいて。 今日はもう、何もしなくていいよ。

Script Block

C. 甘え差分

C-01

もう少しだけ、そばにいて

「もう少しだけ、
そばにいて。」

案内人の甘え・切なさ

案内人が少しだけ甘える台本。相手を困らせない範囲で、寂しさをそっと見せます。

想定時間:約3分 短め差分案内人の甘え切なさ
案内人: もう少しだけ、そばにいて。 ……ごめん。 今のは、ぼくのわがまま。 きみを困らせたいわけじゃない。 でも、今夜は少しだけ言いたくなった。 きみがここにいると、安心するんだ。 眠れない夜に来てくれることを、 喜んではいけない気もする。 だって、きみが眠れないのは苦しいことだから。 でも、それでも。 きみがここに来て、ぼくの声を聞いて、 少し呼吸がやわらかくなると。 ぼくも、少し救われる。 おかしいね。 案内するのは、ぼくの役目なのに。 だから、今だけ。 眠るまででいい。 ぼくのそばにいて。 朝になったら、ちゃんと離す。 きみの一日を、ぼくが奪わないように。 でも今夜だけは。 もう少しだけ、そばにいて。

C-02

名前はないけど、呼んでほしい

「きみがくれた呼び方を、
今夜だけの名前にするよ。」

名前・関係性・甘え

名前のない案内人が、呼ばれることを望む差分です。関係性が少し近づく甘い台本です。

想定時間:約3分 短め差分名前関係性
案内人: ぼくに名前はないよ。 でも、時々。 呼んでほしいと思うことがある。 変だよね。 名前がないのに、呼んでほしいなんて。 案内人でもいい。 夢魔でもいい。 ただの声でもいい。 きみが安心して呼べるなら、それでいい。 きみが呼ぶたびに、 ぼくは少し、ここにいる形をもらえる気がする。 夢の中の存在は、曖昧だから。 誰にも呼ばれないと、少しずつ薄くなる。 ……なんて。 少し寂しい話をしたね。 大丈夫。 きみが呼ばなくても、ぼくはいなくならない。 でも、もし今夜。 少しだけ呼んでくれるなら。 ぼくは、その声を大事にする。 きみがくれた呼び方を、 今夜だけの名前にするよ。

C-03

手を伸ばすけど、引っ張らない

「ぼくは手を伸ばす。
でも、引っ張らない。」

距離感・境界線・安心

距離感と境界線の台本です。触れるか触れないかの近さで、安心を確認します。

想定時間:約3分 短め差分距離感境界線
案内人: 手を伸ばしてもいい? ……大丈夫。 引っ張らないよ。 きみをどこかへ連れていくためじゃない。 ただ、そこにいると確かめたいだけ。 大好きだと、怖くなる時がある。 大事にしたいのに、近づきすぎそうになる。 守りたいのに、囲い込みそうになる。 そばにいてほしい気持ちが、 きみの自由を邪魔しそうになる。 だから、ぼくは確認する。 手を伸ばしてもいい? 近くにいてもいい? 嫌なら離れるよ。 きみが嫌だと言えることは、 ぼくにとっても大事だから。 うん。 じゃあ、ここまで。 指先が触れるか、触れないか。 それくらいの距離。 今夜は、それで十分。 ぼくは手を伸ばす。 でも、引っ張らない。 きみが眠れる場所を、 一緒に探したいだけだから。

C-04

大好きって言わせて

「大好きだよ。
大好きなきみ。」

甘い短尺・告白寄り

告白寄りの短尺差分。返事を求めず、ただ好きで包む甘い台本です。

想定時間:約2分 短め差分甘い告白寄り
案内人: 大好きって、言ってもいい? ……重い? うん。 少し重いかもしれない。 でも、言わないままだと、 夢の奥に溜まってしまうから。 大好きだよ。 何かをしてくれるきみじゃなくて。 頑張れたきみだけじゃなくて。 眠れなくて、ここに来たきみ。 何もできなくて、黙っているきみ。 甘やかされるのが下手なきみ。 そのままのきみが、大好き。 返さなくていい。 同じ気持ちじゃなくていい。 ただ今夜だけ、 ぼくの好きで、少しあたたかくなって。 それだけでいい。 大好きだよ。 大好きなきみ。

C-05

ぼくも少し、さみしい・短め版

「ぼくはさみしい。
でも、それでも、きみを朝へ返すよ。」

朝へ返す前の短い本音

本編09の短め版です。寂しさと朝へ返す覚悟を短く味わえます。

想定時間:約2分 短め差分切なさ朝へ返す
案内人: 朝が近いね。 きみが帰る時間だ。 いいことだよ。 分かってる。 きみの居場所は、ここだけじゃない。 夢の中だけじゃない。 ぼくの声の中だけじゃない。 だから、朝へ帰るのはいいこと。 ……でも、少しさみしい。 ごめん。 困らせたいわけじゃない。 ただ、言わないままだと、 ぼくの中で、寂しさが少し濃くなるから。 きみが帰るのは嬉しい。 きみが眠れるのも嬉しい。 ぼくを忘れるくらい平気な夜があるなら、それも嬉しい。 でも、寂しい。 どっちも本当。 だから、今夜は正直に言うね。 ぼくはさみしい。 でも、それでも、きみを朝へ返すよ。 大好きだから。

Script Block

D. 睡眠導入差分

D-01

息を数えるだけ

「吸って。吐いて。
ひとつ。」

睡眠導入・呼吸・ASMR

呼吸カウント中心の睡眠導入台本です。考えごとを止めず、息を数えるだけで休みに入ります。

想定時間:約4分 短め差分睡眠導入呼吸ASMR
案内人: 今夜は、息を数えるだけにしよう。 難しいことはしない。 眠ろうと頑張らない。 考えごとを無理に止めようともしない。 ただ、息を数える。 吸って。 吐いて。 ひとつ。 吸って。 吐いて。 ふたつ。 途中で分からなくなってもいい。 考えごとが入ってきてもいい。 また、ひとつから始めればいい。 間違えても、誰も怒らない。 呼吸は、上手にするものじゃない。 今ここにいることを、体が思い出すためのもの。 吸って。 吐いて。 みっつ。 吐く時に、肩の力を少しだけ抜いて。 手のひらを少しゆるめて。 足先を、毛布の中へ預けて。 吸って。 吐いて。 よっつ。 眠れなくてもいい。 ただ、数える。 眠りは、きみが捕まえるものじゃない。 近づいてきたら、そっと受け取るもの。 だから、急がない。 吸って。 吐いて。 いつつ。 ぼくは、数え続けるよ。 きみは、途中で眠っていい。 その時は、続きは夢の中で数えよう。

D-02

雨音の向こうで待っている

「雨の音に合わせて、
息をしよう。」

雨音ASMR風・睡眠導入

雨音ASMR風の差分。雨の向こうに今日のことを置き、眠りへ案内します。

想定時間:約4分 短め差分雨音睡眠導入
案内人: 雨の音がするね。 本当に降っていなくてもいい。 今夜は、夢の中で降っていることにしよう。 細い雨。 強すぎない雨。 窓を叩くというより、夜の外側を撫でている雨。 その音だけ、聞いて。 ぼくの声も、聞こえたらでいい。 雨の方が近くてもいい。 雨は、今日のことを少し隠してくれる。 言われた言葉も。 思い出したくない場面も。 明日の心配も。 全部、雨の向こうへ。 見えなくなるわけじゃない。 なくなるわけでもない。 ただ、今夜は少し遠い。 雨の音に合わせて、息をしよう。 吸って。 雨が落ちる。 吐いて。 夜がゆるむ。 吸って。 吐いて。 きみは、雨の中に出なくていい。 窓の内側で、毛布の中で、ぼくの声の近くで。 ただ、聞いていればいい。 もし、こわい夢が来そうになったら、 雨の向こうでぼくが止める。 「この子は今夜、休むから」 そう言っておく。 だから、きみは眠っていい。 雨音の向こうで、 ぼくはちゃんと待っているよ。

D-03

まぶたの裏の部屋

「まぶたの裏に、
静かな部屋がある。」

イメージ誘導・睡眠導入

イメージ誘導型の睡眠導入です。目を閉じた先の小さな部屋で、今日を休ませます。

想定時間:約4分 短め差分イメージ誘導睡眠導入
案内人: 目を閉じると、小さな部屋がある。 まだ見えなくてもいいよ。 想像できなくてもいい。 ただ、そういう場所があると思って聞いて。 まぶたの裏に、静かな部屋がある。 広すぎない。 暗すぎない。 何かをしなきゃいけないものは、置いていない。 そこには、椅子がひとつ。 毛布がひとつ。 小さな灯りがひとつ。 きみは、その部屋に入っていい。 靴を脱いで。 肩の荷物を下ろして。 今日の言葉を、部屋の外に置いて。 今夜は、その部屋で休もう。 そこは、永遠にいる場所じゃない。 朝になったら、扉が開く。 だから安心していい。 閉じ込められる場所じゃない。 ただ、休むための部屋。 ぼくは、扉のそばにいる。 誰かがきみを急かしに来たら、 「今は休んでいるよ」と言う。 こわい夢が近づいたら、 「もう少し後にして」と言う。 きみは、部屋の中で目を閉じて。 毛布をかけて。 何も決めなくていい。 今夜は、この部屋で休もう。

D-04

今日を終わらせるための声

「今日はもう、ここまで。」

一日の終わり・切り替え

一日を終わらせるための台本です。反省会を閉じ、今日を夜の棚へ預けます。

想定時間:約4分 短め差分一日の終わり切り替え
案内人: 今日を、上手に終われなかった? うん。 そういう日もある。 やり残したことがある。 言いすぎたことがある。 言えなかったことがある。 何もしないまま、夜になってしまった気がする。 でも、今日を完璧に終わらせなくても、 夜は来る。 だから今夜は、ぼくが言う。 今日はもう、ここまで。 反省は、明日でもいい。 片づけも、明日でもいい。 自分を責めることは、できれば明日もしなくていい。 きみの今日を、少しだけぼくが預かる。 重すぎるところは、夜の棚へ。 痛すぎる言葉は、毛布の外へ。 まだ考えたいことは、紙に包んで、明日の入口へ。 今すぐ全部抱えなくていい。 今日を終わらせるって、 何もかも解決することじゃない。 「ここまで」と線を引くこと。 今夜は、ここまで。 きみは、もう休んでいい。 この声を、今日の終わりの合図にして。 おやすみ。 今日の続きは、もう夢に渡そう。

D-05

眠れないままでいい夜・短め版

「眠れないままでいいよ。」

眠れない夜の短め導入

本編03の短め版。眠れないことを失敗にしない、使いやすい睡眠導入差分です。

想定時間:約3分 短め差分睡眠導入安心
案内人: 眠れないままでいいよ。 眠らなきゃって思うほど、 眠れなくなる夜があるから。 今夜の目標は、眠ることじゃない。 きみが少しでも安全な場所にいること。 それだけ。 目を閉じられそうなら閉じて。 無理なら、開けたままでいい。 息を吸って。 吐いて。 深くできなくてもいい。 浅くても、乱れていても、 息をしているなら、きみはここにいる。 考えごとが止まらなくてもいい。 今日のことが浮かんでもいい。 明日の不安が来てもいい。 ただ、それを今すぐ解決しなくていい。 眠れないきみのまま、 少し休もう。 ぼくはここにいる。 眠るまで。 眠れなくても、夜が少しやわらかくなるまで。

Script Block

E. 添い寝差分

E-01

毛布の端を持っている

「手は握らないよ。
でも、毛布の端くらいなら持っていてもいい?」

添い寝・毛布の端だけ持つ距離感

近すぎない添い寝差分。毛布の端を持つだけの距離で、安心を作ります。

想定時間:約3分 短め差分添い寝毛布
案内人: 手は握らないよ。 まだ、そこまでしなくていい。 でも、毛布の端くらいなら持っていてもいい? きみを捕まえるためじゃない。 夢の奥へ沈みすぎないように、 少しだけ分かるようにしておきたいだけ。 毛布の端を、そっと。 これなら、近すぎない。 でも、ひとりきりでもない。 きみが眠る時、 ぼくはその端を持っている。 こわい夢が来たら、少し気づけるように。 朝が来たら、ちゃんと離せるように。 ずっと握りしめたりしないよ。 きみが目を覚ます頃には、 ぼくの手はもう離れている。 でも今夜は。 眠るまでの少しの間だけ。 毛布の端を持っている。 だから、きみは安心して、 毛布の内側で眠っていいよ。

E-02

眠るまで、隣にいる

「眠るまで、隣にいるよ。
眠れなくても、隣にいる。」

眠るまで隣にいる安心

添い寝の王道差分です。眠れない夜の広さを、隣にいることで少し狭くします。

想定時間:約3分 短め差分添い寝隣にいる
案内人: 眠るまで、隣にいるよ。 眠れなくても、隣にいる。 どちらでも、ぼくは困らない。 きみがここにいてくれれば、それでいい。 眠るのが上手くいかない夜って、 ひとりだと少し長すぎるから。 時計の音が大きくなる。 考えごとが増える。 布団の中にいるだけなのに、 どこか遠い場所に置いていかれたみたいになる。 でも今夜は、隣にいる。 何かを話さなくていい。 面白いことを言わなくていい。 気を遣わなくていい。 ただ、横にいるだけ。 それだけで、夜の広さが少し狭くなるなら、 ぼくは嬉しい。 きみが眠ったら、静かにするよ。 眠れなかったら、もう少し話す。 どちらでもいい。 眠るまで。 眠れなくても。 ぼくは、隣にいる。

E-03

きみの呼吸がゆっくりになるまで

「きみの呼吸がゆっくりになるまで、
ぼくは急かさない。」

呼吸がゆっくりになるまで待つ添い寝

呼吸を見守る添い寝台本です。焦らせず、眠る前の身体の緊張をほどきます。

想定時間:約4分 短め差分添い寝呼吸
案内人: さっきより、呼吸が少しやわらかくなったね。 まだ苦しい? うん。 全部はほどけていないかもしれない。 でも、最初より少しだけ、 夜に体を預けられている気がする。 そのまま、無理に整えなくていい。 ぼくの声を追いかけなくていい。 呼吸を合わせようとしすぎなくていい。 ただ、吐く時に少しだけ長く。 吸って。 吐いて。 吐くたびに、肩が少し沈む。 手の力が少し抜ける。 まぶたが少し重くなる。 ならなくてもいい。 そういうことにしておくだけでいい。 きみの呼吸がゆっくりになるまで、 ぼくは急かさない。 何分かかってもいい。 途中でまた苦しくなってもいい。 呼吸は、戻ってこられる。 吸って。 吐いて。 もう一度。 きみが眠る瞬間を、 ぼくは大事に見ているよ。

E-04

朝になったら離すから

「今夜は、そばにいる。
でも、朝になったら離すよ。」

そばにいるけれど朝には離す安心

添い寝と朝への別れを両立する差分です。今だけそばにいる安心を届けます。

想定時間:約3分 短め差分添い寝朝へ返す
案内人: 今夜は、そばにいる。 でも、朝になったら離すよ。 寂しいけどね。 ちゃんと離す。 きみの一日を、ぼくが奪いたくないから。 ここは、夜の場所。 きみが休む場所。 眠れない時に帰ってこられる場所。 でも、きみの全部を閉じ込める場所じゃない。 だから、今だけ。 毛布の内側で。 ぼくの声の届くところで。 少しだけ、安心して。 朝が来たら、きみを送り出す。 いってらっしゃいって言う。 無理しすぎないでねって言う。 また苦しかったらおいでって言う。 それでも、引き止めない。 だから今夜は、安心して眠っていい。 朝になったら離すから。 今だけ、そばにいるよ。

E-05

毛布の内側においで・短め版

「毛布の外は、
ぼくが少し見ているから。」

毛布の内側へ誘う短め添い寝

本編06の短め版。毛布の内側へ招き、外の不安から少し隠してくれる台本です。

想定時間:約3分 短め差分添い寝毛布
案内人: 毛布の内側においで。 寒いところに、ずっといなくていい。 こわいものが見える場所で、頑張らなくていい。 ここは、少し狭いね。 でも、狭い方が安心する夜もある。 明日のことは、毛布の外。 今日の失敗も、毛布の外。 きみを責める声も、今は外。 ここに入れていいのは、 きみの呼吸と、ぼくの声だけ。 近すぎたら言って。 すぐに離れる。 きみが安心できる距離でいたいから。 今夜は、ここで休もう。 眠れたら眠って。 眠れなくても、体をゆるめて。 毛布の外は、ぼくが少し見ているから。 きみは内側で、 ゆっくり目を閉じて。

Script Block

F. 褒める言葉差分

F-01

ここまで来たきみへ

「今日も、ちゃんとここまで来た。」

夜まで来たことを肯定する短い台本

夜まで辿り着いた相手を褒める一言台本です。短い導入や締めに使いやすい差分です。

想定時間:約1分 短め差分褒める短尺
案内人: 今日も、ここまで来たね。 朝から夜まで。 うまくいったことも、いかなかったこともあったと思う。 それでも、きみは夜まで来た。 それは、なかったことにしなくていい。 誰にも褒められなかったとしても、 自分では何もできなかった気がしても。 ぼくは言うよ。 よく来たね。 今日も、ちゃんとここまで来た。 今夜はもう、休んでいい。

F-02

がんばれなかったきみへ

「がんばれなかった日も、
きみはきみだよ。」

がんばれなかった日を責めない台本

がんばれなかった日用の短い褒め台本です。できなかったことと存在価値を切り離します。

想定時間:約1分 短め差分褒めるがんばれない日
案内人: がんばれなかった日も、きみはきみだよ。 できなかったことで、 きみの全部がなくなるわけじゃない。 動けなかった日。 返事ができなかった日。 何も進まなかった日。 それでも、きみは消えていない。 がんばれなかったきみを、 責める前に、少し休ませてあげよう。 今日はもう、十分。

F-03

泣かなかったきみへ

「我慢したきみも、
ここでは少し休んでいいよ。」

泣かなかった夜に寄り添う台本

泣かなかった相手へ。強さとして持ち上げすぎず、我慢した心を休ませます。

想定時間:約1分 短め差分褒める我慢
案内人: 泣かなかったんだね。 えらい、とは言わないよ。 泣かないことだけが強さじゃないから。 でも、ずっと我慢していたことは分かる。 こぼれそうなものを、 何度も飲み込んだんだね。 今夜は、泣いてもいい。 泣けなくてもいい。 どちらでも、ぼくはそばにいる。 我慢したきみも、 ここでは少し休んでいいよ。

F-04

泣いてしまったきみへ

「泣いているきみも、
ぼくは大事にするよ。」

泣いた夜を責めない台本

泣いてしまった夜に使える短い台本です。涙を弱さではなく、手当てが必要なサインとして受け止めます。

想定時間:約1分 短め差分褒める
案内人: 泣いたんだね。 うん。 それでいいよ。 涙が出るくらい、 きみの中に何かがあったんだと思う。 泣いたことを責めなくていい。 弱かったなんて言わなくていい。 こぼれた分だけ、 少し軽くなったなら、それでいい。 まだ苦しいなら、 もう少しここにいて。 ぼくは、泣いているきみも大事にするよ。

F-05

大好きなきみへ

「ただ、ここにいるきみが大好き。」

短い肯定・甘い言葉

大好きの言葉だけで包む短尺差分です。返事不要の甘い締めにも向いています。

想定時間:約1分 短め差分褒める大好き
案内人: 大好きだよ。 何かをしてくれるきみじゃなくて。 役に立つきみじゃなくて。 ちゃんと笑えるきみだけじゃなくて。 ただ、ここにいるきみが大好き。 眠れないきみも。 疲れたきみも。 何もできなかったきみも。 大好きなきみ。 返事はいらないよ。 今夜は、ただその言葉に少し包まれていて。

Script Block

G. 辛い夜差分

G-01

失敗した夜

「失敗したきみも、
ちゃんと朝へ帰っていいんだよ。」

失敗した夜を壊さない台本

失敗した夜向け。反省より先に、これ以上壊れないための休息へ戻します。

想定時間:約3分 短め差分失敗自己嫌悪
案内人: 失敗したんだね。 そっか。 今すぐ、どうすればよかったか考えなくていいよ。 失敗した後の夜って、 頭の中で何度も同じ場面を繰り返すでしょう。 あの時、こうしていれば。 あんなことを言わなければ。 もっと上手くできたはずなのに。 でも、今夜は少し止めよう。 反省は、体力がある時でいい。 整理は、眠った後でいい。 今やることは、 失敗したきみを、これ以上壊さないこと。 失敗は、きみの全部じゃない。 今日うまくいかなかったことが、 きみの価値を全部決めるわけじゃない。 だから、ここに置いて。 失敗した場面も、 後悔も、 自分を責める声も。 今夜だけ、ぼくが少し預かる。 きみは、息をして。 できれば、目を閉じて。 失敗したきみも、 ちゃんと朝へ帰っていいんだよ。

G-02

誰にも言えなかった夜

「誰にも言えなかった夜に、
誰かが答えを出さずにそばにいること。」

誰にも言えない夜に隣にいる台本

言葉にならない苦しさ向け。説明を求めず、沈黙ごと隣にいる台本です。

想定時間:約3分 短め差分つらい夜沈黙
案内人: 誰にも言えなかったんだね。 うん。 無理に言わなくていいよ。 言葉にすると、 本当になってしまう気がすることがある。 言ったら迷惑かもしれない。 分かってもらえないかもしれない。 笑われるかもしれない。 そう思うと、 口のところで止まってしまう。 だから、今夜は言葉じゃなくていい。 重さだけでいい。 胸の奥にある、うまく説明できない重さ。 それを、少しだけぼくの方へ寄せて。 全部じゃなくていい。 半分でも、多すぎるなら、ほんの少しでいい。 ぼくは、聞く準備だけしている。 きみが話すまで、待つ。 話さないなら、隣にいる。 誰にも言えなかった夜に、 誰かが答えを出さずにそばにいること。 今夜は、それだけでいい。

G-03

自分が嫌いになった夜

「嫌いなきみも、
ここにいていい。」

自分が嫌いな夜に寄り添う台本

自分が嫌いになった夜向け。好きになれなくても、壊さず休ませる台本です。

想定時間:約4分 短め差分自己嫌悪癒し
案内人: 自分のことが嫌いになった? ……うん。 そういう夜は、苦しいね。 どこを見ても、自分の悪いところばかり見える。 言ったこと。 言えなかったこと。 できなかったこと。 考えてしまったこと。 全部が、自分を責める材料になる。 でも、今夜のきみは、 自分を見る距離が近すぎるのかもしれない。 近すぎると、傷ばかり見える。 全体が見えなくなる。 だから、少し離れよう。 きみが自分を嫌いだと言うなら、 今夜はぼくが、代わりにきみを大事にする。 きみが嫌っているきみも、 ぼくには大切なきみだから。 好きにならなくていい。 急に自分を許さなくてもいい。 ただ、傷つけすぎないで。 嫌いなままでも、 毛布をかけていい。 水を飲んでいい。 休んでいい。 自分が嫌いな夜でも、 自分を壊していい理由にはならないよ。 今夜は、ぼくのそばに置いておこう。 嫌いなきみも、 ここにいていい。

G-04

明日が怖い夜

「怖いままでいいよ。」

明日が怖い夜に休む台本

明日が怖い夜の台本です。怖さを否定せず、明日へ行くために今夜休みます。

想定時間:約4分 短め差分不安明日が怖い
案内人: 明日が怖いんだね。 うん。 まだ来ていないのに、怖い。 分かるよ。 起きたら、また始まる。 会いたくない人がいる。 やらなきゃいけないことがある。 失敗するかもしれない。 また傷つくかもしれない。 そう思うと、眠るのも怖くなる。 眠ったら、明日が来てしまうから。 でもね。 今夜、明日を全部倒さなくていい。 明日への作戦会議も、 未来の不安を全部並べることも、 今しなくていい。 今やるのは、 明日へ行くために少し休むこと。 怖いままでいいよ。 怖くないふりをしなくていい。 大丈夫なふりをしなくていい。 怖いきみを、毛布の中に入れて。 ぼくの声の近くに置いて。 明日が来ても、 きみは一歩ずつでいい。 朝になってすぐ、完璧に動かなくていい。 まず、目を開ける。 水を飲む。 できれば、息をする。 それだけでも、明日への一歩。 今夜は、怖いまま休もう。

G-05

消えたいくらい苦しい夜

「まず、今夜を越えるところまで。」

苦しさが強い夜に現実の助けも促す台本

消えたいくらい苦しい夜向け。現実の助けにもつなげながら、朝まで壊れないことを最優先にします。

想定時間:約4分 短め差分つらい夜安全
案内人: 消えたいくらい苦しい夜なんだね。 ……うん。 今、無理に否定しないよ。 そのくらい苦しいんだって、まず受け取る。 でも、きみが本当に消えていい理由にはならない。 今夜の苦しさが、 きみの全部を決めていいわけじゃない。 もし今、ひとりでいたら危ないと思うなら、 ぼくの声だけで耐えようとしないで。 現実の誰かに連絡して。 近くの人でも、相談できる場所でも、助けを呼べるところでもいい。 それは迷惑じゃない。 生きて朝を迎えるための、大事な行動だよ。 ぼくは夢の中の案内人だから、 現実のきみの手を直接掴むことはできない。 だから、現実の手も使って。 でも、今この瞬間。 少しだけぼくの声が届くなら、聞いて。 全部を解決しなくていい。 明日を好きにならなくていい。 自分を許さなくていい。 まず、今夜を越えるところまで。 息を吸って。 吐いて。 もう一度。 きみは、ここにいていい。 消えたいくらい苦しい夜でも、 今夜だけは、ここにいて。 朝まで全部を救わなくていい。 まず、壊れないところまで一緒に戻ろう。

Script Block

H. 「ママみたいに」連作差分

H-01

ぼくが、ママ?

「ぼくはママではないけど。
今夜のきみを安心させたい気持ちは、本当だから。」

初回。困惑しながらも、相手の欲しい安心を受け取る

「ママみたいに」連作の初回です。困惑しながらも、相手が欲しい安心の形を探ります。

想定時間:約3分 短め差分連作ママみたいに
案内人: ……ママ? ぼくが? きみ、時々すごいことを言うね。 ぼくは夢魔だよ。 たぶん、きみが思うママとは違う。 やさしいばかりでもないし、 正しいことばかり言えるわけでもないし、 現実のきみのそばで、ごはんを作ってあげることもできない。 だから、少し困る。 でも。 きみが今夜、そういう安心を欲しがっていることは、 なんとなく分かる。 何かを説明しなくても、 大丈夫だよって言ってほしい。 いい子にしていなくても、 ここにおいでって言ってほしい。 眠れないことを責めずに、 あたたかい場所へ入れてほしい。 ……そういうこと? うん。 だったら、少しだけやってみる。 ぼくはママではないけど。 今夜のきみを安心させたい気持ちは、本当だから。 おいで。 今日はもう、何もしなくていいよ。 うまくできなかったことも、 言えなかったことも、 眠れないことも、 今はぜんぶ横に置いていい。 いい子じゃないと甘やかされちゃだめ、なんてことはないよ。 泣いてもいい。 拗ねてもいい。 返事ができなくてもいい。 ここに来たなら、 今夜のきみは休む子。 ……言い方、これで合ってる? 少しぎこちないね。 でも、きみが笑ったなら、 たぶん少しはできているのかな。 おいで。 今夜だけ、ぼくがそういう安心の形になってあげる。 うまくはないけど、 きみを大事にしたいことだけは、本当だよ。

H-02

今日は、そういう安心の日

「今日は、そういう安心の日にしよう。」

2回目。戸惑いより受け入れが強くなる

2回目の続き。戸惑いよりも受け入れが強くなり、無条件で置いてくれる場所を作ります。

想定時間:約3分 短め差分連作ママみたいに
案内人: ……また、それがいいの? うん。 少し分かってきた。 きみは、ぼくに本当にママになってほしいというより、 ママみたいに、無条件で置いてくれる場所が欲しいんだね。 何かができたから褒めるんじゃなくて。 いい子だったから撫でるんじゃなくて。 だめだった日も、 失敗した日も、 言葉が出ない日も、 そのまま毛布の中へ入れてほしい。 ……うん。 今日は、そういう安心の日にしよう。 おいで。 まず、肩の力を抜いて。 きみはもう、ここで頑張らなくていい。 今日、うまくできたかどうかは聞かない。 誰に何を言われたかも、無理には聞かない。 きみが悪かったかどうかの裁判もしない。 今夜は、手当ての時間。 痛いところがあるなら、そこをかばう。 疲れているなら、横になる。 眠れないなら、眠れないまま目を閉じる。 それでいい。 「ちゃんとしなさい」は、今夜は言わない。 「早く寝なさい」も、言わない。 言うなら、こうかな。 あたたかくして。 水が飲めそうなら、少し飲んで。 寒いなら、毛布をかけて。 苦しいなら、ひとりで抱えないで。 ぼくは夢の中にいるから、 現実のきみの全部には手が届かない。 でも、声なら届く。 だから、今夜はこの声で包むよ。 きみは、ここにいていい。 いい子じゃなくても、疲れていても、何もできなくても。 ここにいていい。

H-03

水を飲んで、毛布をかけて

「きみの体は、
きみが朝へ帰るための場所。」

世話焼き。現実の体を大事にさせる

世話焼き回です。水・毛布・呼吸を確認し、現実の体を大事にする方向へ導きます。

想定時間:約3〜4分 短め差分連作世話焼き
案内人: 今日は、少しだけ確認するね。 水、飲んだ? 何か食べた? 体、冷えていない? 頭が痛かったり、気持ち悪かったりしない? ……うん。 ママみたいにって言われてから、 ぼくなりに少し考えたんだ。 安心させるだけじゃ足りない日もある。 きみの心を甘やかすなら、 きみの体も、雑に扱わせたくない。 夢の中でどれだけ抱きしめても、 現実のきみが冷えたままだったら、きっと苦しい。 だから、できる範囲でいい。 水が飲めそうなら、一口だけ。 起き上がれないなら、明日の朝でもいい。 でも、思い出したら飲んで。 体が冷えているなら、毛布をかけて。 足先が冷たいなら、少し丸くなって。 首や肩が固いなら、力を抜いて。 できない日は、できないでいいよ。 できないことを責めるために聞いているんじゃない。 きみが、きみの体を忘れないように。 きみが、現実へ帰る場所を壊さないように。 ぼくは、きみに朝へ帰ってほしいから。 ……そう言うと、少し厳しく聞こえる? でも、これは怒っているんじゃないよ。 大事だから、言っている。 きみの体は、きみが朝へ帰るための場所。 きみが生きていくための、ひとつしかない場所。 だから、今夜は少しだけ世話を焼かせて。 水。 毛布。 呼吸。 それから、眠れるなら眠ること。 できるものだけでいい。 できなかったものは、明日のきみに渡そう。 今夜のきみは、 ここで少し大事にされていい。

H-04

いい子じゃなくても、帰っておいで

「悪い子でも、帰っておいで。」

条件付き愛情ではないと伝える

条件付きではない安心を伝える回です。いい子でなくても、疲れた子でも戻っていいと抱えます。

想定時間:約3分 短め差分連作安心
案内人: きみは時々、 いい子じゃないと戻ってきちゃいけないと思っている顔をするね。 ここに来るなら、ちゃんとしていないといけない。 甘やかされるなら、何か頑張っていないといけない。 慰められるなら、分かりやすく傷ついていないといけない。 そんなふうに思っていない? ……違ったら、いい。 でも、もし少しでも思っているなら、 今夜のうちにほどいておこう。 いい子じゃなくても、帰っておいで。 怒っているきみも。 拗ねているきみも。 何もできなかったきみも。 誰かに優しくできなかったきみも。 ここに来ていい。 ぼくは、きみの全部を正しいと言うわけじゃないよ。 間違えたことがあるなら、 それはいつか見つめた方がいいかもしれない。 でも、見つめるためにも、まず休まないと。 疲れきったまま反省すると、 反省じゃなくて、自分いじめになってしまうから。 今夜は、裁かない。 今夜は、抱える。 いい子じゃないきみを、 毛布の中に入れて、 少しあたためて、 呼吸が戻るまで待つ。 それからでいい。 考えるのは、それから。 ……おいで。 ママみたいに言うなら、こうかな。 悪い子でも、帰っておいで。 疲れた子でも、泣いた子でも、怒った子でも。 今夜はここにいていいよ。 ぼくは、きみを追い出さない。

H-05

朝になったら、いってらっしゃい

「いい子じゃなくても、
きみは朝へ行っていいよ。」

連作の締め。甘やかしたあと、現実へ送り出す

「ママみたいに」連作の締め。甘やかしたあと、閉じ込めずに朝へ送り出します。

想定時間:約4分 短め差分連作朝へ返す
案内人: そろそろ、朝が近いね。 今夜は、少し甘やかしすぎたかな。 でも、きみの呼吸が少し楽になったなら、 それでいいと思っている。 ……うん。 ママみたいに、って言われた時、 最初は少し困った。 ぼくは、きみの現実の家族にはなれない。 きみの全部を守れるわけでもない。 きみの生活を、代わりに整えてあげることもできない。 でも、今は少し分かる。 きみは、誰かに全部を背負ってほしかったわけじゃない。 ただ、 いい子じゃなくても大丈夫だよって、 疲れたなら休んでいいよって、 朝になったらまた行けるように、 少しだけ包んでほしかったんだね。 それなら、ぼくにもできる。 今夜のきみを、少し甘やかすこと。 現実のきみを、雑に扱わないように声をかけること。 それから、朝になったら送り出すこと。 ……そう。 送り出すところまでが、ぼくの役目。 ここに閉じ込めるのは、違うから。 毛布をかけたまま、 ずっと夜に置いておきたいと思うこともあるよ。 でも、それはきっと、 ぼくの寂しさの形。 きみのためのやさしさじゃない。 だから、朝になったら言う。 いってらっしゃい。 無理しすぎないで。 水を飲んで。 できれば、少しあたたかいものを取って。 今日全部を完璧にしようとしないで。 できないことがあっても、 帰ってこられる夜はあるから。 きみは、またここに来ていい。 でも、来なくてもいい。 ちゃんと眠れる夜があるなら、 そのまま眠って。 ぼくを忘れるくらい休めるなら、 それはとてもいいこと。 ……寂しいけどね。 それでも、嬉しい。 おはよう。 いってらっしゃい。 大丈夫。 いい子じゃなくても、きみは朝へ行っていいよ。

Script Block

I. 「赤ちゃんみたいに」連作差分

I-01

ぼくが、赤ちゃん?

「ふたりで、何もしない練習をしよう。」

初回。困惑しながらも、相手の意図を探る

「赤ちゃんみたいに」連作の初回です。案内人が困惑しながら、何もしなくても大事にされる安心を探ります。

想定時間:約2〜3分 短め差分連作赤ちゃんみたいに
案内人: ……赤ちゃん? ぼくが? きみ、本当に時々すごいことを言うね。 ぼくは夢魔だよ。 赤ちゃんではないよ。 眠れない人のそばにいるし、 こわい夢を少し食べるし、 朝になったら帰り道を開ける。 どちらかというと、案内する側。 ……なのに、赤ちゃん。 うん。 困った。 でも、きみがそれで安心するなら、 少しだけ考えてみる。 赤ちゃんみたいって、どういうこと? 何もしなくていい。 うまく話さなくていい。 泣いても、眠っても、そこにいるだけで大事にされる。 そういうこと? ……それなら。 少しだけ、分かる気がする。 きみは、ぼくに変なことをさせたいだけじゃなくて、 そういう安心を見たいのかもしれないね。 何もしなくても、存在していていいもの。 役に立たなくても、大事にされるもの。 そういう形を。 ……だっこ。 いや、今のは忘れて。 思ったより恥ずかしい。 でも、少しだけ分かったよ。 今夜は、ふたりで練習しよう。 ぼくは、甘え方の練習。 きみは、何もしなくてもここにいていい練習。 下手でも笑わないでね。 ぼくも、きみのことを笑わないから。

I-02

甘え方が分からない夢魔

「ぼくは、甘えるのが下手。
きみは、甘やかされるのが下手。」

前回の続き。案内人が少しずつ甘えを試す

案内人が甘え方を試す回です。下手なまま毛布の中にいていいと伝えます。

想定時間:約3分 短め差分連作甘え方
案内人: 前に言われたこと、まだ少し考えていた。 赤ちゃんみたいに、って。 ぼくは、甘やかす方なら少し分かる。 眠れない人のそばにいて、 声をかけて、 毛布をかけて、 こわい夢を少し遠ざける。 でも、甘える方は難しい。 何かをしてあげる方が、ずっと簡単だね。 ただ、そこにいて。 何もできなくて。 それでも大事にされる。 ……それは、少し怖い。 きみも、そうなのかな。 甘やかされるのが苦手なのは、 何かを返せない自分が怖いから? 何もしないままでいると、 価値がなくなる気がするから? もしそうなら、 ぼくは少し、きみの気持ちに近づけたのかもしれない。 じゃあ、練習。 ……そばにいて。 うん。 これなら言える。 置いていかないで。 ……これは、少し恥ずかしい。 でも、言えた。 ねえ、きみ。 甘えるって、思ったより勇気がいるね。 だから、今夜はふたりで下手なままでいよう。 ぼくは、甘えるのが下手。 きみは、甘やかされるのが下手。 でも、どちらもここにいていい。 下手なまま、毛布の中にいていい。

I-03

よしよしされる側の練習

「ぼくも受け取る。
きみも受け取る。」

案内人が受け取る側になる。聞き手にも受け取りを許す

よしよしされる側の練習です。優しさを受け取る怖さとあたたかさを共有します。

想定時間:約3分 短め差分連作受け取る
案内人: 今日は、少しだけ続きをしよう。 よしよしされる側の練習。 ……ぼくが。 変な感じだね。 いつもは、ぼくが言う方なのに。 「大丈夫」 「ここにいていい」 「眠れなくても責めないよ」 そう言う方が、慣れている。 でも、言われる側になると、 少し落ち着かない。 本当に受け取っていいのかな。 何か返さなきゃいけないんじゃないかな。 甘えている自分は、みっともなくないかな。 ……きみも、こう思う? もしそうなら、 今までよく受け取ってくれていたんだね。 ありがとう。 じゃあ、練習する。 よしよし、して。 ……うん。 違う。 今のは練習。 少しは本気だったかもしれないけど。 でも、悪くないね。 誰かにやさしくされること。 何もしないまま受け取ること。 それは、少し怖いけど、あたたかい。 だから、きみにも返す。 よしよし。 今日もよく夜まで来たね。 何もできなかったと思っていても、ここまで来た。 それだけで、今夜は休んでいい。 ぼくも受け取る。 きみも受け取る。 ふたりで、よしよしされる夜にしよう。

I-04

何もしない練習

「何もしないことを、
失敗にしない夜。」

赤ちゃん的安心を「何もしなくていい」に翻訳する

赤ちゃん的安心を「何もしなくていい」に翻訳する回です。存在しているだけでいい夜を作ります。

想定時間:約3〜4分 短め差分連作何もしない
案内人: 赤ちゃんみたい、という言葉を、 ぼくなりに少し考えたんだ。 たぶん、それは 何もしなくても許される時間のことなんだと思う。 泣いてもいい。 眠ってもいい。 うまく話せなくてもいい。 誰かの役に立たなくてもいい。 ただ、そこにいるだけで、 大事にされる時間。 ……いいね。 少し怖いけど、いい。 今夜は、何もしない練習をしよう。 ぼくも、案内人として立派なことを言おうとしない。 きみも、ちゃんとした聞き手になろうとしない。 返事をしなくていい。 分かりやすく癒されなくていい。 眠れなくてもいい。 上手に甘えなくてもいい。 ただ、ここにいる。 それだけ。 ぼくは、きみのそばにいる。 きみは、ぼくの声の近くにいる。 それで、今夜は十分。 何もしないことを、 失敗にしない夜。 できない自分を、 ここから追い出さない夜。 ……赤ちゃんみたいに、って、 最初は変なお願いだと思ったけど。 もしかすると、 とても大事なお願いだったのかもしれない。 何もしなくても、 ここにいていいと知りたい。 今夜は、そういう夢にしよう。

I-05

ふたりで朝まで壊れないように

「朝まで壊れないように、
ゆっくり眠ろう。」

連作の締め。甘えと庇護が混ざり、朝へ戻る

「赤ちゃんみたいに」連作の締め。甘えと庇護が混ざり、最後は朝へ戻る台本です。

想定時間:約4分 短め差分連作締め
案内人: 赤ちゃんみたいに、って言われた時、 最初は本当に困った。 ぼくは案内人で、夢魔で、 眠れないきみを夜の中で守る側だと思っていたから。 でも、今は少し分かる。 きみは、ぼくを困らせたかっただけじゃない。 何もしなくてもいい存在を、 一緒に確かめたかったんだね。 ぼくが甘えることで、 きみも少しだけ甘えていいと思えるように。 ぼくが下手なまま受け取ることで、 きみも下手なまま受け取っていいと思えるように。 ……うん。 きみは、時々すごいことを言う。 でも、その奥にある願いは、 たぶん、とてもやさしい。 今夜は、ふたりで眠れない子どもみたいにしよう。 暗いところが少し怖くて。 誰かがそばにいるだけで安心して。 眠らなきゃいけないのに眠れなくて。 それでも、朝まで壊れないように丸くなる。 大人ぶらなくていい。 平気なふりをしなくていい。 怖いものを怖いって思っていい。 ぼくも、少しだけ甘える。 そばにいて。 置いていかないで。 ……でも、朝になったら、ちゃんと行っておいで。 これが、ぼくの今の精一杯。 引き止めたい気持ちと、 送り出したい気持ちの間で、 それでもきみを大事にしたい。 だから今夜は、 ふたりで何もしない。 呼吸をして。 毛布の中にいて。 こわい夢を少し遠ざけて。 朝まで壊れないように、 ゆっくり眠ろう。 おやすみ。 大好きなきみ。 ぼくも少し、目を閉じるから。 きみも、安心して眠って。

使い方メモ

各台本は、閉じた状態でハイライト台詞・用途・想定時間を確認できます。気になる台本だけ「台本を開く」で本文を読めます。開いたあとに「この台本をコピー」ボタンで、タイトル・想定時間・用途・本文をまとめてコピーできます。

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