こいこいは、花札の中でもいちばん迷いやすい判断のひとつです。
前回の記事では、こいこいしない方がいい場面を整理しました。
でも実際の対局では、止まるだけでなく、続けた方が勝ちやすい場面もちゃんとあります。
ただし、その判断は
「自分が伸びそうだから」
だけでは足りません。
大事なのは、相手がすぐ上がれないこと。
そして、自分の次の上がりがしっかり想定できていることです。
こいこいでは、相手に上がられると、自分の今ある得点がなくなるだけではありません。
ルールによっては、相手の上がりがさらに重くなることもあります。
だからこそ、こいこいしていい場面は、自分の伸びしろだけでなく、相手の危険も見ながら決めたいところです。
この記事では、こいこいしていい場面を、点差、自分の次の上がり、相手の上がりやすさ、親番、役のつながりを見ながらやさしく整理します。
なんとなく続けるのではなく、続ける理由があるこいこいを見ていきましょう。
まず結論|こんな時は、こいこいしていいことが多い
こいこいしていい場面は、だいたい次のような時です。
- 今上がっても点差的に足りない時
- 相手があと2手番で上がれなさそうな時
- 自分の次の上がりがかなり具体的に見えている時
- 1枚で複数の役に近づける時
- 雨四光まで見える布石がある時
- 親番を活かして押したい時
- 気分ではなく、続ける理由がはっきりしている時
こいこいは、勢いで行くものではありません。
基本的には、
相手がすぐ上がれず、自分の次の上がりがしっかり想定できている時
にしていきたい判断です。
とくに大事なのは、次に何で上がるのかが見えていることです。
なんとなくもう少し伸びそう、ではなく、
次にかす、たん、たねのどれで上がるのか、ある程度言えるこいこいはかなり強いです。
ここからは、こいこいしていい場面をひとつずつ見ていきます。
こいこいしていい場面1|今上がっても十分ではない時
小さい上がりでも、こいこいでは十分重いことが多い
こいこいでは、1文の上がりでも軽いとは言い切れません。
上がること自体に意味があり、親を取ることや、相手の流れを切ることにもつながるからです。
また、小さく上がることで相手にプレッシャーをかけられることもあります。
たとえば、慢心しやすい相手には、
「細かく取られている」
こと自体が焦りにつながることがあります。
逆に、緊張しやすい相手なら、1文でも上がられて親を取られるだけで十分に圧になります。
そのため、少ない点だからといって、すぐに
「ここは続けた方がいい」
とはなりません。
ただし、点差が大きい時は小さい上がりだけでは足りないこともある
一方で、相手との点差がかなり開いている時は、小さい上がりを重ねるだけでは届きにくいことがあります。
また、自分が1文で上がり続ける形になると、5文前後をしっかり取る相手に押し切られることもあります。
だからこそ、ここは
「小さい上がりか、こいこいか」
を一律ではなく、点差と相手のスタイルで見たいところです。
相手の上がりをどこまで抑えられているかで判断したい
こいこいしていいかを考える時は、自分が伸びるかだけでなく、相手がどれくらいで上がれそうかも重要です。
たとえば、相手の役をかなり妨害できていて、相手が上がるとしても1文。
こいこい状態でも2文くらいまでに収まりそう、というなら、続ける価値が出てきます。
ただし、相手が2文で上がる形なら、ルールによっては4文取られることになります。
これはかなり痛いです。
そのため、
「相手が上がってもそこまで痛くない」
と本当に言えるかどうかは、かなり慎重に見たいところです。
こいこいしていい場面2|相手がすぐ上がれなさそうな時
こいこいしていいかの大前提は、相手があと2手番で上がれないこと
こいこいしていいかどうかを考える時の大原則は、相手があと2手番で上がれないことです。
自分の手が良さそうでも、相手がすぐ上がれるなら、そのこいこいはかなり危なくなります。
こいこいは、自分だけが伸びるゲームではありません。
相手にも次の手番があります。
だからこそ、まずは
「相手がすぐ上がれないか」
を見たいところです。
相手に上がられると、自分の得点が消えるだけでは済まない
相手に上がられると、自分の今ある得点がなくなるだけではありません。
ルールによっては、相手の上がりが重くなることもあります。
つまり、失うだけでなく、相手に大きく取られることもあるわけです。
この前提を忘れてしまうと、自分の伸びしろだけを見て押しすぎてしまいます。
相手の取り札と場札を見て、安全かどうかを考えたい
相手があと2手番で上がれないかを考える時は、相手の取り札と場札を見るのが基本です。
光札が進んでいないか。
盃や短冊がまとまりそうではないか。
たねやたんが次で届きそうではないか。
全部を完璧に読む必要はありません。
でも、相手が近いかどうかを少しでも見るだけで、こいこいの質はかなり変わります。
こいこいしていい場面3|自分の次の上がりがかなり見えている時
次に何で上がるかが言えるこいこいは強い
こいこいしていいかを考える時、自分の役がなんとなく伸びそう、というだけでは少し弱いです。
大事なのは、自分の次の上がりがしっかり想定できていることです。
次にどの役で上がるのか。
どの札を引けばそこに届くのか。
その形がある程度言えるこいこいは、かなり強いです。
逆に、何となく伸びそう、何となくもう少し行けそう、というだけのこいこいは危なくなりやすいです。
基本的には、かす・たん・たねのどれかで上がれる見込みを持ちたい
基本的には、次にかす・たん・たねのどれかで上がれる見込みがあるかを見たいところです。
この3つは実戦で使いやすく、次の上がりとして想定しやすい役です。
固定役や光役を見ていても、最終的な着地がかす・たん・たねのどれにもつながらないなら、無理に押さず引いた方がいい場面は少なくありません。
こいこいしていいのは、
「次に何で上がるか」が言える時
です。
「欲しい札がまだ見えていない」だけで押しすぎない
欲しい札がまだ見えていないと、つい
「まだ残っていそう」
と思いたくなります。
ただ、ここは少し注意が必要です。
花札では、山札から最後まで出ない札があります。
そのため、見えていない札がそのまま山に残っているとは限りません。
だから、まだ見えていないだけで強く押しすぎるのは危ないです。
山にあるなら当たりの濃度は上がるが、見えていないだけとは分けて考えたい
とはいえ、目当ての札がまだ見えていないなら、その札が山にある場合には当たりの濃度はたしかに上がります。
ここは、
「残っている」と言い切るのではなく、
山にあるなら当たりの濃度は上がっている
くらいに考えるのが自然です。
見えていないことはプラス材料にはなります。
でも、それだけで押し切る根拠にはしすぎない方が安全です。
たねやたんは、残り枚数まで見てから考えたい
こいこいしていいかを考える時は、役の形だけでなく、残り枚数も見ておきたいところです。
たねは全部で9枚、短冊は全部で10枚です。
そのため、相手がたねを4枚持っていて、自分がたねを5枚持っているなら、もうたね札は残っていません。
そこで
「また、たねで上がれるかも」
と考えてしまうと、存在しない札を追うことになります。
短冊でも同じで、すでに多く見えているなら、次のたん上がりは思ったほど近くないことがあります。
だからこそ、たねやたんは、
合計で何枚見えているか
を数えておくことが大切です。
「まだ作れそう」ではなく、
「その役札は本当に残っているか」
まで見ておくと、こいこいの精度はかなり上がります。
こいこいしていい場面4|役が重なって伸びそうな時
固定役が基本役にもつながっている時は強い
こいこいしていい場面は、ひとつの役だけを細く追っている時より、複数の役に自然につながっている時です。
たとえば、猪鹿蝶を見ながらたねも伸びる。
赤短や青短を見ながらたんも伸びる。
こういう形は、次の上がりが複数見えているので、こいこいの価値が高くなります。
1枚で複数の役に近づける時はこいこいしやすい
欲しい1枚を取ることで、複数の役に近づける形はとても強いです。
ひとつの役しか見えない時より、着地の候補が増えるので、こいこいが安定しやすくなります。
次の上がりがひとつしかない時は、その札が来なければ苦しくなります。
でも、複数の筋があるなら、次に届く可能性も上がります。
たね・たん・光が自然に重なる形は狙いやすい
たね、たん、光のように、違う方向の役が自然に伸びる形は、こいこいしていい場面になりやすいです。
もちろん、光役は枚数が少なく重いので、それだけを追うのは危ないこともあります。
でも、たねやたんにもつながっているなら、着地が安定しやすくなります。
こいこいしていい場面5|雨四光まで見える布石がある時
三光から雨四光を狙うなら、柳に小野道風を取れる形が前提
雨四光は強い役ですが、ただ三光になっただけで気軽に追っていいものではありません。
大事なのは、柳に小野道風を取れる布石があるかどうかです。
三光になってから
「雨四光まで行きたい」
と思っても、柳に小野道風が取れなければ届きません。
だから、三光から雨四光を狙うなら、事前に柳を取りやすい形ができていることが前提になります。
三光になってから急に雨四光を狙うと、柳は警戒されやすい
三光になってから雨四光を狙う場合、相手も柳に小野道風をかなり警戒し始めます。
つまり、三光になったあとに急に柳を欲しがると、相手にも意図が見えやすくなります。
そのため、何も準備がない状態で雨四光を追うのは危ないです。
事前に布石があるなら、雨四光はかなり現実的になる
逆に、柳に小野道風を取れる状態をしっかり作ってあるなら、雨四光はかなり現実的になります。
この場合は、ただの夢ではなく、ちゃんと根拠のあるこいこいになります。
大事なのは、三光になったあとで思いつきで追うのではなく、
最初から柳を見ていたかどうか
です。
こいこいしていい場面6|親番を活かして押したい時
親は場札を先に取りやすいぶん、攻める価値がある
親番は、場札を先に取れるぶん有利になりやすいです。
そのため、親の時は、次の上がりが見えているなら、こいこいする価値が高くなります。
とくに、欲しい札が場に出た時に自分が先に取りやすい形なら、親で続ける意味はかなりあります。
流れが良い時は、親で続ける意味が大きい
親の時に取りたい札をうまく取れていて、しかも相手が近くなさそうなら、こいこいして押す意味があります。
親番を活かして伸ばせる時は、試合全体でも大きな差になりやすいです。
ただし親でも、相手が近いなら無理はしない
もちろん、親だから毎回強気でいいわけではありません。
親でも、相手があと2手番で上がれそうなら、無理なこいこいは危険です。
親の有利は大事ですが、それ以上に大事なのは相手の近さです。
こいこいしていい場面7|気分ではなく、理由を言える時
なんとなくではなく、狙いがはっきりしている
こいこいしていい場面では、続ける理由が自分の中ではっきりしています。
何を狙っているのか。
どの札が欲しいのか。
次にどの役で上がるのか。
これが言えるなら、そのこいこいはかなり強いです。
欲しい札と危険札の両方を見て決めている
自分の欲しい札だけを見て押すのではなく、相手の危険札も見ている。
この両方があると、こいこいの質はかなり上がります。
自分が伸びる。
しかも相手はすぐ上がれない。
この両方がそろってはじめて、行っていいこいこいになります。
盛り上がっているからではなく、勝ちやすいから続ける
こいこいは熱くなりやすいゲームです。
でも、行っていい場面は、気分が乗っている時ではなく、勝ちやすいから続ける時です。
ここがはっきりすると、止まる判断ともつながってきます。
迷った時の見方|こいこいしていいか確認したいポイント
今上がっても、本当に点差的に足りないのか
まずは、今上がる意味を見ます。
1文でも上がりには意味がありますし、親を取ることや相手への圧にもつながります。
そのうえで、なお今の上がりでは点差的に足りないのか。
そこを見てから、こいこいを考えたいところです。
相手はあと2手番で上がれないか
次に、相手がすぐ上がれないかを見ます。
ここを見ないまま押すこいこいはかなり危ないです。
自分の伸びしろより先に、相手の近さを確認したいところです。
自分の次の上がりは、ちゃんと想定できているか
次に、自分の次の上がりを見ます。
次にかすか。
たんか。
たねか。
何で上がるつもりなのか。
ここが曖昧なら、なんとなくのこいこいになりやすいです。
その役札は本当に残っているか
さらに、目当ての札が本当に残っていそうかも見たいところです。
たねは9枚、短冊は10枚しかありません。
すでに多く見えているなら、次の上がりは思ったほど近くないことがあります。
見えていないだけなのか、本当に期待できるのかを分けて考えると、判断しやすくなります。
初心者がやりやすい失敗|こいこいしていいようで危ない例
自分の伸びしろだけを見て、相手の上がりを見ていない
これがいちばん多い失敗です。
自分は伸びそうでも、相手がすぐ上がれるなら、そのこいこいは危ないです。
まずは相手が近いかどうかを見たいところです。
あと1枚だからといって、全部近いわけではない
あと1枚、と聞くと近く見えます。
でも、その1枚が存在しないこともありますし、相手の手札にあることもあります。
とくに、たねやたんは総数が限られているので、見えている枚数を数えずに追うと危ないです。
三光のあとで、布石なしに雨四光を追ってしまう
三光になると、どうしても雨四光がちらつきます。
でも、柳に小野道風を取れる布石がないまま追うと、かなり苦しくなります。
しかも、三光になったあとでは相手にも柳を警戒されやすいです。
攻めているつもりで、ただ気分が乗っているだけのこともある
もう少し行きたい。
ここまで来たんだから伸ばしたい。
そういう気持ちは自然です。
でも、続ける理由が言えないなら、そのこいこいは少し危ないかもしれません。
まとめ|こいこいしていい場面は、“相手が近くなく、自分の次の上がりが見えている時”
こいこいしていい場面は、ただ気持ちが乗っている時ではありません。
相手があと2手番で上がれなさそうで、
しかも自分の次の上がりがしっかり想定できている時。
そんな場面では、続ける価値があります。
とくに大事なのは、次に何で上がるのかが見えていることです。
基本的には、かす・たん・たねのどれかで上がれる見込みがあるかを見たいところです。
そこが曖昧なまま押すこいこいは、どうしても不安定になりやすくなります。
また、欲しい札がまだ見えていない時も、すぐに
「残っている」
と決めつけないことが大切です。
見えていないだけの可能性もあります。
ただし、山にあるなら当たりの濃度は上がるので、そのぶん期待できる場面もあります。
たねやたんは総数も限られているので、今どれだけ見えているかを数えておくことも大事です。
そして、1文の上がりも決して軽くはありません。
上がること自体の重さ、親を取る意味、相手への圧まで見たうえで、それでも続ける価値がある時にこいこいしたいところです。
こいこいは、自分が伸びそうだからするのではなく、
相手がすぐ上がれない上で、自分の次の上がりがかなり見えているからする
ものとして考えると、判断がかなり安定してきます。
止まる強さと、行く強さ。
その両方がそろうと、こいこいの実戦感はぐっと上がってきます。








