サザノノ 性分帖。 > 立ち位置 > 先輩
先輩とは、同じ学校や部活、職場などに先に入り、あとから来た後輩に対して、教えたり、守ったり、振り回したりする関係の中で人柄が見えるキャラクターのことです。頼れるかどうかは決め手ではなく、先に入ったという順番が、その人の立ち位置を決めます。
要点
- 辞書では「同じ学校や勤務先などに先に入った人」。決め手は年齢ではなく入った順なので、年下の先輩もいます
- 見分ける条件は3つ。同じ場所に先にいる・後輩がいる・期限がある
- 兄貴分・姉御肌とは、言葉の向きが違います。先輩は順番で決まる立場、兄貴分・姉御肌は年下を引っぱる気質や関係。頼りない先輩も先輩です
- 「田中先輩」のように呼び名にできる言葉なので、「先輩」がそのままキャラの名前になりやすく、作品の題名にもよく使われます
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先輩の意味と語源
「先輩」は、辞書(デジタル大辞泉)で「年齢・地位・経験や学問・技芸などで、自分より上の人」と「同じ学校や勤務先などに先に入った人」とされる言葉です。反対の言葉は「後輩」です。キャラクターの立ち位置として使われるのは、主に二つめの意味です。
辞書(精選版 日本国語大辞典)では、学問や技芸が自分より上の人という意味が平安時代の終わり、1160年ごろの漢詩集から見られます。同じ学校や勤め先に先に入った人という意味では、1892年の巖谷小波の小説に、先輩として後輩の世話を焼く場面が引かれています。先に入った人が、あとから来た人の面倒を見る。今の先輩キャラの形は、この用例にもう表れています。
先輩を決めるのは、年齢ではなく入った順です。会社では年下の先輩も年上の後輩もいます。また「田中先輩」「先輩!」のように呼び名や呼びかけに使えるのに、「後輩」はそういう使い方をしません。そのため、名前を呼ばずに「先輩」とだけ呼ばれるキャラも多く、作品の題名にもなりやすい言葉です。
英語には先輩にぴったり重なる単語がなく、日本の漫画やアニメを通して「senpai」がそのまま使われています。属性としては、組織の中で先に入ったという位置が、周りとの関係や物語の流れを決めるので、立ち位置の群に入れています。
先輩キャラかどうかの見分け方
年上で頼りになる、というだけでは先輩キャラとは言えません。先輩と呼べるのは、次の3つがそろった時です。
- 同じ場所に先にいる:学校、部活、職場、事務所など、同じ集まりに先に入っています。年齢ではなく、順番が立場を決めます
- 後輩がいる:先輩は、あとから来た相手がいて初めて先輩になります。後輩にどう接するかが、そのまま人柄になります
- 期限がある:卒業、引退、異動で、同じ場所にいられる時間は終わります。終わりがあることが、先輩後輩の関係を特別にします
兄貴分・姉御肌・兄キャラ・姉キャラとの違い
先輩は、年下を引っぱる言葉や、年上のきょうだいの言葉とよく混ざります。こう覚えると見分けやすくなります。先輩は先に入った順番、兄貴分・姉御肌は引っぱる気質、兄キャラ・姉キャラは血のつながり。
| 先輩 | 兄貴分 | 姉御肌 | 兄キャラ・姉キャラ | 後輩 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 何を言う言葉か | 同じ場所に先に入った立場 | 年下を兄のように引っぱる関係 | さっぱりして面倒見のいい気質 | 弟や妹がいる、実の兄・姉 | 同じ場所にあとから入った立場 |
| 決め手 | 入った順番 | 慕われているかどうか | 人柄 | 血のつながり | 入った順番 |
| 頼りなくても | 先輩のまま | 兄貴分とは呼ばれない | 姉御肌とは呼ばれない | 兄・姉のまま | 後輩のまま |
| 関係の終わり | 卒業・引退・異動 | はっきりした終わりはない | はっきりした終わりはない | 終わらない | 先輩を送り出す日 |
| 崩れる瞬間 | 後輩に追い越された時 | 弟分に頼られなくなった時 | 守っていた相手に泣かれた時 | きょうだいに拒まれた時 | 先輩の弱さを見た時 |
いちばん並べられるのは兄貴分と姉御肌です。どちらも年下に頼られる人ですが、分かれ目は順番で決まるか、人柄で決まるかです。兄貴分・姉御肌は、同い年でも、組織の外でも、慕われていればそう呼ばれます。先輩は、頼れても頼れなくても、先に入っていれば先輩です。頼れる先輩は、先輩に兄貴分や姉御肌の気質が重なった姿だと考えると整理しやすくなります。
兄キャラ・姉キャラは、血のつながりで決まり、関係に終わりがありません。先輩後輩は、同じ場所にいる間だけの関係です。後輩は先輩の対になる立場で、先輩を慕う側、追いかける側として、別のページにまとめています。
先輩と近い言葉
先輩キャラの型と、合う後輩
先輩キャラは、後輩にどう接するかで型が分かれます。先輩は後輩がいて初めて成り立つので、それぞれの型に、相性のいい後輩の形を添えました。後輩のページからも、同じ組み合わせで戻ってこられます。
困っている後輩にいちばん先に気づき、やり方を教え、失敗は一緒に引き受ける型です。慕われることを当たり前と思わず、自分もかつて誰かに助けられた側だと覚えています。たとえば、有村麻央、姫崎莉波(『学園アイドルマスター』)がこの型です。合う後輩:この先輩みたいになりたいと、背中を追いかける後輩
学校中に名前を知られていて、後輩にとっては遠くから見ているだけの人になる型です。近づいてみると、意外と気さくだったり、人に言えない悩みを持っていたりする。遠さと近さの差が見どころになります。たとえば、桜島麻衣(『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』)がこの型です。合う後輩:気づいてほしいのに、話しかける勇気が出ない後輩
明るく気さくで、真面目な後輩をつい構ってからかう型です。からかうのは、相手が気に入っているから。困った時は面倒見がよく、軽い言葉の裏で後輩をちゃんと見ています。たとえば、姫野(『チェンソーマン』)がこの型です。合う後輩:からかわれるたびに、むきになって言い返す後輩
職場で新人の教育を任され、毎日のように声をかけてくる型です。ガサツで、余計なひと言も多い。けれど、仕事の要所は外さず、後輩が本当に困った時は必ず助けます。たとえば、武田晴海(『先輩がうざい後輩の話』)がこの型です。合う後輩:うざいと言いながら、内心では頼りにしている後輩
先輩なのに失敗ばかりで、しっかり者の後輩に支えられている型です。それでも好きなことには一生懸命で、後輩はなんだかんだ付き合ってしまう。立場と実力が逆になっている面白さがあります。たとえば、先輩(『手品先輩』)がこの型です。合う後輩:呆れながらも放っておけない、しっかり者の後輩
才能のある後輩が入ってきて、自分の場所を譲ることになる型です。悔しさを飲みこみ、チームのために後輩を支える側に回る。それでも自分の出番をあきらめない姿が胸を打ちます。たとえば、菅原孝支(『ハイキュー!!』)がこの型です。合う後輩:才能はあるのに、人との付き合い方を知らない後輩
口数が少なく、何かを丁寧に教えることもない型です。代わりに、誰よりも早く来て、誰よりも遅くまで残る。後輩は、その背中を見てやり方を覚えます。言葉にしない分、たまに口にするひと言が重く響きます。
合う後輩:言われないことを、自分で読み取ろうとする後輩
先輩であることを何かと持ち出し、えらそうにふるまう型です。嫌な人にもなりますが、物語では、実はあまり自信がなくて、肩書きにすがっている姿として描くと憎めなくなります。後輩に助けられて、少しずつ変わっていきます。
合う後輩:受け流しているようで、実は先輩よりできる後輩
同じ場所にいられる時間がもう少ししかない型です。最後の大会、最後の文化祭、引き継ぎの日。残される後輩に何を渡すかで、この先輩の物語は終わります。先輩がいなくなったあとの場面まで含めて、一つの型になります。
合う後輩:先輩がいなくなったあと、その場所を継ぐ後輩
先輩キャラの作り方と台詞例
先輩キャラは、どこで、どれくらい先に入った人で、後輩にどう接しているかで作る属性です。部活か職場か、一学年上か何年も上か、自分は先輩にどう育てられたのかを決めると、人柄がはっきりします。相手になる後輩を一人決めておくと、台詞が書きやすくなります。
台詞は「心の距離」の順に4段階で並べています。表の顔 → ほころび(素が一瞬見える)→ 信頼した相手だけ → 独りの時。先輩キャラは、表の顔では先輩らしく振る舞い、ほころびで後輩への気づかいや弱さがのぞき、信頼した相手には先輩でいることの迷いを話し、独りの時には去っていく日のことを考えています。話し方は口振カルテで調整できます。
下に行くほど心の距離が近づきます。同じ人物の4つの顔として読んでください。
自分のキャラクターの顔を置くと、下の台詞をその子が話しているように読めます。
性分帖の台詞は、自分で作ったキャラクターにどんな口調や性格が合うかを確かめるためのものです。画像と名前はこの端末にだけ保存され、ほかの属性のページでも同じ子が出ます。
ドラッグで位置を動かせます
女性の先輩キャラ
女性の先輩キャラは、部活や寮で後輩をまとめる頼れる人として描かれることが多い形です。後輩の前ではしっかり者でいようとする分、ふとした時に見える弱さや、同期にだけ見せる顔が人柄になります。
- よくある形
- 部をまとめる面倒見のいい部長/寮で後輩の相談に乗る三年生/新人の指導を任された職場の先輩/後輩たちに憧れられている生徒会の先輩
- 外すなら
- 何でもできる憧れの先輩が、後輩の前でだけ得意料理に失敗して、一緒に笑う形にする。または、厳しくて怖いと有名な先輩が、辞めようとしている後輩の話だけは、夜遅くまで黙って聞いている形にする
- 気をつけたいこと
- 後輩の世話をするだけの役で終わらせないこと。その人にも、自分の目標や、先輩に叱られた思い出があると分かると、先輩としての言葉に重みが出ます
1表の顔人前・ふだん
「一年生は先に上がっていいよ。片づけは私たちがやるから」
練習のあと、ボールのかごを押しながら体育館の入り口で
2ほころび素が一瞬見える
「……今のパス、私が一年の時より、ずっとうまいな」
後輩の練習を見ていて、思わず口に出してしまって
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「副部長、私さ、一年の子の名前、まだ二人言えないの。先輩のくせにね」
部活帰りのコンビニの前で、同じ学年の副部長にだけ
4独りの時誰にも見せない本音
「来月の欄、まだ白いままだ。ここに書くの、もう私じゃないんだね」
引退の日が近い夜、部室の壁の練習予定表を眺めながら
男性の先輩キャラ
男性の先輩キャラは、運動部や職場で後輩を引っぱる頼れる人か、後輩にいじられる頼りない人として描かれることが多い形です。どちらも、後輩に追い越されそうになった時や、引退が近づいた時に本当の姿が出ます。
- よくある形
- 声が大きくて後輩思いの運動部の主将/後輩に追い越されても支える側に回る三年生/何かと口を出してくる職場の教育係/後輩にいじられてばかりの気のいい先輩
- 外すなら
- いつも後輩をからかってばかりの先輩が、後輩が試合で負けた日だけは、何も言わずに隣でジュースを飲んでいる形にする。または、頼りない先輩が、後輩が責められた時だけは、誰より先に頭を下げる形にする
- 気をつけたいこと
- 上下関係を理由にした命令や、厳しいしごきを、先輩のかっこよさとして描かないこと。後輩に対して守っている一線を一つ決めると、頼れる先輩に見えます
1表の顔人前・ふだん
「おう、また残ってんのか。鍵は俺が閉めとくから、あと十分な」
夜の部室で、一人で練習を続けている後輩に声をかけて
2ほころび素が一瞬見える
「……番号、洗って渡した。あいつ、袖を通す前に見たかな、俺が縫い直したとこ」
背番号を後輩に譲った帰り道、同級生に聞かれて
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「あいつがすごいのは分かってる。だから、俺はあいつが崩れた時に出られるようにしときたいんだ」
コーチと二人きりになった体育館で、ボールを拾いながら
4独りの時誰にも見せない本音
「この写真の先輩、俺のこと見てる。今の俺と同じ顔で」
誰もいない帰り道、昔の部の写真をスマホで見返して
女性向けの男性の先輩キャラ
女性向けの男性の先輩キャラは、大人の余裕と、主人公にだけ見せる隙の差が見どころです。後輩の主人公を子ども扱いしながら、さりげなく助けてくれる。その先輩が、ある日ふと、先輩の顔をやめる瞬間にときめきが生まれます。
- よくある形
- 部活で目立つ、憧れの一学年上の先輩/新人の主人公の教育係になった職場の先輩/主人公をいつも子ども扱いする、近所の幼い頃からの先輩/ほかの誰かを見ている、届かない先輩
- 外すなら
- 何でも器用にこなす憧れの先輩が、主人公の前でだけ、緊張してうまく話せない形にする。または、口うるさい教育係の先輩が、主人公が独り立ちした日に、少しだけ寂しそうにする形にする
- 気をつけたいこと
- 先輩という立場を使って、後輩の断りにくさにつけこむ形にしないこと。先輩であることより、主人公を一人の人として扱う場面が、ときめきの芯になります
1表の顔人前・ふだん
「その資料、締め切りは明日だろ。分からないところだけ持ってきて」
残業中の主人公の机に、缶コーヒーを置いていきながら
2ほころび素が一瞬見える
「……いや、成長したなと思って。俺の手、もういらないな」
主人公が一人で取ってきた契約の報告を聞いて、少し目をそらして
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「教育係、今日で終わりだよな。だから、ここからは先輩として言うんじゃない」
異動の内示が出た日の帰り道、駅の改札の手前で
4独りの時誰にも見せない本音
「引き継ぎのメモ、字が俺に似てきた。教えたのはそこじゃないのにな」
誰もいないフロアで、主人公の書いた引き継ぎのメモを読み返して
男性向けの女性の先輩キャラ
男性向けの女性の先輩キャラは、主人公をからかい、振り回しながら、困った時には必ず助けてくれる人として描かれます。学校の誰もが知る憧れの先輩が、主人公にだけ素の顔を見せる形も定番です。
- よくある形
- 部員が二人だけの部の、ちょっと変わった先輩/主人公をからかうのが日課の一学年上の先輩/学校中の憧れなのに、主人公の前では気が抜けている先輩/しっかり者の主人公に助けられてばかりの頼りない先輩
- 外すなら
- いつも主人公をからかっている先輩が、主人公が本気で落ちこんだ時だけ、からかわずに隣に座っている形にする。または、完璧に見える憧れの先輩が、実は後輩の主人公に先輩として認められたくて、毎日こっそり準備している形にする
- 気をつけたいこと
- 体つきや、色っぽい失敗を見どころの中心にしないこと。先輩らしさは、主人公をどう見ているか、何を教えてくれるかに置きます
1表の顔人前・ふだん
「遅いよ、後輩くん。先輩を待たせるとは、いい度胸だね」
放課後の部室で、主人公の席に座ったまま振り向いて
2ほころび素が一瞬見える
「……来ないかと思った。いや、何でもない」
主人公が入ってくるまで、ずっと扉のほうを見ていたことに気づかれて
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「部員名簿、去年は私の名前しかなかったの。二行目を書いた日、一人で祝ったんだよ」
文化祭の片づけのあと、二人だけになった部室で
4独りの時誰にも見せない本音
「寄せ書きの一番下、あの子だけ『先輩へ』じゃなくて私の名前。三回読んだ」
春休みの部室で、卒業アルバムの寄せ書きのページを開いたまま
先輩キャラを書く時のコツと避けたいこと
コツ
- 相手になる後輩を決める:先輩は、後輩がいて初めて先輩になります。どんな後輩と並べるかを先に決めると、先輩の接し方が自然に決まります
- 先輩自身の先輩を決める:その人も、昔は誰かの後輩でした。どんな先輩に育てられたか、その人に何を返したいのかがあると、後輩への接し方に理由が生まれます
- どれくらい先に入ったかを決める:一学年上と、何年も上では距離が違います。差が小さいほど張り合いが生まれ、大きいほど憧れが生まれます
- 終わりの日を意識させる:卒業、引退、異動。先輩後輩の時間には終わりがあります。最後の日に何を渡すかを決めておくと、物語に残る場面が作れます
後輩との距離で変わる見え方
| 後輩との距離 | どう見えるか | 揺らす出来事 |
|---|---|---|
| 友達のように近い | 話しやすい、頼りない | 先輩として叱らなければいけない場面が来る |
| 前に立って引っぱる | 頼れる、まぶしい | 後輩が、自分より前に出始める |
| 遠くから憧れられる | 手が届かない、完璧 | 後輩に、弱いところを見られる |
| からかって構う | 意地悪、楽しそう | からかいすぎて、本当に後輩を傷つける |
| 立場で押さえつける | えらそう、嫌な人 | 後輩のほうが正しかったと分かる |
避けたいこと
- 上下関係を理由にした命令、雑用の押しつけ、厳しいしごきを、先輩らしさや伝統のかっこよさとしてだけ描くこと。描くなら、それを受ける後輩の側の重さも書きます
- 先輩という立場を使って、断りにくい後輩に恋愛の気持ちを押しつけること。恋愛として描く時は、立場を離れた対等な二人として向き合う場面を作ります
- 「先輩だから頼れる」「年上だからしっかりしている」と、立場だけで性格を決めること。頼れる先輩にも、頼りない先輩にも、そうなった理由を一つ持たせます
- 有名な先輩後輩ものの名場面や決め台詞を、そのまま借りること。関係の形は借りても、言葉はそのキャラ自身から作ります
先輩に合う口調・組み合わせやすい属性
合う口振(口振カルテへ)
先輩は立ち位置の属性なので、口振は「後輩にどう話しかけるか」で選びます。前に立って引っぱるのか、さっぱりと面倒を見るのか、細かく世話を焼くのか、軽くからかうのかで、同じ先輩でも印象が変わります。
組み合わせやすい属性
先輩に兄貴分や姉御肌を重ねると、後輩みんなに慕われる頼れる先輩に。世話焼きを重ねれば、後輩の生活まで気にかける先輩になります。高嶺の花を重ねると、遠くから見ているだけの憧れの先輩に、ポンコツを重ねると、後輩に支えられる頼りない先輩になります。苦労人を重ねれば、上からも下からも頼まれごとが集まって胃を痛める先輩になります。
ぶつかりやすい属性(あえて使うと面白い)
天才や不良・ヤンキーの後輩は、先輩とぶつかりやすい属性です。一人に重ねるより、関係性で並べると引き立ちます。入ってすぐに先輩を追い越す天才、言うことを聞かない不良の後輩。先輩がいちばん手を焼いた後輩ほど、送り出される日にいちばん泣いていたりします。
先輩キャラの歴史
「先輩」は、もとは学問や技芸が自分より上の人を指す言葉でした。学校や会社の仕組みが広まると、同じ場所に先に入った人を指すようになり、部活や職場の物語に欠かせない立場になりました。ここでは、主な出来事をまとめます。
年表を開く
学問や技芸が自分より上の人という意味で、平安時代の終わりの漢詩集(1162〜64年ごろ)から用例が見られます。前任者という意味は1186年、遊里の評判記(1678年)にも用例があります。
巖谷小波の小説に、先に入った先輩が後輩の世話を焼く場面が書かれます。同じ学校や勤め先に先に入った人という意味の用例として、辞書に引かれています。
社会人類学者の中根千枝が『タテ社会の人間関係』を出し、日本の組織では上下の序列が人間関係の中心になっていると論じます。先輩後輩の関係も、この「縦社会」の一つとして語られるようになりました。
3年生の先輩に片思いする1年生の女の子を描いた少女漫画が連載され、単行本2巻で100万部を超えます。2015年には映画になりました。届かない憧れの先輩は、少女漫画の定番の相手です。
英語圏のネットで「Notice me, senpai(先輩、気づいて)」という言い回しが広まります。特定の作品の台詞ではなく、憧れの先輩に気づいてほしい後輩という、日本の学園ものによくある形をまとめた言葉です。
一学年上の女優の先輩と、後輩の男子の物語のライトノベルが始まり、「バニーガール先輩」という呼び名で知られるようになります。
職場の面倒見のいい先輩と、素直になれない後輩を描いた漫画がSNSで人気になり、2018年に次にくるマンガ大賞のWebマンガ部門1位、2021年にアニメになります。大人の先輩後輩ラブコメの代表作になりました。2019年には、失敗ばかりの先輩と後輩の助手の学園コメディもアニメになっています。
投票で選ぶ「アニメ化してほしいマンガランキング」で、2022年に先輩と後輩女子の恋を描く『先輩はおとこのこ』が1位になり、2024年にアニメになります。2026年には『隣の席の変な先輩』が1位でした。題名に「先輩」の入る作品が、続けて上位に選ばれています。
今の先輩キャラのイメージ
- 題名になる先輩:『先輩がうざい後輩の話』『先輩はおとこのこ』『隣の席の変な先輩』のように、「先輩」を題名に入れた作品が人気を集めています。名前より先に、関係そのものが作品の顔になっています
- 優しい先輩は女性向けの定番:ふだんは穏やかに見守り、いざという時に後輩を助ける「優しい先輩」が、女性向けの作品で好まれています。面倒見のよさは、恋愛とは別に好かれる魅力です
- 職場の先輩も主役に:学校だけでなく、職場の先輩後輩を描くラブコメも、アニメになるほどの人気作になりました。職場の先輩が恋の相手になる時は、後輩や同期にはない余裕や経験が、好きになるきっかけになります
- えらそうな先輩より、見下さない先輩:部活での厳しすぎる上下関係は、問題として取り上げられるようになりました。好かれる先輩の条件は、後輩を見下さないこと、感情が安定していることです
- 海外でも「senpai」:憧れの先輩に気づいてほしい後輩という形は、海外のファンにもお約束として知られています。先輩後輩の関係そのものが、日本の作品の持ち味として見られています
- 2025〜2026年に人気の作品では:姫崎莉波(『学園アイドルマスター』)のように、面倒見のいい年上のお姉さんが先輩として好まれています
よくある質問
先輩とはどういう意味ですか?
同じ学校や勤務先などに先に入った人のことです。年齢・地位・経験や学問・技芸などで自分より上の人を指すこともあります。反対の言葉は後輩です。
先輩と兄貴分の違いは何ですか?
先輩は、同じ場所に先に入ったという順番で決まる立場です。兄貴分は、年下を兄のように引っぱり守ることで慕われる関係です。頼りない先輩も先輩ですが、頼りない人は兄貴分とは呼ばれません。
年下の先輩はありえますか?
ありえます。先輩かどうかは年齢ではなく入った順で決まるので、会社などでは年下の先輩や年上の後輩もいます。物語では、この逆転が関係の面白さになります。
「先輩風を吹かす」とはどういう意味ですか?
先輩らしいようすをして、えらそうにふるまうことです。「〜風を吹かす」は、それらしくふるまうという意味で、悪い意味で使われます。
先輩と後輩の組み合わせはどう考えればいいですか?
先輩の接し方に合わせて後輩を決めると組みやすくなります。面倒見のいい先輩には追いかける後輩、からかう先輩には言い返す後輩、頼りない先輩にはしっかり者の後輩、のように並べると関係が引き立ちます。
先輩キャラを魅力的に書くコツは?
相手になる後輩と、その先輩自身がどんな先輩に育てられたかを決めることです。そのうえで、卒業や異動といった終わりの日に何を渡すかを決めておくと、印象に残る先輩になります。
次に読む
参考にした資料
- コトバンク「先輩」(精選版 日本国語大辞典:学問・技芸などが上の人、前任者、同じ学校や勤め先に先に入った人。用例の年代、1892年の巖谷小波『暑中休暇』)
- Weblio「先輩」(デジタル大辞泉:二つの意味、反対語の後輩)
- Wikipedia(日本語版)「先輩」(入った順で決まり年齢は問わない、部活の上下関係と2013年の報道、大学のハラスメント指針)
- Wikipedia(英語版)「Senpai and kōhai」(組織の中の非公式な上下関係、互いに必要とし合う関係、韓国語・中国語の同じ漢字の言葉)
- Weblio「上下関係」(中根千枝『タテ社会の人間関係』1967年、縦社会)
- TV Tropes「Sempai/Kohai」(先輩は後輩を守る、後輩が先輩を追い越す逆転、卒業後も続く関係)
- Fanlore「Notice Me, Senpai」(2012年ごろに始まったミーム)
- Know Your Meme「I Hope Senpai Will Notice Me」(Tumblrでの広がり)
- Oggi「後輩に好かれる先輩」の特徴(2024年)(20〜30代女性110人。優しい、見下さない、感情を安定させる)
- Oggi「好きな先輩との恋を実らせる方法」(2025年)(20〜30代女性。先輩を好きになったことがある人が約3割、大人の余裕や経験)
- にじめん「最強に頼れる“優しい先輩”キャラ」(2025年)(菅原孝支ほか10人)
- 『学園アイドルマスター』公式「有村麻央」(寮の寮長で面倒見がよい、後輩達から小さな王子様として慕われる)
- Wikipedia(日本語版)「青春ブタ野郎シリーズ」(桜島麻衣:主人公の一学年上、子役出身の女優、2014年4月第1巻)
- Wikipedia(日本語版)「チェンソーマン」(姫野:明るく気さく、後輩をからかう、面倒見がよい)
- 電撃オンライン「『先輩がうざい後輩の話』アニメ化」(面倒見のいい先輩・武田と素直になれない後輩・五十嵐、次にくるマンガ大賞2018 Webマンガ部門1位)
- Wikipedia(日本語版)「先輩がうざい後輩の話」(登場人物)
- マンガペディア「手品先輩」(あがり症で失敗ばかりの先輩と助手の後輩、2019年アニメ)
- Wikipedia(日本語版)「ハイキュー!!」(菅原孝支:3年の副主将、影山の入部後に控えへ、後輩の成長を後押し)
- ジョルダン映画「先輩と彼女」(2004〜2005年『別冊フレンド』連載、100万部、2015年映画)
- 電ファミニコゲーマー「アニメ化してほしいマンガランキング」2022年(『先輩はおとこのこ』が1位)
- Gamer「テレビアニメ『先輩はおとこのこ』」(2024年ノイタミナで放送)
- 玩具人「アニメ化してほしいマンガランキング」2026年(『隣の席の変な先輩』が1位、総投票数22万票以上)

