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天才とは、生まれつき並外れた才能を持ち、周りからも「天才」と認められて、その才能で物語を動かすキャラクターのことです。
要点
- 漢語の「天才」は、天から分け与えられた才能のこと。英語の genius も、生まれた時から人を見守る守護霊を指す言葉でした。才能は授かりもの、という見方が言葉に残っています
- 見分ける条件は3つ。並外れた才能がある・周りがそれを天才と認めている・その才能が物語を動かしている
- 天才肌とは、見ている場所が違います。天才肌は才能の出方やふるまい、天才は才能の大きさと、天才として扱われる立場。このページでは、天才がいることで物語がどう動くかを中心に書きます
- 創作の天才は、追いかけられる、比べられる、期待される、自分で名乗る、など物語の中での役回りで魅力が変わります
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天才の意味と語源
「天才」は、辞書(精選版 日本国語大辞典)では「天性の才能。生まれつき備わっている、普通の人とはかけはなれたすぐれた才能。また、その才能をもっている人」とされています。日本では9世紀の漢詩集『経国集』(827年)の序にすでに使われている、古い言葉です。漢語としては「天から分かち与えられた才能」という意味で、唐の時代の詩人の例が知られています。
英語の genius は、ラテン語で「守護霊」を指す言葉でした。人が生まれた時からそばにいて見守る霊で、その人の生まれ持った性質も表しました。17世紀ごろには「生まれつき才能のある人」の意味で使われるようになります。東でも西でも、天才は自分で手に入れるものではなく、天や霊から授かるもの、と考えられてきたことが分かります。
努力して学業などで認められた秀才とは区別される、という説明も辞書や百科事典に共通しています。一方で、天才と呼ばれる人には努力を重ねる「努力の天才」も多い、という見方もよく語られます。天才は本人の努力の量ではなく、才能の大きさと、それを周りがどう受け止めているかを表す言葉です。
属性としては、天才と呼ばれる立場が、周りの人の見る目や物語の流れを決めるので、立ち位置の群に入れています。才能の出方や性格のくせの側から描く時は、天才肌のページを見てください。
天才キャラかどうかの見分け方
頭がいい、何でもできる、というだけでは天才キャラとは言えません。天才と呼べるのは、次の3つがそろった時です。
- 並外れた才能がある:同じ年ごろ、同じ分野の人たちと比べて、ひとりだけ桁が違う。分野は頭脳でも、芸術でも、スポーツでも構いません
- 周りがそれを天才と認めている:作中で「天才」「神童」「10年に1人」と呼ばれている。本人が名乗るだけの時もありますが、その時は周りの反応が見どころになります
- その才能が物語を動かしている:主人公の目標になる、ライバルになる、期待を背負う、世界を変えようとする。天才がいることで、話が前に進みます
天才肌・秀才・神童・ハイスペとの違い
天才は、才能がある人を表す言葉とよく混ざります。こう覚えると見分けやすくなります。天才は才能の大きさと立場、天才肌は才能の出方とふるまい、秀才は努力で積み上げた力、神童は子どものうちの天才、ハイスペは全部そろった人。
| 天才 | 天才肌 | 秀才 | 神童 | ハイスペ | |
|---|---|---|---|---|---|
| 何を言う言葉か | 才能の大きさと、天才と呼ばれる立場 | 才能の出方・気質・ふるまい | 努力で積み上げた力と結果 | 幼いころから見せる並外れた才能 | 能力・見た目・地位がそろっていること |
| 才能の出どころ | 生まれつき(と周りが見ている) | 生まれつき(に見える) | 努力 | 生まれつき | 問わない |
| 物語での役割 | 目標・壁・期待の的 | ギャップで魅せる人 | 天才と並べられる努力の人 | その後どうなるかで物語になる | 憧れの相手 |
| 崩れる瞬間 | 天才と呼ばれなくなった時 | 才能が通じない場面に出会った時 | 努力しても届かない天才に出会った時 | 大人になって周りが追いついた時 | 完璧でない一面を見られた時 |
いちばん混ざりやすいのは天才肌です。辞書でも、天才肌には「天才を感じさせる雰囲気がある」「天才らしく振る舞う」という意味があり、「肌」がつくと、天才のように見える人、という響きになります。天才肌のページは、無自覚、やる気がない、生活がだめ、のように才能とどう付き合っているかで型を分けています。天才のページは、天才がいることで周りと物語がどう動くかで型を分けます。同じキャラが両方に当てはまることもよくあります。
秀才は、天才と対にされる努力の人です。神童は子どものうちの天才で、「十で神童十五で才子二十過ぎればただの人」ということわざのとおり、大人になってからどうなるかが物語になります。ハイスペは、才能だけでなく見た目や地位までそろった人で、天才のように一つの分野で桁が違うとは限りません。
天才と近い言葉
| 鬼才 | 奇才 | ギフテッド | 自称天才 | |
|---|---|---|---|---|
| どんな言葉か | 人間離れした才能。常人が思いつかない発想をする人 | 世にもまれな、すぐれた才能。芸術の分野でよく使う | 生まれつき特定の分野で高い能力を持つ子。教育の言葉 | 自分で自分を天才と名乗るキャラ |
| 天才との関係 | 発想の独特さに重心がある。作家や映画監督への呼び名に多い | 天才より「変わっている」響きが強い | 現実の教育の話。創作の「天才」とは分けて考える | 本当に才能があるかは別。周りとの温度差が笑いになる |
天才キャラの型
天才キャラは、物語の中でどんな役回りを任されているかで分かれます。誰に追われ、何を背負い、才能をどこに向けているか。よく描かれる型を並べました。
子どものころに神童と呼ばれ、ある時からその才能を思うように使えなくなった型です。周りはまだ昔の天才を覚えている。もう一度あの場所に立つ、その一歩が物語になります。たとえば、有馬公生(『四月は君の嘘』)がこの型です。
主人公より先を行き、目標として立っている型です。主人公が追いつこうとするほど、天才のほうも主人公を意識し始める。二人が並ぶ日が、物語の山場になります。たとえば、塔矢アキラ(『ヒカルの碁』)や、狼嵜光(『メダリスト』)がこの型です。
周りが認める前から、自分を天才と言い張る型です。最初は笑われるのに、名乗るほどの才能が少しずつ本物になっていく。言葉に実力が追いついてくる過程が見どころです。たとえば、桜木花道(『SLAM DUNK』)がこの型です。
同じ時代に、天才が何人もそろっている型です。一人ひとりが違う分野で桁違いで、主人公はその世代に挑む側になる。天才どうしの関係そのものも物語になります。たとえば、キセキの世代(『黒子のバスケ』)がこの型です。
誰にも習わず、自分だけの場所で才能を育ててきた型です。型破りな力が、英才教育を受けてきた人たちを驚かせる。才能を見つけた師や、同じ道を歩む友との出会いが物語を動かします。たとえば、一ノ瀬海(『ピアノの森』)がこの型です。
並外れた頭脳を、国や社会の仕組みそのものを変えるために使う型です。正しいかどうかより、その計画の大きさに読者が引きこまれる。天才の才能が、物語の舞台ごと動かします。たとえば、ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ(『憂国のモリアーティ』)がこの型です。
「史上最高」「期待の新星」と呼ばれ、周りの期待をそのまま背負っている型です。才能は本物なのに、完璧であろうとして肩に力が入る。期待の外で認めてくれる相手との出会いが転機になります。たとえば、四ノ宮キコル(『怪獣8号』)がこの型です。
得意な分野では簡単すぎて退屈し、わざと向いていない道を選ぶ型です。できないことに挑む毎日を、本人がいちばん楽しんでいる。天才の才能より、その選び方の変わり方が魅力になります。たとえば、篠澤広(『学園アイドルマスター』)がこの型です。
周りが追いつき、天才と呼ばれなくなった後を描く型です。才能が消えたのではなく、特別でなくなっただけ。それでもその道を続けるのか、別の道を探すのか。天才の「その後」を描く形です。
天才的な頭脳を、倫理より好奇心のために使う型です。マッドサイエンティストの姿で描かれることが多く、敵にも味方にもなる。止める人がそばにいるかどうかで、物語の色が大きく変わります。
天才キャラの作り方と台詞例
天才キャラは、才能の大きさと、それが周りにどう見られているかで作る属性です。誰に天才と呼ばれ、誰に追われ、何を期待されているのかを決めると、天才の立場がはっきりします。性格のくせや才能の出方から作る時は天才肌のページを見てください。
台詞は「心の距離」の順に4段階で並べています。表の顔 → ほころび(素が一瞬見える)→ 信頼した相手だけ → 独りの時。天才キャラは、表の顔では天才としての立場を当たり前に引き受け、ほころびで呼び名と自分とのずれがにじみ、信頼した相手には天才と呼ばれる重さを話し、独りの時には天才でなくなった自分を想像しています。話し方は口振カルテで調整できます。
下に行くほど心の距離が近づきます。同じ人物の4つの顔として読んでください。
自分のキャラクターの顔を置くと、下の台詞をその子が話しているように読めます。
性分帖の台詞は、自分で作ったキャラクターにどんな口調や性格が合うかを確かめるためのものです。画像と名前はこの端末にだけ保存され、ほかの属性のページでも同じ子が出ます。
ドラッグで位置を動かせます
女性の天才キャラ
女性の天才キャラは、「天才少女」と呼ばれ続けてきた子として描かれることが多い形です。最年少、史上初、期待の星。肩書きが先に歩いていて、本人はその後ろを追いかけている。肩書きの外で、自分の好きなものを見つけた時の顔が見どころになります。
- よくある形
- 幼いころから大会で勝ち続けてきた天才少女/飛び級で大学に入った研究者/最年少で記録を塗りかえた棋士/家の看板を背負って育った才女
- 外すなら
- 天才少女と呼ばれなくなった年齢の彼女を主役にして、もう一度始める話にする。または、初めて自分に勝った同い年の子に、悔しさより先に嬉しさを感じる形にする
- 気をつけたいこと
- 才能と肩書きだけで人物を説明しないこと。好きな食べ物、苦手なこと、天才と関係ない一面を一つ入れると、肩書きの奥にいる本人が見えてきます
1表の顔人前・ふだん
「最年少なのは、たまたま早く始めただけです。次も同じように滑ります」
表彰式のあと、記者に囲まれて、メダルを手の中で裏返しながら
2ほころび素が一瞬見える
「あの子、ずっと私の動画を見て練習してたんだって。……なんか、変な感じ」
更衣室で、自分のまねをしていた年下の選手の話を聞いて
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「メダル、裏側のほうが好き。何も彫ってないから。コーチ、次は表を見ないで滑っていい?」
練習帰りのバス停で、小さいころから見てくれているコーチにだけ
4独りの時誰にも見せない本音
「天才じゃなくなっても、私はたぶん滑ってる。それならいいか」
誰もいない夜のリンクで、一人で一周してから、靴ひもを結び直して
男性の天才キャラ
男性の天才キャラは、主人公の前に立ちはだかる壁として描かれることが多い形です。同じ年に生まれ、同じ道を選び、いつも一歩先にいる。主人公が強くなるほど、天才のほうも主人公だけを見るようになる。追う側と追われる側が入れかわる瞬間が、物語の山場になります。
- よくある形
- 名門の家に生まれた、将来を約束された天才/「10年に1人」と呼ばれる世代のエース/主人公が目標にしている同い年の棋士や選手/敵の組織を一人で動かす頭脳
- 外すなら
- 無敵の天才が、主人公に負けた日から急に楽しそうになる形にする。または、天才のほうが、主人公の何気ない一手にずっと憧れていたと分かる形にする
- 気をつけたいこと
- 天才を、主人公を引き立てるための負け役だけにしないこと。天才の側にも、勝ち続ける理由や、主人公を待っている理由を持たせると、二人とも好きになってもらえます
1表の顔人前・ふだん
「次の対局、あいつが上がってくるなら出る。それ以外は興味がない」
大会の組み合わせ表の前で、周りのざわめきを気にも留めずに
2ほころび素が一瞬見える
「今の手、誰に習った? ……いや、いい。自分で考えたんだろうな」
練習試合のあと、主人公の打った一手を盤上でなぞりながら
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「ずっと一人で先を歩いてた。後ろから足音が聞こえたのは、お前が初めてだ」
勝負がついたあとの帰り道、主人公と並んで歩きながら、前を向いたまま
4独りの時誰にも見せない本音
「いつか追い越される。その日を、少しだけ待ってる」
夜の自分の部屋で、今日の対局の記録を一手目から並べ直して
女性向け作品の天才キャラ
女性向けでは、主人公の中に眠る才能を、誰より先に見つけてしまう天才の男性がよく描かれます。天才作曲家、天才演出家、若くして名を上げたプロデューサー。誰もが彼に認められたがっているのに、彼が目を留めたのは主人公だけ。才能を見る目を持つ人に見つけられる喜びが、恋の始まりになります。
- よくある形
- 若くして賞を総なめにした天才作曲家/主人公の声を一度聞いただけで覚えている演出家/新人を見抜く目を持つ天才プロデューサー/家業を継いで頂点に立った天才職人
- 外すなら
- 天才の彼が、主人公の才能を見つけたつもりで、実は自分が主人公に救われていたと気づく形にする。または、主人公が彼の作品の最初のファンだったと分かる形にする
- 気をつけたいこと
- 天才だから主人公の人生を決めていい、という形にしないこと。才能を見つけるのは彼でも、道を選ぶのは主人公だと描くと、彼の目の確かさが優しさとして伝わります
1表の顔人前・ふだん
「次の主役は、今の子にする。理由? 聞けば分かるでしょう」
オーディション会場で、ざわつく審査員たちを前に、ペンを置いて
2ほころび素が一瞬見える
「僕が天才かどうかは知らない。でも、君を見つけたのは僕だ。それは譲れない」
稽古場の隅で、ほかの演出家に声をかけられた主人公を見て、つい口をはさんで
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「客席から見ると、僕の照明は三か所暗い。君の立ち位置だけ、明るかった。それを言いに残った」
公演が終わった夜の客席で、二人きりになってから、照明の落ちた舞台を見ながら
4独りの時誰にも見せない本音
「次の曲は、あの人が歌うところしか想像できない」
仕事部屋で、何も書かれていない五線紙を前に、主人公の歌の録音を流しながら
男性向け作品の天才キャラ
男性向けでは、自分を天才と言い張るヒロインと、年下なのに主人公より何でもできてしまう天才少女が中心です。発明品はたいてい失敗し、計算は合っているのに常識が抜けている。主人公はその後始末をしながら、彼女の才能が本物になる瞬間に立ち会うことになります。
- よくある形
- 「天才科学者」を名乗って怪しい発明を持ちこむ同級生/飛び級してきた年下の天才少女/主人公の部活に入ってきた、何でも一回でできる後輩/一つの分野にだけ天才で、ほかは全部苦手な子
- 外すなら
- 自称天才の彼女の発明が、一度だけ本当に主人公を救う形にする。または、天才少女のほうが、主人公の平凡な特技を本気で教わりたがる形にする
- 気をつけたいこと
- 天才少女を、年齢の幼さや無防備さだけで見せないこと。才能に向き合う真剣な顔を一度見せると、かわいさだけでない魅力が伝わります
1表の顔人前・ふだん
「見なさい、この天才の新作を。今度こそ失敗しないから。たぶん」
放課後の部室に、煙の出ている箱を抱えて駆けこんできて
2ほころび素が一瞬見える
「……動いた。ねえ、今の見た? 本当に動いたよね?」
何十回目かの実験で装置が初めて動き、主人公の袖をつかんで
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「失敗、この図面で六十八回目。天才って名乗ってるのは、六十九回目をやる口実。手伝った人には、ばれるね」
片づけを手伝ってくれた主人公にだけ、焦げた設計図を広げたまま
4独りの時誰にも見せない本音
「次に成功したら、あいつの名前も設計図に書いておこう」
夜の部室で、一人で新しい図面を引きながら、ペンの先を止めて
天才キャラを書く時のコツと避けたいこと
コツ
- 才能の分野を一つに絞る:何でもできる天才より、一つの分野で桁が違う天才のほうが、才能の大きさが伝わります。ほかの分野は普通、または苦手にしておくと人物に幅が出ます
- 天才と呼ぶ人を決める:本人が名乗るのか、周りが呼ぶのか、世間が肩書きをつけるのか。呼ぶ人が違うと、同じ天才でも立場がまったく変わります
- 才能を見せる場面を一つ作る:説明で「天才」と書くより、周りが息をのむ一場面を見せるほうが伝わります。見ている人の反応で、才能の大きさを描きます
- 天才の隣に誰を置くかを決める:追いかける主人公、比べられる努力家、才能を見つけた師。天才は一人では物語にならず、隣にいる人で役回りが決まります
天才と呼ぶ人で変わる見え方
| 天才と呼ぶのは | どう見えるか | 揺らす出来事 |
|---|---|---|
| 本人 | にぎやか、少し笑える | 名乗るほどの力が、本当に必要になる |
| 周りの仲間 | 頼もしい、少し遠い | 仲間に頼られすぎて、弱音が言えなくなる |
| 世間・肩書き | まぶしい、近寄りがたい | 肩書きと本人とのずれを、誰かに見抜かれる |
| ライバル・主人公 | 目標、乗り越えたい壁 | 追いかけてきた相手に、初めて並ばれる |
| 誰も呼ばない | 埋もれている、まだ知られていない | 才能を見つける人に出会う |
避けたいこと
- 天才だから何でも解決できる、という使い方ばかりにすること。才能が届かない場面を一つ作ると、天才のすごさがかえって引き立ちます
- 天才だから周りを見下していい、乱暴でいい、という形を正しさとして描くこと。才能と人への敬意は別の話として書きます
- 天才と努力の人を、どちらかが正しい形で描くこと。才能を持つ側にも、持たない側にも、それぞれの痛みと誇りがあります
- 現実の発達の特性や、教育の「ギフテッド」を、創作の天才の設定として軽く借りること。現実の話は、調べたうえで丁寧に扱います
- 実在の作品の天才キャラの決め台詞を、そのまま借りること。台詞は、その人が天才と呼ばれている立場から作ります
天才に合う口調・組み合わせやすい属性
合う口振(口振カルテへ)
天才は立ち位置の属性なので、口振は「天才と呼ばれる立場を、どう引き受けているか」で選びます。言い切るのか、余裕を見せるのか、屈託なく話すのか、自分を下げるのかで、同じ天才でも印象が変わります。
組み合わせやすい属性
天才にライバルを重ねると、主人公の前に立ちはだかる目標に。自信家を重ねれば、自分を天才と言い切って実際に結果を出す人になります。負けず嫌いを重ねると、初めて負けた日から本気を出す天才に、一匹狼を重ねると、才能ゆえに群れずに一人で先を歩く人になります。ポンコツを重ねれば、才能の分野以外はまるでだめな愛される天才に。ナルシストを重ねると、自分の才能をいちばん愛している、にぎやかな自称天才になります。
ぶつかりやすい属性(あえて使うと面白い)
凡人や一般人は、天才とぶつかりやすい属性です。一人に重ねるより、関係性で並べると引き立ちます。凡人は天才と比べられて才能の差を知り、一般人は特別な人たちの輪の中で普通の感覚を持ち続ける。天才がいちばん心を動かされるのは、たいていこういう相手です。
天才の歴史
天才という言葉は、日本では千年以上前から使われてきました。天才を研究の対象にする動きは19世紀に始まり、創作の天才キャラは、20世紀後半の漫画やアニメで大きく広がります。ここでは、主な出来事をまとめます。
年表を開く
漢詩集『経国集』の序に「天才」の用例が見られます。生まれつきのすぐれた才能を表す言葉として使われていました。
英語の genius が「生まれつき才能のある人」の意味で使われるようになります。もとは人を見守る守護霊を指す言葉でした。
イタリアの医学者ロンブローゾが『天才と狂気』を書き、天才には病的な面があると論じて大きな議論を呼びます。「天才と狂人は紙一重」という見方は、のちの創作にも影響しました。
イギリスのゴールトンが、天才の才能は遺伝するのかを論じた本を出し、天才が研究の対象になっていきます。
アメリカのターマンが知能検査を改訂し、知能指数の高い子を天才児と呼びました。のちの追跡調査では、高い知能指数がそのまま天才的な業績につながるとは限らなかったと報告されています。
タイトルに「天才」を掲げたギャグ漫画の連載が始まります。家族の中で天才なのは赤ちゃんの弟、という逆さまの笑いで、天才という言葉が子どもにも身近になりました。
自分を天才と名乗る初心者のバスケ漫画(1990年)、天才少年が主人公の目標になる囲碁漫画(1999年)、「10年に1人の天才」が5人そろう世代を描くバスケ漫画(2009年)など、天才を物語の中心に置く少年漫画が次々にヒットします。
アニメ!アニメ!の読者アンケートで、10月31日の「天才の日」に合わせて天才キャラを選ぶ投票が毎年行われます。2023年には1,116人が答え、探偵役や科学者が上位に並びました。
フィギュアスケートを描く漫画のアニメが2025年に始まり、2026年1月から第2期が放送されます。主人公が追いかける「天才少女」の存在が、物語の大きな軸になっています。
今の天才キャラのイメージ
- 頭脳型が中心:名探偵、科学者、策士のような、頭脳で活躍するキャラが天才の代表格です。中でも探偵役は、天才と聞いて思い浮かべやすい形です
- 分野は幅広い:頭脳だけでなく、スポーツ、芸術、操縦、戦いと、天才と呼ばれる分野はさまざまです。「〇〇の天才」と分野をつけて呼ぶのが今の主流です
- 天才は「追われる側」として描かれる:主人公が天才なのではなく、主人公が天才を追いかける、天才と並ぼうとする物語が多く読まれています
- 「努力の天才」という言い方:生まれつきの才能に加えて、誰より試し続ける姿を天才と呼ぶ見方が広がっています。才能と努力を対立させない描き方が好まれています
- 天才の重さへの理解:期待を背負う、天才と呼ばれなくなる、才能の外で居場所を探す。天才であることのしんどさを描く物語に、共感が集まっています
- 2025〜2026年の人気作では:フィギュアスケートの「天才少女」や、退屈から苦手な道を選ぶアイドルの天才少女など、天才を女の子の物語として描く作品が目立っています
よくある質問
天才とはどういう意味ですか?
生まれつき備わっている、普通の人とはかけはなれたすぐれた才能のこと、またその才能を持っている人のことです。漢語では天から分け与えられた才能、英語の genius はもともと守護霊を指す言葉でした。
天才と天才肌の違いは何ですか?
天才は、才能の大きさと、周りから天才と認められている立場を表します。天才肌は、天才を感じさせる雰囲気や、天才らしいふるまいを表す言葉です。このサイトでは、天才は物語での役回り、天才肌は才能との付き合い方で型を分けています。
天才と秀才の違いは何ですか?
天才は生まれつきの才能、秀才は努力によって積み上げた力と結果で認められた人を指します。創作では、天才と秀才を並べて、才能と努力のぶつかり合いを描く形が人気です。
神童とは何ですか?
幼いころから並外れた才能を見せる子どものことです。「十で神童十五で才子二十過ぎればただの人」ということわざがあり、大人になってからどうなるかが物語の題材になります。
自称天才キャラとは何ですか?
周りが認める前から、自分で自分を天才と名乗るキャラです。本当に才能があるかは別で、周りとの温度差が笑いになります。名乗った言葉に実力が追いついていく過程を描くと、応援される人物になります。
天才キャラを魅力的に書くコツは?
才能の分野を一つに絞り、誰が天才と呼んでいるのかを決めることです。そのうえで、才能を見せる一場面と、才能が届かない一場面を作ると、天才の大きさと人らしさの両方が伝わります。
次に読む
参考にした資料
- コトバンク「天才」(精選版 日本国語大辞典:初出『経国集』827年序/デジタル大辞泉/改訂新版 世界大百科事典:genius は守護神から、漢語は天から分かち与えられた才能、ロンブローゾ1864年・ゴールトン1869年・ターマン1916年/日本大百科全書/最新 心理学事典)
- Weblio辞書「天才」(デジタル大辞泉「天才肌のプレーヤー」)
- Wikipedia(日本語版)「天才」(秀才との区別、神童・ギフテッド、天才と狂人は紙一重)
- Online Etymology Dictionary「genius」(守護霊、1640年代に才能のある人の意味)
- pixiv百科事典「天才」(努力の天才、自称天才・残念な天才・マッドサイエンティスト、鬼才と奇才)
- ニコニコ大百科「天才」(超越的な存在から与えられた才能、比べて初めて分かる相対的なもの)
- Oggi.jp「『天才肌』の意味って?」(2024年3月2日。「肌」がつくと天才のように見せている人の意味に)
- Smartlog「秀才と天才の違い」(秀才は後天的、天才は先天的)
- @DIME「秀才の意味」(天才は特定の分野に突出する感覚派、鬼才・異才)
- TV Tropes「Child Prodigy」(大人に侮られる天才児、才能と孤立)
- アニメ!アニメ!「天才なアニメキャラといえば?20年版」(166人回答)
- アニメ!アニメ!「“天才”キャラといえば?21年版」(150人回答、2位ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ)
- アニメ!アニメ!「“天才”キャラといえば?23年版」(1,116人回答、探偵役が目立つ)
- 天才の日(10月31日)(株式会社天才工場が制定、日本記念日協会に登録)
- Wikipedia(日本語版)「四月は君の嘘」(有馬公生:神童と呼ばれた天才ピアニスト)
- Wikipedia(日本語版)「ヒカルの碁」(塔矢アキラ:プロ並みの実力を持つ天才少年、1999年連載開始)
- Wikipedia(日本語版)「メダリスト (漫画)」(狼嵜光:天才少女、アニメ第1期2025年1月)
- 電撃オンライン「アニメ『メダリスト』2期は1/24放送開始」(2026年1月24日から第2期)
- pixiv百科事典「桜木花道」(口ぐせ「天才ですから!」)
- Wikipedia(日本語版)「桜木花道」(バスケットボール初心者、リバウンドの才能)
- Wikipedia(日本語版)「黒子のバスケ」(キセキの世代:「10年に1人の天才」が5人同時にいた世代)
- Wikipedia(日本語版)「ピアノの森」(一ノ瀬海:森のピアノで育った天才)
- Wikipedia(日本語版)「憂国のモリアーティ」(ウィリアム:非凡な頭脳で国を変えようとする)
- Wikipedia(日本語版)「怪獣8号」(四ノ宮キコル:史上最高の逸材と評される才女)
- 『学園アイドルマスター』公式「篠澤広」(天才少女、苦手分野に挑戦すべく入学)
- Wikipedia(英語版)「Tensai Bakabon」(1967年4月9日連載開始)

