サザノノ 性分帖。 > 立ち位置 > 不良・ヤンキー
不良・ヤンキーキャラとは、学校や大人の決まりに背を向け、強さや見た目で一目置かれながら、仲間や義理といった自分なりの筋を通すキャラクターのことです。
要点
- 辞書では、不良は「品行や性質がよくないこと」、ヤンキーは「米国の若者の風俗をまねた不良青少年」。今の創作では、ほぼ同じ意味で使われます
- 見分ける条件は3つ。決まりや大人に背を向けている・強さや見た目で一目置かれる・自分なりの筋を通す
- 二つの言葉はこう分けると分かりやすくなります。不良は決まりに背く行い、ヤンキーはその反発を見た目・仲間・上下関係の文化にしたもの
- 創作でいちばん愛されるのは、怖い見た目と優しい中身の落差です。元ヤンを隠す形、見た目だけ不良に見える形も定番です
※このページで扱うのは創作上のキャラクターの型です。現実の暴力や非行をすすめるものではありません。
見出しの一覧
不良・ヤンキーの意味と語源
不良は、もとは「よくないこと」を表す言葉です。辞書(デジタル大辞泉)には、「天候不良」のように質や状態がよくない意味と、品行や性質がよくない意味、その人を指す意味があります。「不良少年」という言い方は古く、明治の終わりには本の題にもなっています。
ヤンキーは英語の Yankee から来た言葉です。英語では、もとはアメリカ北部の人を指し、のちにアメリカ人全体の呼び名になりました。辞書(デジタル大辞泉)は二つ目の意味として、戦後に髪型やファッションでアメリカの若者の風俗をまねた不良青少年を挙げています。不良を指す使い方がどこから広まったかは説が分かれていて、大阪のアメリカ村で派手な服を買う若者からという説や、関西の「〜やんけ」という言い方からという説があります。1970年代の関西ではすでに使われていたとされ、1980年代の中ごろから、不良全般を指す言葉として全国に広まりました。
キャラクター属性としては、学校や仲間の中でどこに立っているかで決まるので、立ち位置の群に入れています。
不良・ヤンキーキャラかどうかの見分け方
口が悪いキャラや、喧嘩の強いキャラが、すべて不良・ヤンキーキャラというわけではありません。不良・ヤンキーキャラと呼べるのは、次の3つがそろった時です。
- 決まりや大人に背を向けている:校則を守らない、授業をさぼる、大人の言うことを聞かない。何かに逆らっている姿勢がある
- 強さや見た目で一目置かれる:喧嘩の強さ、怖い見た目、派手な髪や服で、周りから恐れられたり、慕われたりしている
- 自分なりの筋を通す:仲間を見捨てない、弱い者には手を出さない、借りは返す。世間の決まりとは別の、自分の決まりを持っている
不良とヤンキーの違い・ギャル・一匹狼との違い
不良とヤンキーは同じ意味で使われることが多い言葉ですが、重心が少し違います。こう覚えると見分けやすくなります。不良は決まりに背く行い、ヤンキーはその反発を見た目と仲間の文化にしたもの、ギャルは自分の好きで自分を飾る、一匹狼は群れない。
| 不良 | ヤンキー | ギャル | 一匹狼 | |
|---|---|---|---|---|
| 何についての言葉か | 決まりに背く行い・品行 | 反発を見た目と仲間の文化にしたもの | 装いと生き方の文化 | 群れない生き方 |
| 見た目 | 決まっていない。普通の格好の不良もいる | 金髪、リーゼント、改造した制服など型がある | 自分で選んだ好きな装い | 目立たないことも多い |
| 仲間との関係 | 一人でも不良と呼ばれる | 仲間と先輩後輩の上下が大事 | 誰とでも同じノリ | つるまない |
| 大事にするもの | 自分の気持ち | 仲間、義理、気合 | 自分の好き | 自分の流儀 |
| 崩れる瞬間 | 守りたいものができた時 | 仲間に本気で頼られた時 | 好きを否定された時 | 誰かに必要とされた時 |
精神科医の斎藤環さんは、ヤンキーを、1970年代の不良文化をもとに、家族のような仲間意識を取り込んだ集団の文化として説明しています。不良の行いが広く浸透して、髪型や服、言葉づかい、先輩後輩の決まりまで含んだ「スタイル」になったのがヤンキー、と考えると整理しやすくなります。今の創作では二つはほぼ同じように使われますが、仲間や上下関係まで描くならヤンキー、一人で反発している姿なら不良、と呼び分けると伝わりやすくなります。
ギャルとは、派手な見た目が重なります。ただ、ギャルは自分が楽しいかどうかが中心で、誰かに逆らうために装うわけではありません。一匹狼は群れないことが中心で、仲間を何より大事にするヤンキーとは、ちょうど反対の向きです。
不良・ヤンキーと近い言葉
| ツッパリ | スケバン | 元ヤン | マイルドヤンキー | |
|---|---|---|---|---|
| どんな言葉か | 「突っ張る」から。1970〜80年代の不良の呼び名 | 女子の不良、女子の番長 | 昔ヤンキーだった人 | 見た目は悪そうでも攻撃性はなく、地元と家族を大事にする若者 |
| このページとの関係 | ヤンキーより前の呼び名。今は昭和の不良を指す | 女性の不良キャラの古い呼び名 | 今の創作でとくに人気の形。「元」の過去を隠すことが多い | 2014年の本から広まった言葉。創作の不良とは別のもの |
不良・ヤンキーキャラの型
不良・ヤンキーキャラは、怖さと中身の落差をどこに置くかで分かれます。よく描かれる型を並べました。
大きなチームの頭で、圧倒的な強さとカリスマで仲間をまとめる型です。誰もが恐れる存在なのに、ささいなことで子どもっぽくすねる一面もある。その落差に、仲間も読者も心をつかまれます。たとえば、佐野万次郎(『東京卍リベンジャーズ』)がこの型です。
喧嘩ばかりしていた不良が、部活や夢に出会って、まっすぐ打ち込んでいく型です。荒っぽさはそのままに、負けん気と度胸を新しい場所で生かす。不良時代の仲間が支え続けるのも見どころです。たとえば、桜木花道(『SLAM DUNK』)がこの型です。
喧嘩の強さで恐れられ、見た目のせいで本当にやりたいことを言い出せずにきた型です。甘いものや芝居など、意外な好きを人に隠している。好きなものに向き合う不器用な姿が魅力になります。たとえば、兵頭十座(『A3!』)がこの型です。
昔は名の知れた不良だったことを隠し、真面目な生徒や普通の人として過ごそうとする型です。けれど、仲間が危ない時や怒った時に、昔の顔がつい出てしまう。たとえば、窪谷須亜蓮(『斉木楠雄のΨ難』)や、足立花(『ヤンキー君とメガネちゃん』)がこの型です。
金髪や大きな体、強面のせいで不良だと思われているのに、中身は優しく誠実な型です。誤解されることに慣れて、自分から人を遠ざけてしまう。本当の顔を知った相手との関係が物語になります。たとえば、紬凛太郎(『薫る花は凛と咲く』)がこの型です。
正々堂々よりも、勝つためなら手段を選ばない型です。口が達者で、屁理屈と機転で相手を手玉に取る。卑怯なのに仲間思いで、まっすぐな相棒と並ぶと笑いが生まれます。たとえば、三橋貴志(『今日から俺は!!』)がこの型です。
レディースやスケバンとして、男にも負けない強さで仲間を率いる型です。口は悪く短気でも、情に厚く仲間を見捨てない。たとえば、二階堂サキ(『ゾンビランドサガ』)や、麻宮サキ(『スケバン刑事』)がこの型です。紫藤アリサ(『魔法少女ノ魔女裁判』)もこの型です。
家や学校に居場所がなく、受け入れてくれた不良の仲間のもとへ流れつく型です。強がって見せていても、本当に欲しいのは帰る場所。誰かに大事にされた時、張っていたものがほどけていきます。
不良・ヤンキーキャラの作り方と台詞例
不良・ヤンキーは、男女どちらにも、どの向けの作品にもいる立ち位置です。ここでは4つの向けに分けて、よくある形と外し方、台詞例をまとめました。
台詞は「心の距離」の順に4段階で並べています。表の顔 → ほころび(素が一瞬見える)→ 信頼した相手だけ → 独りの時。不良・ヤンキーキャラは、表の顔では強気に突っぱね、ほころびで面倒見のよさや優しさがのぞき、信頼した相手には不良になった理由を、独りの時にはこのままでいいのかという迷いを抱えています。話し方は口振カルテで調整できます。
下に行くほど心の距離が近づきます。同じ人物の4つの顔として読んでください。
自分のキャラクターの顔を置くと、下の台詞をその子が話しているように読めます。
性分帖の台詞は、自分で作ったキャラクターにどんな口調や性格が合うかを確かめるためのものです。画像と名前はこの端末にだけ保存され、ほかの属性のページでも同じ子が出ます。
ドラッグで位置を動かせます
女性の不良・ヤンキーキャラ
女性の不良は、スケバンやレディースの時代から、男にも負けない強さと、仲間への情の厚さで描かれてきました。恋愛だけでなく、女の子どうしの友情や、居場所を見つける物語でよく光ります。
- よくある形
- 仲間を率いる女の番長/後輩の女の子たちに慕われる姐さん/昔の仲間と縁を切って普通に暮らす元ヤン/家に居場所がなく夜の街にいる子
- 外すなら
- 不良をやめて保育士や看護師を目指している元ヤンにする。または、不良仲間のなかでいちばん成績がよく、こっそり勉強を続けている形にする
- 気をつけたいこと
- 荒っぽさを、男っぽさのまねだけで描かないこと。その子が何に腹を立てて突っ張っているのか、理由を一つ決めると、強さが借り物に見えなくなります
1表の顔人前・ふだん
「先生に言いたきゃ言えば。どうせ呼び出されるの、今月三回目だし」
放課後の屋上で、注意しに来た風紀委員に、手すりにもたれたまま振り向きもせず
2ほころび素が一瞬見える
「その絆創膏、貸しな。膝、ちゃんと洗ってから貼るんだよ」
階段で転んだ一年生を見つけ、しゃがみこんで、ポケットから当たり前のように救急セットを出して
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「うちの鍵、三日開けてない。このコンビニの前が、いちばん明かりがついてるんだ」
夜のコンビニの前で、ずっと隣に座っていてくれた友だちにだけ、缶を両手で包みながら
4独りの時誰にも見せない本音
「卒業したら、みんなばらばらか。あたしだけ、どこにも行けなかったらどうしよう」
誰もいない教室で、黒板の隅に書かれた進路説明会の日付を、しばらく黙って見つめて
男性の不良・ヤンキーキャラ
男性の不良は、仲間との友情や、喧嘩を通じた好敵手との関係で描かれてきました。荒っぽいのに筋を通す、強いのに仲間のためにだけ本気になる。恋愛以外のところで光る属性です。
- よくある形
- 学校でいちばん強い番長/喧嘩のあとで親友になる好敵手/部活に打ち込みはじめた元不良/後輩の面倒見がいい先輩
- 外すなら
- 喧嘩は弱いのに、口と度胸だけで不良の頭に立っている形にする。または、家では弟や妹の世話を一人でこなす、生活力のある不良にする
- 気をつけたいこと
- 強さを、弱い者を威圧する姿で見せないこと。拳を向けるのは、仲間を傷つけた相手や理不尽な相手にとどめると、怖さが頼もしさに変わります
1表の顔人前・ふだん
「用がねえなら道あけろ。こっちは急いでんだよ」
商店街の細い路地で、絡んできた他校の生徒たちを前に、ポケットに手を入れたまま
2ほころび素が一瞬見える
「急いでたのは、ばあちゃんの店の開店に間に合わねえからだよ。悪いか」
あとから追いついた仲間に理由を聞かれ、両手のスーパーの袋を少し持ち上げて
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「お前と殴り合った回数、二十三回。全部数えてた。……言わねえぞ、もう一回は」
卒業式のあと、校舎の裏で、ずっと隣で殴り合ってきた親友にだけ、目をそらしたまま
4独りの時誰にも見せない本音
「強いってだけで、ここまで来ちまった。この先、何で勝負すりゃいいんだ」
夜の河川敷で、擦りむいた拳を川の水で冷やしながら、向こう岸の明かりを眺めて
女性向けの男性の不良・ヤンキーキャラ
女性向けでは、怖い見た目と優しい中身の落差がいちばんの見せ場です。誰も近づかない強面が、自分にだけ不器用な気づかいを見せる。今は、見た目だけ不良で中身はまっすぐな形や、元ヤンを隠す形も多く描かれています。
- よくある形
- 誰も近づかない金髪の同級生が、実は誠実な人/自分にだけ優しい強面の先輩/ヤンキーと優等生の恋/昔は荒れていた、今は真面目な年上
- 外すなら
- 不良なのに、相手のほうがずっと喧嘩が強くて、守られる側に回る形にする。または、怖がられないように必死で丁寧な言葉を練習している不良にする
- 気をつけたいこと
- 守ることを、相手を縛ることや、ほかの男を威圧することで見せないこと。相手が自分で選べる余地を残し、強さは相手の外にある危険にだけ向けます
1表の顔人前・ふだん
「別に怒ってねえよ。もともとこういう顔なんだ」
隣の席になった初日、目が合ったとたん肩をすくめたクラスメイトに、頬杖をついたまま
2ほころび素が一瞬見える
「傘、一本しかねえから使え。俺は走れば五分だ」
夕立の昇降口で、立ち尽くしていた相手に傘を押しつけ、返事も待たずに雨の中へ
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「数学のノート、三か月で二冊目だ。中学の三年間で、一冊も終わらなかったのに」
放課後の図書室で、教わっていた数学のノートを閉じ、少しだけ声を落として
4独りの時誰にも見せない本音
「俺といると、あいつまで変な目で見られる。分かってんのに、離れられねえ」
家に帰ってから、借りたままのハンカチを机に置き、洗ったほうがいいか迷いながら
男性向けの女性の不良・ヤンキーキャラ
男性向けでは、口は悪いのに情に厚く、主人公のことを放っておけない形が好まれます。強くて頼れる姐さんが、恋愛になると急に不器用になる。元ヤンを隠して優等生を演じている落差も人気です。
- よくある形
- 主人公をこき使うのに面倒見のいいヤンキー女子/元ヤンを隠す委員長/昔の仲間に頭が上がらない元レディース/喧嘩は強いのに恋には奥手な子
- 外すなら
- 不良なのに家庭的で、料理や裁縫がやたら上手な形にする。または、主人公のほうが元ヤンで、彼女のほうがあこがれて不良のまねを始める形にする
- 気をつけたいこと
- 暴力をかわいさの演出として、主人公への理不尽な手出しで見せないこと。強さは、主人公をかばう場面や仲間のための場面で見せると好かれやすくなります
1表の顔人前・ふだん
「焼きそばパンと牛乳な。売り切れてたら、あんたの昼飯半分もらうから」
昼休みのチャイムと同時に、主人公の机に小銭をぴったり置いて
2ほころび素が一瞬見える
「あんた、顔色悪いじゃん。いいから座ってな、今日はあたしが行ってくる」
翌日、立ち上がりかけた主人公の肩を押し戻し、自分の財布を持って教室を出ていく
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「さっきの奴ら、見たでしょ。……明日も焼きそばパン、頼んでいい?」
昔の仲間に声をかけられたのを見られた帰り道、自転車を押して歩きながら
4独りの時誰にも見せない本音
「普通の女の子みたいに、かわいく頼るのって、どうやるんだっけ」
夜、鏡の前で前髪を下ろしてみて、すぐにまたいつものように上げ直しながら
不良・ヤンキーキャラを書く時のコツと避けたいこと
コツ
- 何に背を向けているのかを決める:学校の決まりか、親か、自分を決めつける大人か。逆らう相手が決まると、反発に理由が生まれ、ただの乱暴者に見えなくなります
- 筋を一つ決める:仲間を見捨てない、弱い者には手を出さない、借りは必ず返す。その子だけの決まりがあると、行動に一本の芯が通ります
- 落差は一か所にしぼる:甘いもの好き、動物に優しい、成績がいい。ギャップをいくつも重ねるより、一つを丁寧に見せたほうが印象に残ります
- 見た目は今の時代に合わせて選ぶ:リーゼントや長い学ランは、今は昭和の不良を思わせる記号です。金髪やピアス、着崩した制服など、作品の時代に合う見た目を選びます
怖さの理由で変わる見せ方
| 怖さの理由 | どう見えるか | 揺らす出来事 |
|---|---|---|
| 本当に喧嘩が強い | 頼もしい、近寄りがたい | 力では解決できない問題にぶつかる |
| 見た目が怖いだけ | 誤解されやすい、損をしている | 怖がらずに話しかけてくる人が現れる |
| 昔の評判が残っている | 過去を隠したい、今を守りたい | 昔の仲間や敵が訪ねてくる |
| 自分を守るために突っ張っている | 強がり、心を許さない | 受け入れてくれる居場所ができる |
避けたいこと
- 暴力や非行そのものを、かっこよさとして美化すること。喧嘩は物語の山場にとどめ、傷つく人や失うものも描きます
- 弱い者いじめや、恋人への威圧を「不良だから」で済ませること。筋のない乱暴は、魅力ではなく悪役の印になります
- 「不良はみんな根はいいやつ」と決めつけて、何の理由も変化も描かないこと。優しさが見えるまでの過程が、この属性のいちばんの読みどころです
- 有名な不良キャラの口ぐせや、決め台詞、ヤンキー漫画の名言をそのまま借りること。啖呵の切り方は、その子だけのものを作ります
不良・ヤンキーキャラに合う口調・組み合わせやすい属性
合う口振(口振カルテへ)
不良・ヤンキーは立ち位置の属性なので、口振は「怖さをどう言葉に出すか」で選びます。強気に言い返すのか、ぶっきらぼうに短く返すのか、仲間を引っぱる親分肌か、姐さんとしてまとめるかで、同じ不良でも印象が変わります。
組み合わせやすい属性
不良に兄貴分や姉御肌を重ねると、後輩や仲間を守る頼れる頭になります。一途を重ねれば、怖い見た目のまま一人だけを大事にする、不器用な恋の形に。ツンデレを重ねると、口は悪いのに面倒見のよさが隠しきれない子になります。熱血を重ねれば、喧嘩の熱さをそのまま部活や夢に向ける元不良に、隠れオタクを重ねると、強面の下にかわいい趣味を隠した落差の大きいキャラになります。
ぶつかりやすい属性(あえて使うと面白い)
委員長や優等生は、決まりを守らせる側の属性です。一人に重ねるより、関係性で並べると引き立ちます。毎朝、校門で服装を注意してくる委員長と、それを無視して通る不良。けれど、委員長が理不尽な目にあった時、真っ先に前に出るのは、いつも注意されているその不良です。
不良・ヤンキーキャラの歴史
「不良少年」は明治からある言葉で、創作の不良は時代ごとの若者文化を映しながら変わってきました。主な出来事をまとめます。
年表を開く
「不良少年」を題にした翻訳書が出ています。この言葉は、明治の終わりにはすでに使われていました。
関東では不良を「ツッパリ」、女子の不良を「スケバン」と呼びました。関西ではすでに「ヤンキー」とも呼ばれていました。1976年には少女漫画誌で、札付きのスケバンが学生刑事になる作品が始まり、女性の不良が主人公になりました。
ツッパリを売りにしたバンドが人気を集め、1983年に『ビー・バップ・ハイスクール』が連載を始めます。不良の服装や日常をリアルに描いて大ヒットし、ヤンキー漫画が一つのジャンルになりました。1986年には『ホットロード』が少女漫画誌で始まり、暴走族の少年との恋が多くの女性読者に読まれます。80年代の中ごろから、不良全般を「ヤンキー」と呼ぶようになりました。
ギャグ要素の強い不良漫画や、喧嘩と友情を描く作品が続きます。バブル崩壊後は、不良の物語のテーマが、大人への反発から「認められたい」気持ちへ移っていきました。
元ヤンを隠す委員長のヒロインと、お人好しのヤンキーのラブコメなど、不良をコメディや恋愛の味つけに使う作品が増えます。リーゼントのような昔の記号は、次第にギャグとして描かれることが多くなりました。
見た目は悪そうでも攻撃性はなく、地元と家族を大事にする若者を指す「マイルドヤンキー」が、新語・流行語大賞の候補になります。
不良とタイムリープを組み合わせた漫画が始まり、2021年にアニメ化されて大人気になります。2021・2022年のアニメのキャラ投票では同じ総長が続けて1位になり、票の多くを女性が占めました。「見た目は怖いのに中身は優しい」という落差が、若い女性にも支持されています。
女性も読むラブコメで、金髪や強面のせいで不良と誤解される誠実な男の子や、元ヤンのメガネ優等生が主役の作品が続きます。そのひとつ『メガネ、時々、ヤンキーくん』は、2027年4月からのアニメ放送が発表されています。
ヤンキーの男女が共同生活をする恋愛リアリティ番組『ラヴ上等』が配信され、視聴ランキングの首位になります。2026年2月には昭和のヤンキー文化を体験する展示が開かれ、息苦しい今だからこそ、自由に生きる昭和のヤンキーにあこがれる人が多い、と論じられました。
今の不良・ヤンキーキャラのイメージ
- ギャップが中心:怖い見た目と優しい中身、喧嘩の強さと子どもっぽさ。落差こそがヤンキーキャラの魅力として語られています
- 女性ファンが多い:仲間思いや面倒見のよさが、とくに女性の読者から支持されています
- 元ヤン・見た目だけ不良が増えた:現実の不良が減るなかで、過去を隠す元ヤンや、不良と誤解される誠実なキャラがラブコメの主役になっています
- 昭和の記号はギャグに:リーゼントや長い学ランは、今は昭和の不良を思わせる記号として、笑いやパロディで使われることが多くなりました
- 自由さへのあこがれ:決まりやコンプライアンスに息苦しさを感じる今、まっすぐに感情を出すヤンキーが、あこがれとして見直されています
- 暴力を美化しない描き方:喧嘩のかっこよさだけでなく、暴力が人を追いつめる怖さも描く作品が支持されています
- 2025〜2026年に人気の作品では:紫藤アリサ(『魔法少女ノ魔女裁判』)のように、口が悪く威圧的な女の不良がそのまま描かれています
よくある質問
不良・ヤンキーキャラとはどういう意味ですか?
学校や大人の決まりに背を向け、強さや見た目で一目置かれながら、仲間や義理といった自分なりの筋を通すキャラクターのことです。怖い見た目と優しい中身の落差が、いちばんの魅力として描かれます。
不良とヤンキーの違いは何ですか?
今の創作ではほぼ同じ意味で使われますが、重心が少し違います。不良は決まりに背く行いや品行を指す言葉で、ヤンキーはその反発を、髪型や服、仲間や先輩後輩の決まりまで含んだ文化として身につけた人を指します。一人で反発しているなら不良、仲間や上下関係まで描くならヤンキー、と呼び分けると伝わりやすくなります。
ヤンキーの語源は何ですか?
英語の Yankee で、もとはアメリカ北部の人、のちにアメリカ人全体を指す言葉でした。日本では戦後、アメリカの若者の風俗をまねた不良青少年を指すようになったとされます。大阪のアメリカ村から広まったという説や、関西の「〜やんけ」から来たという説もあり、はっきりとは分かっていません。
元ヤンとは何ですか?
「元ヤンキー」の略で、昔ヤンキーだった人を指します。創作では、過去を隠して真面目に暮らしているのに、仲間の危機や怒った時に昔の顔が出てしまう、という落差で描かれることが多く、今とくに人気の形です。
不良・ヤンキーとギャルの違いは何ですか?
派手な見た目は重なりますが、中心にあるものが違います。不良・ヤンキーは決まりや大人への反発が中心で、ギャルは自分が楽しいかどうか、自分の好きで自分を飾ることが中心です。誰かに逆らうために装うかどうかで分けると見分けやすくなります。
不良・ヤンキーキャラを魅力的に書くコツは?
何に背を向けているのかと、その子だけの筋を一つ決めることです。そのうえで、優しさや意外な好きといった落差を一か所にしぼって見せます。暴力そのものをかっこよさとして美化せず、拳を向けるのは理不尽な相手にとどめると、怖さが頼もしさに変わります。
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参考にした資料
- Weblio辞書「ヤンキー」(デジタル大辞泉)
- Weblio辞書「不良」(デジタル大辞泉)
- 国立国会図書館サーチ『不良少年』(モリソン著・小塩高恒訳、1912年)
- Wikipedia(日本語版)「ヤンキー (不良少年)」(語源の諸説、ツッパリ・スケバン、時代ごとの流れ)
- Wikipedia(英語版)「Yankee」(英語での意味の広がり、日本での使い方)
- 文春オンライン 斎藤環さんへのインタビュー(2021年9月17日、ヤンキーの定義と時代ごとの変化)
- nippon.com ヤンキーマンガに描かれる不良少年の系譜についての記事
- @DIME 昭和・平成・令和のヤンキーの変化についての記事(2022年7月30日)
- マイナビニュース マイルドヤンキーについての記事(2023年9月28日、2014年『ヤンキー経済』)
- FUN! JAPAN ヤンキー文化についての記事(ツッパリからヤンキーへ、語源は確定していない)
- PRESIDENT Online 辛酸なめ子さんの「大ヤンキー展」についての記事(2026年3月3日、『ラヴ上等』)
- TV Tropes「Japanese Delinquents」(荒っぽい外見に善い心、名誉の掟、更生、パロディ)
- Japanese with Anime 不良についての記事(2021年、雨の中の子犬のギャップ、元ヤン、スケバン、レディース)
- アニメ!アニメ!「“ヤンキー”キャラといえば?」2021年版(295人、女性約70%)
- アニメ!アニメ!「“ヤンキー”キャラといえば?」2022年版(1086人、女性約60%、窪谷須亜蓮・桜木花道のコメント)
- Wikipedia(日本語版)「東京卍リベンジャーズ」(2017〜2022年連載、佐野万次郎:東京卍會の総長)
- Wikipedia(日本語版)「A3!」(兵頭十座:喧嘩の強さで知られる、学芸会で役に立候補できなかった、甘党を家族に隠す)
- Wikipedia(日本語版)「ヤンキー君とメガネちゃん」(2006〜2011年連載、足立花:元ヤンキーの学級委員)
- Wikipedia(日本語版)「薫る花は凛と咲く」(紬凛太郎:強面だが根は優しく誠実)
- Wikipedia(日本語版)「今日から俺は!!」(1988〜1997年、三橋貴志:ずる賢いが仲間想い)
- Wikipedia(日本語版)「ゾンビランドサガ」(二階堂サキ:レディースの初代特攻隊長、情に厚い)
- Wikipedia(日本語版)「スケバン刑事」(花とゆめ、1976〜1982年)
- Wikipedia(日本語版)「ホットロード」(別冊マーガレット、1986〜1987年、累計700万部)
- 電撃オンライン『メガネ、時々、ヤンキーくん』アニメについての記事(2026年10月、2027年4月放送)

