サザノノ 性分帖。 > 人との距離 > 犬系
犬系キャラとは、犬のように人懐っこく、感情を隠さずに表し、好きな相手にはまっすぐ懐いて一途に慕うキャラクターのことです。
要点
- 辞書に載った言葉ではなく、性格を犬にたとえた言い方です。「わんこ系」とも呼ばれ、反対のタイプは「猫系」です
- 見分ける条件は3つ。人懐っこく距離が近い・うれしさも寂しさも隠さない・好きな相手に一途で、待ったりついていったりする
- 恋愛記事では「犬系男子」「犬系彼女」として定番になり、子犬系など細かい呼び分けも生まれています。英語圏でも「ゴールデンレトリバー彼氏」という似た言い方が広まりました
- 一途さは魅力ですが、行き過ぎると「重い」「束縛」と受け取られます。相手の自由を残すことが、今の犬系を描くうえでの大事な点です
見出しの一覧
犬系の意味
犬系は「いぬけい」と読みます。辞書に載っている言葉ではなく、人の性格を犬にたとえた言い方です。「犬っぽい人」を指して、「犬系男子」「犬系女子」「犬系彼女」のように使われます。くだけた言い方では「わんこ系」とも呼ばれ、カタカナで「イヌ系」と書かれることもあります。犬系・猫系は若者の間で広まった性格の分け方で、犬系は尽くすタイプや、人懐っこく甘えるタイプを指します。「わんこ」は犬の鳴き声「わん」に、かわいらしさを表す「こ」をつけた言葉です。
たとえの元になっているのは、昔から語られてきた犬のイメージです。辞書には「飼い主に忠実な犬」を表す「忠犬」という言葉があり、例として忠犬ハチ公が挙がります。帰ってきた飼い主に駆け寄る、しっぽを振って喜ぶ、置いていかれると寂しがる。そうした姿が、人懐っこさ・感情の分かりやすさ・一途さとして人の性格に重ねられています。犬のイメージと言えば「人懐こい」「忠誠的」「賢い」です。自分を犬派と考える人にも、外向的で人当たりがよい傾向があります。
キャラクター属性としての犬系は、人との距離の群に入れています。犬系の中心は、相手との距離をためらわずに詰めること、そして一度懐いた相手から離れないことです。BL作品では、相手に犬のように懐いて従う攻めを「ワンコ攻め」と呼び、同じ性格が一つの型として扱われています。
犬系キャラかどうかの見分け方
「明るいキャラ」や「甘えるキャラ」がすべて犬系になるわけではありません。犬系と呼べるのは、次の3つがそろった時です。
- 人懐っこく、距離が近い:初対面でも話しかけ、名前を呼ばれれば駆け寄る。自分から相手の近くへ行くことをためらわない
- 感情を隠さない:うれしい時は全身で喜び、寂しい時は顔に出る。うそや駆け引きが苦手で、気持ちと態度が一致している
- 好きな相手に一途:誰とでも仲良くできても、懐く相手ははっきりしている。その人を待ち、その人についていき、その人を守ろうとする
猫系・甘えん坊・世話焼きとの違い
犬系は、甘える点で甘えん坊と、相手のために動く点で世話焼きと、動物にたとえる点で猫系と並べられます。分ける軸は「自分から近づくか、気持ちをそのまま出すか」です。
| 犬系 | 猫系 | 甘えん坊 | 世話焼き | |
|---|---|---|---|---|
| 距離の詰め方 | 自分からまっすぐ近づく | 気が向いた時だけ近づく | 甘えたい時に寄っていく | 困っている人に近づく |
| 気持ちの出し方 | そのまま出す | 気が向いた時だけ出す | そのまま出す | 行動で出す |
| 相手との関係 | 慕って、ついていく・守る | 対等で、ほどよい距離 | 受け止めてもらう | 面倒を見る |
| 寂しい時 | 顔に出る。待っている | 気が向いた時に自分から甘える | 言葉で甘える | ほかの誰かの世話をする |
犬系と猫系のいちばんの違いは感情の表し方です。犬系は好意をいつでもそのまま伝え、猫系は気が向いた時にだけ伝えます。猫系のそっけなさも照れ隠しではなく、その時の素直な気持ちです。
「わんこ系」「子犬系」「大型犬系」「忠犬」「狂犬」との違い
犬系のまわりでは、犬の種類や大きさで呼び分ける言い方もよく使われます。違いは、甘え方と、相手を守る力の大きさです。
| 犬系 | わんこ系 | 子犬系 | 大型犬系 | 忠犬 | 狂犬 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 何についての言葉か | 犬のような性格全体 | 犬系のくだけた言い方 | 甘えたがりで無邪気な犬系 | 体も気持ちも大きく、明るい犬系 | 一人の主に忠実なこと | 誰にでも噛みつく、手のつけられない暴れん坊 |
| よく使われる場面 | 男女どちらにも | 恋愛もの・BL(ワンコ攻め) | 年下・後輩の男性 | 頼れる恋人・相棒 | 従者・騎士・部下 | 不良・裏社会もの・戦うヒロイン |
| 相手との関係 | 慕う・ついていく | 慕う・従う | 甘える・かわいがられる | 一緒にはしゃぐ・守る | 仕える・待つ | 敵には噛みつき、懐いた一人には従う |
子犬系は、甘えたがりな性格が犬系よりさらに強いタイプです。大型犬系は、英語圏の「ゴールデンレトリバー彼氏」に近い言い方です。忠犬は辞書にある言葉で、性格の明るさより「一人に尽くす」ことに重心があります。狂犬も辞書にある言葉で、「狂犬病にかかった犬」から転じて、凶暴な人のたとえとして使われます。このページでは、その荒っぽさに「一人にだけは懐く」一途さを合わせた形を、犬系の中の狂犬型として扱います。
犬系キャラの型
同じ犬系でも、どんな犬にたとえるか、誰に懐いているかで印象が変わります。
年下や後輩に多い、甘えたがりで無邪気な型です。全力で喜び、全力でしょんぼりする。いざという時に頼りになる面を持たせると、ただの「かわいい子」で終わりません。
体も声も大きく、明るくて、誰とでもすぐ仲良くなる型です。一緒にいるとまわりまで明るくなります。力はあるのに、好きな相手の前では素直で、褒められると分かりやすく喜びます。
一人の主や相手に忠実で、命じられなくても待ち、守る型です。騎士や従者、部下に多い形です。人懐っこさより、まっすぐな忠誠と、一途に待ち続ける姿が中心になります。
ふだんは人懐っこいのに、懐いている相手を傷つけるものには牙をむく型です。笑顔と、守る時の低い声との落差が見せ場になります。守り方が相手の自由を奪わないように描くのがこつです。
口も手も早く、誰にでも噛みつく暴れん坊なのに、懐いた一人の言うことだけは聞く型です。その人の前でだけ牙をしまう落差が魅力で、不良ものや裏社会もの、戦うヒロインでよく見られます。
最初は警戒して誰にも懐かないのに、助けてくれた一人にだけ心を開く型です。懐くまでの時間が長いぶん、懐いてからの一途さに重みが出ます。寂しさや過去を抱えた犬系を描きたい時に向いています。
犬系キャラの作り方と台詞例
同じ犬系でも、キャラの性別や、誰に向けた作品かで「心が動くポイント」が変わります。4つの向きごとに、よくある形と、外し方、台詞例をまとめました。
台詞は「心の距離」の順に4段階で並べています。表の顔 → ほころび(素が一瞬見える)→ 信頼した相手だけ → 独りの時。犬系は気持ちを隠さない属性なので、表の顔からすでに好意は見えています。奥の段に進むほど見えてくるのは、明るさの下にある寂しさや、懐くと決めた理由です。話し方は口振カルテで調整できます。
下に行くほど心の距離が近づきます。同じ人物の4つの顔として読んでください。
自分のキャラクターの顔を置くと、下の台詞をその子が話しているように読めます。
性分帖の台詞は、自分で作ったキャラクターにどんな口調や性格が合うかを確かめるためのものです。画像と名前はこの端末にだけ保存され、ほかの属性のページでも同じ子が出ます。
ドラッグで位置を動かせます
女性の犬系キャラ
犬系の女性は、恋愛記事では「感情表現がストレートで甘え上手」と紹介されます。人の懐に入るのがうまく、褒められると全身で喜ぶ。一方で、寂しがりで、恋人を何より優先するあまり「依存している」と見られることもある、とも書かれています。キャラクターとして描く時は、恋人だけでなく、友達や憧れの先輩、夢にもまっすぐ懐く姿を見せると、ぐっと広がります。
- よくある形
- 憧れの先輩を見つけると駆け寄る後輩/誰とでもすぐ打ち解けるクラスの人気者/親友にべったりの相棒/好きな人の話になると止まらない子
- 外すなら
- いちばん懐いている相手を、恋人ではなく同性の親友や師匠にする。または、誰にでも人懐っこいのに、本当に心を開いている相手は一人だけ、という形にする
- 気をつけたいこと
- 相手が「人生の中心」で、それ以外に何もない人として描かないこと。懐く相手とは別に、自分の好きなことや、自分で選んだ道を持たせると、依存ではなく一途な人になります
1表の顔人前・ふだん
「先輩、おはようございます! あ、髪切りました? すごく似合ってます」
廊下の向こうから小走りで来て、勢いのまま隣に並んで
2ほころび素が一瞬見える
「あ、今日は一緒に帰れないんですね。いえ、大丈夫です。全然」
笑ったまま、指先でかばんのひもをくるくるいじって
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「好きな人の前だと、声が勝手に大きくなるの。隠そうとしたこともあるけど、三日でばれた」
親友の肩に頭をあずけて、少しだけ照れくさそうに
4独りの時誰にも見せない本音
「今日、三回も名前呼んでもらえた。明日は四回だといいな」
布団の中で、指を折って数えながら
男性の犬系キャラ
犬系の男性は、「裏表がなく爽やか」「男女問わず友人が多い」「感情が分かりやすい」と紹介されることが多いタイプです。恋愛に限らず、相棒やチームのムードメーカーとして光ります。信じると決めた相手にはとことんついていき、その人のためなら体を張る。まっすぐさと、置いていかれた時の寂しさの両方を描くと、厚みが出ます。
- よくある形
- 主人公を慕ってついてくる相棒/チームを明るくする後輩/いいことがあるといちばんに報告しに来る幼なじみ/主君に忠実な騎士
- 外すなら
- 誰にでも懐くように見えて、実は一度失った大事な人がいて、その寂しさを明るさで埋めている形にする。または、懐いている相手のほうが頼りなく、犬系の彼が引っぱる形にする
- 気をつけたいこと
- 「うるさい」「子どもっぽい」だけの役にしないこと。なぜその人に懐いたのか、なぜついていくと決めたのか、理由を一つ持たせると、ただのにぎやかしではなく、意志のある人になります
1表の顔人前・ふだん
「なあ、聞いてくれよ。今日すげえいいことあってさ。お前に一番に言いたかったんだ」
部室の扉を開けるなり、まっすぐこちらへ来て
2ほころび素が一瞬見える
「そっか、次はあいつと組むのか。うん、いいと思う。いいと思うけどさ」
笑顔のまま、少しだけ肩を落として
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「俺、ついていく相手を間違えたことないんだ。だから、お前が迷ってる時は、俺が信じてる分も使ってくれ」
試合前の控室で、相手の背中を軽くたたいて
4独りの時誰にも見せない本音
「置いていかれるのだけは、昔から苦手なんだよな。……ちゃんと、帰ってくるよな」
駅のホームで、遠ざかる電車をいつまでも見送ったまま
女性向け作品の男性犬系キャラ
女性向けでは、好きな気持ちを隠さず、まっすぐ「好き」と言ってくれる男性が愛されます。年下の青年をペットのように迎えて暮らす少女漫画がドラマ化を重ねたように、年下で人懐っこく、主人公にだけ懐く男性は長く定番です。BLでも、相手に犬のように懐く攻めは「ワンコ攻め」と呼ばれます。ふだんは子犬のようなのに、主人公を守る時だけ大人びる、という落差がときめきになります。
- よくある形
- 主人公を「先輩」と呼んでついてくる年下/帰りを待っている同居人/主人公にだけ懐く無口な大型犬タイプ/誰にでも噛みつくのに主人公の「待て」だけは聞く狂犬/主人公に仕える一途な騎士
- 外すなら
- ふだんは甘えてばかりの彼が、主人公が困った時だけ低い声で前に出る形にする。または、ほかの人には無愛想なのに、主人公の前でだけしっぽを振る形にする
- 気をつけたいこと
- 「いつも一緒にいたい」気持ちを、頻繁な連絡や、ほかの人と会うことへの不満など、主人公の自由を縛る形にしないこと。待つことができる、主人公の時間を大事にできる犬系は、安心してときめけます
1表の顔人前・ふだん
「おかえりなさい。待ってました。今日、何食べたいですか。俺、なんでも作ります」
鍵の開く音がする前から、足音で分かっていたみたいに玄関に立って
2ほころび素が一瞬見える
「今の電話の人、仲いいんですか。いや、責めてるんじゃないです。……晩ごはん、一品減らします」
聞くつもりはなかったのに聞こえてしまって、ごまかすように笑って
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「俺、待つのは得意なんです。だから急がなくていい。でも、待ってるってことだけは、忘れないでください」
夜の公園のベンチで、手は取らずに、隣に座ったまま
4独りの時誰にも見せない本音
「好きって言いすぎて、軽く聞こえてたらどうしよう。全部、本気なのに」
送りかけたメッセージを、何度も消しては書き直して
男性向け作品の女性犬系キャラ
男性向けでは、主人公を見つけると「先輩!」と駆け寄ってくる後輩や、いつもそばにいる幼なじみがよく描かれます。好意を隠さず、主人公の小さな活躍を全力で喜んでくれる。恋愛記事でも、犬系彼女は男性から「理想の彼女」と言われることがある、と紹介されています。ただ、主人公に尽くすだけの存在にすると薄くなるので、彼女自身の意志が見える場面が大切です。
- よくある形
- 主人公を見つけると駆け寄る後輩/毎朝迎えに来る幼なじみ/主人公の活躍をいちばんに喜ぶマネージャー/ふだんは冷たい令嬢なのに、主人公を守る時だけ暴れる狂犬ヒロイン/主人公に忠誠を誓う元気な従者
- 外すなら
- 懐いている彼女が、主人公の間違いだけはまっすぐ叱る形にする。または、主人公のほうが彼女に懐いていく、立場の逆転を入れる
- 気をつけたいこと
- 何でも言うことを聞く、都合のいい従順さだけで描かないこと。自分の意見を持ち、時には主人公と違う道を選べる犬系ヒロインのほうが、一途さが重みを持ちます
1表の顔人前・ふだん
「先輩、見つけた! お昼まだですよね。今日はおにぎり二個あるので、一個どうぞ」
屋上の扉から顔を出して、息を切らしたまま
2ほころび素が一瞬見える
「先輩、今日ちょっと元気ないですよね。分かりますよ。毎日見てるので。あ、今のは聞かなかったことに」
言ってから自分で真っ赤になって、おにぎりで顔を隠して
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「懐いてるだけって思ってるでしょう。違いますからね。ちゃんと自分で先輩を選んで、ここにいるんです」
帰り道の分かれ道で立ち止まり、振り向いて
4独りの時誰にも見せない本音
「返信、八文字。……明日の『おはよう』、三文字増やしてみよう」
主人公から届いた短い返信を、スマホごと胸に抱えて
犬系キャラを書く時のコツと避けたいこと
コツ
- 懐いた理由を一つ決める:助けてもらった、認めてもらった、初めて名前を呼んでくれた。理由があると、犬系の一途さが「誰にでもなつく」ではなく「この人だから」になります
- しっぽの代わりを描く:駆け寄る足、上がる声、目の輝き、しゅんと下がる肩。言葉より先に体が動くと、犬系らしさが一目で伝わります
- 明るさの下の寂しさを一つ入れる:置いていかれるのが苦手、待つことに慣れている。明るいだけでなく、寂しさを知っている犬系は、ぐっと愛おしくなります
- 守る時の顔を用意する:ふだん人懐っこいほど、大事な人を守る時の真剣な顔が効きます。笑顔との落差を一か所で見せると印象に残ります
- 相手の自由を残す:待てる、送り出せる、相手の時間を大事にできる。一途さに余白があると、重さではなく安心感になります
避けたいこと
- 「いつも一緒にいたい」気持ちを、連絡の強要や交友の制限など、相手の行動を縛る形で描き、それを愛情として美化すること
- 犬系キャラを、自分の意見を持たず、言われたことに従うだけの都合のいい存在にすること
- 「飼う」「しつける」といった言い方で、人を本当に下に見る関係を、かわいいものとして描くこと。たとえは関係の雰囲気にとどめます
- 人懐っこさを、相手が嫌がる距離の詰め方や、断りなく触れることにすること
- 狂犬型の荒っぽさを、懐いている相手に向けたり、暴力を愛情の証として美化したりすること。牙をむく先は敵や理不尽にとどめます
犬系キャラに合う口調・組み合わせやすい属性
合う口振(口振カルテへ)
犬系は人との距離の属性なので、口振は「どんな言葉で距離を詰めるか」で選びます。思ったことをそのまま言うのか、無邪気にじゃれるのか、甘えて頼るのか、敬語で慕うのかで、同じ犬系でも子犬にも忠犬にもなります。
組み合わせやすい属性
犬系に熱血を重ねると、目標にも仲間にもまっすぐな大型犬タイプに。一途を重ねれば忠犬に、寂しがりを重ねれば置いていかれるのが怖い子犬になります。懐いた相手の面倒まで見たくなるなら世話焼き、懐いた相手をとことん大事にするなら溺愛の要素が加わります。
ぶつかりやすい属性(あえて使うと面白い)
猫系と一匹狼は、距離の取り方が犬系と正反対です。一人に重ねるより、関係性で並べると引き立ちます。しっぽを振って寄っていく犬系と、ふいと離れる猫系。群れを嫌う一匹狼に、懲りずについていく犬系。追う側と追われる側がはっきりした名コンビになり、英語圏でも「ゴールデンレトリバーと黒猫」として人気の組み合わせです。
犬系の歴史
ここでは、主な出来事をまとめます。
年表を開く
「狂犬」は、もとは狂犬病にかかった犬のことです。日本国語大辞典は、17世紀前半ごろの『四河入海』で、人を狂犬にたとえた用例を挙げています。凶暴な人物のたとえとしての「狂犬」は、古くからある言い方です。
秋田犬のハチが生まれ、翌年から東京帝国大学の上野英三郎教授に飼われます。のちに「忠犬ハチ公」として知られ、辞書の「忠犬」の例にも挙がります。「飼い主に忠実な犬」というイメージは、犬系の一途さの土台になっています。
この年の漫画『臍下の快楽』に「イヌ系」と「ネコ系」を比べるせりふが出てきます。同じ年の週刊誌にも、女性のタイプとして犬系・猫系を分ける記事がありました。言葉の始まりははっきりしませんが、1990年代半ばにはすでに使われていたことが分かります。
少女漫画『きみはペット』が連載されます。働く女性が、段ボールに捨てられていた年下の青年を拾い、「モモ」と呼んでペットとして一緒に暮らす物語です。2003年と2017年にドラマ化されました。中国では、この作品のドラマ化をきっかけに、年下で一途な恋人を「子犬」にたとえる言い方が広まりました。
コラムニストが2006年に名づけた「草食男子」に、2008年に「系」をつけた「草食系男子」を書名にした本が出て、2009年には「草食男子」が新語・流行語大賞のトップテンに選ばれます。「草食系/肉食系」もノミネートされ、男性の性格を動物にたとえて「○○系男子」と呼び分ける言い方が広く知られるようになりました。
女性向けウェブメディアのアンケートで、男女とも「尽くす犬系」を好む人が多いという結果が出ました。
調査会社が20〜69歳の1,000人に聞いた調査で、犬派46.9%、猫派33.6%と犬派が多く、犬のイメージには「人懐こい」「忠誠的」が挙がりました。同じ年、結婚相談所が25〜39歳の独身男女1,950人に「犬と猫」について調査し、女性誌で紹介されます。男性は自分を「犬っぽい」、女性は「猫っぽい」と思う人が多く、犬系男子の62.7%が「恋人と一緒にいたい」と答えていました。
保護したドーベルマンが人間の青年になる少女漫画『恋するMOON DOG』が2018年に始まり、2021年にananマンガ大賞を受賞します。単行本の紹介文には「大型犬男子」という言葉が使われ、女性向けで大型犬のような男性が一つの型として受け入れられていることがうかがえます。2019年ごろからは年下男子との恋愛ドラマが増え、犬系男子を扱う作品も出てきました。
アニメ!アニメ!の読者アンケート「“犬”キャラといえば?」は本物の犬のキャラが中心ですが、2021年版や2024年版では、犬のように従順だったり人懐っこかったりする人間のキャラにも票が入っています。2024年版では、上司に忠実だったり、敵に威圧的だったりと「犬らしい要素」を感じさせるキャラが挙がり、人間のキャラが3位に入りました。
女性誌のウェブサイトで、犬系男子の特徴をまとめたイラストが盛んに描かれていることや、「○○系男子」の診断が人気であることが紹介されます。
英語圏のTikTokで、明るく人懐っこい「ゴールデンレトリバー彼氏」と、物静かで自立した「黒猫彼女」の組み合わせが話題になります。2024年の記事では、関連するハッシュタグの再生回数が1億6,000万回を超えたと紹介されました。
社交界では「氷の薔薇」と呼ばれながら、本性は「狂犬姫」という武闘派の令嬢が主人公のアニメが放送されます。狂犬は男性の不良キャラだけでなく、戦うヒロインの呼び名にもなっています。
恋愛記事では「犬系彼女」「子犬系男子」など、性別や犬の種類ごとに細かく呼び分けられています。一途で愛情深いという魅力と並んで、嫉妬や束縛、連絡の多さといった注意点も語られるようになりました。
今の犬系キャラのイメージ
- 恋愛記事の定番の「○○系」:犬系男子、犬系彼女は、恋愛の話で長く使われ続けている定番の言葉です。人懐っこい、感情表現が豊か、一途、スキンシップが好き、が共通する特徴です
- 犬の種類で細かく分かれる:甘えたがりの子犬系、明るく頼れる大型犬系、一人に尽くす忠犬など、同じ犬系でも呼び分けられるようになりました。キャラクターを作る時も、どの犬にたとえるかで性格の幅を出せます
- 猫系との組み合わせが人気:犬系と猫系は正反対のタイプとして並べられ、関係性で楽しまれています。英語圏の「ゴールデンレトリバーと黒猫」も同じ構図です。ただ、性別ごとに役割を決めつける言い方には、現実の関係を単純にしすぎるという批判もあります
- 一途さと重さは紙一重:嫉妬深さ、恋人以外との時間が取りにくい、連絡が多くて重く感じる、といった弱点も魅力と隣り合わせです。今の犬系を描く時は、待てること、送り出せることが大切です
- 人間のキャラも「犬っぽさ」で語られる:忠実さや人懐っこさ、敵への威圧感といった「犬らしさ」から、人間のキャラが犬にたとえられることもよくあります。忠犬型や狂犬型のような形は、読者にも犬のたとえとして伝わります
- 男女どちらにも使われる:犬系男子、犬系女子、犬系彼女と、どちらの性別にも広く使われます。自分を「犬っぽい」と思う人は、男性のほうがやや多めです
よくある質問
犬系キャラとはどういう意味ですか?
犬のように人懐っこく、感情を隠さずに表し、好きな相手にはまっすぐ懐いて一途に慕うキャラクターのことです。辞書に載った言葉ではなく、性格を犬にたとえた言い方で、「わんこ系」とも呼ばれます。
犬系と猫系の違いは何ですか?
犬系は自分からまっすぐ相手に近づき、好意をそのまま伝えるので、気持ちと態度が一致しています。猫系は自分のペースを大事にし、気が向いた時だけ甘え、恥ずかしさから本心と違う態度を取ることがあります。距離の詰め方と、気持ちの出し方が正反対です。
犬系とわんこ系は同じですか?
ほぼ同じ意味で使われます。「わんこ」は犬のくだけた呼び方で、わんこ系のほうがかわいらしい響きになります。BL作品では、相手に犬のように懐く攻めを「ワンコ攻め」と呼びます。
犬系男子が好かれるのはなぜですか?
好きな気持ちを隠さずにまっすぐ伝えてくれるので、相手が安心できるからです。裏表がなく、明るく、一途なことも魅力です。ふだんの人懐っこさと、守る時の真剣さとの落差も人気の理由です。
犬系キャラの一途さが重くならないようにするには?
相手の自由を残すことです。一緒にいたい気持ちは見せても、連絡を強要したり、ほかの人と会うことを責めたりしない。待てる、送り出せる、相手の時間を大事にできる犬系は、重さではなく安心感を与えます。
狂犬系キャラとはどんなキャラですか?
誰にでも噛みつくような荒っぽい性格なのに、懐いた一人の言うことだけは聞く、という落差のあるキャラクターです。「狂犬」は辞書では狂犬病にかかった犬のことで、転じて凶暴な人のたとえとして使われます。犬系の中では、一途さを荒っぽさで包んだ型と言えます。
「ゴールデンレトリバー彼氏」とは何ですか?
英語圏のTikTokで広まった言い方で、明るく人懐っこく、まっすぐ愛情を向ける恋人を、ゴールデンレトリバーにたとえたものです。日本語の犬系、とくに大型犬系に近い意味です。物静かな「黒猫彼女」との組み合わせとしてよく語られます。
次に読む
参考にした資料
- Wikipedia(日本語版)「犬系・猫系」(若者の性格の分類法、尽くす・人懐っこい・わんこ系、1996年の用例、2015年のアンケート、2019年ごろの年下男子ドラマ)
- Wikipedia(英語版)「Cat people and dog people」(犬派は外向的で人当たりがよいとする調査)
- クロス・マーケティング「犬と猫に関する調査」(2018年4月、1,000人、犬派46.9%・猫派33.6%、犬のイメージは人懐こい・忠誠的・賢い)
- 国立国会図書館サーチ『恋するMOON DOG』1巻(2019年7月刊、紹介文の「大型犬男子」)
- Wikipedia(英語版)「Loving Moon Dog」(2018年連載開始、2021年ananマンガ大賞)
- アニメ!アニメ!「“犬”キャラといえば?」2021年版(147人、女性約75%、従順・人懐っこい人間キャラにも票)
- アニメ!アニメ!「“犬”キャラといえば?」2024年版(155人、女性約55%、忠実・威圧的など犬らしい要素の人間キャラ)
- アニメ!アニメ!「“犬”キャラといえば?」2025年版(527人、女性約65%)
- 森岡正博「『草食系男子』の現象学的考察」(2008年7月、「系」をつけた「草食系男子」を初めて書名に)
- コトバンク「忠犬」(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典の語釈、忠犬ハチ公の概要)
- コトバンク「狂犬」(狂犬病にかかった犬、凶暴な人物のたとえ、『四河入海』の用例)
- Japanese with Anime「Wanko」(2018年3月2日、「わんこ」の成り立ちと、性格を表すたとえとしての使い方、ワンコ攻め)
- Fanlore「Attacks」(BL用語の「わんこ攻め」=犬のような性格の攻め)
- Wikipedia(日本語版)『きみはペット』(2000〜2005年連載、年下の青年を「モモ」と呼んで同居、2003年・2017年ドラマ化)
- Quartz「小奶狗(子犬)」についての記事(中国で年下の恋人を子犬にたとえる言い方、『きみはペット』のドラマ化がきっかけ)
- 自由国民社「新語・流行語大賞」第26回(2009年)(「草食男子」トップテン、2006年の命名、「草食系/肉食系」ノミネート)
- Oggi.jp「犬と猫」に関する調査の記事(2018年1月24日、パートナーエージェント調べ、25〜39歳の独身男女1,950人)
- Oggi.jp「犬系男子」についての記事(2023年10月23日、特徴、イラストや「○○系男子」診断の人気)
- Oggi.jp「犬系彼女と猫系彼女の違い」(2024年9月28日)
- Smartlog「犬系彼女の意味とは?」(2026年4月9日、感情表現がストレートで甘え上手、依存と見られること、猫系との違いは感情の表し方)
- Smartlog「犬系男子と猫系男子の違いとは?」(2022年5月13日、集団行動を好む・誰とでも友達になれる)
- Smartlog「子犬系男子の可愛い特徴」(2024年5月9日、犬系よりさらに甘えたがり)
- @DIME「彼氏にしたい?犬系男子の魅力と上手な付き合い方」(2024年5月20日、感情が分かりやすい・社交的・一途、デメリットとして嫉妬・恋人以外との時間・重さ)
- はてなキーワード「狂犬姫」(2025年秋アニメ、社交界では「氷の薔薇」、本性は武闘派)
- Cosmopolitan India「ゴールデンレトリバー彼氏と黒猫彼女」についての記事(2024年7月25日、ハッシュタグの再生回数、説への賛否)

