サザノノ 性分帖。 > 人との距離 > 自称姉・自称兄
自称姉・自称兄とは、相手の姉や兄ではないのに、「お姉ちゃんはね」「お兄さんが」と自分から姉や兄を名乗って、相手を弟や妹のように構いに行くキャラクターのことです。
要点
- 自称姉・自称兄は、血のつながりも、相手の承認もいらない「名乗り」の属性です。本人が姉や兄を名乗った瞬間に成り立ちます
- 見分ける条件は3つ。相手の実の姉・兄ではない・自分から姉や兄を名乗る・相手を弟や妹として構いに行く
- 兄貴分・姉御肌とは、関係の成り立ち方が違います。兄貴分は慕われてなる役、自称兄は自分で名乗る役。姉御肌は気性、自称姉は口ぐせ
- 「お姉さんはね」と言える理由は、日本語の呼び名が年下の側から決まる仕組みにあります。年上は、相手から見た呼び名で自分を呼べます。創作ではこれを、年の差も血縁もない相手に向けることで、姉や兄の役を自分で引き受けたことを一言で伝えています
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自称姉・自称兄の意味と語源
「自称」は、辞書(精選版 日本国語大辞典)では「実際はそうでないのに、または世間がそう認めていないのに、ある身分・肩書・名前を持つと自分で名乗ること」です。自称姉・自称兄の「自称」も同じで、本人が名乗っていること、周りが認めたとは限らないこと、の二つの含みを持ちます。
「お姉さん」「お兄さん」のほうは、もともと血のつながりがなくても使える言葉です。辞書の「姉さん」「兄さん」には、姉や兄を敬う呼び方のほかに、若い女性・若い男性を親しんで呼ぶ使い方が載っていて、「姉さん」のその用例は江戸後期の『浮世床』までさかのぼります。知らない相手を「そこのお姉さん」と呼べるのは、この使い方があるからです。
そして日本語には、年上の側が、年下の相手から見た呼び名で自分を呼べる仕組みがあります。兄は弟に「兄さんはね」と言えますが、弟は兄に「弟はね」とは言いません。この仕組みは家族の外にも広がっていて、大人が子どもに「お兄さんが持ってあげよう」と言う言い方は日常にあります。言語学ではこれを、血縁のない相手に親族の名前を使う「虚構的用法」と呼び、「うたのおねえさん」「体操のおにいさん」が自分を指す言葉としても使われるようになった例が挙げられています。
キャラクターの自称姉・自称兄は、この言い方を、年の差も血縁もない相手に向けて使う人です。そうすることで「姉や兄の役を自分で引き受けた」ことが一言で伝わります。相手がそれを認めるかどうかは別の話なので、「自称」になります。属性としては、人への近づき方の言葉なので、人との距離の群に入れています。
自称姉・自称兄かどうかの見分け方
年上で面倒見がよければ自称姉、年下を守っていれば自称兄、というわけではありません。自称姉・自称兄と呼べるのは、次の3つがそろった時です。
- 相手の実の姉・兄ではない:血のつながりはなく、年の差もあったりなかったりする。実の弟や妹がいる人でも、よその相手に姉や兄を名乗れば、その相手に対しては自称姉・自称兄
- 自分から姉や兄を名乗る:「お姉ちゃんはね」「お兄さんに任せなさい」のように、自分を姉や兄の名前で呼ぶ。相手に頼まれたわけではない
- 相手を弟や妹として構いに行く:世話を焼く、守る、ほめる、甘やかす。姉や兄の役を、自分の楽しみとして引き受けている
兄貴分・姉御肌・世話焼きとの違い
自称姉・自称兄は、年下の面倒を見る人を表す言葉とよく混ざります。こう覚えると見分けやすくなります。兄貴分は慕われてなる役、自称兄は自分で名乗る役。姉御肌は気性、自称姉は口ぐせ。世話焼きは名乗らずに手を出す人。
| 自称姉・自称兄 | 兄貴分・姉御肌 | 兄キャラ・姉キャラ | 世話焼き | |
|---|---|---|---|---|
| 何についての言葉か | 自分から名乗る役 | 慕われてなる役(兄貴分)・気性(姉御肌) | 実の弟や妹との関係 | 手の出し方 |
| 相手の承認 | いらない。名乗った瞬間に始まる | いる。慕われて成り立つ | いらない。生まれた時から | いらない。頼まれなくても手を出す |
| 相手への近づき方 | 「お姉ちゃんが」「お兄さんが」と前に出る | 背中を見せて、頼られたら応える | 守る、叱る、すれ違う | 黙って整える、気づいたら片づけている |
| 崩れる瞬間 | 「姉じゃない」「兄じゃない」と本気で言われた時 | 頼られる側に回れず、弱音を吐けない時 | 弟や妹を守れなかった時 | 「余計なお世話」と言われた時 |
いちばん混ざりやすいのは兄貴分と姉御肌です。兄貴分は、周りから慕われて兄の役が回ってきた人で、本人が「兄貴だ」と名乗らなくても成り立ちます。自称兄は、慕われているかどうかに関係なく、自分から「お兄さんが」と言い出す人です。姉御肌は、面倒見のよさが気性として出ている人の言葉で、姉を名乗るかどうかは問いません。自称姉は、名乗ること自体が見どころです。姉御肌の人が自称姉になることもあれば、少しも姉御肌ではないのに姉を名乗り続ける人もいます。
兄キャラ・姉キャラは、実の弟や妹との関係の言葉です。実の妹がいる人が、よその年下にも「お姉ちゃんが」と言い始めたら、その相手に対しては自称姉です。世話焼きは手の出し方の言葉で、名乗らずに黙って整える人です。自称姉・自称兄は、まず名乗って、それから手を出します。
自称姉・自称兄と近い言葉
| お姉さん・お兄さん | 兄貴風・先輩風 | 姉気取り・兄貴面 | 自称○○ | |
|---|---|---|---|---|
| どんな言葉か | 姉や兄を呼ぶ言葉のほか、若い男女への親しい呼びかけにも使う | 「風を吹かす」で、それらしくふるまうこと。辞書の用例に「兄貴風をふかす」「先輩風を吹かす」がある | 「気取る」は、そのものになった気でそれらしくふるまうこと。「○○面」は俗な言い回し | 「自称アイドル」「自称常識人」のように、本人がそう言っているだけ、という含みで使う |
| 自称姉・自称兄との関係 | この呼びかけがあるから、自分を「お姉さん」と呼べる。名乗りの土台になる言葉 | 周りから見た時の、少し冷ややかな言い方。本人が楽しそうに名乗るのが自称姉・自称兄で、周りが「風を吹かせている」と見るとこちらになる | 同じ行動を、外から見て言う言葉。自称姉・自称兄のページでは、本人の側から描く | 名乗りが本当かどうかは問わない。相手が認めれば、自称が本物の姉や兄の関係になることもある |
自称姉・自称兄の型
自称姉・自称兄は、なぜ名乗るのかと、相手がどう受け取るかで分かれます。よく描かれる型を並べました。
自分が末っ子で、妹という存在に憧れていた人が、出会った年下を勝手に妹にして姉を名乗る型です。相手は最初は困惑しているのに、本人はいいところを見せようとして空回りする。ほかの誰かが相手を妹扱いすると、本気で動揺します。たとえば、保登心愛(『ご注文はうさぎですか?』)がこの型です。
年上の余裕で、困っている相手の前に立ち、「お姉さんが引き受ける」と名乗る型です。頼られていなくても先に手を挙げ、うまくいけば「お姉さんがほめてあげよう」と相手を持ち上げる。頼もしさと、少し芝居がかった明るさが魅力になります。たとえば、ブーディカ(『Fate/Grand Order』)がこの型です。
年の近い仲間の中で、しっかり者で面倒見がよく、自然と「みんなのお姉さん」の位置に収まる型です。誰か一人の姉ではなく、その場の全員を弟や妹のように気にかける。主人公を弟のようにかわいがることで、距離が近づきます。たとえば、姫崎莉波(『学園アイドルマスター』)がこの型です。
実の妹がいて、家では本物の姉なのに、学校や職場でも同じ調子で周りの姉をやってしまう型です。同級生からも「お姉ちゃん」と呼ばれ、指導役の相手にまで姉の態度で接する。姉でいることが、その人の生き方になっています。たとえば、アイネスフウジン(『ウマ娘 プリティーダービー』)がこの型です。
男性キャラが「お姉ちゃん」を名乗り、仲間の面倒を見る型です。かわいいものや努力する姿が好きで、気さくで社交的。名乗りそのものが、その人らしさとして周りに受け入れられています。たとえば、鳴上嵐(『あんさんぶるスターズ!』)がこの型です。
仲間うちの最年長が、ふだんの一人称とは別に、年下の前でだけ自分を「お兄さん」と呼ぶ型です。面倒を見るのは好きなのに、頼られる側に慣れていて、自分の弱いところは見せない。たまに出る「お兄さん」の一言に、その人の優しさがにじみます。たとえば、二階堂大和(『アイドリッシュセブン』)がこの型です。
双子や年の近いきょうだいの上のほうが、ほとんど差がないのに「お兄ちゃんのほう」をくり返し名乗る型です。弟との違いを周りに分かってもらいたい気持ちと、兄でいたい気持ちが名乗りに出ている。弟のほうは、たいてい少しあきれています。たとえば、葵ひなた(『あんさんぶるスターズ!』)がこの型です。
ふだんは兄らしいことを何も言わないのに、相手が危ない時にだけ「兄だ」と名乗って前に出る型です。名乗りは一度きりで、だからこそ重い。相手がその言葉を受け取るかどうかが、二人の関係を変えます。
姉を名乗っても、相手に毎回「姉じゃない」と返される型です。それでも名乗るのをやめない姉と、認めない妹分のやりとりが、そのまま二人の仲のよさになる。相手がふと「お姉ちゃん」と呼んでしまう場面を、物語のごほうびにします。
年上や兄や姉でいることでしか人と近づけない人が、本当は甘えたいのに「お兄さんが」「お姉ちゃんが」と言い続ける型です。名乗りが鎧になっていて、相手に世話を焼かれると戸惑う。名乗りを一度やめる場面が、その人の本音になります。
自称姉・自称兄の作り方と台詞例
自称姉・自称兄は、一言の名乗りで作れる属性です。女性キャラのタブでは自称姉を、男性キャラのタブでは自称兄を扱います。実の弟や妹との関係は姉キャラ・兄キャラのページで扱います。
台詞は「心の距離」の順に4段階で並べています。表の顔 → ほころび(素が一瞬見える)→ 信頼した相手だけ → 独りの時。自称姉・自称兄は、表の顔では楽しそうに姉や兄を名乗り、ほころびで名乗りの裏にある気持ちがにじみ、信頼した相手には名乗らずに話し、独りの時には姉や兄でいたい理由を抱えています。話し方は口振カルテで調整できます。
下に行くほど心の距離が近づきます。同じ人物の4つの顔として読んでください。
自分のキャラクターの顔を置くと、下の台詞をその子が話しているように読めます。
性分帖の台詞は、自分で作ったキャラクターにどんな口調や性格が合うかを確かめるためのものです。画像と名前はこの端末にだけ保存され、ほかの属性のページでも同じ子が出ます。
ドラッグで位置を動かせます
女性の自称姉
女性の自称姉は、年下を勝手に妹にする人、みんなのお姉さんに収まる人、「お姉さんに任せなさい」と前に出る人として描かれます。名乗りが明るくて、相手に押しつけがましく見えない形が人気です。名乗る理由を一つ決めると、ただ年上ぶっている人ではなくなります。
- よくある形
- 妹に憧れて、出会った年下を妹にする末っ子/寮や部活で、自然とみんなのお姉さんになる人/年上の余裕で「お姉さんが引き受ける」と前に出る人/実の妹がいるのに、よそでも姉をやめない人
- 外すなら
- 名乗った相手のほうがしっかりしていて、姉のほうが世話をされている形にする。または、相手に初めて「お姉ちゃん」と呼ばれた日に、うれしさで何も言えなくなる場面を作る
- 気をつけたいこと
- 「お姉ちゃんはね」を、相手の意見を聞かずに決めてしまう言い方にしないこと。名乗りは近づくための入り口にして、相手の返事を待つ姿を描くと、押しつけに見えません
1表の顔人前・ふだん
「はい、お姉ちゃんが持つから貸して。妹に重いもの持たせるわけにいかないでしょ」
買い出しの帰り道で、年下の子の手から紙袋を取り上げながら
2ほころび素が一瞬見える
「……今、お姉ちゃんって言った? 言ってない? そっか。いいの、聞こえた気がしただけ」
店の片づけの途中で、手を止めて、相手の顔をじっと見て
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「家では三人兄妹の末っ子。紙袋、持ってもらう側だった。持つ側、やってみたら腕が痛い。悪くないね」
閉店後の店で、同じ年の友人にだけ、カップを拭きながら
4独りの時誰にも見せない本音
「置き物、もう五つ。『お姉ちゃんに』って言われたことは、まだ一回もない」
夜の自分の部屋で、相手からもらった小さな置き物を机に並べ直して
男性の自称兄
男性の自称兄は、仲間の最年長が年下の前でだけ「お兄さん」を名乗る人、年の近い相手に「お兄ちゃんのほう」を強調する人、守る場面でだけ兄を名乗る人として描かれます。ふだんは軽口に聞こえる名乗りが、ここぞという時に本気の言葉になる。その落差が見どころです。
- よくある形
- 仲間の最年長で、年下の前だけ「お兄さん」になる人/双子の上で、「お兄ちゃんのほう」を名乗り続ける人/相手が危ない時にだけ「兄だ」と言って前に出る人/年下に教えたがって「お兄さんが教えてやる」と言う人
- 外すなら
- 年下のほうが先に大人になっていて、「お兄さん」が通じなくなる形にする。または、相手に「兄貴」と本気で呼ばれて、名乗っていた本人のほうが照れる場面を作る
- 気をつけたいこと
- 「お兄さんが」を、相手を下に見る言い方にしないこと。名乗りは面倒を見たい気持ちの表れにして、相手の力を認める言葉を添えると、えらそうに見えません
1表の顔人前・ふだん
「ほら、そこ間違えてる。お兄さんが見ててやるから、もう一回」
練習場の隅で、年下の後ろに腕を組んで立ち、譜面をのぞきこんで
2ほころび素が一瞬見える
「お兄さんは……いや、俺は平気だよ。何でもない。続けて」
年下に「疲れてませんか」と聞かれ、言い直してから目をそらして
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「『疲れてませんか』って、年下に言われたの初めてだ。お兄さんは、聞かれる側じゃないんだよ。困る」
帰り道の自販機の前で、同じ年の相棒と缶を手に並んで
4独りの時誰にも見せない本音
「『ありがとうございました』、敬語か。兄なら呼び捨てでいいって、明日言おうか。言わないか」
夜の部屋で、年下から届いた「ありがとうございました」の通知を見て
女性向け作品の自称兄
女性向けでは、主人公に向かって「お兄さんが」と世話を焼く年上の男性が定番です。頼れる兄の顔で近づいてきたのに、主人公にだけは兄でいられなくなる。名乗りが崩れる瞬間が、恋の始まりとして描かれます。兄を名乗っている間は安全な距離があり、名乗りをやめた時に距離が変わります。
- よくある形
- 仲間の最年長で、主人公にも「お兄さんが」と世話を焼く人/主人公を妹分と呼んで、恋の気持ちをごまかす人/兄を名乗って近づいたのに、「兄」と呼ばれて傷つく人/「お兄さんに任せなさい」と言いながら、主人公の前では失敗ばかりの人
- 外すなら
- 主人公のほうが彼を「弟みたい」と思っていて、兄の名乗りが最初から通じていない形にする。または、主人公が彼を「お兄さん」と呼ぶのをやめた日が、二人の節目になる形にする
- 気をつけたいこと
- 「お兄さんが」で、主人公を子ども扱いしたまま恋を進めないこと。兄の顔と、一人の相手として向き合う顔を分けて描くと、名乗りをやめた時の特別さが伝わります
1表の顔人前・ふだん
「困ったら、お兄さんに言って。年上はこういう時のためにいるんだから」
仕事帰りの廊下で、荷物を抱えた主人公の横に並び、半分を持って
2ほころび素が一瞬見える
「お兄さんって、自分で言っておいてなんだけど。……君には、そう呼ばれたくないかも」
主人公に「お兄さん」と呼ばれた直後、笑ったまま視線を落として
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「兄を名乗ってる間は、近くにいても怪しまれないだろ。そういう卑怯な計算だったんだ、最初は」
夜の屋上で、主人公と二人きりになり、手すりに腕を置いて
4独りの時誰にも見せない本音
「いつまでお兄さんでいられるかな。もう、兄の顔じゃ見られてないのに」
帰りの電車で、主人公の「お兄さん、おやすみなさい」のメッセージを閉じて
男性向け作品の自称姉
男性向けでは、主人公に「お姉さんが」と近づいてくる年上の少女や、同い年なのに姉ぶる幼なじみが描かれます。頼れるお姉さんのはずが、実は主人公のほうがしっかりしている。名乗りと中身の落差や、主人公にだけ姉でいられなくなる瞬間がかわいさになります。
- よくある形
- 「お姉さんが教えてあげる」と言って、主人公より先に失敗する年上の少女/同い年なのに、誕生日が早いだけで姉を名乗る幼なじみ/主人公を弟分と呼んで、世話を焼きたがる先輩/主人公の妹に「お姉ちゃん」と呼ばせようとする人
- 外すなら
- 主人公のほうが姉の面倒を見ていて、姉の名乗りだけが残っている形にする。または、主人公が初めて彼女を「お姉さん」と呼んだ時、彼女が困ってしまう形にする
- 気をつけたいこと
- 「お姉さんが」の名乗りを、主人公を子ども扱いする場面だけに使わないこと。彼女が姉でいたい理由を一つ決めると、名乗りが性格になります
1表の顔人前・ふだん
「はいはい、お姉さんに任せなさい。こういうのは年上がやるって決まってるの」
校門の前で、主人公の手からプリントの束を取り上げ、胸を張って
2ほころび素が一瞬見える
「……三か月。三か月早く生まれてるんだから、お姉さんでいいでしょ。笑わないで」
「同い年だよね」と言われ、プリントを抱えたまま赤くなって
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「お姉さんって言ってれば、君の隣にいても変じゃないでしょ。そういうことにしておいて」
帰り道の歩道橋で、主人公と二人きりになって、少し先を歩きながら
4独りの時誰にも見せない本音
「三か月分の年上って、何に使えばいいんだろ。……写真、私のほうが背が低い」
夜の自分の部屋で、主人公と並んで写った写真を見て
自称姉・自称兄を書く時のコツと避けたいこと
コツ
- 名乗る理由を一つ決める:妹に憧れていた、年上でいたい、心配されたくない、近くにいる口実がほしい。理由が決まると、名乗りが性格になります
- 相手の返事を決める:受け入れる、否定し続ける、たまに呼んでしまう。相手の反応が、二人の関係をそのまま見せてくれます
- 名乗りの頻度を決める:いつも名乗るのか、ここぞという時だけなのか。たまにしか出ない「お兄さん」は、出た時に重くなります
- 名乗らない場面を一つ作る:姉や兄を名乗らずに話す相手、名乗りを忘れる瞬間。そこに、その人の素顔が出ます
名乗り方で変わる見え方
| 名乗り方 | どう見えるか | 揺らす出来事 |
|---|---|---|
| 楽しそうに毎回名乗る | 明るい、にぎやか | 相手に本気で「姉じゃない」と言われる |
| 年上の余裕で名乗る | 頼もしい、少し芝居がかっている | 相手のほうが先に問題を片づける |
| ここぞという時だけ名乗る | 重い、本気 | 相手がその言葉を覚えていたと知る |
| 差がないのに名乗る | かわいい、意地っ張り | 相手に追い越される |
| 名乗りが鎧になっている | 強がり、切ない | 相手に世話を焼かれる |
避けたいこと
- 「お姉ちゃんはね」「お兄さんが」を、相手を下に見る言い方として使い続けること。名乗りは近づくための言葉にして、相手の力を認める場面を入れます
- 名乗りだけで性格を済ませること。なぜ姉や兄でいたいのかがないと、ただ年上ぶっている人に見えます
- 相手が嫌がっているのに、名乗りと世話を押し通すことを、物語の正しさとして描くこと。嫌がられている様子を入れると、行きすぎが愛嬌になります
- 実在の作品の自称姉・自称兄の名乗りや決め台詞を、そのまま借りること。名乗りの言葉は、その人が姉や兄でいたい理由から作ります
自称姉・自称兄に合う口調・組み合わせやすい属性
合う口振(口振カルテへ)
自称姉・自称兄は人との距離の属性なので、口振は「どんな調子で名乗るか」で選びます。こまめに構うのか、ゆったり引き受けるのか、無邪気に押しかけるのか、兄貴らしく引っぱるのかで、同じ名乗りでも印象が変わります。
組み合わせやすい属性
自称姉・自称兄に世話焼きを重ねると、名乗ったあとで相手の生活にまで手を出す、放っておけない姉や兄に。過保護を重ねれば、名乗った相手を先回りして守りすぎる人になります。人懐っこいを重ねると、出会ってすぐに「お姉ちゃんが」と言い出す人に、距離感バグを重ねると、名乗りと同時に相手の懐へ入ってしまう人になります。強がりを重ねれば、名乗りが鎧になった本当は甘えたい人に。お調子者を重ねると、「お兄さんに任せろ」と言ってから失敗する人になります。名乗られる側の甘えん坊とは、関係性で並べると相性のいい組み合わせです。
ぶつかりやすい属性(あえて使うと面白い)
人見知りや一匹狼な相手は、名乗りとぶつかりやすい属性です。一人に重ねるより、関係性で並べると引き立ちます。「お姉ちゃんが」と近づいても、相手は距離を取り続ける。けれど、本当に困った時に相手が頼る先は、いちばんうるさかったその姉です。
自称姉・自称兄の歴史
ここでは、主な出来事をまとめます。
年表を開く
「〜ぶる」の古い用例として、「兄ぶっている」という意味の言葉が辞書に挙げられています。兄らしくふるまう人は、この時代から言葉にされていました。
『浮世床』に、若い女性を親しんで「姉さん」と呼ぶ用例が見られます。姉や兄の呼び名が、血のつながりを越えて使われていたことが分かります。
言語学者の鈴木孝夫が『ことばと文化』で、年上の側が年下から見た呼び名で自分を呼べる仕組みと、血縁のない相手に親族の名前を使う「虚構的用法」を整理します。「お兄さんはね」が成り立つ理由の、いちばん知られた説明です。
妹に憧れる主人公が、住みこみ先の喫茶店の娘の「自称姉」になるアニメが放送されます。認めてもらえないのに姉を名乗り続ける姿が、かわいさとして受け入れられました。
男性アイドルのゲームが配信され、公式の紹介に「自称『お姉ちゃん』」と書かれたキャラクターが登場します。名乗りそのものが、キャラクターの個性として扱われるようになりました。
アニメ!アニメ!の姉キャラの読者アンケートが自由回答になり、弟や妹がいなくても「お姉ちゃん」と慕われるキャラが毎年上位に入るようになります。血のつながりより、姉として接しているかどうかが支持の理由になりました。
競走馬をモデルにしたゲームで「No.1お姉ちゃん」を選ぶ企画が行われ、実の妹がいるキャラと、同級生や指導役にまで姉として接するキャラが上位に並びます。姉の態度が、作品をまたいで語られるようになりました。
今の自称姉・自称兄のイメージ
- 名乗りは明るいほど好かれる:楽しそうに「お姉ちゃんが」と名乗る人は、押しつけがましく見えません。空回りしている様子まで、かわいさとして受け取られています
- 血のつながりより、接し方:弟妹以外から「お姉ちゃん」と呼ばれて慕われる人は、姉キャラとして広く愛されています。姉として接していれば、名乗りは本物になっていきます
- 女性向けでは、名乗りが恋の入り口:「お兄さんが」と近づいて、主人公にだけ兄でいられなくなる形が定番です。名乗りをやめる瞬間が、気持ちが変わった合図になります
- 男性の自称姉も受け入れられている:男性キャラが「お姉ちゃん」を名乗る形も、その人の個性の一つとして定着しています
- 自称兄は、たまに出るのが好まれる:ふだんの一人称とは別に、年下の前でだけ「お兄さん」が出る形が、その人の優しさとして語られています
- 「ぶっている」と見られる危うさ:同じ行動でも、周りが冷ややかに見れば「兄貴風」「姉気取り」になります。相手が嫌がっている様子を入れるか、名乗る理由を見せるかで、印象が分かれます
よくある質問
自称姉・自称兄とはどういう意味ですか?
相手の姉や兄ではないのに、「お姉ちゃんはね」「お兄さんが」と自分から姉や兄を名乗って、相手を弟や妹のように構いに行くキャラクターのことです。血のつながりも、相手の承認もいりません。
自称兄と兄貴分の違いは何ですか?
兄貴分は、周りから慕われて兄の役が回ってきた人で、名乗らなくても成り立ちます。自称兄は、慕われているかどうかに関係なく、自分から「お兄さんが」と名乗る人です。慕われている自称兄は、二つが重なった姿です。
自称姉と姉御肌の違いは何ですか?
姉御肌は、さっぱりしていて面倒見のいい気性のことで、姉を名乗るかどうかは問いません。自称姉は、名乗ること自体が見どころです。姉御肌ではないのに姉を名乗り続ける人もいます。
なぜ「お姉さんはね」と自分のことを呼べるのですか?
日本語では、年上の側が、年下の相手から見た呼び名で自分を呼べるからです。兄は弟に「兄さんはね」と言えますが、逆はできません。この仕組みが家族の外にも広がって、大人が子どもに「お兄さんが持ってあげよう」と言う言い方になりました。
実の妹がいるキャラも自称姉になりますか?
なります。実の妹に対しては姉キャラですが、よその年下にも「お姉ちゃんが」と言い始めたら、その相手に対しては自称姉です。家でも外でも姉をやめない人として描かれます。
自称姉・自称兄を魅力的に書くコツは?
名乗る理由を一つ決め、相手の返事を決めることです。そのうえで、名乗らない場面を一つ作ると、名乗りの裏にある気持ちが見えてきます。たまにしか名乗らない形にすると、名乗った時の言葉が重くなります。
次に読む
参考にした資料
- コトバンク「自称」(精選版 日本国語大辞典:世間がそう認めていないのに自分で名乗ること)
- コトバンク「ぶる」(精選版 日本国語大辞典:そのふりをよそおう。1485年ごろの用例「兄ふってをる」)
- コトバンク「気取る」(デジタル大辞泉:そのものになった気で、それらしく振る舞う)
- コトバンク「吹かす」(用例「先輩風を吹かす」「兄貴風をふかす」)
- コトバンク「兄さん」(デジタル大辞泉:若い男性を親しみをこめて呼ぶ語)
- コトバンク「姉さん」(精選版 日本国語大辞典:若い女性を親しんで呼ぶ語、『浮世床』の用例)
- ニコニコ大百科「自称」(本人がそう言っているだけ、という含み)
- ニコニコ大百科「お兄さん」(血縁でないことが多い、キャラ要素の一つ)
- 藤井洋子「日本語の親族呼称・人称詞に見る自己と他者の位置づけ」(日本女子大学)(鈴木孝夫『ことばと文化』1973の虚構的用法、「うたのおねえさん」「体操のおにいさん」の自称)
- TV Tropes「Cool Big Sis」(血縁のない憧れの姉)
- TV Tropes「Honorary Uncle」(自分から名乗る親族の呼び名)
- Wikipedia(日本語版)「ご注文はうさぎですか?」(保登心愛:チノの「自称」姉、末っ子で妹に憧れている)
- マンガペディア「ご注文はうさぎですか?」(アニメ放送 2014年)
- 神ゲー攻略『Fate/Grand Order』ブーディカのボイス一覧(「お姉さんに任せなさい」「お姉さんが褒めたげよう」)
- 『学園アイドルマスター』公式サイト 姫崎莉波(面倒見のいい寮のみんなのお姉さん)
- 『ウマ娘 プリティーダービー』公式サイト アイネスフウジン(気さくな長女気質、双子の妹がいる)
- インサイド「ウマ娘 No.1お姉ちゃん」読者アンケート(2023年12月6日。同級生やトレーナーにも姉として接するキャラが上位)
- あんスタBasic攻略Wiki 鳴上嵐のプロフィール(公式紹介文「自称『お姉ちゃん』で面倒見が良い」)
- あんさんぶるスターズ!補完Wiki 葵ひなたの台詞(「葵のお兄ちゃんのほうね!」)
- Wikipedia(英語版)「Ensemble Stars!」(2015年4月配信開始)
- マンガペディア 二階堂大和の紹介(最年長で、自らのことを「お兄さん」と言う)
- アニメ!アニメ!「好きな姉キャラといえば?」2018年版(弟妹がいなくても姉のように慕われるキャラも上位に)
- アニメ!アニメ!「“姉”キャラといえば?」2024年版(上位の姉の多くは、自分のきょうだい以外からも慕われている)

