サザノノ 性分帖。 > 立ち位置 > 高嶺の花
高嶺の花キャラとは、美しさや才能、品のよさで誰もが憧れるのに、近寄りがたくて誰も手を伸ばせず、遠くから眺められている立ち位置のキャラクターのことです。
要点
- 辞書の意味は「手に入れられず、あこがれても自分には縁遠いもののたとえ」。高い山の峰に咲いていて、眺めるだけで摘めない花のたとえです
- 見分ける条件は3つ。誰もが憧れる・近寄りがたい・その距離をまわりが作っている
- 高嶺の花は性格ではなく、まわりからの見え方で決まる立ち位置です。冷たいからではなく、まわりが「自分なんて」と勝手に遠ざかっていることが多い
- 誰も声をかけてくれない寂しさ、実は気さくで恋に不器用な素顔。その内側を描くと、ただの「憧れの人」がキャラクターになります
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高嶺の花の意味
高嶺の花は「たかねのはな」と読みます。辞書では、手に入れられず、あこがれても自分には縁遠いもののたとえ(デジタル大辞泉)、遠くから眺めるだけで、自分のものにできないもののたとえ(日本国語大辞典)と説明されています。ことわざの辞典では「美しく魅力的な人やもの、高価なものなど」をいう、とされています。もとは、高い山の頂や険しい崖など、人の手が届かない場所に咲く花のことです。
「高根の花」と書くこともあり、日本国語大辞典が挙げるいちばん古い用例(1734年)もこの書き方です。値段の「高値」と書くのは書き間違いです。物にも使える言葉ですが、「花」という字が入っていることもあり、主に女性に対して使われます。男性の場合は「イケメン」や「紳士」、あるいは王子様のように別の言葉で表すことが多くなります。対になる言葉は、どこにでもある「路傍の石」です。
英語の辞書では「woman who is out of one’s league(自分とは格が違う女性)」と訳されています。英語には「Attractiveness Isolation(魅力ゆえの孤立)」という型の呼び名もあります。あまりに魅力的なせいで、誰もが「断られるに決まっている」と思って声をかけず、本人は「自分は誰からも求められていないのでは」と悩んでしまう。高嶺の花の、眺める側からは見えない内側をよく表した言葉です。
キャラクター属性としての高嶺の花は、立ち位置の群に入れています。高嶺の花は本人の性格ではなく、まわりからどう見られているかで決まるからです。冷たい人も、気さくな人も、まわりが「近寄りがたい」と思えば高嶺の花になります。
高嶺の花キャラかどうかの見分け方
「美人なキャラ」「人気者のキャラ」がすべて高嶺の花になるわけではありません。高嶺の花と呼べるのは、次の3つがそろった時です。
- 誰もが憧れる:美しさ、才能、家柄、品のよさなど、まわりが一目置く魅力がある。噂になる、名前を知られている、視線を集める
- 近寄りがたい:みんなが憧れているのに、声をかける人はほとんどいない。遠くから眺められ、「どうせ相手にされない」と思われている
- その距離を、まわりが作っている:本人が人を遠ざけているとは限らない。むしろ、まわりの遠慮や思い込みが、彼女や彼を一人にしていることが多い
クール・王子様・一匹狼との違い
高嶺の花は、感情を見せない雰囲気でクールと、みんなの憧れである点で王子様と、一人でいることが多い点で一匹狼と並べられます。分ける軸は「その距離を作っているのは誰か」です。
| 高嶺の花 | クール | 王子様 | 一匹狼 | |
|---|---|---|---|---|
| 何で決まるか | まわりからの見え方 | 本人の性格 | 品とふるまい、人気 | 本人の選択 |
| 距離を作っているのは | まわり(遠慮と思い込み) | 本人の落ち着いた気質 | 本人は手を差し出している | 本人 |
| 本人の気持ち | 寂しいことも多い | 平気なことが多い | 役に疲れることもある | 一人が好き |
| 声をかけられた時 | 意外に気さく、または戸惑う | 落ち着いて応じる | 笑顔で迎える | 静かに距離をとる |
高嶺の花と一匹狼は、どちらも一人でいることが多いのに、理由が正反対です。一匹狼は自分で選んだ一人、高嶺の花はまわりに置かれた一人です。王子様は自分から手を差し出してみんなの中心に立ちますが、高嶺の花は、手を差し出す前にまわりが遠ざかってしまいます。クールは性格の言葉なので、高嶺の花と重なることができます。冷たく見えるクールな美人が、実は誰かに声をかけてほしいと思っている。それが高嶺の花のいちばんよくある形です。
「マドンナ」「雲の上」「路傍の石」との違い
高嶺の花のそばで、よく一緒に使われる言葉です。違いは、手が届くかどうかと、何についての言葉かです。
| 高嶺の花 | マドンナ | 雲の上 | 路傍の石 | |
|---|---|---|---|---|
| 何についての言葉か | 憧れても手に入らない人やもの | 多くの人が憧れる美しい女性 | 自分とはかけ離れた場所や存在 | どこにでもあって、気にもとめられないもの |
| 手が届くか | 届かないと思われている | 問わない(憧れの的) | 届かない(別世界) | すぐそこにある |
| 誰に使うか | 主に女性。人にも物にも | 女性 | 人にも場所にも | 物や、目立たない人のたとえ |
「マドンナ」は、もとは聖母マリアのことで、「クラスのマドンナ」のように多くの人が憧れる女性を指します。マドンナは「みんなの憧れ」であることが中心で、高嶺の花は「手が届かない」ことが中心です。みんなに慕われ、気軽に話しかけられるマドンナもいますが、気軽に話しかけられる高嶺の花はいません。「雲の上」は、もとは宮中のことで、そこから自分とはかけ離れた別世界を指すようになった言葉です。
高嶺の花キャラの型
同じ高嶺の花でも、何が「高い」のか、本人がその距離をどう感じているかで印象が大きく変わります。型を一つ決めると、キャラの芯が見えてきます。
成績も品行も見た目も一番で、生徒会長や学年一位として誰もが名前を知っている型です。完璧すぎて話しかけにくいと思われ、ほころびを一つ見せた瞬間が、物語の始まりになります。
美しく、冷たく、近づく人をはっきりはねつける型です。高嶺の花の中で、本人のほうから距離を作っている珍しい形です。冷たさの理由(傷ついた過去、守りたいもの)が見えると、溶けていく過程が大きな見せ場になります。
家柄、財力、育ちのよさで、まわりとは住む世界が違うと思われている型です。本人は庶民の暮らしに憧れていたり、友達との寄り道を夢見ていたりする。その差がかわいげになります。
近寄りがたいオーラをまとっているのに、話してみると冗談も言うし、恋はびっくりするほど不器用、という型です。勇気を出して声をかけた人だけが知る素顔が、いちばんの魅力です。たとえば、鹿野千夏(『アオのハコ』)がこの型です。
誰からも声をかけられず、遠巻きに噂だけされて、「自分は誰にも求められていない」と思いこんでいる型です。まわりの憧れと本人の寂しさのずれが、切ない物語になります。寂しがりと重なります。たとえば、神里綾華(『原神』)がこの型です。
高嶺の花キャラの作り方と台詞例
同じ高嶺の花でも、キャラの性別や、誰に向けた作品かで「心が動くポイント」が変わります。4つの向きごとに、よくある形と、外し方、台詞例をまとめました。
台詞は「心の距離」の順に4段階で並べています。表の顔 → ほころび(素が一瞬見える)→ 信頼した相手だけ → 独りの時。高嶺の花では、表の顔でまわりが思い描く「憧れの人」を見せ、ほころびで思いがけない気さくさや戸惑いがのぞき、信頼した相手に、遠くから眺められてきた寂しさを明かし、独りの時に、本当はふつうの悩みを持つ一人の人であることが見えるようにしています。話し方は口振カルテで調整できます。
下に行くほど心の距離が近づきます。同じ人物の4つの顔として読んでください。
自分のキャラクターの顔を置くと、下の台詞をその子が話しているように読めます。
性分帖の台詞は、自分で作ったキャラクターにどんな口調や性格が合うかを確かめるためのものです。画像と名前はこの端末にだけ保存され、ほかの属性のページでも同じ子が出ます。
ドラッグで位置を動かせます
女性の高嶺の花キャラ
女性の高嶺の花キャラは、学園一の美少女、華道や茶道の名家の娘、社内で一目置かれる若手のエースとして描かれます。廊下を歩けば視線が集まり、噂は絶えないのに、誰も本気で声をかけない。そのまわりの遠慮が、彼女を一人にしています。憧れられる側の視点で描くと、高嶺の花は「完璧な人」ではなく、ふつうに笑ったり迷ったりする一人の女の子になります。
- よくある形
- 学園一の美少女と噂される生徒会長/名家に生まれた和装の令嬢/社内で一目置かれる若手のエース/誰とも組まない天才ピアニスト
- 外すなら
- 高嶺の花と思われている彼女が、実は恋愛経験ゼロで、初めての恋に右往左往する形にする。または、彼女自身が別の誰かを「高嶺の花」と思って遠くから眺めている形にする
- 気をつけたいこと
- 「隙がないから一人なんだ」と、彼女のほうに原因を押しつける描き方にしないこと。距離を作っているのは多くの場合まわりの遠慮です。美しさだけでなく、好きなことや悩みといった中身を一つ持たせると、彼女がまっすぐ魅力的になります
1表の顔人前・ふだん
「ありがとう。でも、ここまで一人で運んできたから、最後まで自分で持ちたいの」
遠巻きに見ていた生徒たちの前を、資料を抱えて静かに通りすぎながら
2ほころび素が一瞬見える
「……え、話しかけてくれたの? ごめんなさい、慣れてなくて。何の話だったかしら」
放課後の図書室で、隣の席から声をかけられ、本を取り落としそうになって
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「校庭の声、全部名前を知ってる。……でも、私を下の名前で呼んだ人、あなたで三人目」
夕暮れの屋上で、フェンス越しに校庭のにぎやかな声を眺めながら
4独りの時誰にも見せない本音
「明日は、私から『おはよう』って言ってみよう。……変な顔、されないといいな」
夜の部屋で、鏡の前で笑い方を何度も練習しながら
男性の高嶺の花キャラ
男性の高嶺の花キャラは、学校中が憧れる先輩、近寄りがたい天才、住む世界の違う御曹司として描かれます。男性は「王子様」や「イケメン」と呼ばれることも多いのですが、ふるまいの華やかさより「誰も近づけない遠さ」が中心なら、高嶺の花として描けます。黙って座っているだけで噂になる彼が、実は誰とどう話せばいいか分からずにいる。その差が魅力の芯になります。
- よくある形
- 学校中が名前を知っている寡黙な先輩/若くして賞を取った天才画家/名家の跡取り/遠征ばかりで教室にほとんどいない運動部のエース
- 外すなら
- 近寄りがたいと思われていた彼が、実はクラスの輪に入りたくて、話しかけるきっかけをずっと探していた形にする。または、彼のほうが別の誰かを高嶺の花として見上げている形にする
- 気をつけたいこと
- 近寄りがたさを、まわりを見下す態度で表さないこと。見下す人は高嶺の花ではなく、ただの傲慢な人として読まれます。遠いのはまわりの思い込みで、本人はまっすぐな人、という形のほうが応援されます
1表の顔人前・ふだん
「……ああ、おはよう。そんなに下がらなくても、通れるぞ」
朝の昇降口で、ざわめく後輩たちに軽く会釈だけして
2ほころび素が一瞬見える
「その漫画、俺も読んでる。……意外って顔、してるな」
休み時間、後輩の机の上の漫画に気づいて、思わず足を止めて
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「肉まん半分こなんて、中学以来だ。……お前、俺が落としたらふつうに笑うだろ。それがいい」
部活帰りのコンビニの前で、肉まんを半分に割って渡しながら
4独りの時誰にも見せない本音
「打ち上げ、誘われなかったな。……まあ、誘いにくいか。俺だって、どう混ざればいいか分からないし」
誰もいない部室で、仲間たちの楽しそうな写真が流れてくるスマートフォンを伏せて
女性向け作品の男性高嶺の花キャラ
女性向けでは、主人公が遠くから憧れていた「雲の上の人」が、実は主人公のことを前から見ていた、という形が大きなときめきになります。届かないと思っていた人が、手の届くところまで降りてくる。その瞬間のために、まずはしっかり「遠さ」を描いておくのがコツです。主人公の側の「自分なんかが」という気持ちを丁寧に書くほど、近づいた時の喜びが大きくなります。
- よくある形
- 主人公が三年間ずっと眺めていた先輩/社内で誰も近寄れない若き重役/ステージの上の憧れの人/幼いころに一度だけ会った名家の少年
- 外すなら
- 高嶺の花の彼のほうが、主人公を高嶺の花だと思っていて、お互いに遠慮し合っていた形にする。または、彼を遠ざけていたのはまわりの噂で、主人公だけがそれを気にせずふつうに接する形にする
- 気をつけたいこと
- 主人公が彼に釣り合うように自分を変えなければならない、という形だけにしないこと。彼が主人公を選ぶ理由は、主人公がそのままでいる姿の中に置くと、安心してときめける物語になります
1表の顔人前・ふだん
「資料、よくまとまっていました。この調子でお願いします」
会議のあと、主人公の机に書類を置いて、表情を変えずに立ち去りながら
2ほころび素が一瞬見える
「……その付箋の猫の絵、あなたが描いたんですか。毎回、少しだけ楽しみにしていました」
エレベーターで二人きりになり、目を合わせないまま
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「役員室の扉、いつも開けてあります。……あなたも、ノックして三秒待つんですね。少し寂しい」
残業の夜、窓際の自販機の前で、主人公に缶のココアを差し出して
4独りの時誰にも見せない本音
「声をかけられるのを待っていたのは、私のほうだったのかもしれないな」
誰もいない役員室で、机の引き出しにしまった猫の付箋を眺めながら
男性向け作品の女性高嶺の花キャラ
男性向けでは、クラスの誰もが憧れる高嶺の花のヒロインが、主人公にだけ素顔を見せる形が定番です。みんなは「どうせ他校にかっこいい彼氏がいる」と噂しているのに、実はいない。主人公だけがそれを知っている。この「主人公だけが知っている」という秘密が、ときめきの中心になります。
- よくある形
- 学校一の美少女と噂されるクラスメイト/主人公とだけ放課後に話す孤高の才女/幼なじみなのに今は高嶺の花になった少女/誰にでも塩対応の一軍女子
- 外すなら
- 高嶺の花の彼女が、主人公にだけ驚くほど庶民的な趣味を明かす形にする。または、彼女のほうが主人公を「高嶺の花」と思っていて、遠くから見ていた形にする
- 気をつけたいこと
- 彼女を、主人公が努力の末に手に入れる「景品」として描かないこと。彼女が主人公を選ぶのは、彼女自身の気持ちと意思です。彼女の側の寂しさや好きなものを描くと、二人の関係がまっすぐなものになります
1表の顔人前・ふだん
「ごめんなさい。お気持ちは、ありがたく受け取っておきます」
校舎裏で、告白してきた男子に丁寧に頭を下げて
2ほころび素が一瞬見える
「……見た? 今の、見なかったことにして。駄菓子屋で当たりくじに喜んでたなんて、誰にも言わないで」
放課後の駄菓子屋の前で、主人公と鉢合わせして真っ赤になって
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「彼氏なんていないよ。みんな勝手にそう決めて、誰も聞いてこないだけ。……あなたは、聞いてくれたね」
夕焼けの帰り道、少し前を歩きながら振り返らずに
4独りの時誰にも見せない本音
「当たりくじ、捨てられないな。……明日もあの店に寄ったら、また会えるかな」
ベッドに寝転んで、当たりくじを電気に透かして眺めながら
高嶺の花キャラを書く時のコツと避けたいこと
コツ
- 何が「高い」のかを決める:美しさ、才能、家柄、成績、品のよさ。何によって遠い人になっているのかが決まると、まわりの反応が書きやすくなります
- 距離を作っているのは誰かを決める:本人が人を遠ざけているのか、まわりが勝手に遠慮しているのか。多くの高嶺の花は後者です。ここが決まると、キャラの内側が見えてきます
- 眺める側の思い込みを描く:「彼氏がいるに決まってる」「話しかけても迷惑だろう」。まわりの思い込みと本人の実際のずれが、物語の種になります
- ふつうの一面を一つ持たせる:駄菓子が好き、漫画を読む、恋に不器用。遠い人がふつうの人だと分かる瞬間が、高嶺の花のいちばんの見せ場です
- 最初に声をかける人を一人決める:誰もが遠巻きにする中で、気にせず話しかける人が一人いる。その人との関係が、高嶺の花の物語の軸になります
避けたいこと
- 「完璧すぎるから一人なんだ」「隙がないからモテない」と、本人のほうに原因を押しつけて責めること
- 見た目の美しさだけで描き、好きなことや悩みといった中身を持たせないこと
- 高嶺の花を、主人公が努力して「手に入れる」「落とす」対象としてだけ描くこと。相手にも選ぶ気持ちと意思があります
- 近寄りがたさを、まわりを見下す冷たさや意地悪で表すこと。それは高嶺の花ではなく、傲慢な人として読まれます
- 見た目や家柄だけで人柄を決めつける見方を、そのまま正しいものとして描くこと
高嶺の花キャラに合う口調・組み合わせやすい属性
合う口振(口振カルテへ)
高嶺の花は立ち位置の属性なので、口振は「どんな言葉づかいで遠さを感じさせるか」で選びます。ていねいな言葉で品を見せるのか、落ち着いた言葉で感情を見せないのか、育ちのよさがにじむ言葉で住む世界の違いを見せるのか、余裕のある言葉でゆったり構えるのかで、同じ高嶺の花でも印象が変わります。
組み合わせやすい属性
高嶺の花にクールを重ねると、いちばん王道の「近寄りがたい美人」に。天然を重ねれば、遠い人だと思われているのに、話すとびっくりするほど抜けている愛すべき人になります。ツンデレを重ねると、素直になれないせいで、ますます遠い人だと思われてしまう人に。寂しがりを重ねると、誰も声をかけてくれないことに一人で傷ついている、切ない高嶺の花になります。ミステリアスを重ねると、噂ばかりで誰も本当の姿を知らない人になります。
ぶつかりやすい属性(あえて使うと面白い)
犬系と鈍感は、相手との距離をまったく気にせず近づいていく属性です。一人に重ねるより、関係性で並べると引き立ちます。誰もが遠巻きにする高嶺の花に、犬系の転校生が初日から「一緒に帰ろう」と駆け寄ってくる。鈍感な主人公は、相手が高嶺の花だと気づかずに、ふつうに消しゴムを借りる。遠さを気にしない相手がいると、高嶺の花の素顔が自然に引き出されます。
高嶺の花の歴史
ここでは、主な出来事をまとめます。
年表を開く
俳諧『いまみや艸』に「折事も高根の花や見たばかり」という句が出てきます。日本国語大辞典が挙げる「高嶺の花」のいちばん古い用例で、「眺めるだけで手に入らない」という意味は、300年近く前から変わっていません。
井上靖が『高嶺の花』という題の小説を発表します。言葉がそのまま作品の題名に使われるほど、なじみのある言い回しになっていました。
野坂昭如の『火垂るの墓』にもこの言葉が出てきます。日本国語大辞典が近代の用例として挙げています。
6月26日、back numberが「高嶺の花子さん」を発売します。手の届かない相手に片思いする男性の目線で歌われた曲で、のちに大晦日の紅白歌合戦でも歌われるほどの代表曲になりました。高嶺の花を「眺める側」の気持ちが、広く共有されるきっかけの一つになりました。
7月から、華道の名門に生まれ、美しさも才能も家柄もすべてを持った女性と、平凡な自転車店の店主との恋を描くドラマ『高嶺の花』が放送されます。高嶺の花と「地上の凡夫」の格差が、正面から物語の題材になりました。
4月から、会社で高嶺の花として一目置かれているのに、恋愛の腕前は小学生並み、という女性を主人公にしたドラマ『高嶺のハナさん』が放送されます。遠い人の不器用な素顔という、今の高嶺の花の定番の形がはっきり表れています。
小説投稿サイトの学園ラブコメでは、「高嶺の花」が作品のタグや題名によく使われ、クラスの高嶺の花が主人公にだけ素顔を見せる形の作品が書き続けられています。恋愛記事でも、高嶺の花と呼ばれる人が「アプローチされにくい」ことがくり返し取り上げられています。
今の高嶺の花キャラのイメージ
- 距離はまわりの思い込みが作る:高嶺の花と呼ばれる人に声がかからないのは、「すでに素敵な恋人がいるはず」と確かめずに思いこむ、「自分には釣り合わない」と身を引く、といった眺める側の思い込みのせいです。物語では、この思い込みが解ける瞬間が見せ場になります
- 近寄りがたいのに、実は気さく:近寄りがたいオーラがあっても、実際には親しみやすい人も多くいます。遠い人のふつうの一面や、恋の不器用さが、今の高嶺の花の魅力の中心です
- 褒め言葉だけど、悩みの種にもなる:高嶺の花は基本的には褒め言葉ですが、そう思われることで人が離れていく、という悩みもつきまといます。キャラクターでも、憧れられることの寂しさを描くと奥行きが出ます
- 魅力ゆえの孤独:魅力的すぎて誰からも声をかけられず、「自分は求められていない」と悩む形は、国を問わず物語の題材になっています
- 学園ラブコメの定番ヒロイン:クラスの高嶺の花が、主人公にだけ素顔を見せる。この形は、男性向けラブコメの定番です
- 主に女性の言葉、男性は別の言葉で:高嶺の花は主に女性に使われ、男性には「王子様」「イケメン」などの言葉を使うのがふつうです。キャラクターでは、華やかさより「遠さ」が中心なら、男性にも高嶺の花の形が使えます
- 眺める側の歌:手の届かない相手に片思いする歌が長く愛されているように、高嶺の花は、憧れる側の気持ちと一緒に語られることの多い属性です
- 2025〜2026年に人気の作品では:神里綾華(『原神』)や鹿野千夏(『アオのハコ』)のように、憧れられる側の寂しさや素顔が描かれる形が好まれています
よくある質問
高嶺の花キャラとはどういう意味ですか?
美しさや才能、品のよさで誰もが憧れるのに、近寄りがたくて誰も手を伸ばせず、遠くから眺められている立ち位置のキャラクターのことです。辞書の意味は「手に入れられず、あこがれても自分には縁遠いもののたとえ」です。
「高嶺の花」と「高根の花」はどちらが正しいですか?
どちらも使われます。日本国語大辞典が挙げるいちばん古い用例は「高根の花」と書かれています。一方、値段の「高値」を使って「高値の花」と書くのは書き間違いです。
高嶺の花とクールの違いは何ですか?
クールは本人の性格の言葉で、高嶺の花はまわりからの見え方で決まる立ち位置の言葉です。クールな人が高嶺の花になることもありますが、気さくな人でも、まわりが「近寄りがたい」と思えば高嶺の花になります。
高嶺の花と一匹狼の違いは何ですか?
一匹狼は、自分で選んで一人でいる人です。高嶺の花は、まわりが遠慮して近づかないために一人になっていることが多く、本人は寂しいと感じていることもあります。
男性にも高嶺の花は使えますか?
使えますが、主に女性に使われる言葉です。男性には「王子様」や「イケメン」などの言葉を使うのがふつうです。キャラクターでは、華やかさより「誰も近づけない遠さ」が中心なら、男性の高嶺の花として描けます。
高嶺の花は褒め言葉ですか?
基本的には褒め言葉です。ただ、そう思われることで声をかけられにくくなり、本人が寂しさを感じることもあります。キャラクターでは、その寂しさが魅力の奥行きになります。
高嶺の花キャラの素顔は、どう見せればいいですか?
まず「遠さ」をしっかり描き、そのうえで、駄菓子が好き、恋に不器用といった、ふつうの一面を一つ見せるのが効果的です。誰もが遠巻きにする中で、気にせず話しかける人を一人決めると、素顔が自然に引き出されます。
次に読む
参考にした資料
- コトバンク「高嶺の花」(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典・ことわざを知る辞典の語釈、『いまみや艸』1734年・『火垂るの墓』1967年の用例)
- Weblio「高嶺の花」(高い山の頂や崖に咲く花という由来、対義語の路傍の石、主に女性に使うこと、井上靖の小説)
- Wikipedia(日本語版)「高嶺の花」(言葉の意味と、同じ名前の作品)
- JapanDict「高嶺の花」(英訳、高根・高値の表記の扱い)
- Weblio「マドンナ」(聖母マリア、多くの人が憧れる女性)
- コトバンク「雲の上」(宮中、自分とはかけ離れた所)
- TV Tropes「Attractiveness Isolation」(魅力ゆえに誰からも声をかけられない型)
- TV Tropes「Ice Queen」(冷たさを特徴とする型と、心が溶けていく型)
- Smartlog「高嶺の花とはどんな意味?」(2026年4月11日、特徴と、男性が抱く思い込み)
- ライブドアニュース 高嶺の花と言われる女性についての記事(男性に使う場合、近寄りがたいが実は親しみやすいこと、アプローチされにくい理由)
- みんなのランキング back numberの曲(「高嶺の花子さん」2013年6月26日発売)
- RENOTE back number(「高嶺の花子さん」が紅白歌合戦で歌われたこと)
- TheTVDB『高嶺の花』(2018年のドラマのあらすじ)
- みんなのランキング『高嶺の花』(2018年7月11日から日本テレビ系で放送)
- TheTVDB『高嶺のハナさん』(2021年4月から、会社の高嶺の花の不器用な恋)
- カクヨム 「高嶺の花」タグのついた学園ラブコメの例(2026年も連載が続く作品)

