サザノノ 性分帖。 > 立ち位置 > 王子様
王子様キャラとは、品のあるふるまいと人を惹きつける魅力で、まわりから特別扱いされ「王子様」と呼ばれる立ち位置のキャラクターのことです。本物の王子でなくてもかまいません。
要点
- 辞書には「王の息子」のほかに、「団体や分野で実力・人気があり、容貌もすぐれた若い男性」という意味があります。例は「クラスの王子様」。キャラ属性の王子様は、主にこちらです
- 見分ける条件は3つ。品がある・まわりから特別扱いされる・ふるまいが人を惹きつける
- 王子様は性格というより立ち位置です。爽やか、紳士的、腹黒など、いろいろな性格を乗せられます。強引に引っぱるなら俺様、冷たく近寄りがたいならクールや高嶺の花として分けています
- 男装の麗人や「王子様系女子」のような女性の王子様、ステージで王子様を演じるアイドルなど、今は形が大きく広がっています
見出しの一覧
王子様の意味
王子は、もとは王の息子のことです。日本国語大辞典では、天皇や皇帝の子は「皇子」、王の子は「王子」と書くのがふつうだと説明されています。デジタル大辞泉には、このほかに比喩の意味が二つ載っています。一つは「我が家の王子」のように、大切にされている男の子。もう一つは団体や分野で実力・人気があり、容貌もすぐれた若い男性で、例として「クラスの王子様」が挙がっています。キャラクター属性としての王子様は、主にこの二つ目の意味です。本物の王子が出てくる物語でも、身分だけでなく、ふるまいや人気で「王子様らしい」と感じさせるキャラが王子様キャラと呼ばれます。
日本では武家の社会が長く続いたため、「王の子」という意味の王子はなじみが薄く、西洋のおとぎ話を通じて広まった言葉です。そのため「若い」「顔立ちが美しい」「凛々しい」といった意味で、貴公子と同じように使われることが多く、2000年代以降は、爽やかな若い男性に「○○王子」というあだ名をつける例も増えました。
英語では、おとぎ話の理想の王子を「Prince Charming(プリンス・チャーミング)」と呼びます。17世紀にフランスのドーノワ夫人が書いたおとぎ話に「シャルマン王」が出てきて、1889年にイギリスのアンドルー・ラングが再話した時に主人公を「Charming」と訳したのが、この呼び名の始まりとも言われます。おとぎ話の王子は、美しく、勇敢で、呪いを解き、困っている娘を助ける役です。今では「理想の結婚相手」のたとえとしても使われる一方、自分に酔っている、恋のことしか考えていない、とわざと崩して描かれることも多くなりました。
英語では「Princely Young Man(王子様のような若い男)」という型の名前もあります。お嬢様の男性版で、家柄や地位、または人柄や人気によって、王子のように扱われる若い男性のことです。少女漫画では主人公の恋の相手になることが多く、逆ハーレムものにはいろいろな王子様が何人も出てきます。人気者の「チャーミング型」、冷たく高慢な「氷の王様型」、礼儀正しい「紳士型」、家の地位を振りかざす「わがまま坊ちゃん型」に分けられます。
女性向けの恋愛ゲームでも、「天才×ドS王子」「年下×一途王子」「紳士×ミステリアス王子」のように、王子様を土台にして性格を掛け合わせる紹介の仕方がよく使われます。王子様は一つの性格ではなく、いろいろな性格を乗せられる「立ち位置」だと言えます。そのため性分帖では、王子様を立ち位置の群に入れています。
王子様キャラかどうかの見分け方
「かっこいいキャラ」「お金持ちのキャラ」がすべて王子様になるわけではありません。王子様と呼べるのは、次の3つがそろった時です。
- 品がある:言葉づかいや仕草がていねいで、どこか育ちのよさを感じさせる。乱暴な言葉や態度が似合わない
- まわりから特別扱いされる:身分、人気、見た目、実力のどれかで、まわりから一段上の存在として見られている。本人が望んでいなくても「王子様」と呼ばれてしまう
- ふるまいが人を惹きつける:手を差し出す、扉を開ける、名前を呼んで笑いかける。相手を大事に扱う仕草が自然で、それが人を惹きつける
俺様・スパダリ・腹黒との違い
王子様は、恋の相手として主人公の前に立つ点で俺様やスパダリと、「表の顔」がきれいな点で腹黒と並べられます。分ける軸は「相手にどう向かうか、まわりからどう見えるか」です。
| 王子様 | 俺様 | スパダリ | 腹黒 | |
|---|---|---|---|---|
| 中心にあるもの | 品と、人を惹きつける魅力 | 自信と強引さ | 何でもできる包容力 | 表と裏の差 |
| 相手への向かい方 | 手を差し出し、ていねいに扱う | ぐいぐい引っぱり、振り回す | 先回りして支える | 表では優しく、裏で企む |
| まわりからの見え方 | みんなの憧れ。少し遠い | 好き嫌いが分かれる | 頼れる大人 | いい人に見える |
| 主人公との関係 | 主人公を特別扱いしてくれる | 主人公を振り回しながら守る | 主人公を丸ごと受け止める | 本性を知るのは主人公だけ |
王子様と俺様は、どちらも主人公にとって特別な相手として描かれますが、向きが反対です。王子様は手を「差し出す」人、俺様は手を「引っぱる」人です。女性向けの作品では、優しい王子様と強引な俺様が、主人公をめぐって並べられることもよくあります。ただし、二つは両立することもあります。王道の王子様として語られるキャラクターが、俺様キャラの代表格でもある、ということもあります。王子様の品と俺様の自信を両方持つ形です。スパダリ(スーパーダーリン)は、地位や能力に加えて相手を支える包容力まで持つ「完璧な恋人」のことで、王子様より生活に近い言葉です。腹黒は性格の言葉なので、王子様と重なることができます。人前では王子様、主人公の前でだけ本性を見せる「腹黒王子」は、女性向けの定番の形です。
「白馬の王子様」「貴公子」「男装の麗人」との違い
王子様のそばで、よく一緒に使われる言葉です。違いは、理想の相手のたとえか、身分や気品の言葉か、そして男女のどちらを指すかです。
| 王子様 | 白馬の王子様 | 貴公子 | 男装の麗人 | |
|---|---|---|---|---|
| 何についての言葉か | 特別扱いされる、品と人気のある人 | いつかピンチから救いに来てくれる理想の相手 | 高貴な家柄の男子。気品のある青年 | 男装して凛々しく魅力的に見える女性 |
| 本物の身分か | 問わない | 問わない(理想像) | もとは身分。比喩にも使う | 問わない |
| 誰を指すか | 男性が多いが、女性にも使う | 男性 | 男性 | 女性 |
「白馬の王子様」は、自分を迎えに来てくれる理想の相手を待つ、という形で使われることが多い言葉です。王子様キャラはそれより広く、主人公が待っていなくても、すでにまわりから王子様として見られている人を指します。「男装の麗人」は、作家の村松梢風が川島芳子を主人公にした小説の題名で使ったのが最初とされ、のちに宝塚歌劇の男役スターの呼び名として定着しました。今は、男装していなくても、女の子たちから王子様のように慕われる女性を「王子様系女子」と呼ぶこともあります。
王子様キャラの型
王子様は立ち位置なので、どんな性格を乗せるかで型が分かれます。まず型を一つ決めると、同じ「王子様」でも書き分けやすくなります。
いつも笑顔で、誰にでも優しく、廊下を歩けば歓声が上がる型です。学校一の人気者、王国の第一王子。まっすぐな好意を向けてくれる、いちばん分かりやすい王子様です。主人公の前でだけ少し気を抜く瞬間が見どころになります。たとえば、アーサー(『魔法使いの約束』)がこの型です。
礼儀正しく、エスコートが自然で、決して声を荒らげない型です。キラキラより落ち着いていて、年上や先輩に多く見られます。ていねいすぎて本音が見えにくいので、礼儀の奥の感情をどこで見せるかが鍵になります。
人前では爽やかな王子様なのに、主人公の前でだけ本性を見せて意地悪をする型です。女性向けの定番で、「本性を知っているのは自分だけ」という特別感が魅力です。腹黒の「秘密共有型」と重なります。
女子校の王子様、演劇部の男役スター、騎士として育てられた姫。凛々しさと優しさで、女の子たちから慕われる型です。男装の麗人から続く長い流れがあり、今は「王子様系女子」とも呼ばれます。たとえば、有村麻央(『学園アイドルマスター』)がこの型です。中性的な見た目で王子様のように見られる、チリ(『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』)もこの型です。
アイドルや役者として、ステージの上で「王子様」を演じる型です。客席に向けた完璧な笑顔と、幕が下りたあとの素顔の差が物語になります。主人公がプロデューサーやマネージャーのように、王子様を作る側に立つ作品も増えています。
このほか、王子様を崩した形もよく使われます。家柄を振りかざすわがままなお坊ちゃん、ヒロインとの婚約を一方的に破棄する王子、自分に酔って空回りする王子などです。これらは「王子様らしくない王子」として、主人公が別の相手を選ぶきっかけになったり、笑いを生んだりします。
王子様キャラの作り方と台詞例
同じ王子様でも、キャラの性別や、誰に向けた作品かで「心が動くポイント」が変わります。4つの向きごとに、よくある形と、外し方、台詞例をまとめました。
台詞は「心の距離」の順に4段階で並べています。表の顔 → ほころび(素が一瞬見える)→ 信頼した相手だけ → 独りの時。王子様では、表の顔でまわりが期待する「王子様」を見せ、ほころびで王子様でいることの重さがのぞき、信頼した相手に王子様ではない素顔を見せ、独りの時に、それでも王子様でいる理由が見えるようにしています。話し方は口振カルテで調整できます。
下に行くほど心の距離が近づきます。同じ人物の4つの顔として読んでください。
自分のキャラクターの顔を置くと、下の台詞をその子が話しているように読めます。
性分帖の台詞は、自分で作ったキャラクターにどんな口調や性格が合うかを確かめるためのものです。画像と名前はこの端末にだけ保存され、ほかの属性のページでも同じ子が出ます。
ドラッグで位置を動かせます
女性の王子様キャラ
女性の王子様キャラは、女子校で後輩たちから手紙をもらう先輩、演劇部の男役スター、剣を取って国を守る姫として描かれます。凛々しくて、さりげなく重い荷物を持ってくれて、困っている子を見過ごさない。その姿に、同じ女の子たちが憧れを向けます。王子様でいることを楽しんでいる子もいれば、まわりの期待に合わせているうちに降りられなくなった子もいます。どちらの王子様なのかを決めておくと、素顔の見せ方が決まります。
- よくある形
- 後輩から手紙が絶えない女子校の先輩/演劇部の男役スター/騎士として育てられた王女/背が高くて頼られるボーイッシュな生徒会長
- 外すなら
- みんなの王子様である彼女が、実はお姫様扱いされることに憧れている形にする。または、彼女が王子様として守ってきた子が、今度は彼女を守る側に回る形にする
- 気をつけたいこと
- 王子様らしい女の子だからといって、性自認や恋愛の相手を決めつけないこと。「本当は女の子らしくしたいはず」と一つの答えに押し込まないこと。かっこいい彼女も、かわいいものが好きな彼女も、どちらも本物として描くと深みが出ます
1表の顔人前・ふだん
「お手をどうぞ。……なんてね。そこ、段差があるから気をつけて」
昇降口で、荷物を抱えた後輩に軽く手を差し出して
2ほころび素が一瞬見える
「ネクタイ、今日で三回直した。……誰も見てないなら、一回くらい曲がってたっていいよね」
誰もいなくなった部室で、ネクタイをゆるめながら
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「生クリーム、口についてる。……私に。笑って。王子様はこんな顔しないでしょ」
帰り道の公園で、ベンチに並んでクレープを分けながら
4独りの時誰にも見せない本音
「かっこいい私も、うさぎのぬいぐるみを抱えて寝る私も、どっちも本当の私なんだけどな」
夜の部屋で、制服を掛けてからベッドに倒れこんで
男性の王子様キャラ
男性の王子様キャラは、学校一の人気者、名家の跡取り、本物の王国の王子として描かれます。誰にでも優しく、いつも笑顔で、期待された通りにふるまえる。だからこそ、本人がその役をどう感じているかが物語の芯になります。王子様でいることを誇りにしている王子と、王子様という役に縛られている王子とでは、同じ笑顔でも意味が変わります。
- よくある形
- 廊下を歩くと歓声が上がる生徒会長/名家の一人息子/本物の王国の第一王子/誰にでも優しい部活の先輩
- 外すなら
- 王子様扱いにうんざりしていて、自分を特別扱いしない人にだけ素を出す形にする。または、完璧な王子様の彼が、実は家事も料理も全くできない、という小さな穴を一つ作る
- 気をつけたいこと
- 完璧なだけの王子様は、人形のように見えやすくなります。王子様でいる理由や、その役の重さを一つ持たせること。また、身分や人気で人を見下す態度を「王子様らしさ」として描かないこと。それは王子様ではなく、わがままなお坊ちゃんの形です
1表の顔人前・ふだん
「おはよう。ネクタイ、少し曲がってる。……ほら、これで今日も完璧だ」
朝の正門で、集まった生徒一人ひとりに笑いかけて
2ほころび素が一瞬見える
「王子様、か。誰が最初に言い出したんだろうね、それ」
生徒会室の窓から、自分の噂をする声を聞きながら
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「ネクタイ、結び直してって言わないんだね、君は。……今日は、このまま帰ろうかな」
放課後の屋上で、ネクタイをほどいて柵にもたれて
4独りの時誰にも見せない本音
「期待されるのは慣れてる。期待に応えられなかった日の僕を、誰も知らないだけで」
広い自室で、明日のスピーチ原稿に何度も線を引きながら
女性向け作品の男性王子様キャラ
女性向けでは、みんなの王子様が主人公だけを特別扱いしてくれる形が、いちばん大きなときめきになります。そこに「主人公だけが知っている素顔」を重ねると、腹黒王子や、王子様の役に疲れた王子の形になります。ステージの上で王子様を演じるアイドルと、彼を支える主人公、という組み合わせもよく使われます。客席に向けた笑顔と、楽屋で主人公にだけ見せる顔の差が見せ場です。
- よくある形
- 学園の王子様が主人公にだけ素顔を見せる/異国から来た本物の王子/人前では爽やかな腹黒王子/ステージで王子様を演じるアイドル
- 外すなら
- 主人公が王子様を「作る」側に立ち、舞台を降りた彼の弱さを知っている形にする。または、婚約を破棄する王子を主人公のほうから見限り、別の相手と歩き出す形にする
- 気をつけたいこと
- 主人公を「助けを待つだけのお姫様」にしないこと。王子様が主人公を選ぶ理由は、主人公自身の言葉や行動に置くと、選ばれる場面に説得力が出ます。強引に迫る、命令するといった形は俺様の領分なので、混ぜすぎないように
1表の顔人前・ふだん
「今夜の最初の一曲は、三列目の君へ。……ほかの皆には内緒だよ」
スポットライトの中で、客席に向けて手を差し伸べて
2ほころび素が一瞬見える
「……ごめん、ちょっとだけ座らせて。王子様、一回お休み」
幕が下りた直後の舞台袖で、主人公の差し出した水を受け取って
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「上着を脱いだ僕に、水を渡してくれたのは君が初めてだ。……もう一本、もらえる?」
誰もいない楽屋で、衣装の上着を脱いで椅子にかけながら
4独りの時誰にも見せない本音
「拍手が止んだあとの静けさが、いちばん怖い。でも明日も王子様をやるよ。君が客席にいるなら」
照明の落ちたステージに一人で立ち、空いた客席を見渡して
男性向け作品の女性王子様キャラ
男性向けでは、女の子たちに囲まれて「王子様」と呼ばれる凛々しいヒロインがよく描かれます。主人公より背が高い、剣の腕が立つ、困っている人をさっと助ける。主人公がいつも助けられる側に回るのも、この形の楽しさです。そんな彼女が、主人公に「かわいい」と言われて固まる瞬間が、いちばんの見せ場になります。
- よくある形
- 女子からの人気がいちばんの同級生/騎士の家に生まれた凛々しい姫/演劇部の男役スター/主人公より背が高くて頼れる先輩
- 外すなら
- 主人公のほうが彼女をお姫様のように扱い、王子様の彼女が戸惑う形にする。または、王子様同士として主人公と彼女が並び、どちらがよりかっこよく助けられるかを張り合う形にする
- 気をつけたいこと
- 彼女を「本当は守られたい女の子」とだけ描かないこと。王子様でいるのは彼女が選んだ生き方でもあります。かっこよさも本物として描き、そのうえで素顔を見せると、彼女の誇りが残ります
1表の顔人前・ふだん
「困ってるね。ほら、貸して。重いものは私が持つよ」
廊下で、段ボールを抱えてよろける主人公からひょいと箱を取り上げて
2ほころび素が一瞬見える
「……え、私が? かわいいって? そういうのは、言われ慣れてないんだけど」
主人公の一言に、持っていた箱を落としそうになって
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「『王子』って呼ぶの、君もやめてよ。……名前。一回でいいから、ここで」
夕方の図書室で、本棚の陰から主人公の袖を引いて
4独りの時誰にも見せない本音
「ヘアピン、つけて行ったら王子様じゃなくなるかな。……それでも、気づいてくれるかな」
鏡の前で、もらったヘアピンを髪に当てたり外したりしながら
王子様キャラを書く時のコツと避けたいこと
コツ
- なぜ特別扱いされるのかを決める:身分、人気、見た目、実力、ふるまい。どれで「王子様」と呼ばれているのかが決まると、まわりの反応が書きやすくなります
- 品は言葉と仕草で見せる:ていねいな言葉づかい、手を差し出す、扉を開ける、相手の名前を呼ぶ。地の文で「品がある」と書くより、仕草を一つ見せるほうが伝わります
- 王子様でいることの重さを一つ持たせる:期待に応え続ける疲れ、家の決まり、ステージに立つ緊張。完璧に見える理由の裏側があると、王子様が人形ではなく人になります
- 素顔を見せる相手を絞る:みんなの王子様が、一人の前でだけ素顔を見せる。その順番が、王子様キャラのいちばんの見せ場です
- 乗せる性格を一つ決める:キラキラ、紳士、腹黒、天然。王子様は立ち位置なので、性格を一つ重ねると一気に個性が出ます
避けたいこと
- 主人公を「王子様の助けを待つだけの人」にすること。選ばれる理由は、主人公自身の言葉や行動に置きたいところです
- 王子様らしい女の子の性自認や恋愛の相手を決めつけたり、「本当は女の子らしくしたいはず」と一つの答えに押し込んだりすること
- 身分や家柄で人を見下す態度を、王子様らしさとして描くこと
- 強引に迫る、相手の意思を無視するといった形を「王子様の愛」として描くこと。それは王子様の品とは反対のものです
- 現実の人を「○○王子」と呼ぶ時に、本人が望まない役割を押しつけること。キャラクターでも、王子様と呼ばれることを本人がどう感じているかを考えておくと、深みが出ます
王子様キャラに合う口調・組み合わせやすい属性
合う口振(口振カルテへ)
王子様は立ち位置の属性なので、口振は「どんな言葉で特別扱いを表すか」で選びます。ていねいに差し出すのか、余裕たっぷりに受け止めるのか、笑顔のまま本心を隠すのか、ていねいすぎて距離を作るのかで、同じ王子様でも印象が変わります。
組み合わせやすい属性
王子様に腹黒を重ねると、主人公だけが本性を知っている腹黒王子に。溺愛を重ねれば、主人公を何より大事にして何でも叶えようとする甘い王子様になります。天然を重ねると、王子様なのにどこか浮世離れしていて放っておけない人に、ミステリアスを重ねると、正体の分からない異国の王子になります。自己犠牲を重ねると、国やみんなのために自分の幸せを後回しにしてしまう、切ない王子様になります。
ぶつかりやすい属性(あえて使うと面白い)
俺様とダウナーは、王子様の「ていねいさ」や「キラキラ」とは反対の空気を持つ属性です。一人に重ねるより、関係性で並べると引き立ちます。手を差し出す王子様と、手を引っぱる俺様が、同じ主人公をめぐって張り合う。キラキラした王子様の隣で、気だるげな友人だけが彼の疲れに気づいている。正反対の相手がいると、王子様の輪郭がはっきりします。
王子様の歴史
ここでは、主な出来事をまとめます。
年表を開く
フランスのドーノワ夫人のおとぎ話に「シャルマン王」が登場します。1889年にイギリスのアンドルー・ラングが主人公を「Charming」と訳したことが、「Prince Charming(理想の王子様)」という呼び名の始まりとみられています。
宝塚歌劇で1930年に「男役」の役柄が生まれ、1930年代後半には観客の中心が男性から女性に変わります。同じころ、村松梢風の小説で「男装の麗人」という言葉が使われ、少女歌劇の男装スターの呼び名として広まりました。
8月29日、宝塚歌劇団が『ベルサイユのばら』を初めて上演します。主人公オスカルの呼び名「男装の麗人」は、宝塚の男役を表す言葉としても広く知られるようになりました。
「王子様」といえばアイドルの決まった役どころで、ローラースケートで駆け回る男性アイドルグループがその典型でした。
少女漫画では、それまで代表的だった「白馬の王子様」のように主人公を救うヒーローから、心に傷を抱え、主人公に分かってもらう側のヒーローへと、ヒーロー像が大きく変わります。1997年には、王子様に助けられた少女が「王子様になりたい」と男装して学園に通うアニメが放送されました。
高校野球の選手につけられた「ハンカチ王子」が2006年の新語・流行語大賞の候補に、ゴルフ選手の「ハニカミ王子」が2007年の年間大賞に選ばれます。礼儀正しい若いスポーツ選手を「王子」と呼ぶ使い方が広まりました。
6月24日、アイドルを目指す男の子たちとの学園生活を描く女性向け恋愛ゲーム『うたの☆プリンスさまっ♪』が発売されます。「プリンス」がステージに立つアイドルの呼び名と結びつき、のちにメディアミックスで大きなブームになりました。
女性向けのウェブメディアが「理想の王子様」を芸能人で選ぶアンケートを行い、美形で背が高い、優しいオーラ、爽やかな笑顔といった点が「王子様らしさ」として挙がります。
100人以上の王子様が登場するスマートフォン向け恋愛ゲームが話題になり、王道のイケメン王子様、かわいいショタ王子様、獣耳の王子様と、王子様の種類そのものを楽しむ遊び方が広がります。
7月、乙女ゲームの会社の社長が、自分の作ったゲームの王子様にそっくりな青年を「理想の王子様」に育てていくドラマ『推しの王子様』が放送されます。王子様を「待つ」のではなく「作る」物語として話題になりました。
悪役令嬢ものの人気が続き、王子に婚約を破棄された令嬢が主人公になる作品が数多く紹介されます。王子様が「選ばれる理想の相手」から「主人公が見限る相手」として描かれることも増えました。
「王子様系女子」が題名に入った小説が出るなど、女性の王子様がひとつの呼び名として定着しています。2026年11月には、おとぎ話にインスパイアされたチームのステージを主人公がプロデュースする女性向けゲーム『ディズニー スパークリンク・スターズ』が配信予定で、『シンデレラ』を元にしたチームは「夢の中の恋人たち」と紹介されています。王子様は、ステージで演じて見せる姿としても描かれ続けています。
今の王子様キャラのイメージ
- 性格を乗せる「台」としての王子様:女性向けの恋愛ゲームでは「天才×ドS王子」「年下×一途王子」のように、王子様に性格を掛け合わせて紹介するのが定番です。王子様は、それだけで完成した性格というより、いろいろな性格を乗せる立ち位置として使われています
- 腹黒王子・ドS王子の定番化:優しげな見た目と正反対の腹黒い本性を持つ王子様は、少女漫画やティーンズラブで定番の形です。人前の顔と、主人公だけが知る顔の差が魅力の中心になっています
- 救う人から、分かり合う人へ:主人公をピンチから救う「白馬の王子様」から、弱さや傷を抱え、主人公と分かり合う王子様へ。完璧さより、完璧に見える裏側を描くことが好まれています
- 女性の王子様の広がり:男装の麗人、宝塚の男役から続く流れが、今は「王子様系女子」として、男装を前提にしない形でも描かれています。かっこいい自分と、かわいいものが好きな自分を両方持つギャップが人気です
- 崩される王子様:英語圏でも、自分に酔った王子や空回りする王子がパロディとして描かれてきました。日本では悪役令嬢ものの「婚約を破棄する王子」がその代表で、王子様という肩書きだけでは選ばれない時代になっています
- ステージで演じる王子様:アイドルを育てる女性向けゲームでは、王子様は「演じて見せる姿」として描かれます。主人公はその王子様を作り、支え、舞台を降りた素顔を知る立場に立ちます
- 本物の王子は、ダークヒーローも人気:「王の息子」という意味での王子では、復讐を誓うダークヒーローの皇子も「王子らしい」と支持されています。身分としての王子は、キラキラした王道だけでなく、影を背負った形でも好まれています
- 声のイメージは「高貴さ」と「親しみ」:「王子様ボイス」と言われる声には、高貴な雰囲気、ナルシストな性格、意外な親しみやすさ、ここぞという時に助けてくれる姿など、さまざまな王子様像が重ねられています。王子様役で知られる女性声優の声も、その一つに数えられます
- 2025〜2026年に人気の作品では:有村麻央(『学園アイドルマスター』)やチリ(『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』)のような女性の王子様と、アーサー(『魔法使いの約束』)のような清廉な王子の、両方が人気です
よくある質問
王子様キャラとはどういう意味ですか?
品のあるふるまいと人を惹きつける魅力で、まわりから特別扱いされ「王子様」と呼ばれる立ち位置のキャラクターのことです。本物の王子でなくてもかまいません。辞書にも「クラスの王子様」のように、実力や人気があり容貌もすぐれた若い男性を指す意味があります。
王子様キャラと俺様キャラの違いは何ですか?
王子様は手を「差し出す」人で、ていねいに相手を扱い、みんなから憧れられます。俺様は手を「引っぱる」人で、自信たっぷりに相手を振り回します。どちらも主人公にとって特別な相手として描かれますが、相手への向かい方が反対です。
王子様と腹黒王子の違いは何ですか?
王子様は立ち位置の言葉で、腹黒は性格の言葉です。腹黒王子は、人前では爽やかな王子様なのに、主人公の前でだけ本性を見せる形で、王子様の立ち位置に腹黒の性格を重ねたものです。
女性の王子様キャラとはどんなキャラですか?
凛々しさと優しさで、女の子たちから王子様のように慕われる女性キャラクターです。宝塚の男役や「男装の麗人」から続く流れがあり、今は男装していなくても「王子様系女子」と呼ばれます。性自認や恋愛の相手とは別の話なので、決めつけずに描くのが大切です。
王子様と白馬の王子様の違いは何ですか?
白馬の王子様は、いつか自分を迎えに来てくれる理想の相手のたとえです。王子様キャラはそれより広く、主人公が待っていなくても、すでにまわりから王子様として見られている人を指します。
王子様は英語で何と言いますか?
おとぎ話の理想の王子様は「Prince Charming(プリンス・チャーミング)」と呼ばれます。英語圏の創作では、王子のように扱われる若い男性を「Princely Young Man」と呼ぶ整理もあります。
王子様キャラを魅力的に書くにはどうすればいいですか?
なぜ特別扱いされているのかを決め、品を言葉と仕草で見せ、王子様でいることの重さを一つ持たせるのが基本です。そのうえで、素顔を見せる相手を一人に絞ると、王子様キャラのいちばんの見せ場が生まれます。
次に読む
参考にした資料
- コトバンク「王子」(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典の語釈、「我が家の王子」「クラスの王子様」)
- コトバンク「貴公子」(高貴な家柄の男子、気品のある青年)
- コトバンク「男装の麗人」(村松梢風の小説が最初とされること、宝塚などのスターの呼び名、水の江滝子)
- Wikipedia(英語版)「Prince Charming」(ドーノワ夫人、1889年のラング、理想の結婚相手のたとえ、崩して描かれる王子)
- Wikipedia(日本語版)「王子」(西洋のおとぎ話を通じて広まったこと、貴公子との混同、2000年代以降の「○○王子」)
- マイナビニュース 女性が連想する「理想の王子様」ランキング(2014年5月2日)
- ザテレビジョン『推しの王子様』番組ページ(2021年7月15日放送開始)
- みんなのランキング「王子様キャラ人気ランキング」(投票参加者90人、2026年7月17日更新)
- TV Tropes「Princely Young Man」(お嬢様の男性版、チャーミング型・氷の王様型・紳士型・わがまま坊ちゃん型)
- TV Tropes「Prince Charming」(おとぎ話の王子様の型と、そのパロディ)
- Numan「スパダリ」の意味(スーパーダーリンの略)
- 『王子様のプロポーズ Eternal Kiss』紹介ページ(「天才×ドS王子」「俺様×強引王子」など、王子様に性格を掛け合わせた紹介)
- インサイド「女性向けゲームの面白さに迫る」(2015年8月4日、100人以上の王子様が登場するゲーム)
- バンダイチャンネル『オオカミ少女と黒王子』作品ページ(優しげな見た目と正反対の腹黒ドS男子)
- FRaU(現代ビジネス)三宅香帆「平成から少女漫画のヒーローは変わった」(白馬の王子様から、傷を抱え分かり合うヒーローへ)
- お茶の水女子大学 論文(『ベルサイユのばら』以降のタカラヅカ表象)(1930年の男役の誕生と女性ファンの増加、オスカルと「男装の麗人」)
- トウシル「宝塚大劇場で『ベルサイユのばら』初演」(1974年8月29日)
- RENOTE『少女革命ウテナ』(1997年、「王子様になりたい」と思う主人公)
- imidas「ハンカチ王子とハニカミ王子」についての解説(王子様とアイドル、理想の息子像)
- INTERNET Watch「2006年流行語大賞の候補」(「ハンカチ王子」がノミネート)
- テレビ東京「今年の流行り」(2007年の年間大賞に「ハニカミ王子」)
- ファミ通『うたの☆プリンスさまっ♪』15周年の記事(2010年6月24日発売)
- 文春オンライン「悪役令嬢もの」コミックの紹介(2021年12月10日、婚約を破棄された令嬢が主人公の作品)
- KADOKAWA『学園のお姫様系女子が、王子様系女子を攻略しようとする話』(2026年7月10日発売)
- 電撃オンライン『ディズニー スパークリンク・スターズ』Midveil紹介(『シンデレラ』にインスパイアされたチーム、「夢の中の恋人たち」)
- ファミ通『ディズニー スパークリンク・スターズ』先行レビュー(2026年10月24日、11月4日配信予定、4チームの元になった作品)
- アニメ!アニメ!「王子様ボイスな声優さんといえば?」(2020年、141人、女性約85%)

