サザノノ 性分帖。 > 人との距離 > 人外
人外キャラとは、神や妖怪、怪物など人間ではない存在として描かれ、人とのあいだに埋まらない距離を持つキャラクターのことです。人の子をかわいがる上位の存在から、人の気持ちがまったく分からない怪物まで、人とどれだけ離れていて、どう近づくかが魅力になります。
要点
- 辞書の「人外」は、もとは「人の道に外れること(人でなし)」や「人の住む世の外」の意味です。「人間ではないキャラクター」という意味は、創作の世界で広まった使い方です
- 見分ける条件は3つ。人間ではない・人と同じものさしでは測れない所がある・人との距離のとり方が物語になる
- このページは種族の説明ではなく、人との距離で型を分けます。上から見守る、隣に混ざって暮らす、約束で結ばれる、分かり合えない、人に近づきたい、などです
- 人の子を好きになる神様と、助けたお礼に人の姿で訪れる鶴や狐の話は、昔話の時代からある人外の定番です
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人外の意味と語源
人外は「じんがい」と読みます。辞書(デジタル大辞泉)では、一つ目の意味が「人間の住む世界の外、俗世間の外」、二つ目が「人の道に外れていること」です。「にんがい」と読むと、人として守るべき道から外れた人、つまり「人でなし」を指し、室町時代の辞書にも載っています。
今の創作で使われる「人外」は、これとは別の、人間ではない存在を指す言い方です。ピクシブ百科事典では、エルフや獣人のように人に近い姿のものから、植物や機械まで含む人間以外のものの総称と説明され、どこまでを人外と呼ぶかの境目は決めにくいとされています。ゲームやスポーツでは「人外の強さ」のように、人間離れした腕前をほめる言い方にも使われます。
吸血鬼や獣人などの種族は、作品ごとに決まりが違います。そこでこのページでは種族の説明はせず、人とのあいだにどんな距離があり、それがどう縮まるのか、あるいは縮まらないのかで考えるので、人との距離の群に入れています。人が作った機械はアンドロイド・ロボット、天と魔の陣営で動く存在は天使と悪魔のページで扱っています。
人外キャラかどうかの見分け方
耳や尻尾がある、人より強い、というだけでは人外キャラとは言えません。人外キャラと呼べるのは、次の3つがそろった時です。
- 人間ではない:神、妖怪、精霊、怪物、宇宙から来たもの。もとは人間だった者や、人と人外のあいだに生まれた者も含みます
- 人と同じものさしでは測れない所がある:生きる時間の長さ、命や約束の重さ、喜ぶことや怒ること。人なら当たり前のことが、当たり前ではありません
- 人との距離のとり方が物語になる:人を見守る、人に混ざって暮らす、人と約束を結ぶ、人を分かろうとする。人とのあいだの距離が、物語の中心にあります
| こんな時 | 判定 |
|---|---|
| 人の手で作られた機械で、心を知っていくことが中心 | アンドロイド・ロボット |
| 天の側から遣わされ、守る・伝えるなどの役目で動いている | 天使 |
| 魔界の側に属し、誘う・契約するなどの役目で動いている | 悪魔 |
| 人ならぬ者たちを率いる王の立場が中心 | 魔王 |
| 見た目は子どもなのに、中身はずっと年上というずれが見どころ | ロリババア・ショタジジイ |
| 人間のまま、人並み外れた強さで頂点に立っている | 最強 |
| 人間ではなく、人と同じものさしで測れず、人との距離のとり方が物語になる | 人外 |
人外と異形の違い・アンドロイド・天使や悪魔との違い
こう覚えると見分けやすくなります。人外は存在の言葉、異形は見た目の言葉、アンドロイド・ロボットは人が作った機械、天使・悪魔は陣営と役目を持つ存在。異形でも心は人に近いキャラもいれば、人の姿なのに心がいちばん遠いキャラもいます。
| 人外 | 異形 | アンドロイド・ロボット | 天使・悪魔 | |
|---|---|---|---|---|
| 何を言う言葉か | 人間ではない存在 | 人と違う姿 | 人が作った人型の機械 | 天や魔界の側に属する存在 |
| 人との関係 | 距離そのものが物語 | 見た目で遠ざけられやすい | 作った人、仕える相手がいる | 守る、誘う、契約する |
| 心の見せ方 | 人とは違うものさしで | 姿とは関係なく、さまざま | 知らない所から覚えていく | 役目と本音のずれで |
| 崩れる瞬間 | 人の子の命の短さを知った時 | 姿を見ても逃げない人に会った時 | 命令にない気持ちが生まれた時 | 役目より大事な人ができた時 |
いちばん混ざりやすいのは異形です。異形は、角や多い腕、口のない顔のような、人とは違う姿を言う言葉です。人外の多くは人に近い姿をしていますし、異形の姿でも、誰より人にやさしいキャラもいます。見た目の遠さと心の遠さを分けて考えると、キャラが立ちます。
アンドロイド・ロボットとは、「人の心が分からない」「人間になりたい」が重なります。違うのは、作った人がいる機械かどうかです。天使や悪魔とは、人を見守る、人と契約する、が重なります。天使や悪魔は天と魔界という陣営と役目で決まり、人外は人との距離で決まります。
人外と近い言葉
| 妖怪・あやかし | 神様 | モンスター娘・人外娘 | 半妖・人外になった人 | |
|---|---|---|---|---|
| どんな言葉か | 日本の言い伝えの、人ならぬもの | 人より上の、祀られる存在 | 人外の要素を持つ女の子のジャンル | 人と人外のあいだに立つ者 |
| 人外との関係 | 人外の中の種族の名前。和風の人外の中心 | 人の子が好きな上位存在の多くがここ | 人外の中の一つの楽しみ方。暮らしと恋が中心 | 人と人外の両方を知る立場。境目の物語になる |
人外キャラの型
人外キャラは、人に対してどこに立っているかと、その距離が縮まるのか、縮まらないのかで型が分かれます。上から人の子を見守る神様から、言葉は通じるのに心が通じない怪物まで、よく描かれる型を並べました。
人を見守り、育てる人外
人よりずっと大きな力と長い時間を持ちながら、人の子のことが気に入っていて、ふだんは黙って見守り、困った時にだけ手を貸す型です。人の側からは、会えたこと自体が特別な出来事になります。たとえば、トトロ(『となりのトトロ』)がこの型です。
人間という種には怒りや憎しみを向けながら、拾った一人の子だけは深く愛して育てる型です。人間全体との距離と、その子との距離の違いが、そのまま物語の緊張になります。たとえば、モロの君(『もののけ姫』)がこの型です。
人に祀られ、遠くから見守っていた存在が、忘れられたり居場所をなくしたりして、一人の人と並んで旅や暮らしを始める型です。上から見ていた人の世を、同じ高さで知っていきます。たとえば、ホロ(『狼と香辛料』)がこの型です。
人が怖がる異形の姿で、触れれば相手を傷つけてしまう事情を抱えながら、人の子の世話をする型です。見た目の遠さと、心の近さの差が、静かな物語を作ります。たとえば、「先生」(『とつくにの少女』)がこの型です。
人の気持ちが通じない人外
人の感情も、悲しむ理由も分からないのに、生き延びるため、目的のために人と手を組む型です。悪意がないぶん言葉がまっすぐで、人のほうがはっとさせられます。たとえば、ミギー(『寄生獣』)がこの型です。
人の言葉を話し、礼儀正しくふるまうのに、その言葉は人を欺くための道具で、家族や弔いの意味が分からない型です。分かり合えるかもしれないという人の期待そのものが、危うさになります。たとえば、人の言葉を話す魔族(『葬送のフリーレン』)がこの型です。
人の中で暮らす人外
正体を明かさず、人の町で人として働き、食べ物や道具、儀式や昔話など、人の営みを心から面白がる型です。人より詳しすぎる知識や、暮らしの細かなずれから、人ではない気配がにじみます。
人の社会にまぎれて静かに暮らし、たった一人の相手にだけ、自分が人ではないことを打ち明ける型です。打ち明けた相手が逃げないことが、二人の関係の始まりになります。たとえば、おおかみおとこの「彼」(『おおかみこどもの雨と雪』)がこの型です。
もとは人を見下していた妖が、契約や取り決めで人に仕えることになり、文句を言いながらも家事も護衛もこなす型です。ひねくれた言葉と、さりげない優しさの差が見どころです。たとえば、巴衛(『神様はじめました』)がこの型です。
人に恐れられる姿を持ちながら、いつか人間になりたいと願い、自分を嫌う人たちを陰から守り続ける型です。報われなさが、人の側の冷たさを映す鏡になります。たとえば、妖怪人間ベム(『妖怪人間ベム』)がこの型です。
人の何倍も生きるので、親しくなった人を先に見送ることが分かっている型です。それでも人と関わるのか、深入りしないと決めるのかで性格が分かれます。一緒に過ごした時間を、別れたあとに何度も思い出す場面が見せ場です。
人の子を気に入った人外が、守ると言って自分の世界へ連れていこうとする型です。人外からの溺愛として描かれることが多く、守ることと閉じこめることの境目が、甘さにもこわさにもなります。
人外キャラの作り方と台詞例
人外キャラは、人と何がずれているかを一つ決めると作りやすくなります。生きる時間、死の意味、約束の重さ、食べ物、名前の大切さ。ずれが一つはっきりすると、人に近づく場面も、どうしても近づけない場面も、自然に書けます。
台詞は「心の距離」の順に4段階で並べています。表の顔 → ほころび(素が一瞬見える)→ 信頼した相手だけ → 独りの時。人外キャラは、表の顔では人を少し上から、あるいは不思議そうに眺め、ほころびで相手を特別に思っていることがのぞき、信頼した相手には人とのずれを打ち明け、独りの時には相手がいなくなる日のことを考えています。話し方は口振カルテで調整できます。
下に行くほど心の距離が近づきます。同じ人物の4つの顔として読んでください。
自分のキャラクターの顔を置くと、下の台詞をその子が話しているように読めます。
性分帖の台詞は、自分で作ったキャラクターにどんな口調や性格が合うかを確かめるためのものです。画像と名前はこの端末にだけ保存され、ほかの属性のページでも同じ子が出ます。
ドラッグで位置を動かせます
女性の人外キャラ
女性の人外キャラは、人の子を見守る女神や山の神、助けたお礼に人の姿で訪れる鶴や狐、人の暮らしを面白がる長命の旅人として描かれます。恋がなくても、人の子を育てる、人と旅をする、人の祭りに混ざる、といった形で、人とのあいだの距離が物語になります。
- よくある形
- 人の子を気に入って世話を焼く山の神/正体を隠して人の家で暮らす狐や鶴/長い命の暇つぶしに人と旅をする獣の化身/人の世の流行に詳しくない古い神様
- 外すなら
- 人を見守る女神が、実は人の暮らしにあこがれていて、こっそり人の町で一日だけ働いてみる形にする。または、人の子を育てた人外が、その子が大人になって自分を守る側に回る形にする
- 気をつけたいこと
- 人外であることを、ただの年齢や見た目のギャップとして使わないこと。何百年も生きてきた存在なら、人とは違う考え方や、人を見送ってきた重さを一つでも見せると、人外らしさが伝わります
1表の顔人前・ふだん
「人の子は、どうしてそんなに急いで歩くの。季節なら、また来るのに」
参道の石段に腰かけて、駆けていく子どもたちを眺めながら
2ほころび素が一瞬見える
「あなたが来ない日は、社がやけに広いの。三日は、私には長いのよ。季節ほどじゃないけれど」
三日ぶりに来た子どもに、供えられた団子を半分渡しながら
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「あなたのおばあさんも、ここで同じ遊びをしていた。人の子はみんな、私を置いていく」
夕暮れの境内で、子どもの描いた石の上の落書きを指でなぞりながら
4独りの時誰にも見せない本音
「今度こそ、名前を覚えないでおこうと思っていたのに」
誰もいなくなった夜の社で、子どもが置いていったお守りを手に取って
男性の人外キャラ
男性の人外キャラは、主人公に宿った分かり合えない生き物、人を守るのに人の輪には入らない守り神、人の町で人として暮らす長命の者として描かれます。人の理屈と人外の理屈がぶつかり、それでも隣にいる理由を見つけていくことが、相棒や師匠の関係として光ります。
- よくある形
- 理屈だけで主人公と手を組む人ならぬ生き物/人を守りながら人里には降りない守り神/人として働きながら正体を隠している長命の者/人に疎まれても人を助ける異形の者
- 外すなら
- 人の感情が分からない人外が、分からないまま、主人公が泣いた日の行動だけは毎回同じにする形にする。または、人を見下していた人外が、人の作る料理だけは素直に認めている形にする
- 気をつけたいこと
- 「人間ではないから冷たい」で済ませないこと。人とは違うものさしで、何を大事にしているのかを一つ決めると、冷たさの奥にその人外なりの筋が見えてきます
1表の顔人前・ふだん
「おまえが死ぬと、私も困る。それ以上の理由がいるのか」
危ない場所へ向かう主人公を引き止めて、淡々と
2ほころび素が一瞬見える
「泣いている理由は分からない。だが、今日はここを動かないでおく」
うずくまる主人公の横に、少し離れて腰を下ろして
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「人のことは、今も分からない。分からないままでいいと、おまえが言ったからここにいる」
長い旅の終わりの丘で、町の明かりを見下ろしながら
4独りの時誰にも見せない本音
「人の一生は短い。それを知っていて近づいたのは、私のほうだ」
眠る主人公の寝息を数えながら、夜明けまで起きていて
女性向けの男性の人外キャラ
女性向けの作品では、主人公に仕える狐の神使、主人公を嫁に迎えようとする鬼神、人ならぬ姿で主人公を守る異形の者として描かれます。ときめきの中心は、何百年も人を見下してきた存在が、主人公一人のためにものさしを変えてしまう瞬間です。
- よくある形
- 口は悪いが主人公に仕える妖/主人公を気に入って自分の世界へ迎えたがる神や鬼/人の姿を借りて主人公の隣に住む人外/見た目は怖いのに主人公にだけ優しい異形の者
- 外すなら
- 主人公を囲いこもうとする人外が、主人公に「帰りたい」と言われて、初めて帰り道を自分で用意する形にする。または、主人公のほうが人外の世界のしきたりに詳しく、人外を助ける形にする
- 気をつけたいこと
- 閉じこめる、記憶を消す、帰さない、を愛の深さとして描かないこと。人外の側が相手の選ぶ自由を守る場面を入れると、囲いこみではなく大切にしている気持ちとして伝わります
1表の顔人前・ふだん
「人の子ひとり守れないほど、落ちぶれてはいない。下がっていろ」
夜道で妖に囲まれた主人公の前に、音もなく降り立って
2ほころび素が一瞬見える
「その怪我は誰にやられた。名を言え。……いや、言わなくていい。怖がらせたな」
主人公の腕の擦り傷に気づいて、思わず声を低くして
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「おまえを連れていけば、ずっとそばに置ける。だが、それではおまえが笑わなくなる」
人の世と人外の世の境の鳥居の下で、主人公の手を離しながら
4独りの時誰にも見せない本音
「百年を一瞬だと思ってきた。あれのいない一日が、こんなに長いとは」
主人公が人の世へ帰った翌朝、誰もいない縁側に座って
男性向けの女性の人外キャラ
男性向けの作品では、主人公の家に住みつく狐や竜の娘、主人公と旅をする長命の獣の化身、人の世の常識を知らない女神が人気です。人の暮らしに驚き、はしゃぐかわいさと、ふとした時に見せる長い時間を生きてきた者の顔の落差が見せ場になります。
- よくある形
- 主人公の家で暮らし始めた人外の娘/主人公の旅の連れになる賢い獣の化身/人の世の食べ物に夢中になる女神/主人公にだけ本当の姿を見せる人外の同級生
- 外すなら
- 人の世の常識を知らないはずの人外の娘が、実は人の歴史を主人公の誰より知っていて、昔の話をする時だけ大人びる形にする。または、主人公のほうが人外で、娘のほうが人間という逆の形にする
- 気をつけたいこと
- 人外の娘を、主人公にだけ都合のいい存在にしないこと。人外の側にも帰る場所や、人とは違う望みがあると、主人公との関係が一方通行にならずに深まります
1表の顔人前・ふだん
「人の作る甘いものって、ずるいくらいおいしい。もう一つ買ってくれてもいいよ」
縁日の屋台の前で、主人公の袖を引っぱりながら
2ほころび素が一瞬見える
「私の本当の姿を見ても、君は変わらないんだね。……変な人」
正体を見られた翌朝、いつもどおり朝ごはんを出されて
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「この祠、最後に手を合わせたのは君のひいおじいさん。顔、似てるよ。君は、私の顔を覚えてて」
古い祠の前で、手を合わせる人がもういないことを話しながら
4独りの時誰にも見せない本音
「この人が年をとっていく顔まで、見たいと思ってしまった」
こたつで眠りこんだ主人公の寝顔を、尻尾を丸めて見つめながら
人外キャラを書く時のコツと避けたいこと
コツ
- 人とずれているものを一つ決める:生きる時間、死の意味、約束の重さ、名前の大切さ。ずれが一つあると、何気ない会話にも人外らしさが出ます
- 人をどう呼ぶかを決める:「人の子」「おまえたち」「人間」「名前」。呼び方は、そのまま人との距離を表します。呼び方が変わる場面は、関係が動いた合図になります
- 人の世の好きなものを一つ持たせる:甘いもの、祭り、本、人の歌。人外が人の営みの何かを好きだと、人に近づく理由が自然に生まれます
- 約束を一つ置く:昔話の人外は、見るな、言うな、という約束で人と結ばれ、破られて去っていきました。約束は、人と人外の関係を一番わかりやすく形にします
人との距離で変わる見え方
| 人との距離 | どう見えるか | 揺らす出来事 |
|---|---|---|
| 上から見守る | 大きい、やさしい、遠い | 見守っていた人の子が、自分を見上げなくなる |
| 隣に混ざって暮らす | 不思議、人より人の世を楽しむ | 正体を知られる、または自分から打ち明ける |
| 約束で結ばれる | 主従、取引、縁 | 約束の期限が来る、約束が破られる |
| 分かり合えない | こわい、まっすぐ、理屈っぽい | 分からないはずの気持ちに、体が先に動く |
| 人に近づきたい | 健気、報われない | 人のほうから手を差しのべられる |
避けたいこと
- 耳や尻尾、角などの見た目だけ人外にして、考え方も時間の感覚も人間とまったく同じにすること
- 人の子を閉じこめる、記憶を消す、帰さないことを、愛の深さとしてだけ描くこと
- 人外を「人ではないから何をしても許される」存在として、人を傷つける場面を軽く扱うこと
- 人外の姿や種族を、現実の特定の人々への偏見と重なる形で描くこと
人外に合う口調・組み合わせやすい属性
合う口振(口振カルテへ)
人外は人との距離の属性なので、口振は「人をどの高さから見ているか」で選びます。上から見守る存在はゆったりと、人の世を面白がる存在は軽やかに、人を分からない存在はそっけなく。好きな相手にだけ口調が崩れる差を作ると、距離が縮まったことが伝わります。
組み合わせやすい属性
ミステリアスや飄々を重ねると、正体も本心も見せない、つかみどころのない人外になります。過保護や溺愛を重ねれば、人の子を守りたい気持ちが強すぎる上位存在に、天然を重ねれば、人の世の常識を知らずに騒ぎを起こす人外になります。一匹狼を重ねると、人を守るのに人の輪には入らない守り神の形になります。
ぶつかりやすい属性(あえて使うと面白い)
人懐っこい人や常識人は、人との距離を保とうとする人外とぶつかりやすい属性です。人間の側に重ねると「人外がどれだけ距離を置いても、毎日話しかけてくる子」「人外の非常識に、一つずつ人の世のきまりを教える人」というねじれになり、関係性で並べると引き立ちます。人外が初めて自分から人の名前を呼んだ時、二人の距離がはっきり変わります。
人外キャラの歴史
人ならぬものと人が出会い、結ばれ、別れる話は、昔話の時代からあります。人外という言葉が創作で「人間ではないキャラ」の意味で使われるのは新しいことですが、人との距離を描く物語の形は、千年以上前から続いています。
年表を開く
天女が羽衣を隠されて人の妻になり、のちに羽衣を見つけて天へ帰る話が、この年の条として伝わっています。人ならぬものが人と暮らし、去っていく話の古い例です。
助けられた狐が女に化けて人に嫁ぎ、正体を知られて去る話が、浄瑠璃や歌舞伎で繰り返し上演されます。
恐ろしい獣の姿の城の主と娘が心を通わせる物語(1740年・1756年)や、人間の王子に恋し、声と引き換えに人の足を得る人魚の物語(1837年)が書かれます。
「今夜のことを誰にも言うな」と約束させて若者を助けた雪の精が、のちに嫁として暮らし、約束が破られて消える話が英語で出版されます。
人間になれなかった者たちが、人間になることを夢見て旅をし、疎まれながらも人を守るテレビアニメが放送されます。
子どもにしか見えない森の主(1988年)、人の感情が分からない寄生生物と少年の共生(1988年)、人間を憎みながら人の娘を育てる山犬の神(1997年)など、人外と人の距離を描く名作が続きます。
妖が見える少年と用心棒の妖の漫画(2003年)、豊作の神と崇められた狼と商人の旅の小説(2006年)、少女が土地神になり狐の神使が仕える漫画(2008年)が人気になります。2012年には人外の要素を持つ女の子と暮らす漫画が始まり、「モンスター娘」が一つのジャンルになりました。
人の言葉を話すのに、家族の意味も弔いの意味も分からない種族がテレビアニメで描かれ、言葉が通じることと分かり合えることは違う、という人外の型が広く知られます。
pixivの「人外」タグのイラスト・マンガは約14万件あります。小説家になろうでは題名に「人外」が入る作品が599件あり、人外に転生する話、人外と暮らす話、人外から溺愛される話が目立ちます。
今の人外キャラのイメージ
- 人の子を好きになる上位存在:神様や妖が、人の子を気に入って見守り、ちょっかいを出し、守る。昔話から続く形が、今は恋や家族の物語として人気です
- 分かり合えないことの面白さ:言葉は通じても心が通じない、善意なのに人の痛みが分からない人外は、こわさと同時に「人とは何か」を考えさせる存在として描かれます
- 人外からの溺愛:女性向けでは、人外に気に入られ大切にされる話が定番です。守ることと閉じこめることの境目を、甘さとして楽しむ作品も、こわさとして描く作品もあります
よくある質問
人外キャラとはどういう意味ですか?
神や妖怪、怪物など、人間ではない存在として描かれるキャラクターのことです。人と同じものさしでは測れない所があり、人とのあいだの距離をどう取るか、どう縮めるかが物語になります。
人外は悪い意味の言葉ですか?
辞書の「人外」は、もとは人の住む世の外や、人の道に外れていること(人でなし)を指す言葉です。創作で「人間ではないキャラ」を指す使い方は別の意味で、悪口ではありません。ゲームなどでは、人間離れした腕前をほめる言い方にもなります。
人外と異形の違いは何ですか?
人外は「人間ではない存在」を言う言葉で、異形は「人と違う姿」を言う言葉です。人の姿をした人外も多く、異形の姿でも心が人に近いキャラもいます。見た目の遠さと心の遠さは、分けて考えると書きやすくなります。
人外とアンドロイドや天使・悪魔は違うのですか?
重なる所はありますが、性分帖では分けています。アンドロイド・ロボットは人が作った機械で、心を知っていくことが中心です。天使・悪魔は天と魔界という陣営と役目で動く存在です。人外は、人との距離のとり方で考えます。
「人の子が好きな神様」はなぜ人気なのですか?
大きな力と長い時間を持つ存在が、小さく短い命の人の子を特別に思う、という差そのものが物語になるからです。人の側からは、自分だけが特別に見てもらえる喜びがあり、人外の側には、いつか見送る切なさがあります。
人外キャラを魅力的に書くコツは?
人とずれているものを一つ決め、人をどう呼ぶかを決めることです。そのうえで、人の世の好きなものを一つ持たせ、人と交わす約束を一つ置くと、人に近づく場面と近づけない場面が自然に書けます。
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参考にした資料
- コトバンク「人外」(デジタル大辞泉・日本国語大辞典:人の世の外、人の道に外れること、人でなし)
- Wikipedia(日本語版)「人外」(意味の整理、サブカルチャーでの使い方)
- ピクシブ百科事典「人外」(人間でないものの総称、境目は決めにくい)
- ニコニコ大百科「人外」(人ではないキャラ、人間離れした腕前の意味)
- Wikipedia(日本語版)「異類婚姻譚」(人と人ならぬものの結婚の話、見るなのタブー)
- Wikipedia(日本語版)「羽衣伝説」(723年の条に伝わる話)
- コトバンク「信田妻」(狐女房、1674〜1734年の上演)
- Wikipedia(日本語版)「雪女」(1904年、言うなの約束)
- TV Tropes「Mayfly-December Romance」(長命の者が人を見送る)
- TV Tropes「Blue-and-Orange Morality」(人とかけ離れた価値観)
- TV Tropes「Humanity Is Infectious」(人と関わるうちに人の心を身につける)
- Wikipedia(日本語版)「となりのトトロ」(子どもにしか見えない森の主、1988年)
- Wikipedia(日本語版)「もののけ姫」(人間を憎みながら人の娘を育てる山犬の神、1997年)
- Wikipedia(日本語版)「狼と香辛料」(豊作の神と崇められた狼の化身、2006年)
- Wikipedia(日本語版)「寄生獣」(人の感情が分からない寄生生物との共生)
- 電撃オンライン『葬送のフリーレン』第7話についての記事(言葉を話すが分かり合えない魔族)
- 原神 wiki「鍾離」(往生堂の客卿、人の営みに詳しい)
- Wikipedia(日本語版)「おおかみこどもの雨と雪」(人として暮らしていたおおかみおとこ)
- Wikipedia(日本語版)「神様はじめました」(土地神になった少女に仕える狐の神使)
- Wikipedia(日本語版)「とつくにの少女」(触れると呪いがうつる異形の先生)
- Wikipedia(日本語版)「妖怪人間ベム」(人間になることを夢見る、1968年)
- Wikipedia(日本語版)「モンスター娘のいる日常」(2012年連載開始)
- 小説家になろう 小説API「人外」(2026年11月4日時点の件数と題名)
- pixiv タグ「人外」(2026年11月4日時点の作品数)

