サザノノ 性分帖。 > 立ち位置 > 用心棒
用心棒キャラとは、お金や約束と引き換えに雇われ、自分の腕を貸して人や場所を守ったり、戦ったりするキャラクターのことです。報酬で結ばれた割り切りと、それでもにじむ義理や情との揺れが、人物の見どころになります。
要点
- 辞書では、護衛のために身辺に置いておく人、とくに雇って置く人のことです。もとは戸締まりや護身のための棒を指す言葉でした
- 見分ける条件は3つ。雇われている・腕を売りものにしている・雇い主との縁が契約で、切れることもある
- 護衛とは、つながり方が違います。護衛は役目として付き添って守り、用心棒はお金や約束で腕を貸す
- 「金のためだ」と言い張りながら、最後は義理や情で動く姿が、時代劇から西部劇、ゲームまで繰り返し描かれてきました
見出しの一覧
用心棒の意味と語源
「用心棒」は、もともと人ではなく棒のことでした。辞書(日本国語大辞典)では、身を守るために手元に置く棒や、戸を内側から押さえる「しんばり棒」の意味が先に並んでいます。そこから、身を守るために雇って置く人を指すようになり、江戸時代の半ばにはこの意味の用例が見られます。博徒が抱える腕の立つ武芸者や、店で乱暴な客に備える番人も用心棒と呼ばれました。
辞書の説明には「雇って置く」とあり、お金や約束で結ばれていることが、この言葉の芯です。創作の用心棒は、腕を買われて雇われる剣客や武芸者で、雇い主から「先生」と呼ばれたり、悪役の側近として主人公の前に立ったりする役です。英語では、酒場で騒ぐ客をつまみ出す人を bouncer、報酬のために戦う兵を mercenary(もとはラテン語の「報酬」)と呼び、どちらも用心棒に近い言葉です。
属性としては、雇い主との関係と、どこにも属さない立ち位置が人物を形づくるので、立ち位置の群に入れています。このページは、時代劇の用心棒、西部劇の流れ者、ファンタジーの雇われ傭兵までを扱い、賞金稼ぎや殺し屋は近い言葉として触れるだけにします。
用心棒キャラかどうかの見分け方
腕が立つ、誰かを守る場面がある、というだけでは用心棒キャラとは言えません。用心棒と呼べるのは、次の3つがそろった時です。
- 雇われている:お金、食事と寝床、借り、約束。何かと引き換えに、誰かのために腕を振るっています。対価がまったくないなら、用心棒というより正義の味方です
- 腕を売りものにしている:剣、銃、術、腕っぷし。生きていくための元手が、自分の強さです。だからこそ、雇い主より強いことがよくあります
- 雇い主との縁が契約で、切れることもある:払いが悪ければ去る、もっと払う側につく、仕事が終われば別れる。忠誠ではなく取り決めでつながっていることが、義理や情が芽生えた時の揺れを生みます
| こんな時 | 判定 |
|---|---|
| 決まった相手に付き添い、守ることが役目になっている | 護衛・ボディーガード |
| 主君を持たず、自分の道を貫いて刀を振るう | 武士・侍 |
| 雇われているかどうかに関係なく、誰ともつるまない | 一匹狼 |
| 腕ではなく、集めた情報を売って生きている | 情報屋 |
| お金のためと言いながら、わざと冷たくして人を守る | 偽悪的 |
| お金や約束で雇われ、腕を貸して守ったり戦ったりする | 用心棒 |
護衛・一匹狼・武士との違い
用心棒は、同じように腕の立つ守り手や、群れない性分とよく混ざります。こう覚えると見分けやすくなります。護衛は役目で守り、用心棒は対価で腕を貸す。一匹狼は性分で、用心棒は立場。浪人の武士が腕を売れば、用心棒になる。
| 用心棒 | 護衛・ボディーガード | 一匹狼 | 武士・侍 | |
|---|---|---|---|---|
| 何を言う言葉か | 雇われて腕を貸す立場 | 付き添って守る役目 | 群れない性分 | 主君に仕えて戦う身分と生き方 |
| つながり方 | お金や約束、取り決め | 命令、家の務め、契約 | 誰ともつながりたがらない | 主君への忠義、または己の道 |
| 守るもの | 雇い主、店、旅の連れ | 決まった一人 | 自分のやり方 | 主君と家、名誉 |
| 去る時 | 払いが尽きた時、仕事が終わった時 | 役目を解かれた時 | いつでも | 主君を失った時 |
| 崩れる瞬間 | 報酬より大事なものができた時 | 役目の外の気持ちに気づいた時 | 一人では守れないものができた時 | 忠義と自分の正しさが食い違った時 |
いちばん並べられるのは護衛・ボディーガードです。どちらも誰かを守りますが、つながり方が違います。護衛は、命令や家の務めなど理由を問わず、決まった相手に付き添って守る役目そのものです。用心棒は、辞書に「雇って置く」とあるとおり、お金や約束と引き換えに腕を貸す人です。守る相手との関係より、取り決めが先にあります。そのため用心棒は、払いが尽きれば去り、もっと払う側に移ることさえあります。英語の bodyguard も、酒場の用心棒を指す場合があり、民間の護衛と用心棒は重なり合っています。取り決めで始まった縁に、義理や情が混ざって護衛のようになっていく。その変わり目が、用心棒の物語の見せ場です。
一匹狼とは、性分か立場かで分かれます。一匹狼は群れない性分なので、雇われていなくても一人です。用心棒は雇われる立場なので、仲間と組む用心棒の一団もいます。武士・侍とは、主君の有無で分かれます。主君に仕える武士は用心棒ではありませんが、主君を持たない浪人が腕を売ると用心棒になります。江戸時代には、商人の用心棒になる浪人もいました。
用心棒と近い言葉
| 傭兵 | バウンサー | 賞金稼ぎ | 殺し屋 | |
|---|---|---|---|---|
| どんな言葉か | 報酬のために雇われ、自分に利害のない戦いに加わる兵 | 酒場やクラブで、騒ぐ客をつまみ出す警備係 | 懸けられた賞金を目当てに、お尋ね者を追う人 | お金を受け取って、人の命を奪う人 |
| 用心棒との関係 | 戦場で腕を売る用心棒。このページでも型として扱う | 店を守る用心棒の英語での呼び名 | 雇われて守るのではなく、自分で追う。守るか追うかで分かれる | 金で腕を売るところだけが重なる。守るのではなく奪う側 |
用心棒キャラの型
用心棒キャラは、何と引き換えに雇われているかと、雇い主とどんな距離にいるかで型が分かれます。時代劇や西部劇、ファンタジー、ゲームまで、よく描かれる型を並べました。
対立する二つの勢力の間にふらりと現れ、腕を見せて雇われながら、両方を争わせて共倒れを狙う型です。誰の味方でもなく、誰よりも先を読んでいます。たとえば、桑畑三十郎(映画『用心棒』)がこの型です。
身なりも態度もだらしなく、礼金の話もするのに、いざとなると誰より場を読み、確かな腕で片をつける型です。終われば何も言わずに去っていきます。たとえば、椿三十郎(映画『椿三十郎』)がこの型です。
人間ではない強い存在が、欲しいものと引き換えに用心棒を引き受ける型です。偉そうで怠けがちなのに、いざという時は頼りになる。本人は認めなくても、情が少しずつ育っていきます。たとえば、ニャンコ先生(『夏目友人帳』)がこの型です。
報酬にしか興味がないふりをして仕事を請け負いながら、ときどき仲間や守る相手への情がのぞく型です。突き放した口ぶりと、離れていかない足取りの差が見どころです。たとえば、クラウド(『ファイナルファンタジーVII』)がこの型です。
自分に課した誓いを果たすため、各地で用心棒を引き受けている型です。依頼で守ることになった子どもとの旅が、仕事を越えた絆に変わっていきます。たとえば、バルサ(『精霊の守り人』)がこの型です。
情より報酬を先に考え、払いのいい雇い主のもとへ移る型です。冷たく見えても、そうしなければならない事情がある。腕と目利きは確かで、仕事は誠実にこなします。たとえば、ナマリ(『ダンジョン飯』)がこの型です。
荒っぽい者と冷静な者、まったく合わない二人が、同じ雇い主に雇われて旅をする型です。互いに斬り合いかねない仲なのに、守る相手のためには背中を預け合います。たとえば、ムゲンとジン(『サムライチャンプルー』)がこの型です。
悪役の雇い主に腕を買われ、主人公の前に立ちはだかる型です。雇い主よりずっと強く、本人なりの筋を持っている。敵として出会い、その生き方が主人公の心に残ります。たとえば、桃地再不斬(『NARUTO -ナルト-』)がこの型です。
お金も出世も望めない、飯と寝床だけの報酬で、弱い者を守る戦いを引き受ける型です。割に合わないと分かっていて引き受けることが、そのまま人柄を語ります。たとえば、島田勘兵衛(映画『七人の侍』)がこの型です。
商会や船など、一つの組織に雇われて、仲間とともに荷や人を守る型です。一人ではなく隊として動くので、仲間どうしの掛け合いや信頼が見どころになります。たとえば、キリエ(『荒野のコトブキ飛行隊』)がこの型です。
決して死なない体を持つ剣士が、仇を討ちたい者に頼まれて用心棒になる型です。自分の過去の罪を背負い、それを償う道として誰かのために刀を振るいます。たとえば、万次(『無限の住人』)がこの型です。
暗い過去を持つ口数の少ない流れ者が、ある家に雇われ、土地の荒くれから人々を守る型です。慕われても、一つの土地に長くは留まらない流れ者です。たとえば、シェーン(映画『シェーン』)がこの型です。
報酬を払えば味方になり、払わなければ敵に雇われているかもしれない型です。忠誠を誓わないからこそ、いつ裏切るか分からない緊張と、去り際の寂しさが生まれます。たとえば、シャドウ(『ファイナルファンタジーVI』)がこの型です。
用心棒キャラの作り方と台詞例
用心棒キャラは、何と引き換えに腕を貸しているのかで作る属性です。報酬は何か、なぜその仕事をしているのか、越えない一線は何か、雇い主との縁が切れそうになった時にどうするのかを決めると、人柄がはっきりします。
台詞は「心の距離」の順に4段階で並べています。表の顔 → ほころび(素が一瞬見える)→ 信頼した相手だけ → 独りの時。用心棒キャラは、表の顔では報酬と取り決めの話だけをし、ほころびで仕事の外の気持ちが少しだけ漏れ、信頼した相手には雇われ者でいる理由を明かし、独りの時には去るか残るかで迷っています。話し方は口振カルテで調整できます。
下に行くほど心の距離が近づきます。同じ人物の4つの顔として読んでください。
自分のキャラクターの顔を置くと、下の台詞をその子が話しているように読めます。
性分帖の台詞は、自分で作ったキャラクターにどんな口調や性格が合うかを確かめるためのものです。画像と名前はこの端末にだけ保存され、ほかの属性のページでも同じ子が出ます。
ドラッグで位置を動かせます
女性の用心棒キャラ
女性の用心棒キャラは、誓いを胸に旅をする腕利き、事情があって稼ぐ現実的な傭兵、用心棒の一団で空や道を守る者として描かれることが多い形です。強さと、仕事として割り切る冷静さ、その奥にある自分の理由を描くと、型にはまらない人物になります。
- よくある形
- 依頼で守ることになった子どもと旅をする、短槍使いの用心棒/借金を返すために、払いのいい雇い主を渡り歩く傭兵/商会に雇われ、仲間と荷を守る腕利き/酒場の奥で、騒ぐ客を一人で片づける用心棒
- 外すなら
- 報酬の額にうるさい用心棒が、守った子どもに渡されたどんぐり一つだけは、受け取って大事にしまっておく形にする。または、誰より強い用心棒が、料理だけはまるでできず、雇い主の子に作り方を教わる形にする
- 気をつけたいこと
- 「女性なのに強い」を見どころの中心にしないこと。なぜ腕を売って生きているのか、何のために稼いでいるのかを一つ決めると、一人の用心棒として立ちます。お金にこだわる理由を「がめつい」で終わらせず、事情として描くことも大切です
1表の顔人前・ふだん
「前金で半分、着いたら残り。途中で値切ったら、そこで降りるから」
宿の土間で、依頼人の差し出した巾着を手のひらで量りながら
2ほころび素が一瞬見える
「……靴、合ってないでしょう。次の町で替えるよ。代金? いいから、黙って歩きな」
山道で足を引きずる連れの子に気づき、振り返らずに
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「焚き火の番、昔は私がやってもらう側だった。その人の刀で、今は人を守ってる」
焚き火の番を代わってくれた旅の連れに、火を見たまま
4独りの時誰にも見せない本音
「……重いな、足が。報酬の袋より、よっぽど」
依頼人と別れた峠で、一人で振り返った先の小さな村の灯り
男性の用心棒キャラ
男性の用心棒キャラは、ふらりと現れる腕利きの浪人、悪党に雇われた「先生」、報酬にしか興味がないふりをする雇われ者、二人組の荒くれとして描かれることが多い形です。主人公と並べると、正義のために戦う人と、取り決めのために戦う人の対比がはっきりします。
- よくある形
- 二つの一家の間に現れ、両方に腕を売る流れの浪人/悪党の屋敷で、酒を飲みながら出番を待つ「先生」/報酬にしか興味がないと言い張る、無愛想な雇われ剣士/飯と寝床だけで、村を守ることを引き受けた浪人
- 外すなら
- 報酬第一の用心棒が、雇い主の店の看板猫にだけは、毎朝自分の干物を分けてやる形にする。または、悪党に雇われた用心棒が、主人公と斬り合う前に、主人公の折れた刀を見て新しい刀の店を教える形にする
- 気をつけたいこと
- 強さを見せるために、弱い者を脅す場面や残酷さばかりを重ねないこと。金で動く人だからこそ、越えない一線を一つ決めておくと、ただの荒くれではない用心棒として描けます
1表の顔人前・ふだん
「俺を雇いたいなら、まず飯だ。腹が減ってちゃ、刀も重い」
宿場の茶屋で、頭を下げる店の主人に片肘をついたまま
2ほころび素が一瞬見える
「……今の、礼は要らん。子どもが見てた。それだけだ」
騒ぎが収まった通りで、刀を鞘に戻しながら
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「金で動くのは楽だぞ。誰の正しさにも付き合わなくていい。……そう思ってたんだがな」
夜の縁側で、雇い主の老人と並んで徳利を傾けて
4独りの時誰にも見せない本音
「次の町でも、同じことを言うんだろう。俺は雇われただけだ、ってな」
町を出る朝、誰にも告げずに門をくぐって
女性向けの男性の用心棒キャラ
女性向けの男性の用心棒キャラは、主人公に雇われる、あるいは主人公を守る約束をした、腕の立つ流れ者として描かれます。報酬や取り決めを口実にしながら、離れていかない姿や、主人公にだけ見せる面倒見のよさが見どころです。
- よくある形
- 主人公に雇われた、口の悪い腕利きの剣士/欲しいものと引き換えに主人公を守る、人ではない存在/ふらりと現れて、主人公の店の用心棒に居ついた流れ者/報酬は「一度食事に付き合うこと」で引き受けた雇われ者
- 外すなら
- 報酬にうるさい用心棒が、主人公の払った前金を、一度も使わずに袋ごと取ってある形にする。または、契約の期限を何度も口にする用心棒が、期限の日だけ、なぜか一日勘違いしている形にする
- 気をつけたいこと
- 雇い主の主人公より強いことを、主人公を言いなりにさせる力として描かないこと。雇っているのは主人公で、決めるのも主人公です。主人公の決めたことを尊重しながら守る関係にすると、安心してときめける用心棒になります
1表の顔人前・ふだん
「契約は次の満月まで。それまでは、あんたの行く所に俺もついていく」
主人公の店の入り口で、壁にもたれて腕を組みながら
2ほころび素が一瞬見える
「荷物、寄こせ。契約書に『荷持ち』の項目はなかったな。今、足した」
市場の帰り道、主人公の手から包みを取り上げて先を歩き
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「報酬はもう十分もらった。だから、ここから先はただの俺の勝手だ」
契約最後の夜、店の灯りを消したあとの戸口で
4独りの時誰にも見せない本音
「金で雇われた身で、引き止められたいなんて、笑い話だな」
満月の前の晩、屋根の上で一人、店の明かりを見下ろして
男性向けの女性の用心棒キャラ
男性向けの女性の用心棒キャラは、主人公に雇われた腕利き、主人公の旅に加わった雇われ傭兵、用心棒の一団の一員として描かれます。報酬の話ばかりするのに主人公を見捨てない頼もしさや、仕事の外で見せる意外な顔が好まれます。
- よくある形
- 主人公の旅に雇われた、報酬にうるさい傭兵/主人公の店を一人で守る、無口な用心棒/仲間と空や道を守る、短気な腕利き/もとは敵に雇われていたのに、払いのいい主人公側に移ってきた剣士
- 外すなら
- 報酬第一の傭兵が、主人公の払えない分を「つけにしておく」と言って、そのつけを一度も取り立てない形にする。または、何でも斬れる用心棒が、雇い主の主人公に頼まれた夕飯の買い出しだけは、毎回何かを買い忘れる形にする
- 気をつけたいこと
- 雇われ者の女性を、主人公に都合よく従うだけの人にしないこと。払いが悪ければ去る、自分の一線は譲らない、という強さを持たせると、主人公との関係に厚みが出ます。見た目の色気だけを強さの添え物にしないことも大切です
1表の顔人前・ふだん
「次の仕事、払いは今の倍。断るなら、私は向こうの隊に移るけど」
ギルドの掲示板の前で、依頼書を指で弾きながら
2ほころび素が一瞬見える
「……あんた、また自分の分の干し肉を人にやったでしょう。私の分、半分あげる。貸しだからね」
野営の夜、黙って包みを主人公の膝に置いて
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「弟の薬代、あと二年分。それが終わっても、この隊にいるかもしれない。自分でも驚いてる」
夜明け前の見張りを、主人公と二人で交代する時に
4独りの時誰にも見せない本音
「倍の報酬、断っちゃった。……あの人、干し肉また人にやるんだもん。誰かが見てないと」
宿の部屋で、届いた依頼の手紙を小さく折りたたんで
用心棒キャラを書く時のコツと避けたいこと
コツ
- 報酬を一つ決める:お金、飯と寝床、欲しい宝、借りを返すこと、デート一回。何と引き換えに腕を貸しているのかで、キャラの重さも軽さも変わります
- なぜ雇われ者なのかを決める:主君を失った、借金がある、誓いがある、どこにも属したくない。理由があると、金の話をする場面にも陰影が出ます
- 越えない一線を一つ書き出す:子どもには手を出さない、一度受けた仕事は投げ出さない、払いのいい側でも卑怯な仕事は受けない。金で動く人の一線は、それだけで人柄を語ります
- 去り際を用意する:仕事が終われば去る、報酬を受け取らずに去る、去るはずが戻ってくる。用心棒の物語は、別れ方で印象が決まります
雇い主との距離で変わる見え方
| 雇い主との距離 | どう見えるか | 揺らす出来事 |
|---|---|---|
| 取り決めだけで割り切っている | 冷たい、頼もしい、読めない | 雇い主がお金では返せない恩をくれる |
| 払う側を選んで渡り歩く | 現実的、信用しきれない | 払いの悪い側に、守りたい人がいる |
| 報酬を口実に居ついている | 不器用、あたたかい | 契約の期限が来る |
| 悪党に雇われている | 怖い、筋が通っている | 雇い主が自分の一線を越えろと命じる |
| 誓いのために雇われ続ける | 重い、誠実 | 守った相手に、もうやめていいと言われる |
避けたいこと
- お金にこだわる理由を描かずに、「がめつい」「金に汚い」だけの人にすること。稼ぐ事情や、お金に込めた意味を一つ添えます
- 強さの証として、弱い者を脅す場面や残酷さばかりを重ねること。金で動く人こそ、越えない一線で人柄を見せます
- 雇い主より強いことを、雇い主を言いなりにさせる力として描くこと。雇われている側が守るべき取り決めがあることも描きます
- 用心棒をただ主人公に斬られるための役として、名前も理由もないまま退場させること。敵側でも、その人なりの筋を一つ持たせます
- 有名な用心棒映画の名乗りや決め台詞、名場面をそのまま借りること。型は借りても、言葉はそのキャラ自身から作ります
用心棒に合う口調・組み合わせやすい属性
合う口振(口振カルテへ)
用心棒は立ち位置の属性なので、口振は「雇い主とどう話すか」と「仕事の外でどう話すか」で選びます。短くそっけなく返すのか、軽く受け流すのか、上から言い切るのか、古風に短く話すのかで、同じ用心棒でも印象が変わります。
組み合わせやすい属性
用心棒に一匹狼を重ねると、仕事が終わればすぐに去る、誰とも組まない流れ者に。飄々を重ねれば、礼金の話ではぐらかしながら、肝心なところは外さない腕利きになります。偽悪的を重ねると、「金のためだ」と言い張って人助けを隠す用心棒に、無口を重ねると、多くを語らずに仕事だけを確実にこなす用心棒になります。戦闘狂を重ねれば、報酬より強い相手との戦いを求めて雇われる剣客に。お人好しを重ねると、報酬を値切られても断れない、損ばかりの用心棒になります。
ぶつかりやすい属性(あえて使うと面白い)
献身や正義感が強いは、対価で腕を貸す用心棒とぶつかりやすい属性です。一人に重ねると「見返りを求めないのに用心棒を名乗る」というおかしみになり、関係性で並べると引き立ちます。正しさのために戦う主人公と、報酬のために戦う用心棒。何も求めずに尽くす人と、取り決めにこだわる人の組み合わせは、守るとは何かを浮かび上がらせます。
用心棒キャラの歴史
報酬のために腕を貸す人は、古代の傭兵から江戸の浪人まで、歴史のあちこちにいました。物語の用心棒は、時代劇映画で一つの型として完成し、西部劇や漫画、ゲームへと広がっていきます。ここでは、主な出来事をまとめます。
年表を開く
大名の取り潰しが続き、主君を失った浪人が約50万人に達したとされます。生計に困る浪人の中には、商人の用心棒になる者もいました。
「用心棒」を、身を守るために雇って置く人という意味で使った用例が見られます。もとは身を守るための棒を指す言葉でした。
英語の bouncer が、酒場で騒ぐ客をつまみ出す人という意味で使われ始めます。店を守る用心棒は、英語圏でも決まった呼び名を持つ仕事でした。
流れ者のガンマンが開拓農民に雇われて入植者を守る西部劇と、飯だけを報酬に村を守る侍たちを描く時代劇映画が続けて公開されます。
流れ者の浪人が、宿場町で対立する二つの一家の両方に腕を売り、共倒れさせる時代劇映画が公開されます。用心棒という言葉を題にしたこの作品は、のちに海外で何度も翻案されます。翌1962年には、同じ浪人を主人公にした続編も公開されます。
1961年の映画を許可なく翻案したイタリアの西部劇が作られ、映画会社が訴えて勝訴します。この作品をきっかけにイタリア製西部劇が量産され、名前も明かさないニヒルな流れ者のガンマンが主人公の定番になりました。
諸国をさまよう剣の達人の素浪人を描くテレビ時代劇が始まり、1969年には「よろず相談屋」の浪人も登場します。1972年には、金を受け取って晴らせない恨みを晴らす裏稼業の時代劇が始まり、金で腕を売る主人公がお茶の間に定着しました。
1994年と1997年に、報酬で雇われる傭兵が仲間になるロールプレイングゲームが発売されます。1996年には、皇子を守る女用心棒を主人公にした児童文学が刊行され、1961年の映画のアメリカでの正式なリメイクも公開されました。
Web小説の用心棒ものは、異世界ものと時代物が中心です。一方、女性向けの恋愛ものでは「用心棒」という言葉はほとんど使われず、守る相手役は「護衛」と呼ばれることが多くなっています。
今の用心棒キャラのイメージ
- 金のためと言いながら、最後は戻ってくる:報酬のためだけに加わったはずの雇われ者が、土壇場で仲間を助けに戻る。この流れは、国を問わず愛されてきた型です
- 悪役の側近としての用心棒:雇い主から「先生」と呼ばれ、悪役の側近として主人公の前に立つ用心棒も根強い型です。親玉より強く、目立ってしまうこともあります
- 人ではない用心棒:妖怪や悪魔のような人ではない存在が、約束や対価と引き換えに人間を守る形も親しまれています。偉そうなのにどこか憎めない、という組み合わせが好まれます
- 傭兵・冒険者としての用心棒:ファンタジーやゲームでは、用心棒は傭兵や冒険者の姿で描かれることが多くなりました。払いのいい仕事を選ぶ現実的な雇われ者も、事情のある人として描かれます
- 女性向けでは「護衛」の言葉が主流:女性向けの恋愛ものでは、守る相手役は「用心棒」より「護衛」と呼ばれることが多くなっています。そのぶん、用心棒という言葉は、流れ者や雇われ者の乾いた空気をまとう言葉として残っています
よくある質問
用心棒キャラとはどういう意味ですか?
お金や約束と引き換えに雇われ、自分の腕を貸して人や場所を守ったり、戦ったりするキャラクターのことです。雇われていること、腕を売りものにしていること、雇い主との縁が契約で切れることもあることが条件になります。
用心棒と護衛の違いは何ですか?
護衛は、命令や家の務めなど理由を問わず、決まった相手に付き添って守る役目そのものです。用心棒は、辞書に「雇って置く」とあるとおり、お金や約束と引き換えに腕を貸す人で、取り決めが先にあります。用心棒は払いが尽きれば去ることもあり、そこが護衛との大きな違いです。
「用心棒」の語源は何ですか?
もとは、身を守るために手元に置く棒や、戸を内側から押さえる「しんばり棒」を指す言葉でした。そこから、身を守るために雇って置く人を指すようになり、江戸時代の半ばにはこの意味の用例が見られます。
用心棒と傭兵の違いは何ですか?
傭兵は、報酬のために雇われて戦争や戦いに加わる兵のことです。用心棒は、雇い主の身や店、旅を守るために雇われる人を指すことが多い言葉です。どちらも報酬で腕を貸すところは同じで、創作では、ファンタジーの用心棒が傭兵の姿で描かれることもよくあります。
用心棒キャラはなぜ「先生」と呼ばれるのですか?
時代劇などでは、雇い主が用心棒の腕を買って、敬意をこめて「先生」と呼ぶ場面がよく描かれます。武芸の腕を持つ人への呼び方で、悪党の雇い主が用心棒を「先生」と呼ぶのは、悪役の側近としての用心棒の定番の描き方になっています。
用心棒キャラを魅力的に書くコツは?
何と引き換えに腕を貸しているのかと、金で動く人なりの越えない一線を一つずつ決めることです。そのうえで、報酬より大事なものができた瞬間と、去り際の姿を描くと、ただの雇われ者ではない、生きた用心棒として伝わります。
次に読む
参考にした資料
- コトバンク「用心棒」(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典:護衛のために雇って置く人、もとは棒、1746〜48年の用例)
- Weblio辞書「用心棒」(隠語大辞典:賭博場の見張り番)
- ピクシブ百科事典「用心棒」(雇われの剣客、「先生」と呼ばれる、悪役の側近)
- ニコニコ大百科「用心棒」(身辺を護衛する者、1961年の映画)
- Wikipedia(日本語版)「用心棒」(1961年の映画、二つの一家を争わせる浪人、その後のリメイク)
- Wikipedia(英語版)「Yojimbo」(1961年4月25日公開、桑畑三十郎の名乗り)
- Wikipedia(日本語版)「椿三十郎」(1962年1月1日公開、若侍たちを助ける浪人)
- Wikipedia(日本語版)「荒野の用心棒」(1964年、許可のない翻案、東宝の勝訴)
- Wikipedia(日本語版)「マカロニ・ウェスタン」(1965年ごろから量産、ニヒルな流れ者の主人公)
- Wikipedia(日本語版)「浪人」(1650年ごろ約50万人、浪人の暮らし)
- Wikipedia(英語版)「Ronin」(商人の用心棒になる浪人、創作の例)
- Wikipedia(日本語版)「傭兵」(金銭などのために雇われて戦う兵)
- Wikipedia(日本語版)「バウンサー」(酒場などの警備係、日本語の用心棒にあたる)
- Online Etymology Dictionary「bouncer」(騒ぐ客をつまみ出す人、1865年)
- Online Etymology Dictionary「mercenary」(ラテン語の「報酬」から、14世紀後半)
- Wikipedia(日本語版)「素浪人 月影兵庫」(1965年放送開始、さまよう剣の達人)
- Wikipedia(日本語版)「素浪人 花山大吉」(1969年放送開始、よろず相談屋)
- Wikipedia(日本語版)「必殺シリーズ」(1972年開始、金を受け取って恨みを晴らす裏稼業)
- TV Tropes「Not in This for Your Revolution」(個人的な理由で加わり、土壇場で戻ってくる)
- TV Tropes「Playing Both Sides」(二つの勢力を争わせる、1961年の映画が例)
- TV Tropes「The Drifter」(暗い過去の流れ者が町に来て去る)
- TV Tropes「Ronin」(用心棒や傭兵として雇われる浪人)
- カクヨム タグ「用心棒」(2026年11月3日時点、異世界ものと時代物が中心)
- Wikipedia(日本語版)「夏目友人帳」(ニャンコ先生:友人帳と引き換えに用心棒になる約束)
- Wikipedia(日本語版)「精霊の守り人」(バルサ:誓いを立てて放浪する女用心棒、1996年)
- Wikipedia(英語版)「Cloud Strife」(金で雇われる戦士、報酬はデート1回)
- Wikipedia(日本語版)「ダンジョン飯」(ナマリ:払いのいい仕事を選ぶ傭兵)
- Wikipedia(日本語版)「サムライチャンプルー」(ムゲンとジン:少女に用心棒として雇われる)
- Wikipedia(英語版)「List of Naruto characters」(桃地再不斬:雇われて暗殺を請け負う抜け忍)
- Wikipedia(日本語版)「七人の侍」(島田勘兵衛:白米を条件に村を守る、1954年)
- Wikipedia(日本語版)「荒野のコトブキ飛行隊」(輸送商会に雇われた用心棒の集団)
- Wikipedia(日本語版)「無限の住人」(万次:仇討ちの用心棒を引き受ける不死身の男)
- Wikipedia(英語版)「Shane (film)」(1953年、農場の手伝いとして雇われるガンマン)
- Wikipedia(英語版)「Characters of Final Fantasy VI」(シャドウ:報酬次第で味方にも敵にもつく傭兵)

