サザノノ 性分帖。 > 芯 > お人好し
お人好しのキャラとは、人を疑わずに何でも善意で受け取り、頼まれると断れず、損をしてでも人のために動いてしまうキャラクターのことです。
要点
- 辞書では「何事も善意にとらえ、他人に利用されたりだまされたりしやすい人」。ほめ言葉とけなし言葉のちょうどあいだにある言葉です
- 見分ける条件は3つ。人を疑わない・頼まれると断れない・損をしても懲りない
- いちばん比べられるのは優しい人です。お人好しは疑わずに引き受ける人、優しい人は思いやったうえで線を引ける人
- 主人公に多い属性です。お人好しが周りに人を集め、ここぞという時に強さに変わる。その瞬間が見せ場になります
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お人好しの意味と語源
お人好しは「人が好い」に、ていねいの「お」がついた言葉です。デジタル大辞泉では何事も善意にとらえる傾向があり、他人に利用されたりだまされたりしやすいこと。また、そのさまや、そういう人物と説明され、「頼まれたら嫌と言えない―な性格」という例が添えられています。「御人好し」「お人よし」とも書きます。
もとになった「人が好い」は、人柄がよく気立てがよいことです。大辞泉はそこに「他人の言いなりになりがち」という意味も加えています。日本国語大辞典が挙げる「人が好い」のいちばん古い用例は、1779年ごろの洒落本で、見かけは悪くても人はとてもいい、とほめる言い方でした。気立てのよさをほめる言葉が、やがて「よすぎて損をする」という少し困った響きを持つようになったのです。
実際、辞書の類語には、善人・好人物・人格者のようなほめ言葉と、馬鹿正直・おめでたい・能天気のような少しからかう言葉が並んでいます。お人好しは、その両方の顔を持つ言葉です。人柄の根っこにある性質なので、この辞典では芯の群に入れています。
ほめ言葉か、けなし言葉か
お人好しは、ほめ言葉とも言い切れない言葉です。素直で人に信用される、思いやりがある、争いを好まない、という長所が並ぶ一方で、だまされやすい、面倒なことを押しつけられやすい、自分の意見が見えにくい、という短所も挙げられます。同じ「お人好しだね」でも、あきれて言うのか、感心して言うのか、言う人の気持ちで意味が変わります。キャラを作る時は、この揺れそのものが味になります。
お人好しのキャラかどうかの見分け方
優しいキャラ、親切なキャラが、すべてお人好しなわけではありません。そう呼べるのは、次の3つがそろった時です。
- 人を疑わない:相手の言うことをそのまま信じ、何でも善意で受け取る。裏があるかもしれない、とはあまり考えない
- 頼まれると断れない:自分の予定や損得より、目の前の相手が困っていることを先に考えてしまう
- 損をしても懲りない:だまされたり、いいように使われたりしても相手を許し、次に頼まれるとまた引き受ける
優しい人・八方美人・自己犠牲との違い
5つとも「人のために動く」と言われやすい性格です。こう覚えると見分けやすくなります。お人好しは疑わずに引き受ける人、優しい人は思いやったうえで線を引ける人、八方美人は嫌われないように合わせる人、世話焼きは自分から世話をしたい人、自己犠牲は守るために自分で差し出す人。
| お人好し | 優しい人 | 八方美人 | 世話焼き | 自己犠牲 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 頼まれた時 | 疑わずに引き受ける | できる範囲で引き受け、無理なら断る | 嫌われたくないので引き受ける | 頼まれる前に手を出している | 守るためなら自分から差し出す |
| 動く理由 | 困っている人を放っておけない | 相手のためを考えて | 悪く思われたくない | 世話をするのが好き | 守りたいものがある |
| 損をした時 | 「まあいいか」と許し、また助ける | 次は同じことが起きないようにする | 表では笑い、裏で疲れる | 相手が喜べば気にしない | 最初から失う覚悟がある |
| 周りの気持ち | 放っておけない、守ってあげたい | 安心して頼れる | 感じはいいが、本音が分からない | ありがたいが、少しうるさい | 止めたいのに止められない |
| 崩れる瞬間 | 信じた人に裏切られたと知った時 | 大事な人を守るために厳しくなる時 | どちらかを選ばなければいけない時 | 世話を断られた時 | 守った相手に泣かれた時 |
いちばん比べられるのは「優しい人」です。どちらも相手を思いやり、困っている人を助けようとします。違いは優しさの量ではなく、自分を守る線を持っているかどうかです。優しい人は、自分に余裕がなければ「今回は難しい」と言えます。相手のためを思って、あえて断ったり叱ったりもできます。お人好しは、その線がとても薄く、頼まれると先に体が動いてしまいます。だから、お人好しは「優しすぎる人」とも言われます。
八方美人とは、引き受ける理由が違います。八方美人は嫌われたくないから合わせ、お人好しは困っている人を放っておけないから引き受けます。世話焼きとは、頼まれる前か後かが違います。自己犠牲とは、覚悟が違います。自己犠牲は守りたいもののために自分で選んで差し出し、お人好しは深く考える前に引き受けてしまいます。お人好しが大事な人を守ると決めた時、自己犠牲に近づいていきます。
お人好しと近い言葉
辞書がお人好しの類語に挙げる言葉にも、ほめ言葉からからかう言葉まで幅があります。
| 好人物・善人 | 馬鹿正直・愚直 | おめでたい | 人が好い | |
|---|---|---|---|---|
| どんな意味か | 気立てのよい、悪気のない人 | 正直すぎて、融通がきかない | 考えが甘く、人の悪意に気づかない | 人柄がよく、言いなりになりがち |
| お人好しとの関係 | ほめる時の言い方。軽くからかう時にも使う | 疑わないのではなく、曲げられない。正直さが中心 | お人好しをからかう時の言い方 | お人好しのもとになった言い方 |
お人好しのキャラの型
お人好しのキャラは「何を放っておけないのか」と「損をした時にどうするのか」で型が分かれます。
頼まれるとつい引き受けてしまい、そのたびに大変な目にあう型です。けれど、損得を考えずに手を貸す姿が、少しずつ周りの心を動かしていきます。たとえば、鈴木入間(『魔入りました!入間くん』)がこの型です。李白(『薬屋のひとりごと』)もこの型です。
困っている人がいれば、相手が誰でも、自分が危なくても助けに向かう型です。見返りは求めず、ひどい目にあっても文句ひとつで済ませます。たとえば、上条当麻(『とある魔術の禁書目録』)がこの型です。
人を怒ったり責めたりするのが苦手で、相手の欠点も事情もそのまま受け止める型です。その受け入れ方が、心を閉ざしていた人をほどいていきます。たとえば、本田透(『フルーツバスケット』)がこの型です。
皮肉や面倒くさそうな顔で照れを隠しつつ、困っている人を見ると放っておけない型です。言葉と行動の食い違いに、人柄がにじみます。たとえば、阿良々木暦(『〈物語〉シリーズ』)がこの型です。
一度だまされたのに、同じ相手がまた困った顔をすると手を差し伸べてしまう型です。周りはあきれますが、その信じる力が、いつか相手を本当に変えることがあります。
人の頼みを全部引き受けた結果、自分の時間も体力もなくなってしまう型です。笑顔の裏の疲れに誰が気づくのか。それを描くと、お人好しの切なさが立ち上がります。たとえば、カーヴェ(『原神』)がこの型です。
見返りを求めずに手を貸し続けてきた人が、自分が困った時に、思いもよらない人たちに助けられる型です。積み重ねてきたお人好しが、物語の最後に返ってきます。
大事な人を守るため、または自分を守るために、初めて「できない」と言う型です。断った後も相手との関係が続くと知った時、本当の意味での優しさを手に入れます。成長の物語として描きやすい型です。
お人好しのキャラの作り方と台詞例
同じお人好しのキャラでも、キャラの性別や、誰に向けた作品かで「人のよさが魅力に見えるポイント」が変わります。4つの向きごとに、よくある形と、外し方、台詞例をまとめました。
台詞は「心の距離」の順に4段階で並べています。表の顔 → ほころび(素が一瞬見える)→ 信頼した相手だけ → 独りの時。お人好しのキャラは表の顔で何でも引き受けているぶん、ほころびでは引き受けきれない本音がこぼれる場面を、信頼した相手には自分の損や悔しさを打ち明ける一言を、独りの時には誰にも見せない疲れや願いを置いています。話し方は口振カルテで調整できます。
下に行くほど心の距離が近づきます。同じ人物の4つの顔として読んでください。
自分のキャラクターの顔を置くと、下の台詞をその子が話しているように読めます。
性分帖の台詞は、自分で作ったキャラクターにどんな口調や性格が合うかを確かめるためのものです。画像と名前はこの端末にだけ保存され、ほかの属性のページでも同じ子が出ます。
ドラッグで位置を動かせます
女性のお人好しのキャラ
女性のお人好しのキャラは、誰の頼みも引き受けるクラスの係や、捨てられた生き物を放っておけない子、だまされても笑っている店の看板娘として描かれます。周りが心配するほどの人のよさが、気づけばみんなの居場所になっている。その温かさが愛されます。
- よくある形
- 掃除当番を毎回代わってあげる同級生/迷子や捨て猫を見ると連れて帰る子/おまけをしすぎて店長に叱られる看板娘/友達の借りたノートを返しに走り回る子
- 外すなら
- お人好しの彼女が、大事な友達がだまされそうな時だけは、誰よりも疑い深く、しつこくなる形にする。または、人を疑わないことが、かえって嘘を見抜く力になっている形にする
- 気をつけたいこと
- お人好しを「女の子は優しくて当たり前」という決めつけの材料にしないこと。また、周りに都合よく使われるだけの役で終わらせないこと。なぜ放っておけないのか、理由を一つ決めると、弱さではなく芯として伝わります
1表の顔人前・ふだん
「いいよ、私やっとく。みんな部活あるでしょ」
放課後の教室で、黒板の掃除当番の名前を見上げて
2ほころび素が一瞬見える
「その日は、ちょっと用事が……ううん、大丈夫。空けとくね」
誘いを断りかけて、相手の困った顔を見て言い直して
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「財布、空っぽになった。嘘だって、半分気づいてた。残りの半分に賭けちゃうの。ばかって言って、あなたにだけは」
帰り道の公園のベンチで、空になった財布を膝にのせて
4独りの時誰にも見せない本音
「カレンダー、来月も白いところがない。空ける練習、一日だけしてみよう。たぶん三日でまた埋まるけど」
夜、予定で埋まったカレンダーを見て、小さく笑いながら
男性のお人好しのキャラ
男性のお人好しのキャラは、困っている人を見ると首を突っこまずにいられない主人公や、誰にでも頼られる近所の兄さん、お金を貸しては返ってこない商店主として描かれます。損ばかりしているのに、なぜか人が集まってくる。その人柄が物語を動かします。
- よくある形
- 事件があると放っておけない主人公の高校生/後輩の失敗を一緒にかぶる先輩/つけで食べさせてしまう食堂の店主/ケンカの仲裁でいつも殴られる役
- 外すなら
- 何でも引き受けるお人好しの彼が、ただ一つ、人を見捨てることだけは誰に頼まれても断る形にする。または、お人好しに見えて、実は相手の嘘を全部分かったうえで助けている形にする
- 気をつけたいこと
- お人好しな男性を「頼りない」「情けない」とだけ描かないこと。人のよさが誰かを救う場面を一つ置くと、甘さが強さに変わります。損をしても許す理由があるなら、それを見せましょう
1表の顔人前・ふだん
「ああ、いいっすよ。どうせ帰り道だし」
バイト終わりに、先輩の荷物の配達をあっさり引き受けて
2ほころび素が一瞬見える
「あの金? まだ返ってきてないだけだって。たぶん」
友達に問いつめられ、笑ってごまかしながら目をそらして
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「あいつが嘘ついてたのは知ってた。でも、困ってたのは本当だったからさ。お前にだけ言うけど、ちょっとは悔しいんだよ」
夜の屋上で、缶コーヒーを二本並べて
4独りの時誰にも見せない本音
「損したなあ。でも、あの顔が見られたなら、まあいいか」
帰り道、軽くなった財布をポケットに戻して
女性向け作品の男性お人好しのキャラ
女性向けでは、誰にでも手を貸す彼の人のよさに主人公が惹かれ、同時に「放っておけない」と思う形が好まれます。何でも引き受けてしまう彼が、主人公のためにだけ初めて何かを断る。その一度が、何よりの特別になります。
- よくある形
- 頼まれると断れない人気者の同級生/野良猫の世話をしている不器用な先輩/常連のわがままを全部聞いてしまうパン屋の店主/みんなの雑用を引き受ける幼なじみ
- 外すなら
- 主人公のほうが彼を守る形にする。だまされそうな彼の代わりに主人公が怒る、という関係にすると、守られるだけではない恋になります。または、彼がお人好しなのは主人公にだけで、ほかの人には驚くほど冷たい形にする
- 気をつけたいこと
- 誰にでも優しい彼が、主人公を不安にさせたまま放っておかないこと。彼がなぜ断れないのか、その理由と、主人公のために選んだ行動をはっきり描くと、甘さに安心が加わります
1表の顔人前・ふだん
「重いでしょ、持つよ。え、知らない人? でも困ってたし」
駅の階段で、見知らぬ人のスーツケースを運び終えて
2ほころび素が一瞬見える
「また頼まれちゃった。いや、嫌じゃないよ。嫌じゃない、けど」
主人公との約束の時間を、スマホを見ながら気にして
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「さっき、初めて断ってみた。怖かったけど、君との約束のほうを守りたかったんだ」
待ち合わせに走って間に合い、息を切らしながら
4独りの時誰にも見せない本音
「あの子の頼みだけは、頼まれる前に気づきたい」
夜、主人公の好きなパンを、明日のために一つ取っておきながら
男性向け作品の女性お人好しのキャラ
男性向けでは、主人公のことを疑わずに信じてくれるヒロインや、人がよすぎて放っておけない幼なじみが描かれます。誰にも信じてもらえなかった主人公を、理由もなく信じてくれる。その一言が物語の支えになります。
- よくある形
- 転校生の主人公にいちばん先に話しかけるクラス委員/怪しい頼みも聞いてしまう隣の家の幼なじみ/おつりが足りなくても気にしない商店街の娘/敵にも手当てをしてしまう治癒役
- 外すなら
- 疑わない彼女が、主人公の嘘だけはすぐに見抜く形にする。または、お人好しすぎる主人公を、彼女が叱ってやめさせる側に回る形にする
- 気をつけたいこと
- 彼女のだまされやすさを、主人公に守られるためだけの弱さとして使わないこと。疑わないことを本人が選んでいる、と分かる場面があると、彼女の強さとして伝わります
1表の顔人前・ふだん
「信じるよ。だって、嘘ついてる人の顔じゃないもん」
みんなに疑われている主人公の前に立って
2ほころび素が一瞬見える
「あれ、おつり足りない? まあ、いっか。お店の人、忙しそうだったし」
帰り道、手のひらの小銭を数え直して
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「疑ったほうがいいって、みんな言うの。でも、あなたのことは疑いたくない。だから、疑わなくていい人でいてね」
放課後の図書室で、主人公の目をまっすぐ見て
4独りの時誰にも見せない本音
「日記、今日は『信じてよかった』で終われた。消しゴム、使わなかった」
夜、日記の最後の一行を書いて、そっと閉じて
お人好しのキャラを書く時のコツと避けたいこと
コツ
- 放っておけない理由を一つ決める:昔、自分が誰かに助けられた。困っている人を見捨てて後悔したことがある。理由があると、人のよさが流されやすさではなく、その人の芯に見えます
- 損をする場面と、報われる場面の両方を描く:だまされる、押しつけられる、という損だけでは見ていてつらくなります。助けた誰かが恩を返しに来る場面を置くと、お人好しが物語の力になります
- 周りにあきれ役や止め役を置く:「またか」と言う友達、代わりに怒ってくれる相棒。お人好しは、隣にいる人の反応で魅力が何倍にもなります
- 断る瞬間を、いちばんの見せ場にする:何でも引き受けてきた人が、大事な人のために初めて「できない」と言う。その一言に、それまでの積み重ねが乗ります
お人好しになる理由で変わる見え方
何を放っておけないのかで、お人好しのキャラは近い属性と重なっていきます。
| 放っておけない理由 | どう見えるか | 重なりやすい属性 |
|---|---|---|
| 人を疑うことを、そもそも知らない | のんびりしていて、悪意が通じない | 天然 |
| 困っている人を見ると体が動く | まっすぐで、首を突っこみがち | 熱血 |
| 人の面倒を見るのが好き | 頼りになるが、少しおせっかい | 世話焼き |
| 争いが苦手で、自分が引き受けたほうが早い | いつも割を食っていて気の毒 | 苦労人・不憫 |
| 守りたい人のためなら、自分はどうなってもいい | 危なっかしく、目が離せない | 自己犠牲 |
避けたいこと
- お人好しを「頭が悪い」「だまされて当然」のように笑いものにすること。疑わないのは、その人が選んでいる生き方でもあります。人のよさに敬意を持って描くと、読み手も心を寄せられます
- 周りの人がお人好しを利用するだけで、誰も気づかず、何も変わらないまま終わらせること。損ばかりの話は読んでいてつらくなります。気づく人、怒る人、恩を返す人を置きましょう
- 「優しさをやめれば幸せになれる」とだけ教える話にすること。お人好しの成長は、優しさを捨てることではなく、自分も大事にできるようになることとして描くと、読後感がよくなります
お人好しのキャラに合う口調・組み合わせやすい属性
合う口振(口振カルテへ)
口振は「どんなふうに人を受け入れるか」で選びます。思ったことをそのまま言うのか、のんびり構えるのか、自分から世話を焼くのか、遠慮がちに引き受けるのかで、同じお人好しでも印象が変わります。
組み合わせやすい属性
お人好しに天然を重ねると、悪意そのものに気づかない、ふんわりした人になります。苦労人を重ねると、みんなの頼みを引き受けて走り回る気の毒な人に。不憫を重ねると、人のよさのせいで損ばかりする、応援したくなる人になります。世話焼きなら、頼まれる前から手を出してしまう人に。兄貴分や姉御肌を重ねると、年下の面倒を見ずにいられない、頼れる人になります。
ぶつかりやすい属性(あえて使うと面白い)
腹黒や策士・参謀は、人を疑い、先を読んで動く属性で、お人好しとは一人に重ねにくい属性です。ただし関係性で並べると引き立ちます。腹黒が、お人好しの相棒をだまそうとする相手を、裏で先に片づけておく。策士が、お人好しの主人公の無茶な人助けを、作戦にして成り立たせる。疑わない人と、疑う人が組むと、互いに足りないところを補う名コンビになります。
お人好しの歴史
お人好しがキャラクターの属性として呼ばれ始めた時期は、はっきりしていません。ここでは、言葉の成り立ちと、主な出来事をまとめます。
年表を開く
洒落本に、見かけは悪くても人はとてもいい、という意味で「人が好い」を使った言い回しが出てきます。日本国語大辞典が挙げる「人が好い」のいちばん古い用例で、この時はほめる言い方でした。
滝沢馬琴の手紙に「好人物」という言葉が出てきます。日本国語大辞典は、気立てのよい人、善人、そしてお人好しという意味をこの言葉に当てています。
自分より人のことを思い、どんな相手もありのまま受け入れる少女が主人公の少女漫画の連載が始まります。人のよさが周りの心をほどいていく物語として、長く読まれました。
困っている人がいれば敵でも助けに行く少年が主人公のライトノベルの刊行が始まり、2008年にアニメになります。お人好しを主人公の強さとして描く形が、広く親しまれました。
皮肉屋に見えて根っからのお人好しな高校生が主人公の小説が刊行され、2009年にアニメになります。口の悪さとお人好しの組み合わせが注目されました。
頼み事を断れないお人好しの少年が、魔界の学校に通う漫画の連載が始まり、2019年にアニメになります。お人好しがそのまま主人公の魅力として前に出た作品です。
働く女性向けや男性向けのウェブメディアで、お人好しの意味や特徴、損をしないための付き合い方がくり返し取り上げられます。優しさは残したまま、自分も守る方法を勧める記事が目立ちます。
今のお人好しのキャラのイメージ
- ほめ言葉とけなし言葉のあいだ:もとは人柄のよさをほめる言葉でしたが、今は「よすぎて損をする人」を、あきれたり心配したりしながら言う言葉です。男女どちらにも使います
- 主人公の資質として:困っている人を放っておけないお人好しは、事件に首を突っこみ、仲間を集める主人公によく与えられる性格です。損をしても助ける姿が、物語を前に進めます
- 口の悪さと組み合わせる形:皮肉屋やぶっきらぼうに見えて、結局助けてしまう。言葉と行動のずれでお人好しを見せる形も人気です
- だまされ役から、信じる強さへ:だまされやすい脇役としてだけでなく、裏切られても最後まで信じ抜く強さとして描かれることが増えています
- 「断れない」への共感:頼まれると断れない悩みは、現実でも多くの人が抱えています。お人好しのキャラが初めて断る場面は、読み手の共感を集めやすい見せ場です
- 英語では少しからかう響き:英語では、押しに弱い人という意味の pushover や、頼まれると嫌と言えない人という意味の soft touch が近い言葉です
- 2025〜2026年に人気の作品では:カーヴェ(『原神』)や李白(『薬屋のひとりごと』)のように、頼まれると断れないお人好しが人気です
よくある質問
お人好しとはどういう意味ですか?
人を疑わず、何事も善意に受け取るため、他人に利用されたりだまされたりしやすいこと、またその人のことです。人柄のよさをほめる気持ちと、よすぎて損をしていることをあきれたり心配したりする気持ちの、両方をこめて使われます。
お人好しと優しい人の違いは何ですか?
どちらも相手を思いやりますが、違いは自分を守る線を持っているかどうかです。優しい人は、自分に余裕がない時や相手のためにならない時には断れます。お人好しは、その線が薄く、頼まれると断れずに引き受けてしまいます。
お人好しと八方美人の違いは何ですか?
八方美人は、嫌われないように相手に合わせて、誰にでもいい顔をする人です。お人好しは、困っている人を放っておけず、人を疑わずに引き受ける人です。引き受ける理由が、八方美人は自分が悪く思われないため、お人好しは相手のためです。
お人好しと自己犠牲の違いは何ですか?
お人好しは、頼まれると深く考える前に引き受けてしまう性格です。自己犠牲は、守りたいものがあって、自分で選んで大事なものを差し出すことです。お人好しが大事な人を守ると決めた時、自己犠牲に近づきます。
お人好しはほめ言葉ですか、悪口ですか?
どちらとも言い切れない言葉です。「人がいいね」とほめる時にも使いますが、「だまされやすい」「甘い」とあきれる意味が入ることも多くあります。人に向かって言う時は、言い方や場面に気をつけたほうがよい言葉です。
お人好しのキャラはなぜ主人公に多いのですか?
困っている人を放っておけないので、自分から事件や人間関係に関わっていき、物語が動き出すからです。損得を考えずに助ける姿が仲間を集め、最後にはその人のよさが強さに変わる、という流れが作りやすい性格です。
お人好しは英語で何と言いますか?
気立てのよい人という意味の good-natured person のほか、押しに弱い人という意味の pushover、頼まれると嫌と言えない人という意味の soft touch がよく使われます。英語では少しからかう響きがある言い方が多くなります。
次に読む
参考にした資料
- コトバンク「御人好し」(デジタル大辞泉の語釈、用例、類語)
- コトバンク「人が好い」(デジタル大辞泉・日本国語大辞典の語釈、初出の用例)
- コトバンク「好人物」(日本国語大辞典の語釈、初出の用例)
- Weblio辞書「お人好し」(実用日本語表現辞典の語釈、ほめ言葉としての使われ方)
- ピクシブ百科事典「お人好し」(キャラの性格としての説明、関連タグ)
- Oggi.jp お人好しの意味についての記事(2024年)(特徴、デメリット、付き合い方)
- Smartlog お人好しな人の特徴についての記事(2026年)(意味の幅、特徴)
- @DIME お人好しの意味と特徴についての記事(ほめ言葉とけなし言葉、優しい人との違い)
- Precious.jp お人好しについての記事(使われ方、類語)
- ニューモラルブックストア お人よしについての記事(優しい人との違い、自分を守る線)
- バンダイチャンネル「魔入りました!入間くん」(作品紹介、鈴木入間の人物像)
- アニメハック 魔入りました!入間くんのアニメ化を伝える記事(2019年)(連載開始年、主人公の紹介)
- Wikipedia(日本語版)「とある魔術の禁書目録」(刊行開始年・アニメ放送年)
- Wikipedia(日本語版)「上条当麻」(上条当麻の人物像)
- Wikipedia(日本語版)「フルーツバスケット」(連載期間)
- Wikipedia(日本語版)「フルーツバスケットの登場人物」(本田透の人物像)
- Wikipedia(日本語版)「化物語」(刊行年・アニメ放送年、阿良々木暦の人物像)
- ABEMA アニメ「〈物語〉シリーズ」の紹介ページ(阿良々木暦の紹介)

