サザノノ 性分帖。 > 立ち位置 > 騎士
騎士キャラとは、仕える主や守ると決めた相手に忠誠を誓い、騎士道という自分に課した決まりを守りながら、剣でその人を守り抜こうとするキャラクターのことです。
要点
- もとは中世ヨーロッパの騎馬の戦士で、英語ではナイト。女性に仕えることが美徳とされたことから、「女性を守る役の人」という意味の「ナイト」も生まれました
- 見分ける条件は3つ。守ると誓った相手がいる・騎士道を自分に課している・誓いと自分の気持ちの間で揺れる
- 武士とは、生まれた土地と雰囲気が分かれます。騎士は誓いを立てて主と弱い者を守る西洋の剣、武士は主君と家に仕える日本の刀。騎士は洋風で華やか、礼儀正しくやわらかく描かれやすい言葉です
- 生真面目な忠臣が王道ですが、身分差に線を引く護衛騎士、闇を背負った騎士、肩書きと中身がちぐはぐな騎士団長、剣を持たない現代の「ナイト」もよく描かれます
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騎士の意味と語源
「騎士」は、もともと馬に乗って戦う兵士を指す漢語です。辞書(日本国語大辞典)では、701年の記録に「騎馬の士」の意味で出てきます。今よく使われるのは二つ目の意味で、中世ヨーロッパで領主に仕え、忠義や勇気を理想として武芸を磨き、手柄を名誉とした武人のことです。この意味の早い用例は、アーサー王の騎士を描いた夏目漱石の短編(1905年)にあります。
中世の騎士は、生まれただけではなれず、主君から叙任を受けて一人前と認められました。子どものころに小姓として仕え、従騎士として先輩の騎士について修業し、20歳前後で剣の平で肩を叩かれる儀式を受ける、という道のりが知られています。12世紀後半には、忠誠・勇気・礼節・弱い者を守ることなどを徳とする「騎士道」が形になり、物語の中で美しく語られるようになりました。
英語の knight は、古い英語で「若者・従者」を表す言葉から来ています。日本語の「ナイト」は、辞書(デジタル大辞泉)で「中世の騎士。女性に奉仕することが美徳とされたところから転じて、女性に付き添い護衛役をする人」と説明されています。「〇〇のナイト」という使い方は、この転じた意味です。
キャラクター属性としては、誰に仕え、誰を守るかで決まるので、立ち位置の群に入れています。このページでは、剣を持つ騎士に加えて、現代ものの「守り役のナイト」も扱います。
騎士キャラかどうかの見分け方
鎧を着ていれば騎士、剣が強ければ騎士、というわけではありません。騎士キャラと呼べるのは、次の3つがそろった時です。
- 守ると誓った相手がいる:王、姫、主人公、仲間、国。誰のために剣を持つのかがはっきりしている。誓いの相手がいない強い剣士は、騎士ではなく剣士です
- 騎士道を自分に課している:正々堂々と戦う、弱い者を見捨てない、礼を尽くす。誰に見られていなくても守る決まりを持っている
- 誓いと自分の気持ちの間で揺れる:命令と良心、務めと恋、主と仲間。どちらかを選ばなければならない時に、騎士としての顔が試される
武士・執事・王子様との違い
騎士は、武士や執事、王子様とよく並べられます。こう覚えると見分けやすくなります。騎士は誓いを立てて主と弱い者を守る西洋の剣、武士は主君と家に仕える日本の刀、執事は主の暮らしを預かる人、王子様は守られるより憧れられる人。
| 騎士 | 武士 | 執事 | 王子様 | |
|---|---|---|---|---|
| 何についての言葉か | 誓いを立てて主を守る西洋の戦士 | 主君と家に仕える日本の戦士 | 主人の暮らしを預かる使用人 | 品と優しさで憧れられる人柄 |
| 仕える相手 | 王・姫・守ると決めた人 | 主君と家 | 仕える家と主人 | 誰にも仕えない(上に立つ側) |
| 守り方 | 剣と盾で危険から守る | 刀と弓で戦い、家を守る | 段取りで先回りして整える | 優しさとエスコートで包む |
| 大事にする決まり | 騎士道(忠誠・勇気・礼節・弱い者を守る) | 武士の道(主従・礼節・恥を知る・名誉) | 仕える側の線を守る | 品位と紳士らしさ |
| 雰囲気 | 洋風で華やか。礼儀正しくやわらかい | 和風で硬派。まっすぐで求道的 | 控えめで品がいい | きらびやかで甘い |
| 恋との関わり | 貴婦人に仕える伝統から、守る恋が定番 | 恋より忠義や約束が前に出やすい | 身分違いの想い | 主人公を迎えに来る側 |
| 崩れる瞬間 | 誓いと本心がぶつかった時 | 忠義と自分の正しさが食い違った時 | 主人が危ない時、本心を問われた時 | 素の自分を見られた時 |
いちばん並べられるのは武士です。どちらも名誉を重んじる戦う身分で、西洋の騎士道と日本の武士道は、よく比べられてきました。違いの一つは主従の結び方です。中世ヨーロッパの主従は、双方に務めがある契約で、主君が家臣を守らなければ関係が解かれることも珍しくなかったとされます。日本でも戦国時代までは「御恩と奉公」というお互いさまの関係でしたが、江戸時代に入ると、主君がどうであれ尽くす忠義が強く求められるようになりました。もう一つは決まりの中身で、騎士道にはキリスト教の考え方と、貴婦人に仕える宮廷の作法がまざっています。創作でも、騎士は「誰に剣を捧げるかを自分で選ぶ」物語、武士は「主君や家との縁をどう貫くか」の物語になりやすい、と覚えておくと書き分けやすくなります。
雰囲気も分かれます。騎士は、貴婦人に仕える作法から、洋風で華やか、礼儀正しくやわらかい人物として描かれやすい言葉です。武士は、和風で硬派、多くを語らず、まっすぐに道を極めようとする人物として描かれやすい言葉です。同じ「主を守る剣士」でも、騎士は手を差し出し、侍は黙って前に立つ、と考えると、台詞の書き分けがしやすくなります。
執事とは、守り方が分かれます。騎士は剣で危険から守り、執事は暮らしの段取りで支えます。王子様は誰かに仕える立場ではなく、主人公に憧れられる側です。王子でありながら剣を取って戦う人物は、王子様と騎士が重なった姿と言えます。
騎士と近い言葉
| ナイト(比喩) | 女騎士 | 姫騎士 | 聖騎士・暗黒騎士 | |
|---|---|---|---|---|
| どんな言葉か | 女性に付き添って守る人。「〇〇のナイト」と現代ものでも使う | 女性の騎士。凛とした誇り高い形でよく描かれる | 剣を取って戦う姫 | ゲームやファンタジーの職業名。光の力の騎士と、闇の力の騎士 |
| 騎士との関係 | 騎士の「守る」役目だけを取り出した言い方。剣も誓いもなくてよい | 騎士の中の女性。男性向けのヒロインにも多い | 守られる側のお姫様が、守る側に回った形 | 騎士の「光と闇」を職業の名前にしたもの |
騎士キャラの型
騎士キャラは、誰に、どんな誓いを立てているかで分かれます。剣を持つ騎士から、現代の守り役まで、よく描かれる型を並べました。
立てた誓いと務めを、自分の気持ちより先に置いている型です。ふだんは礼儀正しく律儀で、感情を表に出さない。けれど、好きなものの前では思わず素が出るなど、抑えている心がのぞく瞬間が魅力になります。たとえば、セイバー(『Fate/stay night』)がこの型です。
王や国の地位ではなく、仕える相手の人柄に惚れこんで剣を捧げた型です。謹厳実直で頼もしい一方、気心の知れた仲間には軽口もたたく。主を一人の人として支える、精神的な柱にもなっています。たとえば、ダリューン(『アルスラーン戦記』)がこの型です。
主の命令に従って、自分の良心に反することをしてしまった過去を持つ型です。悔やんで立場を捨て、過去の自分と向き合い、守る者として生まれ変わる。闇を知っているからこその優しさが光ります。たとえば、セシル(『ファイナルファンタジーIV』)がこの型です。
姫や令嬢の護衛を務め、自分は仕える側だと一線を引いている型です。務めとして守っているはずが、相手の何気ない言葉や笑顔に心が揺れていく。近くにいるのに越えられない距離が、物語を動かします。
騎士団をまとめる立派な肩書きと腕前があるのに、剣以外のことになるとまるで頼りない型です。地図が読めない、料理ができない、恋に不慣れ。戦場での頼もしさとの落差が、親しみやすさになります。
騎士の物語に憧れ、正義や礼節を大まじめに貫こうとして、周りとずれてしまう型です。笑われても理想を手放さない姿が、いつの間にか周りの心を動かす。古典では、ドン・キホーテ(『ドン・キホーテ』)がこの型です。
学校や職場で、決まった誰かを黙って守っている型です。誓いの儀式も鎧もないけれど、困った時にはいつの間にか隣にいる。周りから「〇〇のナイト」とからかわれても、守る役目は手放しません。
剣を持つ時代の人ではないのに、騎士の誓いや忠誠の作法を、歌や舞台、ふるまいで見せる型です。気高くふるまいながら、見に来た人へのもてなしを何より大事にする。現代の騎士らしさの一つの形です。たとえば、アイドルユニットのKnights(『あんさんぶるスターズ!』)がこの型です。
堅苦しさがなく、若い仲間に兄のように慕われる騎士の型です。気さくでも、騎士としての筋だけは曲げません。たとえば、カイン(『魔法使いの約束』)がこの型です。
騎士キャラの作り方と台詞例
騎士は、男女どちらにも、どの向けの作品にもいる立ち位置です。ここでは4つの向けに分けて、よくある形と外し方、台詞例をまとめました。
台詞は「心の距離」の順に4段階で並べています。表の顔 → ほころび(素が一瞬見える)→ 信頼した相手だけ → 独りの時。騎士キャラは、表の顔では務めと礼を崩さず、ほころびで剣以外の自分がのぞき、信頼した相手には誓いの重さを、独りの時には誓いに預けきれない本心を抱えています。話し方は口振カルテで調整できます。
下に行くほど心の距離が近づきます。同じ人物の4つの顔として読んでください。
自分のキャラクターの顔を置くと、下の台詞をその子が話しているように読めます。
性分帖の台詞は、自分で作ったキャラクターにどんな口調や性格が合うかを確かめるためのものです。画像と名前はこの端末にだけ保存され、ほかの属性のページでも同じ子が出ます。
ドラッグで位置を動かせます
女性の騎士キャラ
女性の騎士は、姫や国を守る剣として、また騎士の家に生まれた娘として描かれます。守られる側ではなく守る側を自分で選んだ理由があり、その誇りと、剣以外の自分との間で揺れる姿が見どころになります。
- よくある形
- 王女の護衛を務める女性の騎士/父の跡を継いで騎士になった娘/騎士見習いの中でただ一人の少女/剣の腕で仲間に認められていく若い隊長
- 外すなら
- 剣は得意ではなく、知恵と交渉で主を守る騎士にする。または、騎士をやめて自分の道を選び直した元騎士にする
- 気をつけたいこと
- 「女なのに騎士」という苦労だけで人物を作らないこと。なぜ剣を取ったのか、誰を守りたいのかという理由を一つ決めると、性別より先にその人が見えてきます
1表の顔人前・ふだん
「姫様のお出かけは、私が先に道を見てからです。お待たせするのは少しだけですから」
城門の前で、外套の留め具を締め直しながら、侍女たちに
2ほころび素が一瞬見える
「今の、褒めていただいたんでしょうか。剣のこと以外で褒められるのは、慣れていなくて」
姫に髪飾りが似合うと言われて、返す言葉を探しながら
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「その傷、私の分でしょう。……次に私をかばったら、包帯は巻かずに縫います」
腕の傷の手当てを受けながら、同じ隊の相棒にだけ
4独りの時誰にも見せない本音
「誓いを立てた日の私に、今の私は胸を張れているかな」
夜明け前の礼拝堂で、叙任の日に授かった剣の柄を握りながら
男性の騎士キャラ
男性の騎士は、王や国に仕える忠臣として、主人公の旅の相棒として、騎士団をまとめる団長として描かれます。規律と誇りで自分を律している人が、仲間や主のために誓いを試される場面で、いちばん光ります。
- よくある形
- 王子の幼なじみで、そのまま近衛騎士になった青年/規律に厳しい騎士団長/主人公の旅についてくる寡黙な騎士/かつて主を守れなかった過去を持つ騎士
- 外すなら
- 騎士道を守りすぎて融通がきかず、仲間に笑われている騎士にする。または、戦いは苦手で、補給や手当てで隊を支える騎士にする
- 気をつけたいこと
- 忠誠を、命令なら何でもする姿として描かないこと。主が間違えた時に、それを止められるかどうかで、騎士の誇りが伝わります
1表の顔人前・ふだん
「隊列を崩すな。けが人を真ん中に。いちばん後ろは私が持つ」
撤退を始めた森の中で、剣を抜いたまま、振り返らずに
2ほころび素が一瞬見える
「手が震えているのは、寒さのせいだ。気にするな」
野営の火の前で、若い騎士に水を差し出されて
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「主の命令に、初めて逆らった。正しかったと思っている。それでも、まだ怖いんだ」
城の裏の厩で、長年の友にだけ、馬の首をなでながら
4独りの時誰にも見せない本音
「守れなかった名前を、あといくつ数えたら、自分を許せるんだろうな」
誰もいない墓地で、古い盾についた傷を指でなぞりながら
女性向け作品の騎士キャラ
女性向けでは、騎士は主人公を守る護衛騎士や、堅物の騎士団長として描かれます。「あなたを守る」と誓う一途さと、身分や務めを理由に引いていた線が、少しずつゆるんでいく過程が、いちばんのときめきになります。
- よくある形
- 令嬢の護衛につく寡黙な騎士/女性に慣れていない堅物の騎士団長/幼なじみだったのに、主従になってしまった騎士/主人公にだけ膝をつき、ほかの誰にも従わない騎士
- 外すなら
- 主人公のほうが剣の腕が上で、守られる側に回って戸惑う騎士にする。または、誓いを立てたがる騎士に、主人公が「主従ではなく対等でいたい」と返す形にする
- 気をつけたいこと
- 守ることを、主人公の行き先や付き合う相手を決める理由にしないこと。主人公が自分で選んだ道を、騎士が後ろから守る形にすると、支配ではなく誠実さとして伝わります
1表の顔人前・ふだん
「お嬢様の行き先に口は出しません。ただ、三歩後ろにいることだけはお許しください」
市場へ出かける主人公の後ろで、腰の剣を確かめながら
2ほころび素が一瞬見える
「今、名前で呼ばれましたか。……いえ、聞き違いでしたら、それで」
人混みではぐれかけた主人公に腕をつかまれ、一瞬だけ足を止めて
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「手袋を外さないのは、作法ではありません。外したら、あなたの手を取ってしまう」
夜会を抜け出したバルコニーで、手袋を外さないまま
4独りの時誰にも見せない本音
「誓いは剣に立てた。この気持ちまで、誓いに預けるわけにはいかない」
宿舎の自室で、主人公から借りたままのハンカチをたたみ直しながら
男性向け作品の女騎士キャラ
男性向けでは、女騎士のヒロインがよく描かれます。凛として強く、誇り高いのに、剣以外のことになると不器用で、世間の常識にも少し疎い。そんな人が主人公にだけ見せるやわらかさが、かわいさになります。
- よくある形
- 異世界から来て、現代の暮らしに驚く女騎士/主人公の護衛を命じられた生真面目な騎士/誇り高いのに料理がまるでできない騎士団長/手合わせで一本取られて以来、主人公が気になる女騎士
- 外すなら
- 剣より口が立つ、策士の女騎士にする。または、主人公より年下で、騎士見習いとして弟子入りしてくる形にする
- 気をつけたいこと
- 誇り高い女騎士を、打ち負かして辱めることを見せ場にするお約束に頼らないこと。誇りは、守りたいものを守り抜く場面で見せると、強さとして好かれます
1表の顔人前・ふだん
「護衛を命じられた以上、あなたの通学路も私の持ち場です。寄り道の予定は前の日までに」
校門の前で、剣を収めた細長い袋を背負い、主人公を待ち構えて
2ほころび素が一瞬見える
「この甘いものは何ですか。騎士が菓子ひとつで揺らぐなど、あってはならないのに」
主人公に分けてもらったクレープをひと口食べて、目を見開いて
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「剣で負けたことはないんです。なのに、あなたに『無理するな』と言われると、どう返せばいいか分からない」
夕暮れの河川敷で、主人公の隣に剣を置いて腰を下ろしながら
4独りの時誰にも見せない本音
「お守り、鎧の内側。……主に見つかれば、理由を聞かれる。答えは、まだ持っていない」
自室の窓辺で、主人公にもらったお守りを、鎧の内側にしまいながら
騎士キャラを書く時のコツと避けたいこと
コツ
- 誰に剣を捧げているかを決める:王なのか、姫なのか、仲間なのか、自分で選んだ一人なのか。誓いの相手が決まると、守り方も、迷う場面もはっきりします
- 騎士道のうち、何だけは譲れないかを一つ決める:忠誠、正々堂々、弱い者を見捨てない、礼を尽くす。全部を完璧に守る騎士より、一つにこだわる騎士のほうが人物として立ちます
- 誓いと本心がぶつかる場面を用意する:命令と良心、務めと恋、主と仲間。どちらを選ぶかで、その騎士が何者なのかが決まります
- 剣以外の顔を一つ持たせる:甘いものに弱い、子どもに好かれる、字がきれい。務めの外の小さな顔が、近寄りがたい騎士を親しみやすくします
誓いの相手で変わる見せ方
| 誓いの相手 | どう見えるか | 揺らす出来事 |
|---|---|---|
| 王・国 | 規律正しい忠臣、近寄りがたい | 王の命令が間違っていると気づく |
| 姫・令嬢 | 一歩引いて守る護衛、礼儀正しい | 守る相手に、恋の気持ちが芽生える |
| 仲間・隊 | 頼れる兄貴分、面倒見がいい | 仲間と主の、どちらかしか守れない |
| 信念・正義 | まっすぐで、少し頭が固い | 正義を貫くと、誰かが傷つく |
| 自分で選んだ一人 | 一途、その人の前でだけ表情が変わる | 選んだ相手から、誓いはいらないと言われる |
避けたいこと
- 忠誠を、命令に何も考えず従う姿として美しく描くこと。命令に従って人を傷つけた騎士を描くなら、その重さと向き合わせます
- 「守るため」を理由に、相手の行き先や付き合う人を決めてしまう関係を、理想の騎士として描くこと。過保護や独占とは分けて描きます
- 女騎士を打ち負かして辱めるお約束に頼ること。誇り高さは、守り抜く場面や、負けても立ち上がる場面で見せます
- 自分の正義に入れこみすぎて、ほかの人を裁いてしまう騎士を、迷いのない正しい人として描くこと。その危うさに気づく人を一人置きます
- 有名な騎士キャラの名乗りや決め台詞を、そのまま借りること。誓いの言葉は、その騎士が守りたいものから作ります
騎士キャラに合う口調・組み合わせやすい属性
合う口振(口振カルテへ)
騎士は立ち位置の属性なので、口振は「主や守る相手に、どんな言葉で向き合うか」で選びます。礼を尽くすのか、きっちり正すのか、古風に短く言い切るのかで、同じ騎士でも印象が変わります。
組み合わせやすい属性
騎士に真面目を重ねると、誰も見ていない時も騎士道を守り続ける忠臣に。ポーカーフェイスを重ねれば、恐れも想いも顔に出さない護衛になります。一途を重ねると、生涯ただ一人に剣を捧げる騎士に、過保護を重ねると、守ると決めた相手を心配しすぎて手を出してしまう騎士になります。尽くすを重ねれば、剣だけでなく暮らしまで支えようとする騎士に。ポンコツを重ねると、戦場では無敵なのに剣以外では頼りない騎士団長になります。主を支える執事や、守る相手のお姫様とは、関係性で並べると相性のいい組み合わせです。
ぶつかりやすい属性(あえて使うと面白い)
小悪魔やトリックスターは、騎士の規律とぶつかりやすい属性です。一人に重ねるより、関係性で並べると引き立ちます。決まりを守る騎士は、気まぐれにからかってくる相手や、わざと秩序をかき回す相手にいつも振り回される。けれど、その相手だけが、騎士に「誓いの外の自分」を思い出させます。
騎士キャラの歴史
騎士は、中世の物語の時代から語られてきた、とても古い人物像です。ここでは、騎士の人物像に関わる、主な出来事をまとめます。
年表を開く
鐙(あぶみ)などの馬具が伝わり、ヨーロッパで馬に乗って戦う戦士が力を持つようになります。11世紀後半には、重い鎧の騎兵が戦いの主役になりました。
アーサー王と円卓の騎士の物語が広まり、騎士が貴婦人に仕える恋の物語が数多く書かれます。1170〜1220年ごろのフランスで、勇気・名誉・奉仕を柱にした騎士道の決まりが形になりました。
アーサー王の騎士たちの物語が英語でまとめられ、印刷されます。今も多くの作品の元になっている騎士像の土台の一つです。
騎士道物語を読みすぎて、自分を騎士だと思いこんだ男の長編小説の前編が、スペインで出版されます。時代遅れになった騎士道を笑いながら、理想を貫く姿も描きました。
中世への憧れが高まり、騎士道があらためて見直されます。女性に丁重にふるまう男性の作法が、騎士道と結びつけて語られるようになりました。
英語の knight が「ナイト」として日本語に入ります。1870〜71年の翻訳書には英国の爵位として、1879年の翻訳書には中世の騎士の意味で出てきます。
夏目漱石が、アーサー王の騎士たちを描いた短編を発表します。中世ヨーロッパの武人を「騎士」と呼ぶ、早い用例とされています。
王の命令に従う暗黒騎士が、悔やんで国を出て、聖騎士として生まれ変わるロールプレイングゲームが発売されます。騎士の「闇と光」は、のちの作品でもよく使われる型になりました。
異世界に呼ばれた3人の少女が「魔法騎士(マジックナイト)」になって姫を救う少女漫画の連載が始まります。少女が騎士として戦う物語の代表の一つです。
アーサー王を少女の騎士として描いたゲームが発売され、のちにアニメにもなります。誇り高い騎士の王という人物像が、大きな人気を集めました。
騎士をモチーフにしたユニットが登場するアイドルゲームの配信が始まります。剣ではなく、歌と舞台で騎士の誓いや作法を見せる形が生まれました。
護衛騎士や騎士団長が主人公を守り、溺愛する女性向けの小説や漫画が、電子書籍で数多く出ています。男性向けでは、異世界から来た女騎士が現代で暮らすコメディなど、女騎士のヒロインが定番になっています。
今の騎士キャラのイメージ
- 護衛騎士・騎士団長が恋の相手役に:身分の差に線を引きながら主人公を守る騎士は、女性向けの恋愛ものの定番の相手役です
- 凛とした女騎士の不器用さ:強くて誇り高い女騎士が、剣以外のことでは不器用、という落差が男性向けで好まれています
- 主を自分で選ぶ騎士:生まれや命令ではなく、この人だと決めた相手に剣を捧げる形が、一途さとして支持されています
- 止める忠誠:命令にただ従うより、主が間違えた時に止める騎士のほうが、今は誠実に見えます
- 闇を背負った騎士:一度道を外れた騎士が、守る者として歩き直す物語は、変わらず人気の型です
- 剣を持たないナイト:現代の学園ものやアイドルものでも、誰かを守る役や騎士のモチーフとして、騎士らしさが使われています
- 2025〜2026年に人気の作品では:カイン(『魔法使いの約束』)のように、気さくで面倒見のいい騎士が人気です
よくある質問
騎士キャラとはどういう意味ですか?
仕える主や守ると決めた相手に忠誠を誓い、騎士道という自分に課した決まりを守りながら、剣でその人を守り抜こうとするキャラクターのことです。生真面目な忠臣が王道ですが、護衛騎士や女騎士、剣を持たない現代のナイトもよく描かれます。
騎士と武士の違いは何ですか?
どちらも名誉を重んじる戦う身分ですが、騎士は中世ヨーロッパ、武士は日本の言葉です。騎士は主君と務めを交わす契約で結ばれ、キリスト教の考え方や貴婦人に仕える作法を含む騎士道を持ちます。武士は主君と家に仕え、とくに江戸時代には主君に尽くしきる忠義が重んじられました。創作では、騎士は洋風で華やか、武士は和風で硬派に描かれやすい違いもあります。
騎士と執事の違いは何ですか?
どちらも主に仕えますが、守り方が違います。騎士は剣で主を危険から守る人、執事は暮らしの段取りで主を支える人です。同じ主のそばにいても、戦いの場に立つのが騎士、城や屋敷の中を預かるのが執事、と覚えると見分けやすくなります。
「〇〇のナイト」とはどういう意味ですか?
決まった誰かに付き添って守る人のことです。中世の騎士が、女性に仕えて守ることを美徳としていたことから、「女性に付き添い護衛役をする人」という意味が生まれました。今は性別を問わず、誰かを守る役の人に使われます。
女騎士と姫騎士の違いは何ですか?
女騎士は、女性の騎士のことです。姫騎士は、王族の姫でありながら剣を取って戦う人を指します。女騎士は仕える側、姫騎士は本来守られる側の姫が守る側に回った形、と覚えると分けやすくなります。
騎士キャラを魅力的に書くコツは?
誰に剣を捧げているかを決め、騎士道のうち何だけは譲れないかを一つ選ぶことです。そのうえで、誓いと本心がぶつかる場面を用意し、剣以外の小さな顔を一つ持たせると、近寄りがたいだけではない騎士になります。
次に読む
参考にした資料
- コトバンク「騎士」(精選版 日本国語大辞典・日本大百科全書:騎馬の兵士(701年)、中世ヨーロッパの武人(1905年 夏目漱石)、キリスト教の規範意識)
- コトバンク「ナイト」(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典:女性に付き添い護衛役をする人、1870〜71年・1879年の用例)
- Wikipedia(日本語版)「騎士」(叙任までの道のり、騎士道の徳目、武士との比較)
- Wikipedia(英語版)「Chivalry」(1170〜1220年の騎士道の成立、宮廷の恋、『ドン・キホーテ』、19世紀の再評価)
- Wikipedia(日本語版)「封建制」(西欧の双務的な主従、日本の御恩と奉公と江戸時代の忠義)
- Wikipedia(日本語版)「武士道」(弓馬の道で尊ばれたもの、1900年の新渡戸稲造『武士道』)
- pixiv百科事典「騎士」(ファンタジー職業としての騎士、円卓の騎士と十二勇士)
- ニコニコ大百科「騎士」(訳語としての騎士、名誉と先陣)
- TV Tropes「Knight in Shining Armor」(名誉に縛られた善の騎士、派生の型)
- TV Tropes「Bodyguard Crush」(守る者と守られる者の恋、務めと気持ち、身分差)
- Wikipedia(英語版)「Saber (Fate/stay night)」(2004年、忠実で控えめ、目的のために感情を抑える)
- ciatr アニメの騎士キャラについての記事(高潔・誠実・忠誠、ふだんはとても真面目で律儀)
- Wikipedia(日本語版)「アルスラーン戦記の登場人物」(ダリューン:アルスラーン個人への忠誠、謹厳実直)
- Wikipedia(日本語版)「ファイナルファンタジーIV」(1991年、暗黒騎士からパラディンへ)
- Wikipedia(日本語版)「魔法騎士レイアース」(1993年『なかよし』で連載開始)
- Weblio(Wikipedia「あんさんぶるスターズ!」)Knightsの解説(騎士をモチーフにしたユニット、ファンサービスが厚い)
- タワーレコード『あんさんぶるスターズ!』ユニットソングCDについての記事(2016年、優美かつ華麗な騎士道ユニット)
- めちゃコミック 護衛騎士が主人公の漫画の作品ページ(護衛の立場・年齢差・身分の違いを理由に距離を保つ)
- BOOK☆WALKER 騎士団長が主人公を溺愛する漫画の作品ページ

