サザノノ 性分帖。 > 好意の出し方 > 魔性の女・魔性の男
魔性の女・魔性の男とは、本人がそのつもりかどうかにかかわらず、人の心を惑わせ、相手の人生を狂わせかねないほどの魅力を持つキャラクターのことです。惹かれた側が自分を見失っていくところに、この属性の怖さと美しさがあります。
要点
- 「魔性」は、悪魔のように人を惑わす性質のこと。フランス語の「ファム・ファタール(運命の女)」の訳語としても使われ、男性版は「オム・ファタール」と呼ばれます
- 見分ける条件は3つ。目が離せない魅力がある・惹かれた人が自分を見失う・本人のつもりとは関係なく起きる
- 小悪魔は、わざと振り回して楽しむ人。天然たらし・人たらしは、恋に限らず無自覚に好かれる人です。魔性は、惹かれた側の人生まで揺らしてしまう人。サキュバス・インキュバスは種族の名前です
- 物語では、何もしないのに人が狂っていく人、縛られない自由さで惹きつける人、弱さで人を離さない人、自分の魅力を嫌っている人などがよく描かれます
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魔性の女・魔性の男の意味と語源
「魔性」は、辞書では「悪魔のような、人を惑わす性質。また、それをもっていること」と説明される言葉です。「魔性の女」は、そこから、人の心を惑わせ、狂わせてしまう女性を指す言葉として使われてきました。同じ魅力を持つ男性は「魔性の男」と呼ばれます。
近い言葉に、フランス語の「ファム・ファタール」があります。本来は「運命の女」、つまり運命的な恋の相手のことですが、今は「男を破滅させる魔性の女」の意味で使われることが多くなっています。男性版は「オム・ファタール」です。代表として、戯曲のサロメや、中国の伝説で王を惑わせたと語られる妲己、褒姒などが挙げられます。
性分帖では、惑わせるつもりがあるかどうかは問わず、惹かれた人が自分を見失っていくほどの魅力を持つ人を、魔性の女・魔性の男としています。人の好意をどう集めてしまうかの属性なので、好意の出し方の群に入れています。ただ美しいだけでも、色っぽいだけでもありません。近づいた人の何かを変えてしまうこと。この一点が魅力の中心です。
魔性の女・魔性の男かどうかの見分け方
美人、色っぽい、モテるというだけでは、魔性とは言えません。魔性と呼べるのは、次の3つがそろった時です。
- 目が離せない魅力がある:顔立ちだけではなく、声、目つき、間の取り方、たたずまい。何が理由か言葉にできないまま、気づけば目で追ってしまう魅力です
- 惹かれた人が自分を見失う:好きになるだけでは終わらず、惹かれた人が約束を破り、大事にしていたものを手放し、別人のようになっていきます
- 本人のつもりとは関係なく起きる:わざと惑わせている人もいれば、何もしていない人もいます。本人がどう思っていても、周りが勝手に揺れてしまうことが条件です
| こんな時 | 判定 |
|---|---|
| わざと思わせぶりにして、相手の反応を楽しんでいる | 小悪魔 |
| 無自覚に、恋に限らず多くの人に好かれる | 天然たらし・人たらし |
| 恋の相手を、分かっていて次々と口説き落とす | 女たらし・男たらし |
| 人を惑わすことが、種族の役目になっている | サキュバス・インキュバス |
| 近寄りがたいほど美しく、遠くから憧れられる | 高嶺の花 |
| 素性が見えず、何を考えているか分からない | ミステリアス |
| かわいく見せる計算が、見抜かれても許される | あざとい |
| 目が離せない魅力があり、惹かれた人が自分を見失う。本人のつもりとは関係なく起きる | 魔性の女・魔性の男 |
魔性の女・魔性の男と小悪魔の違い・天然たらし・高嶺の花との違い
魔性といちばん比べられるのは小悪魔、混ざりやすいのは天然たらし・人たらしと高嶺の花です。わざとかどうかと、惹かれた人がどうなるかで分かれます。
| 魔性の女・魔性の男 | 小悪魔 | 天然たらし・人たらし | 高嶺の花 | |
|---|---|---|---|---|
| 何についての言葉か | 人を惑わせる魅力 | 振り回す人柄 | 無自覚に好かれる人柄 | 手の届かない立ち位置 |
| わざとか | 問わない | わざと | わざとではない | わざとではない |
| 惹かれた人は | 自分を見失う | どきどきする、振り回される | 嬉しくなる、仲間になる | 遠くから憧れる |
| 相手との距離 | 近づくほど危うい | 近づいたり離れたり | 誰とでも近い | 近づけない |
小悪魔と魔性は、どちらも人を振り回します。小悪魔の振り回し方は遊びで、相手はどきどきしても、自分を見失うほどにはなりません。魔性は、本人が遊んでいるつもりもないまま、相手の暮らしや人生まで変えてしまいます。天然たらしに惹かれた人は嬉しくなって仲間になりますが、魔性に惹かれた人は、どこか落ち着かなくなります。高嶺の花は遠くで憧れられる人で、近づくほど危うくなる魔性とは、距離の向きが逆です。
「ファム・ファタール」「悪女」「運命の人」との違い
魔性のそばには、似た言葉がいくつかあります。違いは、わざとかどうかと、相手がどうなるかです。
| ファム・ファタール | 悪女 | 運命の人 | 色気がある | |
|---|---|---|---|---|
| どんな言葉か | 運命の女。今は男を破滅させる女性の意味が多い | 悪だくみで人を害する女性 | 出会うべくして出会った相手 | 人を惹きつける雰囲気がある |
| わざとか | 問わない | わざと | 問わない | 問わない |
| 魔性との関係 | 訳語として「魔性の女」が使われる | 惑わすことが目的になると近づく | 相手の人生を狂わせると魔性に近づく | 魔性の入り口。人生まで揺らすと魔性 |
魔性の女・魔性の男キャラの型
魔性のキャラは、惑わせていることに気づいているかと、何で人を惹きつけるかで型が分かれます。何もしないのに人が狂っていく人から、自分の魅力を嫌っている人まで、よく描かれる型を並べました。
本人はただ笑って、話を聞いているだけなのに、周りが勝手に惹かれ、勝手に争い始める型です。自分のせいだと思っていないので、罪がいちばん見えにくく、いちばん怖い型です。
誰のものにもならず、気持ちのままに生きる自由さで人を惹きつける型です。つかまえたと思った人ほど、その自由さに振り回されていきます。たとえば、カルメン(メリメ『カルメン』)がこの型です。
最初は、守ってあげたくなる、まだ何者でもない人に見える型です。育てたつもりの相手が、いつのまにか自分の上に立っている。その逆転が物語になります。たとえば、ナオミ(谷崎潤一郎『痴人の愛』)がこの型です。
はかなげで、危なっかしくて、放っておけない型です。手を差しのべた人が一人、また一人と、自分の暮らしを後回しにしていきます。
口数が少なく、表情もあまり変えないのに、そこにいるだけで場の空気が変わる型です。何を考えているか分からないことが、人を近づけ、離れられなくします。
惹きつける力を自覚していて、目的のためにためらわず使う型です。相手を選んで近づき、離れ際まで決めている。わざとである分、本気になってしまった時の崩れ方が見せ場になります。
人を狂わせてしまう自分に疲れ、目立たないように暮らしている型です。誰かに好かれるたびに、何かが壊れる予感がする。その怯えが、人物に影を落とします。
誰もが夢中になるのに、一人だけまったく揺れない人が現れる型です。初めて思いどおりにならない相手に、自分のほうが惹かれていきます。
魔性の女・魔性の男キャラの作り方と台詞例
魔性のキャラは、何で人を惹きつけるのかと、惹かれた人がどう変わっていくのかを決めると作りやすくなります。本人ではなく、周りの人の変わり方で魔性を見せるのが近道です。
台詞は「心の距離」の順に4段階で並べています。表の顔 → ほころび(素が一瞬見える)→ 信頼した相手だけ → 独りの時。魔性のキャラは、表の顔では静かに人を惹きつけ、ほころびで周りの変わり方に気づき、信頼した相手には惹きつけてしまう自分の怖さを話し、独りの時には誰も壊さずにいられる距離を探しています。話し方は口振カルテで調整できます。
下に行くほど心の距離が近づきます。同じ人物の4つの顔として読んでください。
自分のキャラクターの顔を置くと、下の台詞をその子が話しているように読めます。
性分帖の台詞は、自分で作ったキャラクターにどんな口調や性格が合うかを確かめるためのものです。画像と名前はこの端末にだけ保存され、ほかの属性のページでも同じ子が出ます。
ドラッグで位置を動かせます
女性の魔性キャラ
女性の魔性キャラは、そこにいるだけで周りが落ち着かなくなる人、誰のものにもならない自由な人、守ってあげたくなるのに近づくほど危うい人として描かれます。美しさそのものより、周りの人が変わっていく様子で魅力が伝わる形が好まれています。
- よくある形
- 転校してきた日から教室の空気を変える子/誰にでも同じ笑顔を向ける店の看板娘/約束を平気で忘れるのに、なぜか許される人/会った人がみんな彼女の話をしたがる人
- 外すなら
- 人を惑わせる人が、たった一人の友達にだけは何の力も持たない形にする。または、本人が惑わせていることにまったく気づいておらず、周りだけが騒いでいる形にする
- 気をつけたいこと
- 魔性を、色っぽさや体の描写で見せないこと。声、目線、言葉の間など、たたずまいで描くと、性別を問わず「分かる」と思える魅力になります
1表の顔人前・ふだん
「ねえ、その本、読み終わったら貸して。あなたが線を引いたところから読みたいの」
図書室で、隣の席の人の手元をのぞいて
2ほころび素が一瞬見える
「あの人、部活やめたの? わたしと話すようになってから? ……そう」
廊下で噂話を聞いて、窓の外に目をそらして
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「みんな、わたしのどこを見てるのか分からない。あなたは、わたしのどこを見てる?」
放課後の美術室で、絵の具を洗う手を止めて
4独りの時誰にも見せない本音
「一度でいいから、誰かに飽きられてみたい」
夜、机に頬をつけて、窓の外の雨音を聞きながら
男性の魔性キャラ
男性の魔性キャラは、穏やかに話を聞くだけで相手を夢中にさせる人、どこにも根を張らない旅人のような人、近づいた人の人生の向きを変えてしまう人として描かれます。本人の静けさと、周りの揺れ方の差が魅力になります。
- よくある形
- 誰の相談にも同じ顔で乗る先輩/ふらりと町に来て、ふらりといなくなる人/口数が少ないのに、話したがる人が絶えない人/その一言で進路を変えた人が何人もいる人
- 外すなら
- 人を惹きつける人が、自分が惹かれた相手の前でだけ、ふつうの人のようにうろたえる形にする。または、魔性を自覚して、人と深く関わらないよう線を引いている形にする
- 気をつけたいこと
- 魔性の男を、女性をもてあそぶ人として描かないこと。わざとではない形や、本人が魅力を持て余している形にすると、恋の駆け引きとは違う深さが出ます
1表の顔人前・ふだん
「急がなくていいよ。君が話し終わるまで、ここにいるから」
夕方の公園のベンチで、相手のほうへ体を向けて
2ほころび素が一瞬見える
「俺に会うために学校を休んだ? ……そういうことは、しなくていいんだ」
電話を受けて、窓際でカーテンを握りしめて
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「そばにいてくれるのは嬉しい。でも最近、君の夢の話を聞いてない。それが怖いんだ」
終電間際のホームで、相手の鞄の持ち手を直しながら
4独りの時誰にも見せない本音
「あいつは笑ってた。俺に会う前は、もっと上手に笑ってた」
夜更けの部屋で、古い集合写真を伏せながら
女性向け作品の魔性キャラ
女性向け作品の魔性キャラは、主人公の心をいつのまにか占めている人、周りの誰もが彼をめぐって揺れている人、優しいのにどこか近づくのが怖い人として描かれます。惹かれていく主人公自身の戸惑いが、物語を動かします。
- よくある形
- 主人公の名前を一度で覚える人/誰にでも優しく、誰のものにもならない人/彼をめぐって友人同士が気まずくなる人/ふとした仕草で主人公の一日を台なしにも最高にもする人
- 外すなら
- 魔性の人が、主人公にだけは惑わせる力が効かず、そのことに救われる形にする。または、主人公のほうが魔性で、彼が初めて惑わされる側に回る形にする
- 気をつけたいこと
- 魔性を、主人公を傷つけてもいい理由にしないこと。惑わせてしまう自分をどう扱っているかを描くと、危うさが魅力として残ります
1表の顔人前・ふだん
「昨日の帰り道で君が口ずさんでた歌、題名を教えて。一日じゅう頭から離れなかった」
朝の廊下ですれ違いざまに、足を止めて
2ほころび素が一瞬見える
「君まで俺を見て黙るのか。……ああ、ごめん。今のは忘れて」
主人公が見とれていたのに気づいて、目をそらして
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「俺のそばにいると、君の友達が君を嫌いになる。それでも来るなら、もう止めない」
人のいない中庭で、ベンチの端に座り直して
4独りの時誰にも見せない本音
「好きだと言われるたびに、一人ずつ遠くなる。君だけは、言わないでいてくれないか」
明かりを消した部屋で、窓に映る自分から目をそらして
男性向け作品の魔性キャラ
男性向け作品の魔性キャラは、主人公を見つめるだけで心を乱す先輩、周りの男子がみんな彼女の話をしている転校生、何を考えているか分からない年上の人として描かれます。主人公が自分を保てるかどうかが、そのまま物語になります。
- よくある形
- 主人公の名前を意味ありげに呼ぶ先輩/告白した男子が全員、同じ顔で帰ってくる人/約束の時間に来ないのに、待つ人が絶えない人/主人公の秘密を、なぜか最初に知っている人
- 外すなら
- 魔性の彼女が、主人公の前でだけ子どもっぽく笑う形にする。または、主人公が惑わされないことを、彼女がいちばん面白がっている形にする
- 気をつけたいこと
- 魔性の女を、主人公を誘惑する体の描写で見せないこと。言葉や目線、待たせ方で描くと、年齢を問わず読める魅力になります
1表の顔人前・ふだん
「やっと来た。三十分待ったの。ううん、怒ってない。待つのも嫌いじゃないから」
駅前の時計台の下で、文庫本を閉じて
2ほころび素が一瞬見える
「君、さっきからわたしのほうを見ないね。……どうして?」
部室で、主人公の真正面に椅子を引いて座って
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「君がわたしに夢中にならないから、隣にいると楽なの。ずっとそのままでいて」
夕暮れの屋上で、フェンスにもたれて
4独りの時誰にも見せない本音
「笑ってたのに、手がふるえてる。わたしのほうが、ずっと怖がってるみたい」
夜、自室で、読まずに束ねた手紙の山を見下ろして
魔性の女・魔性の男キャラを書く時のコツと避けたいこと
コツ
- 惹きつけるものを一つ決める:声、目線、話の聞き方、笑い方、自由さ、はかなさ。顔立ちより一つの仕草に絞ると、魔性が具体的になります
- 周りの変わり方で見せる:部活をやめる人、約束を破る人、性格が変わる人。本人を描くより、周りの一人が変わっていく様子で魔性が伝わります
- 自覚の有無を決める:気づいていない、気づいて使っている、気づいて怖がっている。どれにするかで、同じ場面の意味が変わります
- 惑わされない人を一人置く:誰もが揺れる中で、一人だけ揺れない人。その人との関係が、魔性のキャラのいちばん素直な顔を引き出します
自覚の有無で変わる見え方
| 自覚 | どう見えるか | 揺らす出来事 |
|---|---|---|
| 気づいていない | 無邪気、罪がない | 自分のせいで誰かが傷ついたと知る |
| 気づいて使っている | したたか、危うい | 本気で好きになってしまう |
| 気づいて怖がっている | はかない、孤独 | それでも離れない人が現れる |
| 気づいて楽しんでいる | 妖しい、近づきがたい | 誰にも惑わされない人に出会う |
避けたいこと
- 性的な場面を中心にして魔性を見せること。体の描写に頼ると、この属性の怖さと美しさが伝わりません
- 惑わされた人が傷つくことを、美しい出来事として描くこと。魔性は、周りが壊れていく痛みまで含めて描くと深まります
- 「女は男を破滅させる」のような、性別ごと決めつける書き方
- 魔性のキャラを、物語を動かすための装置だけにすること。本人の望みや、本人が惑わされるものを一つ持たせます
魔性の女・魔性の男に合う口調・組み合わせやすい属性
合う口振(口振カルテへ)
魔性のキャラは、多くを語らない話し方がよく合います。口振は「人を惹きつける時の声の出し方」で選びます。静かに話すのか、気まぐれに話すのか、丁寧に距離を保つのか。
組み合わせやすい属性
魔性にミステリアスを重ねると、素性も本心も見せないまま人を惹きつける人になり、儚いを重ねると、放っておけない危うさで人を離さない人になります。高嶺の花を重ねれば、遠くにいるまま人を狂わせる人に、天然を重ねれば、自分が何をしたのか最後まで分からない人に。一途を重ねると、多くの人を惑わせながら、たった一人しか見ていない人になり、小悪魔を重ねれば、遊びのつもりの振り回しが、相手の人生まで変えてしまう人になります。
ぶつかりやすい属性(あえて使うと面白い)
裏表がないやムードメーカーのような、分かりやすく明るい属性は、魔性とぶつかりやすい属性です。一人に重ねると「誰にでも明るいのに、近づいた人だけが変わっていく人」というねじれになり、並べると、何も隠さない人と、何もしなくても人を惑わす人の対比で、どちらも引き立ちます。
「魔性の女」という言葉の歴史
人を惑わせ、運命を狂わせる人物は、古い物語から描かれてきました。それを「魔性の女」「ファム・ファタール」と呼ぶ言い方は、のちに広まったものです。ここでは、主な出来事をまとめます。
年表を開く
中国の伝説で、妲己や褒姒のように、王を惑わせたと語られる女性が描かれます。のちに、ファム・ファタールの代表として挙げられるようになりました。
メリメの小説『カルメン』が発表されます。激しく恋をしては心変わりし、男を破滅させていく女性が描かれ、ファム・ファタールの典型として語られています。
ワイルドの戯曲『サロメ』がパリで出版されます。翌年の英訳版にはビアズリーの挿絵がつきました。サロメは、ファム・ファタールの代表として挙げられる人物の一人です。
日本で『サロメ』が初めて舞台にかけられます。人を惑わせる女性の物語が、日本の観客にも届きました。
谷崎潤一郎の『痴人の愛』の連載が始まります。引き取って育てた少女に、男が呑みこまれていく物語で、「ナオミズム」という言葉を生みました。
今の魔性の女・魔性の男キャラのイメージ
- 意図より結果:わざと惑わせる悪女だけでなく、本人にその気がないまま周りが変わっていく人として描かれることが多くなっています
- 魔性の男:女性向けの作品では、優しいのに近づくのが怖い「魔性の男」が、恋の相手として描かれます
- 惑わされる側の物語:魔性の人そのものより、惹かれていく人の戸惑いや変化を中心にした物語が書かれています
- 魔性の孤独:人を惑わせてしまう本人の孤独や怯えまで描くことで、危うさと同時に切なさを持つ属性として受け止められています
よくある質問
魔性の女とはどういう意味ですか?
本人がそのつもりかどうかにかかわらず、人の心を惑わせ、相手の人生を狂わせかねないほどの魅力を持つ女性のことです。「魔性」は、悪魔のように人を惑わす性質を表します。
魔性の男という言い方もありますか?
あります。本人の意図にかかわらず人を惹きつけ、惹かれた人を変えてしまう男性を「魔性の男」と呼びます。フランス語では、女性をファム・ファタール、男性をオム・ファタールと呼びます。
魔性と小悪魔の違いは何ですか?
小悪魔は、わざと思わせぶりにして相手を振り回し、その反応を楽しむ人です。相手はどきどきしても、自分を見失うほどにはなりません。魔性は、わざとかどうかに関係なく、惹かれた人が約束や暮らしを手放すほど変わってしまいます。
魔性と天然たらしの違いは何ですか?
どちらも無自覚に人を惹きつけることがあります。天然たらしに惹かれた人は嬉しくなり、仲間や友達になっていきます。魔性に惹かれた人は落ち着かなくなり、自分を見失っていきます。同じ人に惹かれた二人の、片方は笑顔になり、片方は眠れなくなる。そんな描き分けもできます。
魔性とサキュバス・インキュバスの違いは何ですか?
サキュバス・インキュバスは、人を惑わすことが役目の種族の名前です。魔性の女・魔性の男は、人間の性質や魅力を表す言葉です。人間の魔性キャラは、惑わす力を選んで持っているわけではないので、その力をどう持て余すかが物語になります。
魔性のキャラを性的にせずに描くコツは?
惹きつけるものを、声や目線、話の聞き方、自由さのようなたたずまいに置くことです。手紙の書き方や、待ち合わせへの来方のような、小さな習慣でも魔性は描けます。
魔性のキャラを嫌われ役にしないコツは?
本人の孤独や怯えを一つ描くことです。人を変えてしまう自分を怖がっている、惑わせずにすむ相手を探している。そうした一面があると、危うさが切なさに変わります。
次に読む
参考にした資料
- Weblio辞書「魔性」(デジタル大辞泉:悪魔のような、人を惑わす性質)
- Wikipedia(日本語版)「ファム・ファタール」(本来は運命の女。今は男を破滅させる魔性の女の意味が多い。男性版はオム・ファタール。サロメ、妲己、褒姒)
- Wikipedia(日本語版)「カルメン」(1845年発表。ファム・ファタールの典型)
- Wikipedia(日本語版)「サロメ (戯曲)」(1893年パリで出版、1894年英訳とビアズリーの挿絵、1913年日本初演)
- Wikipedia(日本語版)「痴人の愛」(1924年連載開始。ナオミズムという言葉を生んだ)
- ゼクシィ「魔性の女とは?」(直感でどきっとさせる、ミステリアスなオーラがある女性)

