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口に入れた瞬間、とろりと溶ける柔らかな餅の感触。
熱い口内に溶けて、冷たい生クリームも柔らかさが蕩けていく感覚、
控えめな甘さとまろやかさが、冷え切った体が蕩けさせていく。
氷の様な温度が喉奥を伝って行くのに、温かで細やかな冬の味を感じさせてくれた。
桃色の楊枝で、切ろうにも切れない餅。時間をゆるりと置く。
火鉢の音を感じながら、外の雪景色を堪能する。
忘れかけた頃に、楊枝を入れる。
自ら解けていく柔らかな雪にはいじらしさすら覚えた。
ふたくちめを含めば、ほぐれた餅が絡み付くように伸びていく。
火鉢で温まった舌に触れた雪は溶けて、甘さをじわりと口内へと渡らせた。