サザノノ 性分帖。 > 立ち位置 > 盗賊・シーフ
盗賊・シーフキャラとは、身軽さと手先の器用さ、裏の世界の知恵を武器に、生きるため・仲間のために盗みや鍵開けをこなすキャラクターのことです。悪党の肩書きと、義理堅さや面倒見のよさとの差が、人物の見どころになります。
要点
- 辞書では、盗賊は人の物を奪う者で、泥棒より荒っぽく、集団で奪う者を指すことが多い言葉です。身軽で器用なシーフの姿は、ゲームの職業から広がりました
- 見分ける条件は3つ。身軽さや手先の器用さが武器・裏の世界の知恵がある・生きるためや仲間のために技を使う
- 怪盗との違いは、見せ方です。怪盗は予告と美学で鮮やかに盗む人、盗賊・シーフは生きるための技として盗む人です
- 物語では、敵として出る盗賊団、仲間になるシーフ、貧しい人のために盗む義賊の三つの顔で描かれます
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盗賊・シーフの意味と語源
盗賊は「とうぞく」と読みます。辞書(デジタル大辞泉・日本国語大辞典)では、泥棒や盗人と同じく、人の物を奪う者のことです。百科事典では、泥棒より荒っぽく、仲間と集団で奪う者を指すことが多いと説明されています。山を根城にすれば山賊、海なら海賊と呼び分けられてきました。
シーフは英語の thief で、こっそり盗む人を指す言葉です。英語では、力ずくで奪う robber や bandit とは別の言葉になっていて、日本語の「盗賊」はその両方を受けています。ロールプレイングゲームでは、鍵を開け、罠を外し、宝を見つける身軽な職業として「盗賊」「シーフ」が定着しました。辞書の盗賊に身軽さや器用さは出てきませんが、今の創作の盗賊・シーフは、この職業の姿で描かれることが多くなっています。
貧しい人のために金持ちから盗む盗賊は「義賊」と呼ばれます。辞書でも、悪をこらし善を助けることを看板にした盗賊と説明されています。悪党と呼ばれる立場なのに、筋を通す。その差が、盗賊キャラが愛される理由の一つです。
属性としては、盗みの技と裏の世界での立場が人との関わり方を決めるので、立ち位置の群に入れています。このページでは、ゲームの盗賊・シーフを中心に、盗賊団、義賊、路地裏育ちの泥棒までを扱います。空賊・山賊・海賊は、近い言葉の表で触れています。
盗賊・シーフキャラかどうかの見分け方
物を盗む場面がある、短剣を持っている、というだけでは盗賊・シーフキャラとは言えません。盗賊・シーフと呼べるのは、次の3つがそろった時です。
- 身軽さや手先の器用さが武器になっている:鍵を開ける、罠を外す、高い所へ登る、すばやく逃げる。力より技で道を開きます
- 裏の世界の知恵がある:抜け道や闇市に詳しい、人の嘘を見抜く、危ない相手をかぎ分ける。表通りでは学べない知恵を持っています
- 生きるためや、仲間のために技を使う:食べていくため、仲間を先へ進ませるため、貧しい人に分けるため。盗みの技は見せ物ではなく、生きる手段です
盗賊・シーフと怪盗の違い・お調子者・偽悪的との違い
こう覚えると見分けやすくなります。盗賊・シーフは生きるための技として盗む人、怪盗は予告と美学で鮮やかに盗む人、お調子者は調子に乗りやすい性分の人、偽悪的はわざと悪ぶる人。シーフがお調子者だったり、義賊が偽悪的だったりと、重なることもよくあります。
| 盗賊・シーフ | 怪盗 | お調子者 | 偽悪的 | |
|---|---|---|---|---|
| 何を言う言葉か | 盗みや鍵開けの技で生きる立場 | 予告と美学で盗む役目 | 調子に乗りやすい性分 | わざと悪を装う振る舞い |
| 盗み方 | こっそり、すばやく、必要な分だけ | 予告して、正体を隠して、鮮やかに | 盗むとは限らない | 盗むとは限らない |
| 人との関わり | 仲間の道を開く、子分や兄貴分になる | 追ってくる探偵や刑事と向かい合う | 場をにぎやかにする | 悪ぶって相手を遠ざける |
| 崩れる瞬間 | 盗んだもので、大事な人が傷つく時 | 正体がばれる時 | 調子に乗った結果、誰かが困る時 | 本当のやさしさを見抜かれる時 |
怪盗は、辞書で「正体のつかめない盗賊」とされ、予告状や変装、手口の鮮やかさそのものが見せ場です。盗賊・シーフは、見せるためではなく、生きるためや仲間のために盗みます。怪盗は一人で舞台に立つことが多く、盗賊は盗賊団やパーティーの一員として描かれることが多い役柄です。
お調子者は性分で、盗賊・シーフは立場です。身軽で口の軽いシーフはお調子者に見えやすいのですが、ふざけていても、鍵を開ける時だけは真剣という差が魅力になります。偽悪的な人は悪ぶっているだけで、盗賊は実際に盗みます。悪名を背負ったまま人を助ける義賊は、二つが重なった形です。
盗賊・シーフと近い言葉
| 泥棒 | 義賊 | 山賊・野盗 | 空賊・海賊 | |
|---|---|---|---|---|
| どんな言葉か | 人の物をこっそり盗む人。ならず者の悪口にも使う | 金持ちから奪い、貧しい人に分ける盗賊 | 山や野を根城に、旅人を襲う盗賊 | 空や海を舞台に、船や宝を狙う一団 |
| 盗賊・シーフとの関係 | 盗賊とほぼ同じ意味。たとえとしても使われる | 盗賊の型の一つ。看板としての義を掲げる | 敵として出る盗賊団や、足を洗った元山賊になる | 盗賊の近い仲間。自由を好む姿で描かれやすい |
盗賊・シーフキャラの型
盗賊・シーフキャラは、何のために技を使うかと、悪党の肩書きと人柄の差で型が分かれます。鍵開けの専門家から、仲間の兄貴分、義賊、憎めない盗賊の親分まで、よく描かれる型を並べました。
仲間になる盗賊
物を盗むのではなく、扉や宝箱の鍵を開け、罠を外すことを仕事にする型です。戦いには加わらず、自分の持ち場に厳しく、報酬にもきっちりしています。たとえば、ハーフフットの鍵師チルチャック(『ダンジョン飯』)がこの型です。
明るく口が軽く、女の子にも調子よく声をかけるのに、困った人は放っておけない型です。仲間の中では自然と兄貴分になり、旅をまとめていきます。たとえば、盗賊団の一員のジタン・トライバル(『ファイナルファンタジーIX』)がこの型です。
ぶっきらぼうな口をききながら、一度組んだ相手は決して見捨てない型です。裏の世界を渡ってきたので世の中に詳しく、主人公の頼れる相棒になります。たとえば、カミュ(『ドラゴンクエストXI』)がこの型です。
荒っぽい山賊だったのに、命を助けられたことをきっかけに、恩人を兄貴と呼んでついていく型です。言葉は荒くても、義理と人情には誰より厚い人物です。たとえば、ヤンガス(『ドラゴンクエストVIII』)がこの型です。
はじめは主人公たちを狙う盗賊として現れ、やがて仲間になる型です。二枚目を気取るのに、女の子の前ではあがってしまう抜けた一面があります。たとえば、ヤムチャ(『ドラゴンボール』)がこの型です。
やっていることは盗みに近いのに、本人は宝探しの冒険家だと言い張る型です。泥棒扱いされるたびにむきになって言い返す姿が、お約束の笑いになります。たとえば、ロック・コール(『ファイナルファンタジーVI』)がこの型です。
お金や宝の話になると目の色が変わり、手先の器用さで欲しいものを手に入れる型です。がめつく見えても、しっかり者で仲間の財布を預かる役にもなります。たとえば、ナミ(『ONE PIECE』)がこの型です。
隙あらば仲間の持ち物までこっそり狙う、手癖の悪い型です。がめつく見えて、生まれた土地を大切に思う気持ちも持っています。たとえば、ユフィ・キサラギ(『ファイナルファンタジーVII』)がこの型です。
裏社会の盗賊、敵になる盗賊
身寄りがなく、街の路地で盗みをしながら暮らしてきた型です。身軽で口がうまく、盗んだ食べ物を自分より小さな子に分けてしまう優しさがあります。たとえば、相棒の猿と暮らす青年アラジン(ディズニー映画『アラジン』)がこの型です。
ふだんは軽い冗談ばかり言うお調子者なのに、裏では冷静に情報を集めている型です。主君への忠誠は固く、軽さは本心を隠すための顔でもあります。たとえば、マシュー(『ファイアーエムブレム 烈火の剣』)がこの型です。
報酬さえあれば仕事を受けると言いながら、嘘や悪意のある依頼だけは断る型です。いつもお菓子を持ち歩く甘党のような、意外な素顔もよく似合います。たとえば、ガイア(『ファイアーエムブレム 覚醒』)がこの型です。
悪い金持ちからだけ盗み、手に入れたものを貧しい人に分ける型です。伝説のロビン・フッドが元祖として知られています。たとえば、クリス(『この素晴らしい世界に祝福を!』)がこの型です。
子分を連れて悪さを働き、主人公たちに負けると平謝りして逃げていく型です。何度でも懲りずに現れるしぶとさが、敵役なのに愛される理由です。たとえば、カンダタ(『ドラゴンクエストIII』)がこの型です。
小説でよく見る盗賊
戦えない、役に立たないと見下されて追い出された盗賊が、盗む技を磨いて誰より強くなる型です。見下した側を見返す流れが痛快です。最近の小説では、追放された盗賊職が最強になる話が数多くあります。
荒くれ者を束ねる盗賊団の頭領が、主人公にだけ不器用な優しさを見せる型です。悪名の裏に事情を抱えていて、その理由が恋を深めます。異世界の恋愛ものでは、ワケありの盗賊や盗賊の頭領がお相手になる話があります。
盗賊・シーフキャラの作り方と台詞例
盗賊・シーフキャラは、何のために技を使うかと、悪党の肩書きの奥にある人柄で作る属性です。生きるためか、仲間のためか、誰かに分けるためか。盗まないと決めているものと、どうしても手放せないものを決めると、身軽な振る舞いの奥にある人柄がはっきりします。
台詞は「心の距離」の順に4段階で並べています。表の顔 → ほころび(素が一瞬見える)→ 信頼した相手だけ → 独りの時。盗賊・シーフキャラは、表の顔では軽口や憎まれ口をたたき、ほころびで面倒見のよさがのぞき、信頼した相手には盗みで生きてきた過去を打ち明け、独りの時には居場所ができたことへの戸惑いを抱えています。話し方は口振カルテで調整できます。
下に行くほど心の距離が近づきます。同じ人物の4つの顔として読んでください。
自分のキャラクターの顔を置くと、下の台詞をその子が話しているように読めます。
性分帖の台詞は、自分で作ったキャラクターにどんな口調や性格が合うかを確かめるためのものです。画像と名前はこの端末にだけ保存され、ほかの属性のページでも同じ子が出ます。
ドラッグで位置を動かせます
女性の盗賊・シーフキャラ
女性の盗賊・シーフキャラは、お宝に目がない身軽な少女、盗賊団を仕切る女頭領、路地裏で育ったスリの少女として描かれることが多い形です。何のために盗むのか、誰を守りたいのかを決めると、恋愛以外の物語でも共感できる人物になります。
- よくある形
- 仲間の財布を預かる、お金にうるさいシーフ/子分たちを怒鳴りながら食べさせている盗賊団の女頭領/街の子どもたちの姉代わりになっているスリの少女/故郷のためにお宝を集めている旅の盗賊
- 外すなら
- 手癖の悪いシーフが、実は盗んだものを全部帳面につけていて、いつか持ち主に返すつもりでいる形にする。または、怖い女頭領が、子分の誕生日だけは一人も忘れない形にする
- 気をつけたいこと
- 「女の子の盗賊は色仕掛けで盗む」と決めつけないこと。技や知恵で道を開く姿を描くと、仲間として頼もしくなります。盗むことを、ただのかわいい癖として軽く扱いすぎないことも大切です
1表の顔人前・ふだん
「その宝箱、開けてほしいなら分け前は半分ね。罠つきなら六割」
迷宮の行き止まりで、仲間が困っている宝箱の前にしゃがみこんで
2ほころび素が一瞬見える
「……さっきの子にあげた分? 知らない。落としたんじゃない?」
市場の帰り道、分け前の袋が軽くなっていることを仲間に聞かれて
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「初めて盗んだのはパン一個。六つの時。あの店、まだあるんだ。今度、倍の値段で買う」
宿の屋根の上で、仲間と並んで夜の街を見下ろしながら
4独りの時誰にも見せない本音
「鍵のかからない部屋で眠るの、まだ慣れないな」
仲間がみんな寝たあと、宿の扉に耳を当てたまま
男性の盗賊・シーフキャラ
男性の盗賊・シーフキャラは、身軽なお調子者、口の悪い相棒、足を洗った元山賊、憎めない盗賊の親分として描かれることが多い形です。軽さや荒さの奥にある義理堅さが、そのまま人物の魅力になります。主人公の相棒や兄貴分、仲間の世話役の役でも光ります。
- よくある形
- 主人公をからかいながら、いつも一歩前で罠を探しているシーフ/裏通りの顔役で、どの店の主人とも顔なじみの盗賊/恩人に命を預けると決めた元山賊/金にはうるさいのに、仲間の分の食事だけは必ず取っておく男
- 外すなら
- 何でも盗める腕利きの盗賊が、実は人の家の台所にだけは入れず、毎回手ぶらで帰ってくる形にする。または、口の悪い相棒が、主人公の誕生日のためにこっそり宝石ではなく花の種を盗んでくる形にする
- 気をつけたいこと
- 盗みを、ただ格好いいだけの技として描きすぎないこと。盗まれた側にも暮らしがあることを、どこかで本人が分かっていると深みが出ます。現実の盗みの手口を、具体的な手順として細かく書かないことも大切です
1表の顔人前・ふだん
「下がってな。こういう扉は、叩くより話しかけるほうが早いんだよ」
古い遺跡の扉の前で、仲間を後ろに下がらせて道具袋を開きながら
2ほころび素が一瞬見える
「おい、足元。……いや、別に心配したわけじゃねえよ。転ばれると俺の仕事が増えるだけだ」
罠の手前で、主人公の腕をつかんで引き戻したあと
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「この鍵開け、二十年磨いてる。人に見せたのはお前が初めてだ。盗賊にとっちゃ、そういう意味だ」
野営の焚き火の前で、使い込んだ鍵開けの道具を磨きながら
4独りの時誰にも見せない本音
「足を洗ったつもりでも、手が勝手に財布の場所を数えやがる」
にぎやかな町の祭りの中で、自分の手をポケットに押しこんで
女性向けの男性の盗賊・シーフキャラ
女性向けの作品では、ワケありの盗賊団の頭領、悪名高いのに義理堅い義賊、口の悪い身軽な相棒が描かれます。異世界の恋愛小説では、盗賊や盗賊の頭領がお相手になる題名も並んでいます。ときめきの中心は、誰にも心を許さない人が、主人公にだけ帰る場所を見つけることです。
- よくある形
- 荒くれ者を束ねる頭領が、主人公の前でだけ言葉を選んで話す/悪党と呼ばれる義賊が、主人公にだけ盗みの理由を明かす/「盗むぞ」が口ぐせの盗賊が、主人公から物を取ったことは一度もない
- 外すなら
- 何でも盗める盗賊が、主人公から渡された家の合い鍵だけは、一度も使えずに持ち歩いている形にする。または、冷たい頭領が、主人公の落とした髪飾りを何年も懐に入れたままにしている形にする
- 気をつけたいこと
- 主人公をさらう、閉じこめるといった形を、恋のきっかけとして美しく描きすぎないこと。主人公が自分の意思で一緒にいることを選べる関係にします。盗賊団の暴力を、格好よさのためだけに使わないことも大切です
1表の顔人前・ふだん
「ここは俺たちの縄張りだ。迷い込んだなら、表通りまで送ってやる」
夜の裏路地で、子分たちに囲まれた主人公の前に歩み出て
2ほころび素が一瞬見える
「……また来たのか。ここに来るなと言っただろう。茶ぐらいは出すが」
翌日も隠れ家の戸口に立った主人公を、子分たちの目を気にしながら招き入れて
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「隠れ家に、鍵のかかる引き出しは一つもない。お前の忘れた手袋のために、今日、一つ作った」
隠れ家の屋上で、町の灯りを並んで眺めながら
4独りの時誰にも見せない本音
「表通りを、あいつと並んで歩ける日なんて来るのか」
主人公を送り届けたあと、明るい通りの手前で引き返しながら
男性向けの女性の盗賊・シーフキャラ
男性向けの作品では、お宝とお金に目がない身軽なシーフ、主人公の財布を狙う手癖の悪い女の子、裏の世界に詳しい頼れる相棒が人気です。がめつさと面倒見のよさ、いたずらっぽさと本気の時の頼もしさの落差が、いちばんの見せ場です。
- よくある形
- 主人公のお宝を狙って勝手についてくる身軽な少女/パーティーのお金を一人で管理する、しっかり者のシーフ/主人公をからかいながら、罠だけは必ず先に見つける斥候
- 外すなら
- お金にがめつい盗賊少女が、実は貯めたお金をすべて孤児院に送っている形にする。または、手癖の悪いシーフが、主人公から盗んだものだけは全部宝箱にしまって大事にとってある形にする
- 気をつけたいこと
- 盗賊の少女を、主人公に拾われて救われるだけの役にしないこと。自分の目的や、主人公より上手な技を持たせると、対等な仲間として立ちます。身軽な服装を、色っぽい場面の言い訳にしないことにも気をつけます
1表の顔人前・ふだん
「はい、この迷宮のお宝は全部あたしが先に見つけたから。そっちの取り分はゼロね」
宝の部屋の真ん中で、袋を両手に抱えて振り返りながら
2ほころび素が一瞬見える
「……なに、その顔。冗談だってば。ほら、半分あげる。もう、ほんとにお人好しなんだから」
主人公が怒らずに笑っているのを見て、袋を押しつけながら
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「あたし、誰かと組むのって初めてなんだ。いつ置いていかれるか、ずっと数えてた」
宿の窓辺で、主人公と並んで足をぶらぶらさせながら
4独りの時誰にも見せない本音
「あいつの財布の場所、知ってるのに一回も取ってない。どうしちゃったんだろ、あたし」
主人公が眠ったあと、自分の手のひらをじっと見つめて
盗賊・シーフキャラを書く時のコツと避けたいこと
コツ
- 盗む理由を一つ決める:食べるため、仲間のため、故郷のため、貧しい人に分けるため、腕試しのため。理由によって、同じ盗みでも印象ががらりと変わります
- 盗まないと決めているものを一つ持たせる:仲間の物は盗まない、貧しい人からは取らない、命は奪わない。守る線があると、悪党の肩書きの奥にある人柄が伝わります
- 得意な技を一つ決める:鍵開け、罠外し、身のこなし、人の嘘を見抜く目。技がはっきりすると、仲間の中での役割と見せ場が生まれます
- 居場所との距離を決める:一人で生きてきたのか、盗賊団にいたのか、足を洗ったのか。仲間ができた時の戸惑いや喜びが、物語の芯になります
盗む理由で変わる見え方
| 盗む理由 | どう見えるか | 揺らす出来事 |
|---|---|---|
| 生きるため、食べるため | したたか、さびしげ | 盗まなくても食べられる居場所ができる |
| 仲間を先に進ませるため | 頼れる、職人肌 | 自分の技では開けられない扉に出会う |
| 貧しい人に分けるため | 義理堅い、反骨 | 盗んだ相手にも守るべき家族がいると知る |
| お金やお宝が好きだから | がめつい、にぎやか | お宝より大事なものを選ぶ場面が来る |
避けたいこと
- 現実の盗みの手口や鍵の開け方を、まねできる具体的な手順として書くこと。技は「何ができるか」で見せ、「どうやるか」は物語の中の言葉にとどめます
- 盗むことを、だれも困らない楽しい遊びとしてだけ描くこと。盗まれた側の暮らしにどこかで目が向くと、人物に深みが出ます
- 貧しい育ちや路地裏の暮らしを、かわいそうな背景としてだけ使うこと。そこで身につけた知恵やたくましさを、本人の強みとして描きます
- 女性の盗賊を、色仕掛けで盗むだけの役にすること
- 有名な作品の盗賊の口ぐせや決め台詞を、そのまま借りること。軽口こそ、そのキャラだけの言い回しを作ると印象に残ります
盗賊・シーフに合う口調・組み合わせやすい属性
合う口振(口振カルテへ)
盗賊・シーフは立ち位置の属性なので、口振は「仲間の前でどう話すか」と「本気の時にどう話すか」で選びます。軽口でふざけるのか、兄貴分として引っぱるのか、強気に言い返すのか、のらりくらりとかわすのかで、同じ盗賊でも印象が変わります。
組み合わせやすい属性
盗賊・シーフにお調子者を重ねると、軽口ばかりなのに罠の前でだけ真剣になる身軽なシーフに。兄貴分を重ねれば、口は悪いのに仲間の面倒を見ずにいられない盗賊になります。偽悪的を重ねると、悪名を背負ったまま貧しい人に分ける義賊に、一匹狼を重ねると、誰とも組まずに生きてきた腕利きの盗賊になります。ムードメーカーを重ねれば、旅を明るくするにぎやかなシーフに。トリックスターを重ねると、盗みと嘘で秩序をひっくり返し、新しい流れを作る盗賊になります。
ぶつかりやすい属性(あえて使うと面白い)
正義感が強いや堅物は、盗みで生きる盗賊・シーフとぶつかりやすい属性です。一人に重ねると「悪をこらすために盗む、まっすぐすぎる義賊」「盗む前に必ず断りを入れる律儀な盗賊」というおかしみになり、関係性で並べると引き立ちます。決まりを守る騎士と、抜け道を知っている盗賊。まじめな仲間と、手癖の悪い仲間の組み合わせは、正しさとは何かを浮かび上がらせます。
盗賊・シーフキャラの歴史
盗賊の物語は、古い記録の盗人や山賊から始まり、義賊の伝説と芝居、ゲームの職業としてのシーフ、そして小説投稿サイトの「最弱職の盗賊」へと受け継がれてきました。ここでは、主な出来事をまとめます。
年表を開く
日本の歴史書(720年)に「ぬすびと」、780年の記録に「山賊」の言葉が見られます。人の物を奪う者を表す言葉は、古くからありました。
イギリスで、のちに義賊の代名詞となる伝説の無法者の名前が記録や詩に現れ始めます。ただ、金持ちから奪って貧しい人に与える、とはっきり書かれるのは1592年の歴史書からです。
京都で、伝説の大盗賊が処刑されます。のちに江戸の芝居で義賊として描かれますが、記録の上では凶悪な盗賊でした。
アラビアの説話集がフランス語に訳され、ヨーロッパに広まります。この中の、盗賊団の宝を手にする若者の物語は、盗賊と宝の物語の古い形として親しまれました。
江戸で、大名屋敷ばかりを狙った盗賊が処刑されます。芝居や講談では貧しい人に施す義賊として語られましたが、実際に施した形跡はないとされています。
盗賊たちが主役の歌舞伎が初めて上演され、この中に「義賊」の言葉が見られます。悪党の口上と、筋を通す盗賊の格好よさは、のちの盗賊キャラにも受け継がれました。
アメリカで生まれたテーブルトークのロールプレイングゲームに、鍵を開け、罠を外し、忍び込む職業「シーフ」が加わります。戦士でも魔法使いでもない、技の専門家としての盗賊の始まりです。
コンピューターのロールプレイングゲームで、仲間の職業として「盗賊」が登場します(1981年)。日本の国民的なロールプレイングゲームの1作目でも、最初に選べる職業の一つに「シーフ」が入りました(1987年)。
テーブルトークのロールプレイングゲームで、職業の名前が「シーフ」から「ローグ」に変わります。盗む人だけでなく、身軽さと技で戦う人を広く表す名前になりました。
小説家になろうでは、題名に「盗賊」が入る作品が約490件、「義賊」が約70件あります。追放された最弱職の盗賊が最強になる物語や、ワケありの盗賊がお相手になる恋愛小説が見られます。
今の盗賊・シーフキャラのイメージ
- 悪党なのに憎めない:事情を抱えた泥棒や、ときに正義の味方になる泥棒が好まれています。悪名と人柄の差が、魅力の中心です
- パーティーの専門家:ゲームや小説では、盗むことより、鍵開け・罠外し・宝探しを担う専門家として描かれることが増えています。戦わない仲間の見せ場として定着しています
- 最弱職からの逆転:役に立たないと追い出された盗賊職が、盗む技で最強になる物語も数多くあります
- 恋のお相手の盗賊:異世界の恋愛小説では、ワケありの盗賊や盗賊の頭領がお相手になる作品が見られます。悪名の奥の優しさが、自分にだけ向く形が好まれています
- 怪盗との住み分け:予告や美学を持つ鮮やかな泥棒は怪盗、生きるための技を持つ泥棒は盗賊・シーフ、と呼び分けられることが多くなっています
よくある質問
盗賊・シーフキャラとはどういう意味ですか?
身軽さと手先の器用さ、裏の世界の知恵を武器に、生きるため・仲間のために盗みや鍵開けをこなすキャラクターのことです。身軽さや器用さが武器であること、裏の世界の知恵があること、生きるためや仲間のために技を使うことが条件になります。
盗賊と怪盗の違いは何ですか?
怪盗は、予告状や変装、鮮やかな手口そのものを見せ場にする、正体のつかめない盗み手です。盗賊・シーフは、見せるためではなく、生きるためや仲間のために盗む人です。怪盗は一人で、盗賊は盗賊団やパーティーの一員として描かれることが多くなります。
盗賊と泥棒の違いは何ですか?
辞書ではほぼ同じ意味ですが、百科事典では、盗賊は泥棒より荒っぽく、集団で奪う者を指すことが多いとされています。泥棒は、こっそり盗む人を広く指し、「会話泥棒」のようなたとえにも使われます。
シーフとはどういう意味ですか?
英語の thief で、こっそり盗む人のことです。ロールプレイングゲームでは、鍵を開け、罠を外し、宝を見つける身軽な職業の名前として使われてきました。今はローグとも呼ばれます。
義賊とはどういう意味ですか?
金持ちから金品を奪い、貧しい人に分け与える盗賊のことです。辞書では、悪をこらし善を助けることを看板にした盗賊と説明されています。伝説の義賊の多くは、のちの物語や芝居で形づくられた姿です。
盗賊・シーフキャラを魅力的に書くコツは?
盗む理由と、盗まないと決めているものを一つずつ決めることです。そのうえで、得意な技と、居場所との距離を決めると、悪党の肩書きだけではない、生きた盗賊・シーフとして伝わります。
次に読む
参考にした資料
- コトバンク「盗賊」(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典・世界大百科事典・日本大百科全書:泥棒より凶悪な者、常習で集団)
- コトバンク「泥棒」(人の物を盗む人、ならず者の悪口)
- コトバンク「盗人」(720年の用例)
- コトバンク「山賊」(山を根城にする盗賊、780年の用例)
- コトバンク「義賊」(金持ちから奪い貧しい人に分ける盗賊、1862年の用例)
- コトバンク「怪盗」(正体のつかめない盗賊)
- コトバンク「石川五右衛門」(1594年、義賊像は芝居で作られた)
- コトバンク「鼠小僧」(1832年、施した形跡はない)
- コトバンク「偽悪」(わざと悪を装うこと)
- Weblio「お調子者」(調子に乗りやすい人)
- Online Etymology Dictionary「thief」(こっそり盗む人)
- Online Etymology Dictionary「rogue」(親しみを込めたいたずら者の意味)
- Wikipedia(英語版)「Robin Hood」(1592年に義賊の姿がはっきりする)
- Wikipedia(英語版)「Ali Baba and the Forty Thieves」(1704〜1717年のフランス語訳)
- Wikipedia(英語版)「Rogue (Dungeons & Dragons)」(1974〜1975年のシーフ、2000年にローグへ)
- Wikipedia(日本語版)「シーフ」(ゲームの職業としての盗賊)
- Wikipedia(日本語版)「ウィザードリィ 狂王の試練場」(1981年、職業の盗賊)
- ファミ通.com 初代ファイナルファンタジーについての記事(1987年、最初に選べる職業のシーフ)
- ピクシブ百科事典「盗賊」(鍵開け・罠外しの専門家としての盗賊)
- ピクシブ百科事典「シーフ」(ゲームの職業)
- TV Tropes「Lovable Rogue」(憎めない悪党)
- TV Tropes「Just Like Robin Hood」(義賊)
- TV Tropes「Street Urchin」(路上育ちの子ども)
- アニメ!アニメ! 泥棒キャラの読者アンケート(2020年)(118人、事情がある泥棒が人気)
- 小説家になろう 小説API「盗賊」(2026年11月3日時点の件数)
- カクヨム タグ「盗賊」(2026年11月3日時点、180作品)
- Wikipedia(日本語版)「ダンジョン飯」(チルチャック:鍵師)
- ピクシブ百科事典「ジタン・トライバル」(身軽なお調子者の盗賊)
- Wikipedia(日本語版)「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」(カミュ:義理堅い相棒の盗賊)
- Wikipedia(日本語版)「ドラゴンクエストVIII」(ヤンガス:元山賊)
- ピクシブ百科事典「ヤムチャ」(砂漠の盗賊から仲間へ)
- ピクシブ百科事典「ロック・コール」(泥棒と呼ばれるのを嫌うトレジャーハンター)
- Wikipedia(日本語版)「ナミ (ONE PIECE)」(泥棒猫の異名、手先が器用)
- ピクシブ百科事典「ユフィ・キサラギ」(手癖の悪い忍者の少女)
- Wikipedia(日本語版)「アラジン (1992年の映画)」(盗みで食いつなぐ青年)
- Wikipedia(日本語版)「ファイアーエムブレム 烈火の剣」(マシュー:盗賊の密偵)
- Wikipedia(日本語版)「ファイアーエムブレム 覚醒」(ガイア:甘党の元盗賊)
- ピクシブ百科事典「クリス(このすば)」(貧しい人に分ける義賊の盗賊)
- ピクシブ百科事典「カンダタ」(命乞いして逃げる盗賊の親分)

