サザノノ 性分帖。 > 表と裏 > 養殖
養殖とは、本当は分かっているのに、わざと天然らしく抜けたふりをして、相手に好かれたり油断させたりするキャラクターのことです。
要点
- 天然ボケの「天然」を魚の天然物に見立て、その反対の「養殖」を当てた言葉遊びです。「養殖天然」「計算天然」「ニセ天然」とも呼ばれます
- 見分ける条件は3つ。本当は分かっている・天然らしく抜けたふりをする・そのふりに目的がある
- 天然とのいちばんの違いは自覚があるかどうか。天然は自分のずれに気づいていない人、養殖は抜けて見えるように組み立てている人です
- ふだんの会話では悪口として使われることが多い言葉です。創作では、なぜ装うのか、誰に見抜かれるのかを決めると、二つの顔を持つ魅力的なキャラになります
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養殖の意味と語源
「養殖」は、もとは魚や貝を人の手で育てることです。国語辞典の「養殖」には、人を指す意味は載っていません。一方「天然」のほうは、辞書(デジタル大辞泉)に俗語として「意図せずとぼけた言動をする人」の意味があり、これは「天然ぼけ」から来ています。
この「天然」を、魚の「天然物」に見立てたのが始まりです。天然物の反対は養殖物。そこから、天然ボケのように見せて実は計算している人を「養殖」と呼ぶようになりました。辞書の形で確かめられるものでは、実用日本語表現辞典が「養殖天然」を、ありのままの姿に見せて、実は外の目を意識した人為的な姿、と説明しています。
同じ意味で「ニセ天然」「エセ天然」「計算天然」「計画ボケ」とも言います。天然ボケと分ける軸は、意図があるかどうかです。
キャラクターの養殖は、抜けたふりをする目的まで含めて描かれます。好かれたい、仕事でキャラを作っている、周りを油断させたい、能力を隠したい。理由によって、かわいいキャラにも、頼れる切れ者にもなります。見せている顔と中身がずれている属性なので、表と裏の群に入れています。
養殖かどうかの見分け方
ちょっと抜けているから養殖、かわいく見せているから養殖、というわけではありません。養殖と呼べるのは、次の3つがそろった時です。
- 本当は分かっている:抜けて見える場面でも、話の流れや相手の気持ちは把握している。本当に困る失敗はしない
- 天然らしく抜けたふりをする:とぼけた答え、知らないふり、子どもっぽい言い方。しっかりしている自分を、わざと低く見せる
- そのふりに目的がある:好かれる、場を和ませる、油断させる、正体や能力を隠す。目的があるから、相手や場面によって出したり引っこめたりする
天然・あざとい・ぶりっ子・猫かぶりとの違い
養殖は、何かを装うキャラを表す言葉とよく混ざります。こう覚えると見分けやすくなります。天然は自覚がない、養殖は抜けたふりをする、ぶりっ子はかわいさを演じる、猫かぶりはおとなしさを演じて本性を隠す、あざといは計算が見えても許される。
| 養殖 | 天然 | あざとい | ぶりっ子 | 猫かぶり | |
|---|---|---|---|---|---|
| 自覚 | ある(わざと) | ない | ある | ある | ある |
| 装うもの | 抜け・おっとり・知らなさ | 何も装わない | かわいさ・弱さなど場面に合わせて | かわいさ・幼さ・か弱さ | おとなしさ・上品さ |
| 誰の前で出るか | 目的のある相手の前 | 誰の前でも同じ | 狙った相手の前 | 主に異性や目上の前 | 初対面や外の人の前 |
| 見抜かれた時 | 「分かってたの?」と驚かれる | 見抜かれるものがない | 「うまい」と許されることも | あきれられやすい | 本性との落差が見どころ |
いちばん比べられるのは天然です。天然は、自分のずれに気づいていない人で、「天然だね」と言われると戸惑ったり、しっかりしていると言い張ったりします。養殖は、抜けて見えるように振る舞っている人で、相手や場面によって天然が出たり消えたりします。同じ失敗に見えても、養殖は本当に困る失敗はしません。
あざといは、計算が見えていることそのものを指す言葉で、見抜かれても「かわいい」「うまい」と受け取られるところに重心があります。養殖は、計算していることを隠しているのが前提です。ぶりっ子はかわいさや幼さを、猫かぶりはおとなしさを演じます。養殖が装うのは、しっかりしていない自分です。
養殖と近い言葉
| ニセ天然・エセ天然 | 計算天然 | 天然キャラ | 自称天然 | |
|---|---|---|---|---|
| どんな言葉か | 本物ではない天然、という意味の言い方。養殖とほぼ同じ | 計算して天然らしく見せること。養殖の中身を説明する言い方 | 本物かどうかを問わず、天然として振る舞っている人の呼び方 | 自分で「天然なんです」と言うこと |
| 養殖との関係 | 責める響きが強い。創作では周りの陰口として出しやすい | 目的があって装っていることがはっきり伝わる | 仕事としてキャラを作っている人にも使う。養殖ほど責める響きはない | 天然は自覚がないものなので、自称は養殖を疑われやすいと言われます |
養殖の型
養殖は、なぜ抜けたふりをするのかと、誰の前で装うのかで分かれます。よく描かれる型を並べました。
好きな相手の前に出ると、急に道に迷ったり、簡単なことを聞いたりし始める型です。いちばん定番の養殖で、同性の友達の前や一人の時は、てきぱきと何でもこなしている。相手に頼られるより、頼る形で近づきたい気持ちが根にあります。
大人と同じように考えられるのに、子どもらしい無邪気な口調でとぼけてみせる型です。うっかり知識を見せてしまうと、どこかで聞いた話だとあわててごまかす。抜けたふりは、相手に気づかせないまま真相へ導くための道具です。たとえば、江戸川コナン(『名探偵コナン』)がこの型です。
のんびりした話し方とやわらかい雰囲気で、周りの警戒を解いてしまう型です。その裏で、場の流れも人の動きもよく見ていて、判断は誰より速い。ゆるさは、人に近づくための入り口になっています。たとえば、MEMちょ(『【推しの子】』)がこの型です。
本当はできることを見せると面倒が増えるので、わざと何もできない人のふりをする型です。目立たず、期待されず、静かに過ごしたい。思わず力を出してしまった時に、周りの見る目が一気に変わります。たとえば、猫猫(『薬屋のひとりごと』)がこの型です。
アイドルや配信者として、ゆるい設定や天然らしさを自分で作って名乗る型です。周りもうすうす分かっていて、それでも付き合ってくれる。素の顔がのぞいた時の苦労人らしさが、応援したくなる理由になります。たとえば、安部菜々(『アイドルマスター シンデレラガールズ』)がこの型です。
最初は目的のために、あざとく、かわいく見せている型です。素の顔はもっと現実的でちゃっかりしている。それが、目の前のことを楽しむうちに、作ったかわいさと素のかわいさの境目がなくなっていきます。たとえば、藤田ことね(『学園アイドルマスター』)がこの型です。
ふだんは素のまま、冷めた口調で話しているのに、必要な場面でだけ見事な演技を見せる型です。いつも装っている人と並べると、演技の切り替えの速さが際立ちます。
本当に自覚のない天然なのに、周りから「狙ってるでしょ」と疑われ続ける型です。本人は何を言われているのか分からず、弁解するほど怪しく見えてしまう。疑っていた側が本物だと気づく場面が、物語の見せ場になります。
出会ってすぐに「私、天然なんで」と名乗る型です。天然は自覚がないものなので、名乗った時点で周りは身構える。名乗りの裏に、失敗を先に許してほしい不安が隠れていると、嫌味のないキャラになります。
養殖キャラの作り方と台詞例
養殖は、表の顔と中身の落差で作る属性です。抜けたふりをする理由を一つ決めると、ずるいキャラにも、守りたくなるキャラにもなります。本物の天然については天然のページで扱います。
台詞は「心の距離」の順に4段階で並べています。表の顔 → ほころび(素が一瞬見える)→ 信頼した相手だけ → 独りの時。養殖は、表の顔では天然らしく抜けて見せ、ほころびで頭の回転の速さがのぞき、信頼した相手には装っている理由を話し、独りの時には装うのをやめた素の声を持っています。話し方は口振カルテで調整できます。
下に行くほど心の距離が近づきます。同じ人物の4つの顔として読んでください。
自分のキャラクターの顔を置くと、下の台詞をその子が話しているように読めます。
性分帖の台詞は、自分で作ったキャラクターにどんな口調や性格が合うかを確かめるためのものです。画像と名前はこの端末にだけ保存され、ほかの属性のページでも同じ子が出ます。
ドラッグで位置を動かせます
女性の養殖キャラ
女性の養殖は、恋のために天然を装う子のほかに、仕事でゆるいキャラを作る人、場を丸く収めるためにわざととぼける人、能力を隠したい人として描かれます。装う理由に共感できると、計算していることが嫌味になりません。素の顔を知っている相手を一人置くと、二つの顔が生きてきます。
- よくある形
- 好きな相手の前でだけ道に迷う子/配信やステージでだけ、ゆるいキャラになる人/もめごとが起きそうな時に、わざとずれたことを言って場を和ませる人/できると知られたくなくて、何も知らないふりをする人
- 外すなら
- 装っているうちに本当に抜けてきて、本人も自分がどちらなのか分からなくなる形にする。または、周りが全員気づいていて、気づかないふりをして付き合ってくれている形にする
- 気をつけたいこと
- 「女の子はこうすればモテる」という理由だけで装わせないこと。なぜしっかりしている自分を隠したいのかを一つ決めると、その人自身の顔が見えてきます
1表の顔人前・ふだん
「えっ、これってボタン二回押すんですか? ごめんなさい、私こういうの全然だめで」
新しく入った職場で、気になる先輩の隣に立ち、コピー機の前で首をかしげて
2ほころび素が一瞬見える
「その数字、先月と合わないですよ。三行目……あ、いえ、なんとなく、です」
会議の資料をのぞきこんだ瞬間、思わず口に出してから笑ってごまかして
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「できる人だと思われると、頼られるでしょ。頼られたら、断れないの。昔からそれで、いつも最後まで残ってた」
昼休みの屋上で、学生時代からの友人にだけ、紙パックのお茶を手にして
4独りの時誰にも見せない本音
「ボタン二回で止まってみせるのに、三回練習した。帰りの手帳は、明日の段取り十二行」
帰りの電車で、明日の段取りを手帳に細かく書きこみながら
男性の養殖キャラ
男性の養殖は、抜けたふりで周りを油断させる切れ者として描かれることが多い形です。とぼけた返事、知らないふり、子どもっぽい言い方で相手の警戒を解き、その間に必要なことを全部済ませてしまう。ふりをやめた一瞬の目つきの変化が見せ場になります。
- よくある形
- やる気のない顔で、実は誰より状況を読んでいる人/子どものふりで大人を真相に導く少年/何も知らないふりで、相手にしゃべらせてしまう人/ぼんやりしているのに、大事な場面だけは外さない人
- 外すなら
- 抜けたふりをしていたら、本当の抜けた失敗をして、周りに本気で心配される形にする。または、ふりを見抜いた相手にだけ、とぼけた顔のまま本音を話す形にする
- 気をつけたいこと
- 抜けたふりを、相手を見下す手段としてだけ描かないこと。なぜ侮られたほうが都合がいいのか、守りたいものを一つ決めると、ずるさが頼もしさに変わります
1表の顔人前・ふだん
「え、俺ですか? 難しい話はちょっと。それより、この部屋の時計、遅れてません?」
取り調べの部屋で、相手の質問をはぐらかし、壁の時計を指さして
2ほころび素が一瞬見える
「三時十分。あなたがさっき、そこにいたって言った時間ですよね」
時計を見たまま、声の調子だけ変えずに、相手のほうへ向き直って
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「時計が遅れてるって言った時、あいつの目が動いた。ばかな顔のまま、あそこまで見える。便利だろ」
帰り道の車の中で、長いつきあいの相棒にだけ、窓の外を見ながら
4独りの時誰にも見せない本音
「本気で考えてるところを見られたら、たぶん、怖がられるんだろうな」
夜の部屋で、事件の資料を床一面に広げ、一枚ずつ並べ替えながら
女性向け作品の養殖キャラ
女性向けでは、ふだんはぼんやりした年下や、とぼけてばかりいる先輩が、主人公が困った時にだけ鋭くなる形が人気です。抜けて見えるのは主人公以外の前だけで、主人公にだけ本当の顔を見せる。または逆に、主人公の前でだけ頼りないふりをして、世話を焼かせようとする。どちらも「自分にだけ」がかぎです。
- よくある形
- 何も考えていないように見えて、主人公の変化にいちばん先に気づく人/主人公の前でだけ、わざと忘れ物をする年下/とぼけた先輩が、主人公を守る時だけ別人になる/抜けたふりで、主人公の悩みを周りに知られずに片づける人
- 外すなら
- 主人公のほうが彼のふりを最初から見抜いていて、黙って付き合っている形にする。または、ふりをやめて本気で話した時に、主人公が「いつもの話し方のほうがいい」と言う形にする
- 気をつけたいこと
- 主人公をだまして試すために装わせないこと。装う理由が主人公を守るためか、近くにいたいためかを決めると、計算が好意として伝わります
1表の顔人前・ふだん
「先輩、また鍵どこに置いたか忘れちゃって。一緒に探してくれません?」
放課後の部室の前で、ポケットを裏返してみせながら、主人公に笑いかけて
2ほころび素が一瞬見える
「あ、鍵ありました。最初から、こっちのポケットに。……先輩、今日元気なかったから」
二人で廊下を一周したあと、鍵を取り出して、少し目をそらして
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「鍵、今まで十四回なくしました。全部、同じポケットに入ってました。先輩、数えてなかったでしょ」
夕方の誰もいない教室で、主人公の机に腰かけて、正面から目を合わせて
4独りの時誰にも見せない本音
「しっかりした俺を見せたら、先輩はもう振り返ってくれない気がする」
帰り道、主人公の背中が角を曲がるまで見送ってから、ポケットの鍵を握って
男性向け作品の養殖キャラ
男性向けでは、主人公の前でだけ天然になる子と、ゆるふわに見えて実は切れ者の子が中心です。主人公は抜けたところを放っておけずに世話を焼き、あとで全部分かっていたと知って驚く。だまされたのに嫌な気がしない、という落差がかわいさになります。
- よくある形
- 主人公にだけ簡単なことを聞いてくる同級生/のんびりした口調で、裏では全部の段取りを済ませている子/主人公の前では失敗ばかりなのに、試験では学年上位の子/わざととぼけて、主人公の秘密を守ってくれる子
- 外すなら
- 主人公に見抜かれたあと、二人だけの時は素で話すようになる形にする。または、主人公のほうが本物の天然で、彼女の計算が毎回空振りする形にする
- 気をつけたいこと
- 計算していることを、女の子のずるさとしてだけ描かないこと。装う理由と、見抜かれた時の照れ方を決めると、主人公との距離が縮まる物語になります
1表の顔人前・ふだん
「ねえ、この問題の答えって、三角形でいいんだっけ? ちがう? えへへ、教えて」
休み時間の教室で、主人公の机にノートを置き、のぞきこんで
2ほころび素が一瞬見える
「……そこ、符号が逆。あっ、今のなし。たまたま、たまたまだから」
主人公の解き方を横で見ていて、つい口を挟み、両手で口を押さえて
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「三角形の問題、本当は中学で解いてた。あれ聞いた日から、君と二十回話した。数えてたの」
試験の結果が貼り出された廊下で、上位の欄に自分の名前を見つけられたあと
4独りの時誰にも見せない本音
「ノート、一問目から全部正解だったのに、君の字で解き方が書いてある。明日から、何を聞けばいいんだろ」
夜の部屋で、主人公に教わった問題のノートを、最初のページからめくって
養殖を書く時のコツと避けたいこと
コツ
- 装う理由を一つ決める:好かれたい、頼られたくない、油断させたい、能力を隠したい。理由が決まると、どの場面で装うかも自然に決まります
- 素に戻る場所を作る:一人の時、同性の友達の前、昔からの相棒の前。素の顔を知っている人がいると、表の顔が演技だと読む人に伝わります
- ほころびを小さく見せる:数字の間違いに気づく、言い直す、目つきが一瞬変わる。大きく明かすより、小さなほころびを重ねるほうが効きます
- 見抜く人を決める:誰が、いつ、どうやって気づくのか。見抜かれた時の反応が、その人の本当の性格を見せてくれます
見抜かれた時の反応で変わる見え方
| 見抜かれた時の反応 | どう見えるか | 揺らす出来事 |
|---|---|---|
| とぼけ続ける | したたか、つかめない | 本当の失敗をして、本気で心配される |
| あっさり認める | 潔い、頼もしい | 認めたあとも、相手が態度を変えない |
| 照れて慌てる | かわいい、憎めない | 相手に「前から知ってた」と言われる |
| 開き直る | 強い、少し怖い | 装う理由を、相手に言い当てられる |
| 泣きそうになる | 切ない、守りたくなる | 素の自分を、そのまま受け入れられる |
避けたいこと
- 養殖を、同性から嫌われる悪役としてだけ描くこと。装う理由に寄り添う場面を一つ入れると、人物として好かれます
- 本当に困る場面でまで抜けたふりを続けさせること。周りが本気で困っているのに装い続けると、ずるさだけが残ります
- 「首をかしげる」「舌を出す」など、古くなった仕草だけで養殖を表すこと。仕草より、言い直しや目つきの変化で見せるほうが今の読み手に伝わります
- 実在の作品の養殖キャラの決め台詞や口ぐせを、そのまま借りること。とぼけ方は、その人が装う理由から作ります
養殖に合う口調・組み合わせやすい属性
合う口振(口振カルテへ)
養殖は表と裏の属性なので、口振は「表の顔をどんな話し方で作るか」と「素に戻った時の話し方」の組み合わせで選びます。ふわっとした天然の話し方の裏に、冷静な話し方や腹黒い話し方を隠すと、ほころびが効きます。
組み合わせやすい属性
養殖にあざといを重ねると、抜けたふりが見抜かれても「うまい」と許される、かわいげのある計算家に。猫かぶりを重ねれば、抜けたふりとおとなしいふりを使い分ける、二重に装う人になります。腹黒を重ねると、とぼけた顔のまま人を動かす策士に、隠れ努力家を重ねると、抜けて見せながら裏で誰より準備している人になります。二面性を重ねれば、表の顔と素の顔の落差が大きい人に。苦労人を重ねると、場を丸く収めるためにとぼけ役を引き受けている人になります。
ぶつかりやすい属性(あえて使うと面白い)
本物の天然や素直クールは、養殖とぶつかりやすい属性です。一人に重ねるより、関係性で並べると引き立ちます。天然の相手には計算がまったく通じず、素直クールの相手には「分かってるくせに」とあっさり言い当てられる。装うのをやめるきっかけは、たいていこういう相手が作ります。
養殖の歴史
わざと抜けたふりをする人物は昔からいますが、天然を装う人を「養殖」と呼ぶ言い方は、ここ十数年で広まったものです。ここでは、主な出来事をまとめます。
年表を開く
かわいこぶる人を指す「ぶりっ子」が、少年漫画から生まれたとされます。それまでは、知っているのに知らないふりをする人を「かまとと」と呼んでいました。
「ぶりっ子」がお笑いのギャグをきっかけに流行語になります。わざとらしく装う人を一言で呼ぶ言葉が、日常に定着しました。
子どもの姿になった高校生探偵が、無邪気なふりで大人を真相へ導く漫画の連載が始まります。抜けたふりで周りを油断させる主人公の、もっとも知られた例になりました。
自称「17歳」のゆるい設定を名乗るアイドルが登場するゲームが始まります。仕事として作ったキャラと、ときどきのぞく素の顔の両方が愛されるようになりました。
男性への調査記事の自由回答に、自称天然の多くは計算で天然を演じているだけ、「いわば養殖」という声が載ります。天然を魚にたとえる言い方が、すでに使われていたことが分かります。
女性向けのメディアで「本物の天然」の見分け方や、「養殖行動」をそのまま見出しにした記事が出るようになります。
「あざとかわいい」がほめ言葉にも近い使われ方を始めます。計算そのものを楽しむ見方が広がり、養殖との違いが語られるようになりました。
天然女子と養殖女子の見分け方を並べる記事が定番の題材になり、「実はしっかり者」「周りをよく観察している」という養殖の素の顔にも目が向けられるようになっています。
今の養殖のイメージ
- ふだんの会話では悪口:「養殖でしょ」は、相手の天然を疑う時の言い方として使われることがほとんどです
- 見分け方はほぼ決まっている:自分で天然と言う、言われると喜ぶ、気になる相手の前でだけ出る、一人の時は素に戻る。この四つが、養殖を見抜く目安になっています
- 受け止め方は半々:わざとらしいかわいさを好ましく思う人と、苦手な人は、ほぼ半々に分かれます
- 「実はしっかり者」への注目:周りをよく見ている、大きな失敗はしない、空気を読んで人を立てる。養殖の素の顔に、頭の回転の速さを見る見方が広がっています
- 創作では魅力の一つ:抜けたふりで周りを油断させる切れ者や、仕事でキャラを作るアイドルのように、装うこと自体が見どころとして愛されています
- あざといとの住み分け:計算が見えて許されるのがあざとい、計算を隠しているのが養殖。見抜かれた瞬間に、養殖があざといに変わることもあります
よくある質問
養殖とはどういう意味ですか?
本当は分かっているのに、わざと天然らしく抜けたふりをする人のことです。天然ボケの「天然」を魚の天然物に見立て、その反対の「養殖」を当てた言葉遊びで、「養殖天然」「計算天然」「ニセ天然」とも呼ばれます。
天然と養殖の違いは何ですか?
いちばんの違いは自覚があるかどうかです。天然は自分のずれに気づいていない人で、誰の前でも同じように抜けています。養殖は抜けて見えるように振る舞っている人で、相手や場面によって天然が出たり消えたりします。
養殖とあざといの違いは何ですか?
あざといは、計算が見えていることそのものを指す言葉で、見抜かれても「かわいい」と許されることがあります。養殖は、計算を隠して天然らしく見せている人です。養殖が見抜かれても好かれていれば、あざといに近づきます。
養殖とぶりっ子の違いは何ですか?
ぶりっ子は、かわいさや幼さをわざとらしく前に出す人です。養殖は、しっかりしている自分を低く見せて、抜けている人を装います。装うものが「かわいさ」か「抜け」かで分かれます。
養殖キャラは嫌われませんか?
装う理由が見えないと、ずるい人に見えやすくなります。本当に困る場面では装うのをやめる、装いで誰かを傷つけない、の二つを守ると、抜けたふりが愛嬌として受け取られます。
養殖キャラを魅力的に書くコツは?
装う理由を一つ決め、素に戻る場所と、見抜く人を用意することです。ほころびは大きく明かすより、言い直しや目つきの変化のような小さなものを重ねると、読む人が二つの顔に気づく楽しさが生まれます。
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参考にした資料
- コトバンク「天然」(デジタル大辞泉:俗に、意図せずとぼけた言動をする人。天然ぼけから)
- コトバンク「養殖」(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典)
- Weblio辞書「養殖天然」(実用日本語表現辞典:ありのままに見せて、実は外の目を意識した人為的な姿)
- Wikipedia(日本語版)「天然ボケ」(ニセ天然・エセ天然・計画ボケ・養殖、意図の有無で分かれる)
- pixiv百科事典「天然ボケ」(計算して天然を装う人の呼び方)
- Wikipedia(日本語版)「ぶりっ子」(1978〜1980年に漫画から生まれ、1981年に流行語に。以前は「かまとと」)
- TV Tropes「Obfuscating Stupidity / Anime & Manga」(侮らせるために抜けたふりをする)
- TV Tropes「The Fake Cutie」(かわいい演技で知性や本心を隠す)
- マイナビニュース「男性52%が”天然”な女性好き」(2014年1月12日。独身男性200人、自由回答に「いわば養殖」)
- モデルプレス「男性に嫌われてしまう”養殖行動”5つ」(2017年4月6日)
- Smartlog「天然キャラな女性の特徴」(2024年5月7日。本物の天然とキャラの見分け方)
- Smartlog「養殖女子と天然女子の特徴&見分け方」(2025年1月30日。実はしっかり者、周りを観察している)
- @DIME「天然」とはどういう性格や行動をとる人を指す?(2024年7月27日。特定の人の前だけ天然になるのは装っている可能性)
- 財経新聞(マッチングアプリ大学)男性196人に聞いたぶりっ子の特徴と本音(2023年10月。かわいい48.0%、苦手52.0%)
- Oggi「『あざとい』とは褒め言葉?【100人に聞いた】」(2025年12月30日。あざとい・ぶりっ子・天然を装う人の違い)
- Wikipedia(日本語版)「江戸川コナン」(子どものふりで推理を伝え、知識を見せるとごまかす)
- Wikipedia(日本語版)「灰原哀」(基本は子どもを演じないが、嘘泣きは上手)
- Wikipedia(日本語版)「【推しの子】」(MEMちょ:一見ゆるふわだが冷静で判断力の高い切れ者)
- Wikipedia(日本語版)「薬屋のひとりごと」(猫猫:無能を装い、目立たぬように勤める)
- Wikipedia(日本語版)「アイドルマスター シンデレラガールズの登場人物」(安部菜々:自称ウサミン星人、17歳とは思えない発言)
- 『学園アイドルマスター』公式サイト 藤田ことね
- ファミ通 藤田ことね役 飯田ヒカルさんインタビュー(猫被りで素は口が悪い、かわいこぶるのではなく楽しむ姿がかわいさに)

