サザノノ 性分帖。 > 立ち位置 > 黒幕
黒幕キャラとは、表には出ずに、陰で人や出来事を思いどおりに動かしている人物のことです。
要点
- もとは歌舞伎の言葉。舞台を隠す黒い幕のことで、観客には見えないという約束から「陰で操る人」の意味になりました
- 見分ける条件は3つ。表に出ていない・目的があってわざと動かしている・自分ではなく他人を動かす
- ラスボスは「最後に立ちはだかる敵」という役割、黒幕は「陰で操っている」という立ち位置です。両方を兼ねることも、兼ねないこともあります
- 悪役だけでなく、誰かを守るために陰で動く味方の黒幕も、根強い人気があります
見出しの一覧
黒幕の意味と語源
黒幕は、もともと歌舞伎の大道具の名前です。全体を黒く染めた木綿の幕で、夜の場面を表したり、場面転換の時に舞台を隠したり、死んだ役の人物を隠したりするのに使われました。
黒衣(くろご)と同じように「観客には見えないもの」という約束があったことから、やがて表には出ずに、陰で人や事件を操る人を指すようになりました。辞書では「表立たず、指図や策略を巡らす人」と説明され、「政界の黒幕」のような使い方が載っています。
キャラクター属性としての黒幕は、物語の終盤で正体が明かされる仕掛けと強く結びついています。「まさかこの人が」という驚きと、振り返ると全部の場面がつながって見える快感が、この型の魅力の中心です。
黒幕キャラかどうかの見分け方
「悪役」や「頭のいいキャラ」が全部黒幕になるわけではありません。黒幕と呼べるのは、次の3つがそろった時です。
- 表に出ていない:周りからは、ただの味方、脇役、目立たない人、あるいは別の顔で見られている
- 目的があって、わざと動かしている:偶然そうなったのではなく、自分の狙いのために出来事を仕組んでいる
- 自分ではなく、他人を動かす:直接手を下すより、人に情報を渡す、選ばせる、ぶつけ合わせるといった形で事を進める
ラスボス・腹黒・策士との違い
いちばん混ざりやすいのはラスボスです。ラスボスは物語の中での役割、黒幕は立ち位置と動き方を表す言葉なので、黒幕がラスボスを兼ねることもあれば、ラスボスの後ろにさらに黒幕がいることもあります。
黒幕の型
同じ黒幕でも、どんな顔で隠れているか、何のために動いているかで、印象が大きく変わります。
主人公が最も信頼していた師匠、親友、上司が、実はすべてを仕組んでいた型です。明かされた時の衝撃がいちばん大きくなります。
側近、使用人、情報屋、物静かなクラスメイト。誰も気に留めていなかった人物が、実は盤面全体を動かしていた型です。
世界を救うため、正しい秩序のため、と信じて陰で人を動かす型です。やり方は冷酷でも、目的には一理あり、主人公を迷わせます。
大切な誰かを守るために、陰で情報を集め、出来事を動かしている型です。表ではわざと軽く、自分勝手に見せていることも多く、明るいのに闇深いキャラにもつながります。
退屈しのぎや、人が動くのを見るのが面白いから仕組む型です。目的が読めないぶん、底知れない怖さがあります。
黒幕キャラの作り方と台詞例
同じ黒幕でも、キャラの性別や、誰に向けた作品かで「心が動くポイント」が変わります。4つの向きごとに、よくある形と、外し方、台詞例をまとめました。
台詞は「心の距離」の順に4段階で並べています。表の顔 → ほころび(素が一瞬見える)→ 信頼した相手だけ → 独りの時。黒幕では、「ほころび」の段で、知っているはずのないことを知っている、予想していた顔をする、といった小さな違和感を書いています。話し方は口振カルテで調整できます。
下に行くほど心の距離が近づきます。同じ人物の4つの顔として読んでください。
自分のキャラクターの顔を置くと、下の台詞をその子が話しているように読めます。
性分帖の台詞は、自分で作ったキャラクターにどんな口調や性格が合うかを確かめるためのものです。画像と名前はこの端末にだけ保存され、ほかの属性のページでも同じ子が出ます。
ドラッグで位置を動かせます
女性の黒幕キャラ
穏やかで控えめな側近、誰にでも優しい聖女、気の利く秘書。周りに警戒されにくい立場から、静かに盤面を動かす形が多いタイプです。柔らかな物腰と、正体が明かされた時の冷静さの差が魅力になります。
- よくある形
- 王女に仕える物静かな侍女/誰からも慕われる聖女/社長の右腕として目立たずにいる秘書/いつも聞き役に回っているクラスの相談役
- 外すなら
- 彼女が操っていたのが、実は主人公を勝たせるためだった形にする。または、黒幕であることを最初から明かし、それでも止められない、という形にする
- 気をつけたいこと
- 「女性は裏で操るもの」という決めつけにならないように、彼女の目的と、その目的を持つに至った理由を書きます。理由があると、恐ろしさに説得力が出ます
1表の顔人前・ふだん
「皆さま、お茶が入りましたよ。少し休憩にいたしましょう」
張りつめた会議の席に、静かにカップを置いていく
2ほころび素が一瞬見える
「あら、その話はどちらで? ……いえ、少し気になっただけです」
誰も知らないはずの話題が出た瞬間、手が止まる
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「ええ、全部私が仕組みました。あなたにだけは、私の口から知ってほしかったの」
真相にたどり着いた相手を、逃げずに待っていて
4独りの時誰にも見せない本音
「駒はそろった。あとは、あの人が自分で決めたつもりで動いてくれるだけ」
誰もいない書斎で、地図の上の小さな駒をひとつ進めて
男性の黒幕キャラ
のんびりした上司、ひょうひょうとした教師、人のいい情報屋。何も考えていないように見せながら、誰より先を読んでいる形が多いタイプです。終盤に見せる鋭さと、それまでのとぼけた顔の落差が見せ場になります。
- よくある形
- 昼行灯と呼ばれる部隊長/主人公を導いてきた師匠/いつも笑っている情報屋/事件のたびに居合わせる穏やかな教師
- 外すなら
- 彼の計画が、主人公という予想外の一手で崩れる形にする。または、彼自身もさらに大きな誰かに操られていた、という形にする
- 気をつけたいこと
- 何でも読み通す万能の存在にしすぎないこと。計画が狂って焦る場面が一度あると、人間らしさと緊張感が生まれます
1表の顔人前・ふだん
「いやあ、困ったねえ。僕にはさっぱり分からないよ」
事件の報告を聞きながら、のんびりお茶をすすって
2ほころび素が一瞬見える
「……そう来たか。思ったより早かったな」
部下が出ていったあと、ほんの一瞬だけ口元が動く
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「君を選んだのは偶然じゃない。最初から、君にここまでたどり着いてほしかったんだ」
すべてを見抜いた弟子と、二人きりで向き合って
4独りの時誰にも見せない本音
「あと三手。誰にも気づかれないまま、終わらせる」
夜の執務室で、焼き捨てる手紙を一通ずつ選びながら
女性向け作品の男性黒幕
女性向けでは、「黒幕王子」のように、物語の黒幕でありながら主人公にだけ特別な感情を向ける男性が人気です。世界を思いどおりに動かせる人が、主人公のことだけは思いどおりにできない。その揺らぎにときめきが生まれます。
- よくある形
- 穏やかな笑顔の王子が、実は王宮の陰謀を動かしている/主人公を助けてくれた恩人が、事件の仕掛け人だった/主人公を守るために裏で情報を操る幼なじみ/敵組織を裏から動かす上司
- 外すなら
- 彼の計画の中で、主人公だけが一度も駒にならなかった形にする。または、主人公が彼の計画を見抜き、対等な相手として向き合う形にする
- 気をつけたいこと
- 主人公の行動や人間関係まで操って「お前のため」とする描き方は、支配に見えやすくなります。最後に選ぶのは主人公自身、という線を残すと、安心して心を預けられます
1表の顔人前・ふだん
「大丈夫、君は何も心配しなくていい。困ったことがあったら、いつでもおいで」
騒ぎの起きた夜会で、主人公の肩にそっと上着をかけて
2ほころび素が一瞬見える
「……誰に聞いた? ああ、責めてるんじゃないよ。少し驚いただけ」
主人公が陰謀の噂を口にした瞬間、笑顔が一拍遅れる
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「全部、俺が動かしてた。君を危ない場所から遠ざけるためにね。……軽蔑したなら、そう言っていい」
真相を知った主人公の前で、初めて笑うのをやめて
4独りの時誰にも見せない本音
「計画の中で、あの子だけは駒にできなかった。……それが、いちばんの誤算だ」
盤上の白い駒をひとつ、指先でそっと外して
男性向け作品の女性黒幕
男性向けでは、主人公に近づいてきた謎めいたヒロインや、いつも隣にいた幼なじみが、実は事件の黒幕だった、という形が定番です。どこまでが計画で、どこからが本心だったのか。その答えが、物語の最大の見どころになります。
- よくある形
- 主人公を事件に巻き込んだ転校生/何でも知っている生徒会長/主人公を導く謎の少女/いつも明るく隣にいた幼なじみ
- 外すなら
- 彼女が黒幕として仕組んでいたのが、主人公を救うための筋書きだった形にする。または、主人公も彼女の正体に気づいていて、知らないふりで付き合っていた形にする
- 気をつけたいこと
- 「やっぱり女は信用できない」という落とし方にしないこと。計画と本心の両方を彼女の中に置くと、裏切りではなく、彼女の物語として残ります
1表の顔人前・ふだん
「ねえ、今日の放課後ひま? ちょっと付き合ってほしいところがあるの」
主人公の机に腰かけて、いたずらっぽく笑う
2ほころび素が一瞬見える
「ふふ、君ってほんとに素直だよね。……だから選んだんだけど」
最後の一言だけ、聞こえないくらいの声で
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「最初に近づいたのは、計画のため。でも、今ここにいるのは、計画じゃないよ」
正体が知られた屋上で、逃げずに主人公を見つめて
4独りの時誰にも見せない本音
「この盤面の最後に、あの人が笑ってるならいい。私の名前は、どこにも残らなくても」
誰もいない教室で、黒板の計画図を消しながら
黒幕を書く時のコツと避けたいこと
コツ
- 目的を一つ決める:何のために仕組んでいるのか。復讐、大義、誰かを守る、退屈しのぎ。目的が決まると、すべての行動に筋が通ります
- 表の顔に、正体の手がかりを置く:知っているはずのないことを知っている、事件のたびに近くにいる、予想していたような顔をする。読み返した時に「最初から怪しかった」と気づける手がかりを、さりげなく散らします
- 誰を、どう動かしているかを図にしておく:誰に何を伝え、誰と誰をぶつけたのか。作者が盤面を把握しておくと、正体が明かされた時に説明がすっきりします
- 計画が狂う一手を用意する:主人公の予想外の行動、誰かの裏切り、黒幕自身の情。完璧な計画が崩れる瞬間が、物語の山場になります
避けたいこと
- 何の伏線もないまま、終盤で突然「実は黒幕でした」とすること。驚きより、置いていかれた感じが残ります
- 動機を最後まで説明しないこと。分からない怖さを狙う場合も、読み手が想像できる手がかりは残します
- 黒幕を賢く見せるために、周りの人物を不自然に愚かにすること
- 正体が明かされたとたん、性格まで別人のようにしてしまうこと。表の顔の中にも、本当のその人の一部が混ざっていた、と描くと深みが出ます
黒幕に合う口調・組み合わせやすい属性
合う口振(口振カルテへ)
黒幕は、表の顔の口振と、正体を明かした時の口振を分けておくと、明かされる瞬間の衝撃が大きくなります。
組み合わせやすい属性
誰かを守るために陰で動く黒幕を、表では明るく自分勝手な顔で隠すと、組み合わせページ明るいのに闇深いの「深い形」になります。
ぶつかりやすい属性(あえて使うと面白い)
天然は、計算や隠しごとと縁遠い属性なので、黒幕と一人に重ねるのは難しい組み合わせです。ただし関係性で並べると、天然の何気ない一言や行動が、黒幕の完璧な計画を偶然崩してしまう、という強い組み合わせになります。
「黒幕」という言葉の歴史
黒幕は、歌舞伎の舞台道具から生まれ、政治の世界を経て、物語のキャラクターを指す言葉になりました。ここでは、辞書や百科事典で確かめられた流れをまとめます。
年表を開く
歌舞伎の黒い幕を指す「黒幕」の用例が、洒落本『辰巳婦言』に見られます。黒幕は夜の場面や場面転換、死んだ役を隠すのに使われ、黒衣と同じく「観客には見えない」という約束がありました。
『朝野新聞』に、陰で物事を動かす人という比喩の「黒幕」が出てきます。『日本国語大辞典』が挙げる、比喩の意味での用例です。
表の役職を持たない人物が、圧力や助言で政治を動かす状態は「黒幕政治」と呼ばれました。維新の元勲たちが国策に関わった会合は「黒幕会議」と呼ばれたと、百科事典に記されています。
ミステリーやバトル作品では、終盤に正体を明かす大ボス的な立ち位置として定着しました。英語圏の創作でも、人を駒のように動かして計画を進める人物や、ボスの後ろにいる真の首謀者は、定番の型です。
悪役だけでなく、恋愛の相手役としての黒幕も描かれるようになりました。女性向けの小説や漫画では「黒幕王子」のような言葉がタイトルに使われる作品もあります。
今の黒幕のイメージ
- 「まさかこの人が」の驚き:黒幕の正体は作品の核心に関わることが多く、ネタバレに注意が必要な属性とされています。いちばん信頼されていた人物ほど、明かされた時の衝撃が大きくなります
- 強さはさまざま:隠された圧倒的な力を持つ黒幕もいれば、正体がばれるとあっさり退場する黒幕もいます。強さより、頭の回転と立ち位置で魅せる属性です
- あえて黒幕を演じる人:もっと大きな敵を倒すために、わざと黒幕の役を引き受ける人物も描かれます。悪役に見えて実は味方、という形は、自己犠牲とも重なります
- 恋愛の相手役としての黒幕:何でも思いどおりにできる人が、一人の相手にだけは思いどおりにならない。その揺らぎが、女性向けを中心に好まれています
よくある質問
黒幕の意味と語源は?
「くろまく」と読みます。表には出ずに、陰で人や出来事を操る人物のことです。もとは歌舞伎で舞台を隠したり夜を表したりする黒い幕のことで、観客には見えないという約束から、陰で操る人の意味になりました。
黒幕とラスボスの違いは何ですか?
ラスボスは、物語の最後に立ちはだかる敵という役割です。黒幕は、表に出ずに陰で出来事を動かしているという立ち位置です。黒幕がラスボスを兼ねることもあれば、ラスボスの後ろにさらに黒幕がいることもあります。
黒幕と腹黒の違いは何ですか?
腹黒は、感じのいい表の顔の裏で、自分の得のために計算している性格です。黒幕は、陰で人や出来事を動かしている立ち位置のことで、物語全体を動かす規模になることが多い点が違います。腹黒な黒幕もよく描かれます。
黒幕と全ての元凶の違いは何ですか?
全ての元凶は、本人にそのつもりがなかった場合も含めて、すべての原因になった人物を指します。黒幕は、何かの目的のために、わざと出来事を仕組んでいる人物です。全ての元凶は全ての元凶のページで詳しく扱っています。
味方の黒幕キャラはありですか?
あります。大切な人を守るため、もっと大きな敵を倒すために、陰で情報を集めて出来事を動かす味方の黒幕は、根強い人気があります。表ではわざと軽く見せていることも多い型です。
黒幕は英語で何と言いますか?
現実の世界では「mastermind」や「wirepuller」がよく使われます。創作では、人を駒のように動かす人物を「Chessmaster」、ボスの後ろにいる真の首謀者を「The Man Behind the Man」と呼びます。
次に読む
参考にした資料
- コトバンク「黒幕」(デジタル大辞泉・日本国語大辞典の語釈と1798年・1892年の用例、世界大百科事典の黒幕政治、日本大百科全書の歌舞伎の黒幕)
- pixiv百科事典「黒幕」(物語上の役割、強さのパターン、全ての元凶との違い、ネタバレへの注意)
- KADOKAWA『死体役令嬢に転生したら黒幕王子に執着されちゃいました』(女性向け作品のタイトルでの「黒幕王子」の例)
- TV Tropes「Chessmaster」(英語圏での型の整理)

