シナリオ執筆の為、更新停滞気味です

遊び心のある現実逃避の話:Aとその備忘録、小説寄りの独白チャットノベル

この物語はフィクションであり、伝統や伝説とは異なる内容も多く描いています。

目を開けた瞬間、私は緑豊かな園の中にいた。


目の前に広がる美しい風景は、
未知でありながらもどこか懐かしさを感じさせるものであった。

私の頭の中はまだ混沌としていた。

私はここがどこで、自分が何者なのか、
何のためにここにいるのか、すべてが分からなかった。

だが、その混乱の中でも、一つだけ確かなことがあった。

それは、この場所が特別であり、
私がここに存在することに意味があるという感覚だった。

その時、私の耳に優しく温かな声が響いた。

■■、ここはあなたのための場所。
楽しみ、愛を感じながら、楽しく暮らすように。

この声の主は見えなかったが、
声の中には無限の愛と慈悲が込められていた。

私はその声に包まれると、
自分が「■■」という存在であること、
そして新しく生まれた存在であることを、
漠然とではあるが確かに知覚した。

…私は■■、分かった。
他は何も分からないが、

はは、そうかも知れない

貴方が優しくて、
温かな声であるのは
伝わってくる

そうだね、愛し子よ
ここで楽しく暮らすと良い


分かった

私は深く呼吸をし、園の香りを感じながら、
新しい人生の始まりを心から喜び、
園の中での新たな冒険に胸を躍らせた。

では、私から
早速のプレゼントだ

太陽の光が園に満ち、風が木々を揺らす中、

新しい生命が次々と私の前に現れた。

彼らはそれぞれ異なる形、色、声を持っており、
私は彼らを見るたびに新たな驚きと喜びを感じていた。

これが、君の遊び相手だ

名前は何と言うんだ?

動物、というよ

そうか!
動物は遊び相手?だな

色とりどりの鳥、草食動物、野生の獣たち。

彼らの暖かさ、彼らの呼吸、そして彼らの瞳に映る純粋な好奇心。

私は彼らと共に楽園を探検し、彼らの生態や行動を観察することに夢中になった。

しかし、

時が経つにつれ、私は深い孤独を感じるようになった。

見てくれ!
この花が綺麗な色をしている!

そうだな、
悪かった

彼らは私と共にいることで
安らぎや喜びをもたらしてくれる存在だった。


ただ、彼らとのコミュニケーションは言葉ではなく、
感情や触れ合いによってのみ成り立っていた。


彼らの声や行動には意味があり、私もそれを感じ取ることができた。

しかし、彼らと深い対話をすること、
彼らの心の中を理解することはできなかった。

彼らと共にいることで得られる喜びと安らぎは
計り知れないものであったが、


それでも私の心の奥底には、
言葉で意思を伝え合える存在への深い渇望があった。

私は園の中で、彼らしい微かな足音を感じた。
私にとって、最も親しみやすい存在、それが父だった。

彼の姿は見えないが、その存在感はどこにいても感じられる。
彼の周りは、いつも暖かな光と穏やかな風が吹いている。

「■■、」と父が呼ぶ声は、温かくて柔らかい。

それは、私の心の奥まで響いてきた。

私は彼の声のする方へと歩みを進めると、

彼の近くで土を成型しているのを見た。

その土の上には、私の姿に似た、
まだ生命の宿っていない女性の形があった。

父は私に向かって微笑みながら言った。

✕✕✕、
これは君のために作ろう、
新しい伴侶だ

私はその姿を見つめ、驚きと興奮で目を輝かせた。

私の心の中は、希望と期待で一杯になっていた。

✕✕✕、彼女の名前を聞いたとき、
私は初めて人としての寂しさを感じていたことに気づいた。

その寂しさが、彼女の存在によって
少し和らぐことを願っていた。

父は優しく土の女性の顔に手を当て、彼女に生命を吹き込んだ。

彼女の身体が動き出し、その瞳がゆっくりと開いた。

その瞳は私を好奇心溢れる視線で見つめていた。

彼女は✕✕✕だ。

あなたが■■?

彼女は私の名を呼ぶ。

その声は、初めて耳にするにはやたらと馴染みのあるもののようで、
心のどこかがほっとする。

彼女の瞳は好奇心に満ち溢れていて、
その中には私への興味と、
新しい生を受け入れる勇気が宿っていた。

そうだ、私は■■。
そして、君は✕✕✕だね。

私は答えると、彼女は軽く頷いた。

父が私に語ってくれた、初めての人。
君のことをたくさん聞いてきたわ。

彼女の瞳は、私の心の奥まで見ているかのようだった。

私は少し緊張して言葉を探った。

私も父から君のことを聞いた。
君が来ることで、
もっと楽しくなるんだろうと思っている。

彼女は微笑んで言った。

ありがとう、■■。

この世界を一緒に探検して、
新しいことを発見しよう

ありがとう、そうだな。
新しくて、楽しいことをしよう

私たちはすぐに深い絆で結ばれるようになった。


彼女の笑顔、彼女の声、彼女との会話
…全てが私の心に新しい色をもたらしてくれた。

これで孤独から、解放される

しかしその期待は次第に裏切られていくように感じた。

彼女は自由な魂を持っていた。

今日も狩りをしようかな!

私が大切にしている動物たちに対する彼女の態度は、
私が思っていたよりも冷たく距離を置いていた。

動物たちを狩りの対象としてみる彼女の姿に、
私は何度も衝撃を受けた。

彼らは私の友であり、私の心の一部であった。

これ以上動物たちを
傷つけないでくれ

彼らも私たちと同じように、
ここでの生活を楽しんでいる

私もこの生活を愛している。
そして、楽しむ権利もある

果物を食べろ
動物が怯えてしまっている

なぜ私に命じるの?
私もあなたと同じ、この園の住人!

あなたの意のままに
動く人形ではないの

私は戸惑いを隠せなかった。
私の言葉が彼女を傷つけることを意図していなかったのに、
どうしてこんなことに…。

彼女は私と同等であることを求め、
私たちは争いが絶えなかった。

命令ではない。
ただ、私の気持ちを伝えたかっただけだ。

彼女の瞳は涙で濡れていた。

私も感情がある。
私の考えや感じることを
尊重してほしい

それは理解している。
でも、動物たちとの絆を理解しーー

彼女は深く息を吸った。

もう、これ以上、
私に何かを求めないで

その言葉は切なく、決意に満ちていた。

そして、彼女は私の目の前から去って行った。

痛みを感じたのはすぐだった。

彼女の髪の香り、彼女と交わした会話、
彼女と過ごした日々の思い出が、意識の中で鮮明に再生されていく。

彼女がそばにいた頃、確かに嬉しかった。
自分と完全に等しい存在を持っていたことの喜び、安堵感。

それは、心の底から欲しかったものだった。

しかし、怖かった。

彼女に多くの拒絶をされた。

あの凛とした声が、
真っ直ぐな眼光が、強い意思が。

ーー楽しかったはずの私の世界の、
破壊者に見えてしまったんだ。

父の温かい声がする。

彼女はどうした?

つい、喧嘩をして…

……いざ居なくなると
寂しいな

…あの時にちゃんと寄り添って、
理解できていればよかった

君の後悔も、涙も、深い傷跡も
ーー全部、分かったよ

探して連れて来よう

してくれるのか?

最善は尽くそう

・・・

もう、戻って来ない、と言った

その言葉が私の耳に届いた瞬間、
私の中にとてつもない重みが沈み込んできた。


それは今まで私が経験したことのない、
言葉にできない感情だった。

私の胸が締め付けられるような痛み、
頭が霧に包まれるような混乱、
そして涙がこみ上げてくるような悲しみ。

彼女との思い出が、私の頭の中を次々と駆け巡った。

彼女の笑顔、彼女との会話、
そして私たちの間に生まれた摩擦や争い。

私は彼女との関係を修復し、
再び園で彼女と共に過ごすことを心から願っていた。

しかし、その願いが叶うことはなく、

私は彼女を失ってしまったのだ。

どうしてだ?

私は声にならない叫びを天に向けた。

しかし、この新しい感情に対して、
私はどのように表現すればいいのか、
どのように受け止めればいいのかを知らなかった。

私の心は、言葉にできない深い混乱と痛みに包まれていた。

……寂しくはないか?

……

……私はもう二度と
こんな痛みを感じたくない

彼女のような存在が
再び私の世界に入ってくること、
私を拒絶すること…そんなことは望んでいない

優しい貴方と、
そして動物たちだけで
私は十分だ。

……

……私はあなたの心の痛みを
理解しているよ

…それなら、

けれどね、私はあなたに
特別なプレゼントを考えている。

明日、目を覚ました時、
楽しみにしておいて

私の心には不安と期待が交錯していた。

この言葉にはいつも真実があり、
彼の意図や考えを疑ったことはなかった。

しかし、彼女との経験が私の心に大きな傷を残していた。

それでも、彼と動物たちに囲まれ、
私は心を落ち着かせることができた。

彼らの温かさと愛に包まれながら、
私は心の底から安堵の息を吐き出し、深い眠りについた。

深い眠りの中、突然の激痛に私は目を覚ました。

目を開けると、私の体から暗赤色の液体が
流れ出ているのを目の当たりにした。

その液体が「血」というものであることを、
何故か私は理解していた。

そして、その痛みの原因を感じることができた。
私の身体から、骨が抜き取られようとしていた。

私の目の前には、父がいた。

彼の眼差しには慈悲が溢れており、
同時に私のことを心から気遣っているような、
深い愛情を感じることができた。

しかし、その父の目と痛みとのギャップに、
私は混乱と恐怖を覚えていた。

「君の為だから、」

という父の言葉を耳にした瞬間、私は決断した。

彼に裏切られたという感覚と恐怖に駆られ、

私は全力でその場を逃げ出した。


森の中を、枝や草を踏み越えながら、

私はどこまでも走り続けた。

命からがら、
森の奥の奥まで逃げて、ようやく息をついた。

安全な場所に隠れながら、私は自分の体を確かめた。

確かに骨が抜き取られそうになった痕跡は残っていたが、
骨自体はそのままだった。

そして、その時、私は理解した。

父が私に何かをしようとしたこと、それは私のためであったはずだと。

私はその事実を拒絶し、逃げ出してしまったことを深く後悔していた。

心の中で父に謝罪を続けながら、私は涙を流していた。

その痛みは消えることはなかったが、
父と向き合い、彼の真意を理解しようと言う感情が芽生えていた。

静寂の中、異様な足音が聞こえてきた。

振り返ると、身体に布を巻いた
不思議な青年のような存在が近づいてきた。

彼の姿はまるで空気のように透明で、
実体があるのかどうかさえ判別できなかった。

感覚が鋭くなっていたのか、
彼の存在感があまりにも強烈だったのか、
その理由さえもわからなかった。

背後から、私の肌に触れる微かな気配を感じながら、
不思議な青年の声が響いた。

…これが、失敗しかけた分岐の始祖ですか

彼の声は澄んでいて、どこか物悲しい響きがあった。

彼が手を差し伸べてくると、

その手は普通の人間の手とは異なり、霞むように透明だった。

僕は名はない。
周りからは兄弟、と呼ばれている者です。

私は彼を過ぎてすぐに父の元へ助けを求めようとしたが、
彼の声が僕の足を止めた。

貴方は2回も失敗した。

1回目は彼女と共にできなかった、
2回目は眠りから
覚めた痛みから逃げ出した。

きっと、もう助けてもらえない

その言葉に、私の足は砂の中に沈んでいくように感じた。

失敗という重さ、後悔という痛み、それは私を縛りつける鎖のようだった。

父にも、裏切られるのだろうか。

父に見放されたら、果たしてどこへ行くべきなのか。
その答えを知らないまま、私はその場に固まってしまう。

僕は人類の歴史、そのものを壊したい。

だから、
君をここから連れ出します。
大丈夫、軟禁で済ますので

彼の透明な手が私の髪に触れたとき、その触れる感覚は冷たくも温かかった。

彼の手は実に奇妙で、何層にも重なった触手のようなものが、
微細に私の頭皮を撫でるように動いていた。

彼の目を直視することはできなかった。

その代わり、目の前に広がる無数の瞳が、
私を包み込むように見つめてきた。

それは、無限の寂しさと深遠なる闇、
そして、人間らしい感情を感じさせるものだった。

君さえいなければ
僕の未来は全部終わるので、
付き合って下さい

彼の声は悲痛で、彼自身の過去や失ったものに対する後悔や憤りが滲み出ていた。

私は自分の存在の重さや意味を改めて感じた。

彼が何者で、何を求めているのかは分からなかったが、
彼の目に映る私の姿は、
彼にとって何よりも大切な存在のようで、
その事実に私は心を揺さぶられた。

目の前の青年に、自分の願いを託してみる事に決めた。

君は、何処かに行ったりしないし、
裏切ったりしないんだな?

私の問いかけに、彼の呼吸の音が高まるのが聞こえた。


彼の静かだった空気が
わずかに動揺しているのを感じ取れた。

彼は一瞬の沈黙を置き、冷たく答えた。

裏切る?僕は君を利用して、
世界を壊そうとしている。

何処かに行く?裏切る?
目的が果たせないじゃないですか

私はじっと彼を見つめた。

彼の言葉から、彼自身がどれほどの苦しみや葛藤を抱えているのかを
感じ取ることができた。

そして、その苦しみは、私自身のものと似ているように思えた。

彼も私と同じように、
状況から逃れる方法を模索しているのだと理解した。

その方法がどれほど間違っていたとしても、
彼はその方法を取ることで
自分の中の空洞を埋めようとしているのだ。

しかし、私は×××との過去が頭をよぎり、
彼との新しい関係が果たしてどうなるのか不安を感じていた。

君は、狩りは好きか?

自然と私の口からその言葉がこぼれた。

私は、この青年がどのような世界を知っているのか、
彼の価値観を知りたかったのだ。

青年の反応は予想以上に鮮烈だった
彼の声が低く、重くなり、感じる空気が少し冷たくなった。

大嫌いですね。
異種を狩ろうとする
人間というもの、全てが

彼の言葉に、なぜか心がほっとする感覚がした。


異種を狩る人間たちとは、
私自身を含む人類を指しているのだろうか。

それとも、もっと違う何かを意味しているのだろうか。

その疑問はすぐに答えを
見つけることができなかったが、
彼の言葉には深い意味が隠されているように感じられた。

彼の強い気持ちに引き込まれ、私は微笑んで言った。

君が望むなら、
私を世界を滅ぶ道具でも
何でもしてくれていい。

……っ、

その言葉に透明な存在は一瞬動きを止めた。

しかし、私はそのまま続けた。

その代わり、
新しくて、楽しいことを
沢山した後でにしてくれ

彼が私の手を取る瞬間、彼の輪郭が見え始めた。

透明の霧が晴れるように、その姿は徐々に人間のような形を持ち始めた。

彼の指、彼の顔、そして彼の目。

それはまるで、人間のように感じられた。

私たち二人は驚きのあまり、互いの目をじっと見つめあった。

彼の目には、混乱と驚き、そして少しの恐れがあった。

しかし、その目には純粋な好奇心も感じられた。

僕は透明で、手すら握ったこともない。

……楽しいこと、

僕もあまり知らないので、
一緒に楽しめたら嬉しいな

その言葉には彼の長い孤独が感じられたが、
その声は少年のように明るく、無邪気だった。

私は再び彼と目を合わせ、笑顔で応えた。

さて、此処からは蛇足になる。
“最近”の話だ。

屋敷の窓から差し込む朝の陽射しは、
静かなリビングに穏やかな時間を運んできた。

厚いカーテンの隙間から漏れる光の中、
大きな木製のテーブルが聖域のようにそこに鎮座していた。

その上には、ボードゲームやTRPGのセットが並び、
私たちの冒険が繰り広げられている。

私の隣には、かつて透明だった男
――色々あって、今は少年、が座っている。

A、次のターンはどうしますか?

あの透明だった友人である彼が問いかける。

彼が今何を思っているか、は全く分からないが、
未だに足踏みをしているのだろう。

過去のことや未来のことは考えない。

今、この瞬間がすべてだと思っている。

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この記事を書いた人

今はゲームシナリオを書いている者です。
アナログゲームを嗜む脚本家、小説家、人狼もマダミスも好き。

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