サザノノ 性分帖。 > 立ち位置 > 聖女・聖者
聖女・聖者キャラとは、神や国から特別な力や役目を授かり、「人を救う人」として選ばれ、崇められるキャラクターのことです。清らかさを期待される肩書きと、本人の気持ちや素顔とのずれが、人物の見どころになります。
要点
- 辞書では「神聖な女性。とくに宗教に一生をささげた女性」。現実の聖女・聖人は、亡くなった後に教会が審査して認める称号です
- 見分ける条件は3つ。特別な力や役目で選ばれている・人を救うことを期待されている・その肩書きが周りとの関係を決めている
- 悪役令嬢とは、言葉の種類が違います。聖女は選ばれた役目の名前、悪役令嬢は物語で割り振られた悪役の名前。Web小説では、この二人が対で描かれることがよくあります
- 今は、召喚されたのに放っておかれる聖女や、偽物と言われて追放される聖女が人気です。役目を降りて、自分の幸せを選ぶ物語が増えています
※この記事は、創作上のキャラクターの型を扱っています。実在の宗教や信仰、聖人を評価するものではありません。
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聖女・聖者の意味と語源
聖女は「せいじょ」と読みます。辞書(デジタル大辞泉)では「神聖な女性。とくに宗教的な事柄に一生をささげた女性」と説明されています。日本国語大辞典には、もう一つ古い意味として、中国の歴史書に出てくる「知恵と徳にすぐれた女性」も載っています。宗教に身をささげた女性という意味では、大正のはじめ(1913年)の訳詩集に用例があります。聖者は聖人と同じ意味の言葉で、男女を問わず、信仰と徳にすぐれた人を指します。
キリスト教では、聖女や聖人は、生きている間に名乗る肩書きではありません。亡くなった後に申請があり、教会が生涯を調べ、奇跡が認められてはじめて「聖人」と宣言されます。死後数十年から数百年かかるのが普通です。一方、宗教と関係なく、慈愛に満ちた人を「聖女のような人」とほめる使い方もあります。
創作の聖女は、ここが大きく違います。生きているうちに、国や神殿から「聖女」の肩書きを与えられるのです。浄化や癒しなど、聖女にしか使えない力を持つ一人として選ばれ、国を救う役目を背負います。肩書きは与えられるものなので、取り上げることもできます。だからこそ、「偽物だ」と追放される聖女や、召喚されたのに選ばれなかった聖女の物語が生まれました。
属性としては、肩書きと役目が周りとの関係を決めるので、立ち位置の群に入れています。このページは、肩書きとしての聖女を中心に、男性の聖者・聖人も同じ重さで扱い、「聖女のような人」というほめ言葉の使い方にも触れます。
聖女・聖者キャラかどうかの見分け方
白い服を着ている、優しい、回復魔法が使える、というだけでは聖女・聖者キャラとは言えません。聖女・聖者と呼べるのは、次の3つがそろった時です。
- 特別な力や役目で選ばれている:神の加護、浄化や癒しの力、神託、召喚の儀式。生まれではなく、力や役目によって「この人だ」と決められています
- 人を救うことを期待されている:国を守る結界、病や傷を治す力、人々の心の支え。本人が望むかどうかに関わらず、救う側に立たされます
- その肩書きが周りとの関係を決めている:崇められる、利用される、婚約者を決められる、偽物と疑われる。聖女であることが、人との距離をつくっています
悪役令嬢・お姫様・自己犠牲との違い
聖女は、同じ物語に出てくる役どころや、清らかな人柄の言葉とよく混ざります。こう覚えると見分けやすくなります。聖女は力や役目で選ばれ、お姫様は生まれで決まり、悪役令嬢は物語に悪役を割り振られる。自己犠牲は肩書きではなく、自分で選ぶ芯。
| 聖女・聖者 | 悪役令嬢・悪役令息 | お姫様 | 自己犠牲 | |
|---|---|---|---|---|
| 何を言う言葉か | 選ばれた役目と肩書き | 物語で割り振られた悪役 | 生まれた身分と立場 | 自分で差し出す芯 |
| 何で決まるか | 力、神託、召喚 | 家柄と、物語の筋書き | 血筋 | 本人の選択 |
| 背負うもの | 国や人々を救う役目 | 破滅する運命 | 国、王家、民 | 守りたい誰か |
| 物語でよく起きること | 崇められる、偽物と言われて追放される | 婚約破棄、断罪 | 決められた結婚、城を出る | 大事なものを失う |
| 崩れる瞬間 | 肩書き抜きで一人の人として見られた時 | 役を降りると決めた時 | 城の外で一人の人として見られた時 | 守った相手に止められた時 |
いちばん並べられるのは悪役令嬢です。Web小説では、乙女ゲームの世界を舞台にした悪役令嬢ものの「本来のヒロイン」が聖女として扱われることが多く、二人は同じ物語の表と裏に置かれてきました。ただ、言葉の種類が違います。聖女は、力や役目で選ばれた人の肩書きです。悪役令嬢は、物語の中で悪役を割り振られた人の呼び名です。そして今は、聖女のほうも婚約破棄や追放をされる側になりました。罪を着せられる、国を追われる、追い出した側があとで困る。この流れは、悪役令嬢ものとよく似ています。
お姫様とは、何で決まるかで分かれます。お姫様は生まれで決まり、聖女は力や役目で選ばれます。だから聖女には、平民の少女や、異世界から召喚された会社員もなれます。自己犠牲とは、肩書きか芯かで分かれます。昔の物語の聖女は、祈りで身を削る自己犠牲の人として描かれることが多くありました。今の聖女は、その役目を押しつけられたものとして見直し、降りる物語も増えています。
聖女と近い言葉
| 聖人・聖者 | シスター・修道女 | 天使 | 偽聖女 | |
|---|---|---|---|---|
| どんな言葉か | 信仰と徳にすぐれた人。キリスト教では、教会が死後に認めた人 | 誓いを立てて修道院で暮らす女性 | 神の使い。たとえとして、心が清らかで優しい人 | 聖女を名乗る、または聖女とされた偽物 |
| 聖女との関係 | 男女を問わない言い方。創作では男性の場合に使われることが多い | 誓いと所属で決まる。聖女は力と役目で選ばれる | 人ではない存在。聖女は人が選ばれてなる | 聖女の肩書きを使う型。本物が偽物扱いされる物語の裏返し |
聖女・聖者キャラの型
聖女・聖者キャラは、肩書きをどう受け止めているかと、肩書きと素顔がどれだけ離れているかで型が分かれます。Web小説、漫画、ゲームでよく描かれる型を並べました。
追放される聖女、召喚される聖女
聖女として異世界に呼ばれたのに、別の人が聖女と認められ、自分は脇に置かれる型です。本人は肩書きより、目の前の仕事や暮らしに夢中で、その働きぶりから周りが本物だと気づいていきます。たとえば、小鳥遊聖(『聖女の魔力は万能です』)がこの型です。
国を守ってきた本物の聖女が、偽物の汚名を着せられて国を追われる型です。追い出された先で力を認められ、大切にされます。たとえば、エリアーヌ(『真の聖女である私は追放されました。だからこの国はもう終わりです』)がこの型です。
どんな務めも完璧にこなすのに、隙がないせいで冷たいと思われ、報われない型です。その硬さが少しずつほどける過程が見どころです。たとえば、フィリア・アデナウアー(『完璧すぎて可愛げがないと婚約破棄された聖女は隣国に売られる』)がこの型です。
乙女ゲームの世界で、本来のヒロインとして聖女の役回りを担う型です。悪役令嬢側からは恋敵として警戒されながら、実際は穏やかな努力家として描かれることもあります。たとえば、マリア・キャンベル(『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』)がこの型に近い形です。
本当は力がない、または力より野心が先に立つ人物が、聖女の肩書きを使って地位や婚約者を手に入れる型です。本物の聖女を追い出す側に立つことが多く、清らかな見た目と、中身の欲の差が見どころです。特定の作品より、追放聖女の物語の相手役として広く描かれている型です。
素顔のある聖女
人前では物腰が柔らかく、誰からも慕われる聖女なのに、気を許した相手の前ではだらけてしまう型です。家事が苦手でドジ。素を知る一人に世話を焼かれる関係が、そのまま物語になります。たとえば、セシリア(『白聖女と黒牧師』)がこの型です。
ふだんは淑やかな聖女を演じているのに、親しい相手の前では言葉が荒く、いざとなれば素手で戦う型です。清らかさと腕っぷしの落差が、そのまま魅力になります。たとえば、マルタ(『Fate/Grand Order』)がこの型です。
身分を問わず誰にでも優しいのに、正しさにはきびしく、大切な人が傷つけられると容赦がなくなる型です。慈悲と裁きの両方を持つことが、聖女という立場の重さを語ります。たとえば、ラフィーナ(『ティアムーン帝国物語』)がこの型です。
旗を掲げる聖者、祈る聖者
周りから聖女と呼ばれながら、自分はただの人だと考えている型です。誰も憎まず、自分の運命も受け入れる強さを持ちながら、大食いだったり数字が苦手だったりと、親しみやすさもあります。たとえば、ジャンヌ・ダルク(『Fate/Apocrypha』)がこの型です。
世界を救う役目に選ばれ、仲間に守られながら祈りの旅を続ける型です。優しく、よく謝り、ドジもする。役目の重さを笑顔の下にしまっている姿が、仲間の心を動かします。たとえば、コレット・ブルーネル(『テイルズ オブ シンフォニア』)がこの型です。
癒し手が嫌われる土地に生まれ、身を守るために地道に体を鍛える型です。力に頼りきらず、苦しい修業に耐える真面目さが、人を救う資格になっていきます。たとえば、ルシエル(『聖者無双〜サラリーマン、異世界で生き残るために歩む道〜』)がこの型です。
奇跡を起こす者として崇められ、一人ではなくすべての人を救うことを目指す型です。穏やかで迷いのない人柄と、救いの規模が大きすぎることの危うさが、同じ人の中にあります。たとえば、シロウ・コトミネ(『Fate/Apocrypha』)がこの型です。
聖女・聖者キャラの作り方と台詞例
聖女・聖者キャラは、肩書きと素顔の距離で作る属性です。何によって選ばれたのか、その役目を誇りに思っているのか重荷に感じているのか、肩書きを外した時に何が残るのかを決めると、人柄がはっきりします。
台詞は「心の距離」の順に4段階で並べています。表の顔 → ほころび(素が一瞬見える)→ 信頼した相手だけ → 独りの時。聖女・聖者キャラは、表の顔では役目にふさわしい言葉を選び、ほころびで役目の外の好みや疲れがのぞき、信頼した相手には肩書きの重さを打ち明け、独りの時には役目を降りた自分を思い描いています。話し方は口振カルテで調整できます。
下に行くほど心の距離が近づきます。同じ人物の4つの顔として読んでください。
自分のキャラクターの顔を置くと、下の台詞をその子が話しているように読めます。
性分帖の台詞は、自分で作ったキャラクターにどんな口調や性格が合うかを確かめるためのものです。画像と名前はこの端末にだけ保存され、ほかの属性のページでも同じ子が出ます。
ドラッグで位置を動かせます
女性の聖女キャラ
女性の聖女キャラは、召喚された異世界人、代々聖女を出す家の娘、神殿に見いだされた平民の少女として描かれることが多い形です。役目に押しつぶされる姿だけでなく、自分の意思で役目を選び直す姿を描くと、今の読み手に響く人物になります。
- よくある形
- 異世界に召喚されたのに、別の人が聖女に選ばれた会社員/国の結界を一人で支えてきたのに、偽物扱いされて追放される聖女/神殿に見いだされた、読み書きを習い中の平民の少女/人前では完璧で、部屋では毛布にくるまっている聖女
- 外すなら
- 癒しの力を持つ聖女が、治すより料理を作るほうが好きで、神殿の台所に入り浸っている形にする。または、追放された聖女が、戻ってきてほしいと頼まれても、新しい町のパン屋の仕事が忙しいと断る形にする
- 気をつけたいこと
- 何をされても怒らず、ただ耐えるだけの人にしないこと。聖女だから我慢する、ではなく、何に怒り、何を譲らないのかを一つ決めると、一人の人として立ちます。追放した側を責める場面も、相手を痛めつけて喜ぶより、自分の幸せを選ぶ形のほうが今は好まれます
1表の顔人前・ふだん
「順番にお呼びします。痛みの強い方から前へどうぞ。皆さん、今日のうちに必ず診ますから」
神殿の前に並んだ人の列に向かって、背筋を伸ばして
2ほころび素が一瞬見える
「あ、その焼き菓子、まだ残ってます? いえ、聖女が甘いもの好きでもいいでしょう、別に」
最後の一人を見送ったあと、差し入れの籠をのぞきこんで
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「今日、私の名前を呼んだのはあなただけ。三百人診て、一人。覚えておく」
夜の回廊で、灯りを持って付き添ってくれた友人に
4独りの時誰にも見せない本音
「光が消えた。……今日はあと何人、って数えなくていいんだ。少しだけ、このままでいよう」
誰もいない礼拝堂で、自分の手のひらの光が消えるのを見つめて
男性の聖者キャラ
男性の聖者キャラは、癒しの力を授かった治癒士、奇跡を起こすと崇められる若い神父、人々に担ぎ上げられた救い主として描かれることが多い形です。主人公として地道に力を磨く形もあれば、救いを大きく掲げすぎて、主人公とぶつかる形もあります。
- よくある形
- 癒し手が嫌われる国で、身を守るために体を鍛える治癒士/村人に「聖者様」と呼ばれて困っている、ただの薬師の青年/穏やかな笑顔で、すべての人を救うと言い切る神父/戦場で敵味方なく手当てをする、口数の少ない癒し手
- 外すなら
- 聖者と崇められる青年が、実は治すより剣の稽古のほうが好きで、こっそり騎士団の訓練に混ざっている形にする。または、奇跡を起こすと噂される聖者が、自分の起こした奇跡の理屈を誰より知りたがっている研究好きの形にする
- 気をつけたいこと
- 救いの言葉を、人を思い通りに動かす力として描きすぎないこと。崇められる人には、人の心を動かす責任があります。救いたい気持ちと、人に選ばせる気持ちの両方を持たせると、怖さも温かさもある聖者になります
1表の顔人前・ふだん
「治療代は、払える分だけで構いません。払えない方は、次に誰かが困っている時に手を貸してください」
治療院の受付で、銀貨を数える老人の手をそっと止めて
2ほころび素が一瞬見える
「……正直に言うと、聖者様と呼ばれるたびに、背中が少しかゆくなるんです」
片づけを手伝ってくれた見習いに、苦笑いしながら
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「治療院の裏の壁、釘の跡が十七。救えなかった人の数です。数えるのは僕だけでいい」
長年の相棒と二人きりの帰り道で、前を向いたまま
4独りの時誰にも見せない本音
「皆が求めているのは奇跡で、僕じゃない。それが分かっていても、手を止められない」
夜更けの治療院で、使い切った包帯の箱を片づけながら
女性向けの男性の聖者キャラ
女性向けの男性の聖者キャラは、誰にでも等しく優しい清らかな人が、主人公にだけ人間らしい顔を見せる形で描かれます。手の届かない人が、自分の前でだけ肩書きを下ろしてくれる。その特別さが見どころです。
- よくある形
- 民に慕われる若い大神官が、主人公の前でだけ甘いものをねだる/癒しの力を持つ王子が、主人公にだけ疲れたと言える/聖者の肩書きを嫌がり、主人公と一緒に薬草を摘みに出かける青年/主人公を守るために、聖者の務めより自分の気持ちを選ぶ人
- 外すなら
- 清らかな聖者が、恋の駆け引きにだけはまるで不慣れで、主人公への贈り物を何にするか一週間悩む形にする。または、主人公のほうが聖女で、聖者の彼が補佐役として振り回される形にする
- 気をつけたいこと
- 禁欲的な立場を、性的な題材として軽く扱わないこと。また、肩書きを捨てさせることを愛の証のように描きすぎないこと。務めを続けるか降りるかは本人が選び、主人公はその選択を尊重する関係にすると、安心してときめける聖者になります
1表の顔人前・ふだん
「祈りの時間は終わりました。皆さん、気をつけてお帰りください。足元が暗くなっています」
夕方の聖堂の扉の前で、一人ひとりに目を合わせて
2ほころび素が一瞬見える
「……あなたが来る日だけ、鐘の音が少し早く聞こえるんです。気のせいだと思いますけど」
最後に残った主人公に、扉を閉めるのを忘れたまま
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「祈りの言葉なら、何百回でも間違えません。……あなたの名前を呼ぶ時だけ、声が震える。どうしてでしょうね」
裏庭の井戸のそばで、主人公の濡れた袖を拭きながら
4独りの時誰にも見せない本音
「祈りの言葉が途中で止まった。次の句の代わりに、あの人の名前が出てきた」
夜の祭壇の前で、祈りの言葉が途中で止まって
男性向けの女性の聖女キャラ
男性向けの聖女キャラは、主人公の仲間として旅をする癒し手、主人公が救う側に回る祈りの少女、素顔とのギャップが楽しい聖女として描かれます。清らかなだけでなく、ちょっとした隙や意外な一面があると、主人公との掛け合いが生まれます。
- よくある形
- パーティーの回復役で、戦いのたびに無茶をする主人公を叱る聖女/世界を救う旅の途中で、よく転んではすぐ謝る少女/人前では淑やかなのに、主人公の前では口が悪くなる聖女/お腹が空くと祈りの言葉を忘れる聖女
- 外すなら
- 回復役の聖女が、実はパーティーでいちばん力が強く、前に出て戦いたがる形にする。または、清らかな聖女が、主人公にだけは賭け事の勝ち方を真剣に聞いてくる形にする
- 気をつけたいこと
- 清らかさを、何も知らない、何も決められない幼さとして描かないこと。旅の目的や、譲れない考えを一つ持たせると、守られるだけのヒロインではなく、主人公と並んで歩く仲間になります。幼い見た目の聖女を、色っぽい場面と組み合わせないことにも気をつけます
1表の顔人前・ふだん
「傷を見せてください。……また一人で前に出ましたね。治すのは私なんですよ」
戦いのあと、座り込んだ主人公の腕を取って
2ほころび素が一瞬見える
「今の、見なかったことにしてください。聖女は木の根っこにつまずいたりしないんです」
野営地へ向かう森の道で、裾を払いながら顔を赤くして
3信頼した相手だけ見せると決めた本音
「旅が終わったら、聖女じゃない私を見てみたいんです。一緒に、あの港町のお祭りに行ってくれますか」
見張りの交代の時間、焚き火を挟んで主人公と二人で
4独りの時誰にも見せない本音
「指が震えてる。この手、自分にだけは効かないの。明日まで、誰にも見せないでおく」
仲間が眠ったあと、テントの外で星を見上げて
聖女・聖者キャラを書く時のコツと避けたいこと
コツ
- 何によって選ばれたのかを決める:神の加護、生まれ持った力、召喚の儀式、人々の噂。選ばれ方によって、肩書きへの気持ちが変わります
- 肩書きを外した時に残るものを一つ決める:料理が好き、研究が好き、口が悪い、よく食べる。素顔が一つあるだけで、聖女が一人の人になります
- 何に怒るかを決める:誰にでも優しい人ほど、怒る理由がその人の芯を語ります。大切な人が傷つけられた時、嘘をつかれた時、弱い人が見捨てられた時
- 役目との付き合い方を選ばせる:続ける、降りる、選び直す。聖女・聖者の物語は、肩書きとの向き合い方で印象が決まります
肩書きとの距離で変わる見え方
| 肩書きとの距離 | どう見えるか | 揺らす出来事 |
|---|---|---|
| 役目を誇りに思っている | まっすぐ、頼もしい、少し危うい | 役目では救えない人に出会う |
| 押しつけられて背負っている | 健気、疲れている | もう背負わなくていいと言われる |
| 肩書きを奪われた | 悲しい、のちに晴れやか | 追い出した国から戻ってくれと頼まれる |
| 肩書きに興味がない | のんき、自由、頼りになる | 自分の力で誰かが救われたと知る |
| 素顔を隠して演じている | かわいい、親しみやすい | 素顔を見せた相手に受け入れられる |
避けたいこと
- 何をされても怒らず、耐えるだけの人にすること。清らかさは我慢強さと同じではありません。怒る理由や、譲らない一線を一つ持たせます
- 清らかさを、世間知らずや判断力のなさとして描くこと。優しさと賢さは両立します。人の悪意に気づいたうえで、それでも優しくする姿のほうが強く残ります
- 追放した側への仕返しを、痛めつけるほど気持ちいいものとして重ねること。自分の幸せを選ぶことで逆転する形のほうが、聖女らしさを損ないません
- 禁欲的な立場や幼い見た目を、性的な題材として軽く扱うこと。崇められる人の心と体の境界は、ほかの人以上にていねいに描きます
- 実在の宗教の祈りの言葉や儀式を、そのまま茶化して使うこと。創作の神殿や祈りは、物語の中で作ったものにすると安心です
聖女・聖者に合う口調・組み合わせやすい属性
合う口振(口振カルテへ)
聖女・聖者は立ち位置の属性なので、口振は「人前でどう話すか」と「素顔でどう話すか」の二つで選びます。人前ではていねいに、素では別の口振にすると、肩書きと素顔の差がそのまま話し方に出ます。
組み合わせやすい属性
聖女に天然を重ねると、肩書きに無頓着で、周りが勝手に崇めていく聖女に。二面性を重ねれば、人前の聖女と素のずぼらさを行き来する、親しみやすい聖女になります。献身を重ねると、役目を喜びとして選んでいる芯の強い聖女に、高嶺の花を重ねると、誰からも敬われるのに対等な友人がいない寂しい聖女になります。努力家を重ねれば、才能に頼らず修業を積む聖者に。腹黒を重ねると、清らかな顔で企む偽聖女や、計算高い聖女になります。
ぶつかりやすい属性(あえて使うと面白い)
ナルシストや戦闘狂は、人を救う役目の聖女・聖者とぶつかりやすい属性です。一人に重ねると「自分の美しさを讃えてほしい聖女」「戦いたくて前に出る聖女」というおかしみになり、関係性で並べると引き立ちます。救う人と、戦いを楽しむ人。自分を見てほしい人と、人のために自分を消してきた人の組み合わせは、清らかさとは何かを浮かび上がらせます。
聖女・聖者キャラの歴史
人を救った女性を聖女と呼ぶ歴史は、キリスト教の聖人の歴史と重なります。創作では、ゲームの祈りの少女を経て、Web小説で「肩書きとしての聖女」が一つのジャンルになりました。ここでは、主な出来事をまとめます。
年表を開く
フランスを救ったとされる農村の少女が、異端として火刑にされます。1456年の裁判で無罪とされ、「オルレアンの乙女」と呼ばれて語り継がれました。
「宗教に一生をささげた女性」という意味の聖女の用例が、西洋の詩の訳詩集に見られます。
1431年に処刑された少女が、教会によって聖人と認められます。処刑から約489年後のことで、裁かれた人があとで聖女になる逆転の実例として知られています。
インドで貧しい人々に尽くした修道女が、存命中から日本の本の題名で「聖女」と呼ばれます。教会が正式に聖人と認めたのは2016年で、日本では称号より先に、ほめ言葉としての聖女が広まっていました。
世界を救う役目を託された少女が、仲間に守られながら祈りの旅をするロールプレイングゲームが続きます。役目の名前は「召喚士」や「神子」で、聖女に近い役どころとして親しまれました。
史実や聖書の聖女が英霊として登場するスマートフォンゲームの配信が始まり、素手で戦う聖女のような意外な素顔も人気を集めます。同じ年の10月には、癒しの才能を持つ治癒士の青年を主人公にした小説の連載が、小説投稿サイトで始まりました。
聖女として召喚されたのに放っておかれる元会社員の小説が、小説投稿サイトで連載を始めます。2021年と2023年にアニメ化され、「召喚されたけれど選ばれなかった聖女」の代表的な形になりました。
完璧すぎて可愛げがないと婚約を破棄され、隣国に売られる聖女の小説の連載が始まります。追放や婚約破棄から始まる聖女の物語が、女性向けのWeb小説で一つの流れになっていきます。2025年にアニメ化されました。
国を追い出された聖女の物語の縦読み漫画が、半年余りで100万冊を超えたと紹介されます。同じ年、人前では聖女で素はずぼらな少女のラブコメと、治癒士の聖者の物語がアニメ化されました。
小説家になろうでは、題名に「聖女」が入る作品が約9,600件、「聖女」と「婚約破棄」を合わせた作品が約2,600件、「聖女」と「追放」を合わせた作品が約2,000件あります。読者アンケートの「聖属性キャラ」でも、聖女ものの主人公が上位に入りました。偽聖女と言われて追放される聖女の物語は、2027年にアニメ化が予定されています。
今の聖女・聖者キャラのイメージ
- 女性向けでは、聖女が主人公の座に:女性向けのWeb小説の聖女は、男性向けの勇者にほぼ当たる立ち位置です。救われる側ではなく、国や人を救う主人公として描かれるのが今の中心です
- 追放されて、自分の幸せを選ぶ:偽物と言われる、婚約を破棄される、隣国に売られる。そこから先で大切にされ、追い出した国には戻らない。「追放されたら、幸せになりました」という流れが、一つの型として親しまれています
- 清らかさは、善さの保証にならない:白い服や聖なる肩書きをまとった人物が善とは限らない、という逆転も一つの型です。偽聖女や、腐敗した神殿が物語の相手役になる形も定番です
- 素顔のギャップが愛される:ずぼら、口が悪い、よく食べる、拳で戦う。完璧な聖女より、肩書きの下に人間らしい顔がある聖女が好まれます。いるだけで癒される存在感と、意外な一面の両方がそろうと、長く愛されます
- 男性の聖者・聖女も:癒しの才能を持つ治癒士が主人公の物語のほか、女性向けでは、男性が聖女として異世界に召喚される作品も出ています。聖女という言葉が、性別より「選ばれて救う役目」を指す言葉として使われ始めています。恐れられる魔王に迎えられる聖女のように、反対の立場の相手と組む形も人気です
よくある質問
聖女キャラとはどういう意味ですか?
神や国から特別な力や役目を授かり、「人を救う人」として選ばれ、崇められるキャラクターのことです。特別な力や役目で選ばれていること、人を救うことを期待されていること、その肩書きが周りとの関係を決めていることが条件になります。
聖女と悪役令嬢の違いは何ですか?
聖女は、力や役目で選ばれた人の肩書きです。悪役令嬢は、物語の中で悪役を割り振られた人の呼び名です。悪役令嬢ものでは、本来のヒロインが聖女として扱われることが多く、二人は対で描かれてきました。今は聖女のほうも、婚約破棄や追放をされる側として描かれることが増えています。
聖女とお姫様の違いは何ですか?
お姫様は生まれで決まり、聖女は力や役目で選ばれます。そのため聖女には、平民の少女や、異世界から召喚された人もなれます。お姫様が国や王家を背負うのに対し、聖女は人々を救う役目を背負います。
「追放聖女」とは何ですか?
国を守ってきた聖女が、偽物の汚名を着せられたり、婚約を破棄されたりして、国を追い出される物語の型です。追い出された先で力を認められて大切にされ、追い出した国が困る、という流れが定番です。作品の数も多く、聖女ものの一つのジャンルになっています。
男性の場合は聖者・聖人と呼ぶのですか?
聖者・聖人は男女を問わない言葉ですが、創作では男性の場合に「聖者」「聖人」と呼ばれることが多くなっています。一方で、女性向けの作品には、男性が「聖女」として召喚される物語もあります。このページでは、聖女と聖者を同じ型の言葉として扱っています。
聖女とシスター・僧侶の違いは何ですか?
シスター(修道女)や僧侶・神官は、誓いを立てたり、教会や寺に属したりして務める人のことです。聖女・聖者は、その中から、あるいは外から、特別な力や役目で選ばれた一人です。創作では、癒しの力の強い女性の聖職者が、とくに聖女と呼ばれることもあります。
聖女キャラを魅力的に書くコツは?
何によって選ばれたのかと、肩書きを外した時に残る素顔を一つずつ決めることです。そのうえで、何に怒るのか、役目を続けるのか降りるのかを本人に選ばせると、清らかなだけではない、生きた聖女として伝わります。
次に読む
参考にした資料
- コトバンク「聖女」(デジタル大辞泉:神聖な女性、宗教に一生をささげた女性/精選版 日本国語大辞典:知徳のすぐれた女性、1913年の訳詩集の用例)
- Weblio辞書「聖女」(清らかで気高い女性、慈愛ある女性をほめる言い方)
- コトバンク「聖人」(カトリックで公式に列聖された人)
- コトバンク「聖者」(聖人と同じ、殉教者や偉大な信徒の敬称)
- ピクシブ百科事典「聖女」(創作の聖女は清廉で慈悲深い、描き方で嫌われやすい、Web小説での扱い)
- ニコニコ大百科「聖女」(召喚・追放・偽聖女、悪役令嬢ものの本来のヒロイン、女性向けの聖女は勇者にあたる)
- Wikipedia(日本語版)「聖女」(神聖な事績を成した女性、慈愛ある女性をほめる用法)
- Wikipedia(日本語版)「聖人」(訳語としての聖人、列福と列聖)
- Wikipedia(日本語版)「列聖」(死後の調査と奇跡の認定)
- Wikipedia(英語版)「Saint」(ラテン語 sanctus から)
- Wikipedia(日本語版)「ジャンヌ・ダルク」(1431年処刑、1456年復権、1920年列聖)
- Wikipedia(日本語版)「マザー・テレサ」(2016年列聖、日本で「聖女」と呼ばれた本の題名)
- TV Tropes「Purity Personified」(清らかさの化身と、その崩し方)
- TV Tropes「White Magician Girl」(パーティーの回復役の少女)
- TV Tropes「Light Is Not Good」(聖なる見た目が善とは限らない)
- コミックナタリー 追放された聖女の縦読み漫画の特集(半年余りで100万冊、「聖女」「追放」のジャンル)
- 小説家になろう 小説API「聖女」(2026年11月3日時点の件数)
- カクヨム タグ「聖女」(2026年11月3日時点、4,101作品)
- アニメ!アニメ! 聖属性キャラについての読者アンケート(2026年)(273人、聖女ものの主人公が上位)
- Wikipedia(日本語版)「聖女の魔力は万能です」(小鳥遊聖:2016年連載開始、2021・2023年アニメ)
- 電撃オンライン 『真の聖女である私は追放されました。』アニメ化の記事(エリアーヌ:控えめで芯が強い、2027年放送予定)
- Wikipedia(日本語版)「完璧すぎて可愛げがないと婚約破棄された聖女は隣国に売られる」(フィリア:2020年連載開始、2025年アニメ)
- Wikipedia(日本語版)「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」(マリア・キャンベル:光の魔力を持つ原作の主人公)
- Wikipedia(日本語版)「白聖女と黒牧師」(セシリア:人前では聖女、牧師の前ではずぼら、2023年アニメ)
- ピクシブ百科事典「マルタ(Fate)」(淑やかな聖女と、素の荒っぽさ)
- ピクシブ百科事典「ラフィーナ・オルカ・ヴェールガ」(聖女の一人と認められた公爵令嬢、慈悲と潔癖さ)
- ピクシブ百科事典「ジャンヌ・ダルク(Fate)」(自分を聖女と思っていない、大食い)
- バンダイチャンネル「Fate/Apocrypha」作品紹介(聖女ジャンヌ、「奇跡の子」シロウ・コトミネ)
- Wikipedia(日本語版)「テイルズ オブ シンフォニア」(コレット:世界再生を託された神子、2003年)
- アニメ!アニメ! 『聖者無双』アニメ化の記事(ルシエル:2015年10月連載開始、治癒士が嫌われる国、2023年アニメ)

