※講師の講演原稿を書かせて頂いた時のものを元に作成しております。
(30代前後男性、同年代の工場指導役の方々への内容)
.
「どうして○○するんだ!」と何度も怒って、変わらない。
怒らないように優しく接していたとしても、変わらない。
それどころか、怒ってくれている先輩の悪口を言っている
勿論、派遣先の人からは怒られっぱなしで何がなんだか…。
困った…。どうしよう…。板挟み…。
事前に、企業カウンセリングが出来る環境にあれば、カウンセリングにいけばいいのですが、それが出来ていればこんな悩みはありません。その為、板挟み問題はずっと起き続けているのです。
…と言っても、このままの板挟みは嫌だ。
そう思われる方に、カウンセリングでのエッセンスをお届けして、少しでもその辛さが和らぐお手伝いができればと思っております。
今回はその第一歩として、勤労者の方の「遅刻」「ミス」「サボり」…をどうやって直して行くか、という考え方をお伝えします。
これだけです。
ニキビが出来たら、膿を疑え
今までは「なんで相手が、こんなことをしたのか分からない!」と言ってしまったり、思ってしまったりしていたかもしれません。
それを、これからはこう考えましょう。
「膿」が、表面に出ただけ。
どこかに本当は伝えたい何か、という信号があるはずだ、と。
そして、それは最後のつらいというメッセージかもしれないと、すかさずに捕まえしょう。
.
しかし、その膿を疑ってからも大事なお話となっていますので、
お時間が御座いましたら最後までお付き合いください。
.
膿出しの大きな流れとしては、4ステップです
1.ニキビが出来たら、膿を疑え
2.相手への尊敬を忘れない
3.色々な膿の可能性を見つける
4.その膿をどうするかは相手次第
2.相手への尊敬を忘れない
「本人は「寝坊」と言っているので寝坊で、意識の問題だろう?なんで、こんなことも出来ないんだろう…」

その通りだと思います。
そのことで派遣先に怒られてしまっているのならば、なおさら、「なんで」という気持ちが強くなってしまうと思います。ただ、この「なんで」を持ち続けてしまうと、相手が「自分が正しいんだ!」という攻撃的なメッセージを強く受け取ってしまいます。
この時点で相手は
「こんな自分が正しいと思う指導者の話なんて聞きたくない!」
非言語のメッセージは強いもので、「思っているだけでも、表情や仕草、口調や語尾に表れてしまいます」
そのため、指導中に必要なことは同調です。
「本当の気持ちを知りたい、寄り添いたい」
この気持ちが本当に重要になります。確かに、相手は身勝手なことを言っていると感じることもあります。ただ、そう思ってしまった瞬間に、その人に対しての指導をすることができません。カウンセリングの場合は、リスペクトの気持ちをもって、相手をけして否定してはいけないという原則があるほどです。
それぞれ育ってきた環境や、価値観は異なります。そのため、はじめは耐え難いことですので、気持ちを寄り添うような同調の心を鍛錬して培っていきましょう。鍛錬の方法としては、「瞑想のワーク」や自分自身がカウンセリングを受けることで出来るように成っていきます。
2.ニキビが出来たら、膿を疑え
勤労者さんの本当の訴えを探しましょう。
ニキビを取り除いても膿が残っていたら、またニキビが出来ます。
これでは、堂々巡りです。基本的には、「表向きの問題」が表に見えているけれど、裏の問題があるのです。それを探して摘み取ることができれば、永久板挟みから解決されるでしょう。
3.色々な膿の可能性を見つける
「ニキビが出来ていたら、その裏に膿がある」為に、わたしたちは「膿を見つける」作業をします。そして、その際に大事なのは
「敬意をもち、信頼関係を築きながら話す」
「仮説は立てても、決め打ちはしない」
まずは、話を聞いて仮説を立てるところから始まります。
相手が今どんな苦しい想いをしているのか等の感情を聞かずに、仮説ばかりを考えては「尋問」になってしまいます。相手の心に寄り添うことを念頭に置いて、色々な要素をヒアリングしていきましょう。
- 今の気持ちは、苦しいのか、悔しいのか、情けないのか、切ないのか等
- 問題解決の為に、相談できそうな人はいるのか
- 周りの状況、雰囲気についての情報
- 職場の問題以外にも、家庭の問題などがあるかどうか
- 相手にとって、どうなれば、この環境が楽になるのか
- 実際にその環境になった時のことを、想像してどう思ったか
一つの可能性にとらわれず、この人の解決になりそうな情報をより多く拾おうとして下さい。推理や主観などで先走りしすぎないように気をつけましょう。
何故、決め打ちが駄目なのか
1.「信用していない」から本当の答えを言わず、様子見をしている
2.本当の問題が言えないから、意図的に別の問題を引き起こしている。
3.自分で本当に辛いことだから、無意識に隠してしまっている
4.自分の都合の悪いことは、つい隠して話してしまっている
……他にも諸項目あります。
.
あなたが聞いている言葉は
色々な要因が絡んだ相手フィルターに通した言葉です。
その言葉を、私たちが言葉の通りに受け取ってしまうことは真実が見えなくなってしまい、とても危険な行為です。
4.その膿をどうするのかは相手次第
これは、「相手とあなたは他人」だからです。信頼関係が築けている場合は、率先して提案をしても問題ない場合もあります。
しかし、最悪な場合は話しすら聞いてもらえない状態になります。
.
ソーシャルゲームなどを薦める方を例にあげてみましょう。
悪い例
「○○、楽しい!みんなやってるからやろうよ!!
どうしてやらないの?今なら、✕✕ももらえるよ!」
「その○○を、絶対にやらないことを決めた」
よく見かける話ですが、これはどうして成立しないのでしょうか。
これは人に勧められることは、無意識のうちに
「今の○○をしていない君は駄目」

という否定のメッセージを与えてしまっているからなのです。
その否定のメッセージを受け取った相手は、
防衛のために
「これをやってなくても、自分は駄目じゃない」と自己肯定したくなります。
そのため、
「相手に決めてもらう」
「相手に考えてもらう」
ことが大切になります。
.
信頼関係を築けていること前提で、「こういうことを考えたのですが、どう想いますか?」という軽い提案であれば、可能です。
.
まとめ
ニキビが出来たら、膿を疑え
「膿」が、表面に出ただけ。
相手が悪いのに、他の原因を探すということはとても大変なことです。いっそ、自分が謝って物事が済むなら、叱って片付くなら、楽です。勿論、貴方は謝る必要も、叱る必要もない。
なので、叱らずに、謝らずに、他の人に信頼してもらえる方法をお伝え致しました。
ですが、
4.その膿をどうするのかは相手次第
です。
そのため、もし、貴方がこの中で取り入れても良い、という項目が御座いましたら、一つだけでもお持ち帰りして頂いて、今は不要な内容は頭の片隅におくか、ゴミ箱に投げてしまって大丈夫です。
.