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作詞・作曲 カンザキイオリ
歌唱 花譜
アルバム『魔法』
再生時間:5分02秒
「昔の私」と「未来の私」の手紙での遣り取り、
花から始まる偽りだと思っていた恋、
そこから「私」が選んだ答えは、何だったのだろうか。
「花女」
散ることを知った私の答え。
「昔の私」への手紙と、「未来の私」への手紙
この曲は、惹き込まれる薄暗いメッセージから始める。
拝啓 昔の私
それになりに味方もいて敵もいた
だけどなぜか嫌われてばっかな気がした
見下されたくない
見た目や上部だけが全てでそれ以外全部いらない
その考えは間違いじゃない
安心して欲しい
花女 冒頭より
この冒頭部分、良く聞いてもらうと
「見下されたくない」の部分は、2人の声がする。
この声は「未来の私」と、そして、「過去の私」の声なのだろう。
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後半になるのだが、先に「未来の私」へ呟く歌詞がある。
(拝啓 未来の私)
(本当普通の大人になったね)
(本当普通の大人になっちゃんだね?)
(くだらない くだらない)
(過去の痛みは全部消えない)
(敵だって消えるわけじゃない)
(わだかまりを抱えて生きて)
(そして美しく散っていけばいい)
(揺れて溢れ落ちた花のように)
花女 花譜より引用
未来の私と、過去の私は同じ考えをしている。
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未来「見た目や上部だけが全てでそれ以外全部いらない、その考えは間違いじゃない」
過去(過去の痛みは全部消えない)(敵だって消えるわけじゃない)
考え方は変わらない。
「過去の私」と、「未来の私」は、何処かで別れている
ごめんねお別れだ
人生は一度きりだ
互いの吐息が手を繋ぐ
きっかけはいつも花だ
さよなら さよなら
今までの私
花女 花譜
その過程が、歌詞にちりばめられている。
この花女の物語を、歌詞を追いながら説明していこうと思う。
敵である「君」との出会い
「君」についての私メモ(「花女」の歌詞1番より)
- 「私」の敵
- 愛想笑いばっか浮かべている
- 「本当は「私」のことが苦手なんだ」
- 駅前で花を買った
- なんとなく花が似合うかと思って
- 「君」にあげてみた
「君」は「私」があげた花を、ドライ加工して笑いながら本棚に置いた。
私「そんなものに価値なんてないでしょ?」
君「(君が)僕を大好きと知った。それだけでいいさ。(君が僕のことを大好きな)確信なんてないのだけれど。(僕の考えが)間違ってるなら教えてくれよ。まあいいやとりあえず(僕は君のことが)大好きだ。」
彼女にとっては急展開である。
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何となく渡した花によって、「敵」である「君」に好きだと思われてしまい、大好きだと言われてしまう。
。
ただ、「私」も、本当に「何となく」で、花を渡したのだろうか?
彼女自身も、元から「君」と仲良くしたかった気持ちがあったのかと思われる。
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でも、彼女は「見た目や上部が全てで、それ以外全部要らない」「全部敵」だと思っているから、
正直な気持ちなど言えるわけがない。
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強がりな「私」が素直な「君」と出会って、恋を知る。
でも、恋には、勇気がいる。
「見下されたくない」、と思う「私」にとっては、人一倍の勇気がいる。
唐突に始まった恋と、未来の私との対話
最近の「私」についてのメモ(「花女」の歌詞2番より)
- 私は強がり
- 何も言わず、ため息を吐く
- それでも何かあるたびに花をあげた
- 「君」はあげる度にドライ加工する
- 「君」の家は花いっぱいで溢れ返って散らかっていた
私「じゃあ(ドライフラワー)を私の部屋に置こうか」
???(え? なに言っているの? 今まで敵だったんだよね?ねえ 彼を好きにでもなった?
私「ああそうだよ私は好きなんだ彼のことが」
???(本当は全部わかってるんだよね? 人は人を見下すものよ)
私「彼は違う」
???(違うって何? 簡単に信じられるなら勝手にしなよ。 ねえ花女)
いきなり、この歌詞が入ってくるので聞くと「え?コイツ誰…?」となります。
しかし、この対話歌詞 ( ) で括られています。
「私」の中での対話、つまり「私」。
この中で登場している人物で言えば、これは「未来の私」との対話である可能性が高いです。
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何故、過去の私と未来の私がいるのかは分かりませんが、Fate/staynightと同じ原理だと思っておきます。解決
戸惑う心と、「私」と「私」と「君」
最近の「私」と「君」(「花女」3番…?より)
- (私は彼が好きな)確信が持てない
- すれ違う日々も増えた
- あの日初めてあげた花びらも年季が入って色落ちた
「過去の私」と「未来の私」の分岐点
ああそうか永遠なんてないんだ
どんなにどんなに加工しようが花は枯れるし
私たちもシワを作っていつか土に帰る
紡いだ日々も培った笑顔も何もかもがいつかは消える
嗄れて枯れ落ちて全て消えるなら私はどうする?
花女 花譜より
人生は一度きり。
だから、彼女は別れを告げることにした。
ごめんねお別れだ
人生は一度きりだ
互いの吐息が手を繋ぐ
きっかけはいつも花だ
さよなら さよなら
今までの私
花女 花譜
「君」――ではなく、「未来の私」に
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彼女の出した答えは、こうだった
大好きを言える
それだけでいいの
これから何度傷つけあって
間違ってるなら教えてほしい
この花に誓う
大好きよ
花女 花譜
見下されたくない、嫌われたくない。
そう思っている彼女は、それでも、
傷付け合ってでも、「大好きを言う」ことを選んだ。
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そして、道を違えた「未来の私」に対して返す
(拝啓 未来の私)
(本当普通の大人になったね)
(本当普通の大人になっちゃんだね?)
(くだらない くだらない)
(過去の痛みは全部消えない)
(敵だって消えるわけじゃない)
(わだかまりを抱えて生きて)
(そして美しく散っていけばいい)
(揺れて溢れ落ちた花のように)
花女 花譜より引用
過去の痛みは全部消えない、敵だって消えるわけじゃない
それでも、彼女は全て消えるのならば
どれだけ傷付いても、その傷やわだかまりさえ抱えて生きていこうとする道を選んだ。
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一方、「未来の私」は、
見下されるのが怖くて、わだかまりや傷を恐れて生きているのだろう。
だから、「過去の私」は(普通の大人になっちゃたんだね?)と伝えている。
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この曲の最後は、「過去の私」が「君」に、もう一度大好きと言う。
そんな「花女」になった彼女の後姿が見えるような、歌詞で締めくくられている。
しきたりなんかはいらない
世間体も忘れ去った
花束を持って君の元へ
それだけでいいんだ
花女 花譜